令和4年度議員全員協議会議事録

令和5年2月13日会議録(確定版)

開催概要、資料はこちらです

出席者
(34名)

委員

市谷 知子        尾崎 薫
銀杏 泰利        坂野 経三郎
島谷 龍司        常田 賢二
中島 規夫        浜崎 晋一
濵辺 義孝        福浜 隆宏
藤縄 喜和        山口 雅志
内田 隆嗣        斉木 正一
澤  紀男        西村 弥子
野坂 道明        浜田 妙子
松田  正        森  雅幹
山川 智帆        興治 英夫
川部  洋        由田  隆
浜田 一哉        安田 由毅
広谷 直樹        西川 憲雄
福田 俊史        伊藤  保
語堂 正範        鹿島  功
福間 裕隆        内田 博長

欠席者
(なし)



説明のため出席した者  平井知事、亀井副知事、池上統轄監、松田総務部長、
            足羽教育委員会教育長、広瀬病院事業管理者、半田警察本部長

職務のため出席した事務局職員  寺口事務局長外


開会       午前10時35分
閉会       午前11時28分
会議録署名議員  斉木議員  伊藤議員
司会       内田(博)議長
協議事項     別紙協議事項のとおり


会議の概要

午前10時35分 開会

◎内田(博)議長
ただいまから議員全員協議会を開会いたします。
 まず、会議録署名議員に斉木正一議員、伊藤保議員を指名いたします。
 本日の議題は、令和5年度当初予算および令和5年度組織・定数改正案についてであります。
 なお、執行部の説明等に当たっては、自席で着席にて、マスク着用のまま御発言いただきますようお願いいたします。
 それでは、一括して知事に説明を求めます。

