平成22年度議事録

平成22年4月14日~16日・所管事項に係る県外調査

1 調査日時・箇所・内容

4月14日(水)
○長崎県五島市議会事務局(長崎県)
  マグロの養殖とシャーベット製氷施設について
○長崎県五島ふくえ漁業協同組合(長崎県)
  マグロの養殖とシャーベット製氷施設について(現地)
4月15日(木)
○長崎県五島市役所(長崎県)
  農水産物の輸送コストの助成による経営安定化の取り組みについて
  五島地鶏のブランド化計画について
○夢野菜おおざいファーム(大分県)
  野菜等の周年・計画生産可能な施設園芸農業(植物工場)について
○大分市竹町通商店街振興組合(大分県)
  まちづくり推進条例施行後の商店街の取り組み状況等について
4月16日(金)
○経済産業省(東京都)
  次世代自動車に関する経済産業省との意見交換

2 調査委員

伊藤委員長、福本副委員長、市谷委員、藤縄委員、福間委員、松田委員山根委員、藤井委員、上村委員

3 随行者

鳥取県議会事務局議事調査課 岡田主幹、上月副主幹

4 調査報告

 今回は、長崎県五島市及び大分県大分市並びに経済産業省において、当委員会所管の行政課題について調査を行った。

 長崎県五島市の水産業については、マグロの養殖とシャーベット製氷施設について調査した。
 クロマグロの漁獲規制などが検討される中、マグロ養殖は西日本各地で行われている。その中でも、五島市はマグロ養殖の基地化を推進しており、平成8年に1社、平成20年にも1社進出し、規模も拡大している。
 養殖場は、入り組んだ海岸線で波が非常に穏やかな上、干満差が3mあり、絶えず潮が動き生け簀の水質が非常に良好保たれている反面、離島であるため、餌は島外から入れており又、出荷のコストもかなりの負担となっているようである。
 地元の漁業者は、養殖用の稚魚(ヨコワ)を引き縄で捕獲し、養殖業者に販売して恩恵を受けている。五島のマグロは養殖であっても肉質がよく、天然物をも上回る価格で取引されることがあるとのことであり、境港で水揚げされるマグロも近年漁獲量が減少、小型化が進む中、新たな手法の検討が必要な時期に来ていると感じた。
 また、本県の水産業は、平坦な海岸線が多く、養殖による水揚げが極めて少ない状況となっているが、餌となる鰺、鯖、イカ等の水揚げは多く、近隣県との連携を含め、今後養殖について検討を行う必要があると感じた。
 シャーベット氷は製氷が短時間で可能な上、急速に魚体を冷やし、角氷に比べ魚体に傷が付きにくい特性があり、詰込作業も簡易なため、今後県内の関係施設においても整備について検討をしていく必要があると感じた。

  五島市の農畜産業については、農産物の輸送コストの助成による経営安定化の取り組み及び地鶏のブランド化計画について調査した。農産物の輸送コストの助成は、農業者に対して実施したアンケートの結果、一番要望の多かった施策として取り組んだものであり、農業の経営安定に非常に寄与していた。本県においても交通網の整備が進む中、関西圏等に向けて農産物の輸送を検討を行うに当たっては、課題解決のため、生産者の声を反映した施策の一層の充実が必要であると感じた。
 地鶏のブランド化については、五島で既にブランドとして確立してる「牛」、「豚」に続き「鶏」のブランド化を進めるに当たり、「五島地鶏推進協議会」を設立し、「五島地鶏しまさざなみ」という品種を行政と生産者、飲食店が一体となって精算・販売に取り組んでいた。本県の「大山地どり」の生産拡大の参考になる取り組みであると感じた。
 
 大分市では、まず、閉鎖式完全制御型植物工場「夢野菜おおざいファーム」を調査した。外界を遮断した完全無菌室で、太陽光ではなく「高圧ナトリウムランプ」の光と、人工の養液で成長し、農薬も全く使用しない栽培方法であった。そのため、加工に当たって洗浄も外葉を捨てることも必要なく、サンドイッチ等に適しているとのことである。ただ、栽培版を斜めに設置して面積当たりの収量を確保しているため、サラダ菜等軽量の葉物は適しているが、キャベツ等重量があるものは栽培が困難のようである。また、初期投資と照明費用が多大になるため、販路の確保等を十分に検討する必要があるようである。県内でも廃校を活用した野菜工場が計画されるなど、類似の施設の進出が予想され大いに参考となった。

  次に、大分市竹町通商店街振興組合では、小売業者みずからの積極的なまちづくりへの参加と協力の気運を高めるため、議員提出議案で制定された「大分県小売事業者等によるまちづくりの推進に関する条例」について調査した。
 条例制定により、小売業者は商工団体への加入や活動への協力などの義務が課せられ一定の成果を上げているようである。しかし、罰則規定がないため、個人の新規出店者にまでは条例の趣旨が十分行き渡っていないようであり、条例制定の効果を高めるためには関係者と十分に協議を行い既存の商業者、新規出店者の双方にとってメリットが実感できる条例とすることが必要であると感じた。

 経済産業省では、企業立地が進まない中、本県に進出が見込まれている電気自動車関連産業が円滑に事業展開できるように、企業立地促進法に係る地方交付税措置の要件緩和及び地域版スマートグリッド導入によるエネルギーの地産地消モデルの構築支援について要望するとともに、意見交換を行った。
 地方交付税措置の要件緩和については、減収補てん措置は縮小傾向にあり、現状を維持するのも厳しい状況のようであるが、地方の実情を如何に理解してもらい制度として認めてもらえるかについて検討する必要があると感じた。
 又、エネルギーの地産地消モデルの支援構築については、この事業のモデル地域である「次世代エネルギー・社会システム実証地域」が既に全国4地域で指定されており、追加指定は困難な状況のようであるが、再生可能エネルギーが多く入る地域においては、必ず必要になるシステムであるので、今後、計画の進捗に応じて協議を行い、可能な支援策について検討する必要があると感じた。
 
 今回調査したこれらの施策、取り組み等について、今後の委員会活動の参考としていきたい。

 

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000