●平井知事
 皆様、こんにちは。改めまして、私たちの任期の最後を飾ります県議会がここに幕開けをすることとなりました。これまでの皆様の大変な御功績、御貢献に感謝を申し上げたいと思いますし、先ほど感謝状を受けられた方々がいらっしゃいましたが、そのほかにもこのたび澤議員、濵辺議員、また、常田議員、山口議員は引退をされるということであり、深く感謝を申し上げたいと思います。
 我々の4年間の任期を振り返ってみますと、やはりコロナに彩られる4年間だったと思います。そして、その成果はどうだったかを自らに問いたくなるわけでありますが、私は、皆様方がどうお考えかははかりかねますけれども、ポジティブに考えてよいのではないかと思っています。ここに来まして政府のほうもこのパンデミックの一つの終わりを設定しようと動き始めましたし、世界中におきましても感染の質が変わってきました。鳥取県は、小さな自治体であって、医療資源が非常に限定的です。感染症の専門家も、残念ながら、大変に少ない中でありますけれども、最後は小さいがゆえにお互いに助け合いながら何とか乗り切る方向にいったのではないかと思います。実際、感染の数は抑制することがかないました。ただ、片方で、経済だとか、あるいは社会だとか最近は子どもたちの成長につきましてもいろいろと言われることがございます。そうした方面に大きな影響を残すということになったことは疑いもないところであります。キラン・マズムダル・ショウというインドの有名な女性の実業家がいらっしゃいます。この方は、今回のCOVID-19、このコロナの教訓として全人類に与えた教訓があったと、それは皆が一緒にこの渦中にいるということであるというふうに述べています。日本のみならず、世界中がこの大きな波をかぶったわけでありますが、それを議会の皆様のお導きによりまして何とか乗り越えることができたということは、この4年間を皆様が歩んだことの功績であったと思います。
 ただ、片方で、現在、平和を脅かす非常に深刻な状況も生まれていると思いますし、社会の質がこのコロナの前と後で恐らく区切られることになります。例えばデジタル化であるとか、あるいは自然の豊かさに対する再認識であるとか私たちのような小さなコミュニティー、これが生き抜いていくためにはどうしたらいいのか、これは鉄道の問題などでこのコロナを通して顕在化してきたところであり、現在、買い物という問題も生まれています。こういうようなことを私たちの次の任期の人たちがしっかりとまた新しい方向性を出していかなければならない、そういう区切りが今つけられようとしているのかなと思っております。そういう中、難しい環境ではありましたが、予算編成をし、組織について検討させていただいたその詳細をこの後、担当部局長のほうから申し上げたいと思います。
 このたびの当初予算は3,350億円でありますが、その中には、今、5月8日までという区切りがついているものの、一定のコロナ対策予算が必要であり、その後も感染症はやむわけでありませんので、ウィズコロナに恐らく入っていくと思います。ですから、そうした備えをすることが一つ大切でありますが、片方で、これはちょっと鳥取県独特かもしれませんが、年度当初から飲食や観光など非常に打撃を受けたところにもきちんと配慮をすることを明示しながら予算を組ませていただいております。また、デジタル化や脱炭素化など新しい産業テーマも含めまして雇用を確保していくことが大切でありますし、子どもたちの成長云々ということが言われる中、バカロレア教育が始まること等々、しっかりと人を育てたり、リスキリングの端緒をまずは開いていくことだと思っております。そういうことに加えまして、例えば北条湯原道路であるとか、私たちのほうで今進めている道路プロジェクトなどは、継続事業でありますので、しっかりと計上させていただいたり、ふるさとの豊かさや活力基盤も片方でつくっていかなければならないわけであります。子どもたちの関係でいえば、県議会でも議論が大分なされたわけでありますが、アドボカシー制度など、虐待等のいろいろな環境の中にある子どもたちを助けることは優先的課題としてあえて当初予算のほうに計上をさせていただいております。そのようにいろいろとまた、我々なりの配慮をしながら、ただ、次の期の人たちが物事をさばいていけるようなアローアンス、余裕財源というか、その余力は残してあります。今回、大幅な基金の取崩しという毎度やることはやっていません。したがいまして、そうした意味でまた新しい任期の皆さんが次の事業を打ち出していく、その余力は確保しながらの予算編成であるというふうに御理解いただきたいと思います。通常、こういう4年間のパンデミックのような厳しい状況がありますと、財源が枯渇したり、財政負担が広がったりしまして、なかなか予算も組みにくいということだろうと思いますけれども、幸い、本県におきまして、片方で一定の税収の確保が図られ、それから交付税等が十分確保できたことにより、最終的には健全財政で引き継ぐことがかないました。私たちが最初にこの任期を始めたときから比べてほぼ遜色のない形で引き継げるというふうに簡単に御理解いただけようかと思います。
 ただ、今後、国家財政が厳しくなってくることは必定でありますし、残念ながら、世界の趨勢を見ますと、資源高、あるいは様々なしわ寄せが来ることは避けられそうもありません。そういうような不透明な見通しがあり、経済自体の課題がこれから生まれてくるだろうと思われます。また、あわせまして、交付税制度が鳥取県財政の一番の頼りの綱になるわけでありますが、こうしたところは国家財政の考え方に左右をされるところがありまして、ここに来て金利が上昇ムードになってくるということは国家財政のほうも厳しくなってくることになります。そういう意味で、交付税制度等も不透明というふうに言わざるを得ない状況があります。ですから、そういうぎりぎりのところを今後、考えながら財政運営をしていくということになりますが、当面の新年度予算につきましては、一定の余力も生みながら、動ける状態にしてあるということであります。
 組織についてでありますが、5月8日から5類に変わるということが確定しています。ただ、感染症の備えということはやっていかなければなりませんので、4月以降は定常的な組織、感染症対策を強化した形で本県の組織の中にビルトインしておくと、それをベースとして、応援の職員なども得ながら当面は運用していくと、そういうように変更させていただいたり、最近は豚熱や鳥インフルエンザという家畜伝染病もありますので、そうした方面での組織の充実確保を行ったり、また、いよいよ迫ってきたねんりんピックに向けましてその人員をしっかりと確保しておくということが大切だと考え、これらにつきまして、必要最小限という形ではありますが、一定の組織改正をお願いしたいと思っております。この組織の問題につきましては、恐らく新年度、新しいメンバーの中で再度議論をする必要があると思っておりますが、まず、今、解決しておかなければならない課題にとどめて、組織改正も手をつけさせていただこうと思っております。
 以上、概略を申し上げたところであり、詳細は担当部局長のほうから御説明申し上げます。

◎内田(博)議長
 続いて、詳細説明を求めます。

●松田総務部長
 資料1を御覧ください。令和5年度当初予算案についてでございます。
 まず1ページ目、予算編成の基本姿勢を記載してございます。
 (1)のところで、世界的なエネルギー価格上昇・インフレの波が日本にも大きな影響を与えているということ、それから政府において新型コロナウイルス感染症の法的位置づけについて5類に移行する方針が示されるなど、国内情勢がポストコロナへと大きな変革を迎えているという状況でございます。
 (2)のところですが、本県の令和5年度当初予算につきましては、統一地方選挙を控えまして骨格編成となりますが、新型コロナウイルス感染症対策であったり、あるいはコロナ禍・物価高騰を乗り越える対策など、4月からやっていかなければいけないことについて緊急性を精査し、積極計上することといたしまして、総額で3,350億円の予算を編成させていただきました。
 (3)のところですが、この予算の編成に当たりまして、4つの柱で予算編成を行っております。まず1つ目の柱が、「コロナ禍・物価高騰特別対策」でございます。2つ目の柱は、「命と健康・安心安全」でございます。3つ目の柱が「人が輝く未来づくり」、そして4つ目の柱が「ポストコロナのふるさとづくり」でございます。それぞれの柱ごとの主な事業につきましては後のページのほうで主要事業を記載させていただいております。
 (4)は、財政運営についてでございます。令和5年度地方財政計画におきまして、地方一般財源総額、それから地方交付税ともに前年度を上回る額が確保されました。そして、また、臨時財政対策債の発行額が抑制されたという状況がございます。その上で、本県の財政見通しといたしましては、県税や地方交付税の増額といったことがございまして、実質的な一般財源の増加を見込んでいるところでございます。また、財政誘導目標につきましては、3つの指標について全ての目標を達成ということとなりました。
 次に、2ページ目を御覧ください。予算案の概要でございます。
 予算規模は、先ほど申し上げましたが、3,350億円です。骨格予算編成ということで、昨年度と比べまして290億円、8%の減という状況でございます。
 真ん中辺りに歳入の表をつけております。県税が約561億円で約5億円の増、地方消費税清算金が約280億円で約22億円の増、地方交付税が約1,446億円で約31億円の増でございます。また、臨時財政対策債は約16億円で約37億円の大幅減となっております。そして、財政調整型基金でございますが、令和5年度当初予算におきましては取り崩さずに予算編成できました。
 次に、3ページ目を御覧ください。歳出でございます。
 一般事業につきましては、約3,019億円でございます。
 公共事業ですけれども、骨格予算編成ということで新規箇所を中心に計上を抑制したところ331億円でございますが、高速道路ネットワーク、地域高規格道路の整備には所要額を計上しております。また、通学路の交通安全対策や河川の堤防強化、土砂災害防止などの防災・減災対策についても必要額を計上しております。また、農林水産関係でありますと、境港の高度衛生管理型市場の整備、あるいはため池の防災対策などにつきましては積極的に計上しているところでございます。
 次に、4ページ目を御覧ください。予算規模の変動率の推移を記載しております。あと、参考といたしまして、地方消費税収と社会保障関係費について記載しております。
 引上げ分の地方消費税収は76.4億円でございますが、社会保障関係費は665.7億円で、コロナ関係予算を除きますと、前年と比べて約10億円の増という状況でございます。
 5ページ目に、県債と基金残高の推移のグラフを掲載しております。
 縦に長い棒グラフが県債、それから黒の棒グラフが財政調整型基金残高でございます。この縦長の部分の縦線のところが臨時財政対策債で、これは減少傾向でございます。それから、グレーに見えますけれども、ドットのところが防災・減災等の交付税措置率の高い起債でございます。そして、白抜きのところがその他の起債でございまして、これも減少傾向になっております。
 6ページ目からは、最初に申し上げました4本の柱ごとに主な事業を記載しております。
 ちょっと飛びますが、11ページ、予算の分析でございます。まず、11ページに歳入、それから12ページに目的別歳出、13ページに性質別歳出の分析の資料を入れております。
 その後、14ページからは、当初予算額の推移などの資料を入れております。
 少し飛んでいただきまして、18ページ、事務事業見直し等の状況を御覧ください。
 事務事業の見直しや財源確保の対策によりまして、62億7,000万円余の財源を生み出しているところでございます。
 次は、19ページ、使用料・手数料の見直しについてでございます。
 このたびは国の法令改正に伴う手数料の新設でございます。
 20ページでございますが、先ほど申し上げました地方消費税収と社会保障関係費についての詳細の資料を入れております。
 21ページ目を御覧ください。人件費の分析でございます。
 前年度と比べて大きな変動要因といたしましては、定年延長に伴う退職者数の減で、退職手当が大幅に減となっています。
 資料1につきましては以上でございます。
 次に、資料2を御覧ください。財政誘導目標の達成状況でございます。
 3つの指標を記載しております。まず1つ目、財政調整型基金残高が標準財政規模の1割以上というものでございますが、目標値215億円に対しまして、令和4年度末時点で273億円という状況でございます。また、2つ目、実質的な県債残高が県内総生産の2割以下というものでございますが、目標値3,716億円に対しまして、令和4年度末時点で3,511億円でございます。3つ目の指標が当初予算編成時でのプライマリーバランスの黒字化で、96億円の黒字という状況でございまして、3つの指標いずれも達成できました。
 裏面には、財政調整型基金残高と実質的な県債残高の推移を記載しております。
 次に、組織・定数改正案の説明をさせていただきます。
 資料3の1ページ目を御覧ください。まず1つ目、今後の感染症対策に向けた新たな体制でございます。5月8日の新型コロナウイルス感染症の感染症分類の変更を見越しまして、円滑な対策の移行に向け、福祉保健部に感染症対策局を設置し、対策を行っていくというものでございます。新型コロナウイルス感染症対策本部事務局につきましては、感染症対策局の職員が兼務をして、その事務を担当するというものでございます。
 なお、5類感染症への移行によりまして、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対策本部は廃止ということになりますけれども、それ以降につきましても、任意の対策本部を継続していく予定としております。
 2つ目、ねんりんピックの開催に向けた体制の強化でございます。令和6年10月に開催予定のねんりんピックに向けまして、ねんりんピック・関西ワールドマスターズゲームズ推進課に総務・広報担当、式典・事業担当、それから競技・宿泊・輸送担当を設置し、定数を6名から20名に拡充するというものでございます。
 3つ目、鳥インフルエンザ等対応に向けた家畜防疫体制の強化でございます。県内での鳥インフルエンザの経験を踏まえまして、特定家畜伝染病の防疫対策として畜産課を再編し、畜産振興課と家畜防疫課を設置して、体制強化を図るというものでございます。
 4つ目、児童虐待防止に向けた体制の強化でございます。児童虐待防止に向けまして体制を強化いたしますとともに、子どもと家庭の問題に総合的に対応するため、倉吉児童相談所と米子児童相談所を総合事務所の県民福祉局に組み込みまして、支援体制を強化するということ、それから家庭支援課の児童養護・DV担当を児童養護・DV室に再編いたしまして、これを福祉相談センター駐在という形にして、3つの児童相談所を統括する機能を強化し、横の連携を図っていくことで、児童虐待の困難案件に対する体制を整備しようとするものでございます。
 その次のページからは、組織図等も含めて詳細の資料を入れております。
 5ページ目を御覧ください。職員定数改正案の概要でございます。
 部局ごとに増減等がございますけれども、トータルをいたしまして、一番下の(1)と(2)の計でございますが、昨年と同じということで、増減なしで考えているところでございます。
 6ページ目以降に参考となる資料を入れておりますので、後ほど御覧いただけたらと思います。

◎内田(博)議長
 ただいままでの説明に対して御意見、質疑等があればお願いいたします。
 なお、発言される議員は中央のスタンドマイクまで移動の上、マスク着用のまま御発言いただきますようお願いいたします。

○市谷議員
 御説明ありがとうございました。
 まず、資料1の当初予算案の1ページの表のところで、予算編成に当たって緊急性を精査し、積極的に計上した予算だということですけれども、財政調整型基金については取り崩さないということで対応しておられて、しかも、補正予算のほうで減債基金の取崩しをやめて、50億円を戻している。50億円全部戻さなくても財政誘導目標の指標を達成できるし、減債基金ですから借金返しに使っていくものになると思いますが、借金自体の残高も減っているということなので、なぜ減債基金を全部戻して、当初予算で全然取り崩さないということにされたのかなと。緊急性を考えれば、今、物価高騰で大変ですから、もう少し、一部取崩しをやってでも県民生活を守ることを考えたほうがよかったのではないかなと思うのですけれども、なぜ取り崩したものを全部戻して、全然取り崩さないのかということについて説明をいただきたいと思います。
 それから、資料3の1ページ、今後のコロナ対策の関係で、国が5類に移行していくということで、法に基づく対策本部の廃止後も任意の対策本部を当面継続と書いてありますけれども、この任意の対策本部にはコロナという名称が残るのかどうか確認させてください。どれだけ国が5類に移行したからといって、コロナの実態がどうかによってやはりコロナということできちんと対策を取っていくと。その標榜した部署があることが私は大事ではないかと思うので、この任意の対策本部の名称にコロナが残るのかということをお伺いしたいです。
 あわせて、クラスター条例です。5類移行に伴って公衆衛生上、緊急に対応する危険性がないと知事が認める場合には今までのような条例に基づく対策は取らないけれども、必要が生じたら医学に関する知識を有する者の意見を聞いて対策を取ることを議会に報告すると。再開するときには医学の専門家の意見を聞いてやるのだけれども、対策をやめるときについては知事の判断ということになっているのですね。その知事の判断はきちんと医学的な見地に基づいて対応されるのか、ちょっとそこを確認させてください。

◎内田(博)議長
 答弁を求めます。

●平井知事
 まず、基金についてでございますけれども、先ほど申しましたように、今回、骨格で予算編成をしておりまして、新規性のあるもの、戦略的な政策については我々のほうでは今回あえて、あまり議論せずに、コロナということもありまして、予算編成過程をかなり省力化して、言わば、新年度のメンバーで議会のいろいろな動きも見て検討していこうというふうにしています。したがいまして、経費のほうを大分留保しているとお考えいただきたいと思います。したがいまして、そういう中で浮いてくる財源が片方であるわけですから、今回、例えば飲食店のクーポン、これも一定程度の割合で継続したらいいのではないかとか、観光対策などもゴールデンウイークもありますのでやはり当初から組んでおく必要があるのではないか、このようなことをいろいろとさせていただいておりまして、そちらのほうはそちらでお金も割いております。2月補正のほうで基金を戻すというのは約束事として財政誘導目標を誠実に達成すると。これは県民との約束でもあり、議会との約束でもございますので、できるだけ誠実に、最後の最後、風呂敷をくくるときにしっかりとそこは表現しておいたほうがいいだろうということであります。こうやって基金を積み戻したところで、結局は我々の任期の最初の頃の水準にほぼ戻せるというふうに考えました。ですから、財政余力はこの程度、今まだ有していますよというのを次の期の人たちにも見ていただいたり、県民にもお示しするべく、そこはある程度正直に計上させていただいたということであります。また、新規性のある事業は留保していますので、基金を取崩す必要まではなかったということです。
 ちなみに、前回までは骨格予算で組むときもやはり一定程度基金を取り崩さざるを得ない状況がございました。今回は、正直、コロナで少し事業が縮小傾向にあったということもあるのだろうと思いますが、当初予算の中でそこまでの形にはなっていないということですけれども、恐らくまた年度当初には崩す必要性というのは当然出てき得るだろうと思っております。
 5類になった後の本部のつくり方ということで、思い起こしていただければと思いますが、令和2年1月15日に初めての感染が見つかった後、鳥取県のほうでは新型コロナの対策本部をつくりました。これが、3月に国がようやく国の対策本部をつくる、そして新型インフルエンザ等特別措置法の適用となります。そのときに私どもは従来の本部をこの法律上の本部に位置づけ直しました。特別措置法によってもたらされる法的権限はありましたけれども、名称は変わっていませんし、やっていることもあまり変わっていなかったわけであります。今回はその逆をいくわけでありまして、国は5類化を5月8日というふうに決めたわけでありますが、議員がおっしゃるように、感染症の本質は変わっていませんから、従来のように任意の対策本部を新型コロナウイルス感染症という名称も明示しながら残すということです。ただ、現実にどういう対策が必要かは5月になってみなければ分かりません。実際、その頃にどういう仕事を本部でやっているのか、また、将来的には全国的にもっともっと縮小傾向になってくると思いますが、それは感染の拡大とか、あるいは重症化の度合い次第ということになろうかと思います。当面、それは令和2年の逆のコースをいくというふうに我々としてはイメージしておりまして、また5月の時点でそのときの方々の間でお話合いをして、確定していただくということになろうかと思います。
 クラスター条例については、政府が5月8日をもって5類にすると判断されたことを受けての対応であります。現状、昨日段階の確認数は108件というふうになってまいりました。一頃よりは大分数が減ってきております。日曜日でありますので、それほどお医者さんのほうでの登録がないということもあるかと思いますが、今、状況はかなり変わってきております。そうした中で、人員体制も含めてクラスターの対策をどうすべきなのかということは、実は我々、執行部的には謙虚に考えなければいけないと思っています。これも条例制定当時の議論を思い起こしていただければと思いますが、議員の皆様からはかなり抑制的な意見が出されたのも事実であります。どうしても、当時、飲食店というターゲットが世間的に語られていました。そうした方々の営業の自由にも関わるところがありまして、そういう意味でどこまで本当にこれを適用するのかみたいな議論がありましたし、私どもが提示したものとは例えば罰則のつくり方だとか、議会側で修正もなされたわけです。そうした制定の経緯も謙虚に受け止めた上で運用を考えなければいけないと思うのですが、どれほど重症化するかというようなことなども含めて5類化という話になり、また、政府は今、3月13日をもってマスクの運用も変える方針を出しているなど、恐らく今議会をやっている間にも大分考え方が全国的に変わってくるのではないかと思います。そういう意味で、サンクション的なものも入った条例をどこまで適用するかということについては5月8日を待たずに一旦停止をするという選択肢もあるのかなということであります。
 また、もう一つのこととしては、実はクラスター対策条例をやって、これが多分、本県の抑制に本当に効果があったと考えております。そのクラスター対策条例に基づいた対策を実は病院だとか保育所だとか、どこも、言わば、学習したのですね。皆さん、ほぼクラスターになっています。それで、こういう対策をやればいいということをそれぞれにやられて、これは飲食店もそういう意味で認証店に大分動かれた。こういう環境の中、サンクションのある条例を発動することがどれだけ必要なのかということはなお抑制的に考える必要があるのかなと思っております。そういう意味で、まだパンデミックのさなかだとは思いますけれども、全体的には早めに、5月8日より前に適用停止ということも選択肢として考えられるのではないかと思っているところであります。
 他方で、この条例自体は先般、延長したばかりでありまして、まだほぼ1年間有効だということで、ツールとして残しておいて発動すべき状況のときに弾力的に発動するというような考え方でありますが、いずれにしても専門家の御意見を仰いで適用は考えていくべきだと思っています。そういう意味で、国のほうと連動させつつも現場の実態に合わせるのが適当であり、この発動については専門家の知見を得て判断すべきものと考えておりまして、基本は抑制傾向、権利の制限を抑制する考え方と御理解いただければと思います。

○市谷議員
 まず、財政調整型基金の関係ですけれども、50億円を2月補正で戻して、ただ、これを見ると、全部戻さなくても財政誘導目標を達成できるので、年度内の県民の暮らしに対する緊急性、何かその辺の認識が私とはちょっと違うのかなと思いました。全部取り崩したままというのは確かにどうかなとも思いますけれども、やはり少しでも取り崩したのを残して、緊急対応ということもあったのかなと思いました。
 クラスター条例の関係で聞きたかったのは、再開するときには聞くわけですから、発動しないときの判断を医学的な見地から医療関係者の方に聞くのかどうか、もう1回確認させてください。
 それから、さっき聞き逃したのですけれども、体制のところで、児童虐待防止の関係で、児童相談所を総合事務所の下に置くことによってどのように量、質ともに強化されるのかよく分からないので、ちょっとそこをもう1回御説明をお願いします。

◎内田(博)議長
 答弁を求めます。

●平井知事
 基金につきましては、御案内のように、9月議会、12月議会でも追加の事業を組んでいただきました。その予算を有効に活用できると思っております。2月県議会の補正予算の中でも、中小企業対象のそうした積み増しなどもさせていただいております。ですから、現行の今回の補正予算も含めて提出させていただき、これまでのものは御承認いただいた予算の中で今は回れるようになっています。それで、50億円あるとはいっても、かつては県議会のほうでもそれを繰り越してしまうと基金の実態が分かりにくくなるという御議論もいただいておりますので、今回、私どものほうではそこは誠実に実情に応じて積み直すという形を取らせていただこうと考えております。
 クラスター条例についてでありますが、当然、医療的な視点で判断すべきものと考えておりまして、さようにさせていただきたいと思います。
 あと、児童施設、児童虐待防止対応でありますが、これも前回か、前々回の県議会、夏だったかもしれません、かつて議論がありまして、結局、児童虐待対応の現場が非常に逼迫をすると。その組織改正が必要だということなのですが、常時、例えばいろいろなお手伝いをする人間もそこにはめておくだけの余力は正直、県全体にもあるわけではありませんし、件数もそんなに都会ほど多くないと。だけれども、いざ応援というときに、孤立した組織ですと、要はそこの調整を何とか全庁的に考えなければいけなくなります。ただ、今回、総合事務所という大きなさやの中に入っていただければ、東部は本庁のほうでやりますけれども、そのさやの中でお互いに今回、コロナでやったような柔軟な応援体制が組めると。例えば今、夜、このような事態が発生したと、そういうことで大変なので応援を出してくれと、これを所長権限で中で融通できるようになりますので、その分が楽になろうということです。ただ、基本は非常に特殊な事象を扱っている職場でありますので、従来と大きく変わるわけではありません。
 あと、もう一つ、今回の組織改正で入れているのは横串でありまして、東・中・西でそれぞれやっている事件は違うかもしれませんが、ただ、やっている本質は変わらないわけでありますので、横串を刺して、お互いにノウハウを共有したり、職員の研修をしたり、あるいは別の政策を投入する、そういう意味で本庁組織のほうにもこの横串に関わるような児童虐待の防止のための室を設けさせていただきたい。こういうことで今の児童相談所の機能強化、機動性の確保を図りたいという趣旨であります。

◎内田(博)議長
 ほかにございませんか。

○森議員
 予算の収入について、収入の見込み、令和5年度だけではなくて、その先のことについても若干お話を伺っておきたいなということで質問させていただきます。
 県税の収入が過去2年ほど過去最高という形で上がっています。ここ、国も税収が過去最高を更新している状況です。それに伴って地方財政計画がつくってあって、この予算もつくられていると思うのですけれども、先日、財務省の矢野前事務次官のお話を聞く機会がありました。そこで国の借金の問題とか、それから国の過去最高の税収について今後どうなっていくのかというようなお話を伺いました。この県議会の中では、コロナで大変苦しんでいる人がたくさんいる、そのためにいろいろな手当てをしていかなくてはいけないのだといったことばかりを議論しているのですけれども、一方で、今回、このコロナ禍で二極化をして、一部、収益を上げていらっしゃる業界もあるということは存じ上げています。しかし、この税収は続いていくのか前事務次官にお伺いしたところ、これは終わりますということでした。それは、2年続けて100兆円を超える財政出動をやってきたことによって税収が今、一時的に上がっているだけで、国の財政出動をやめたらこれは終わるのですといった話でした。それを鳥取県に置き換えた場合に県税収入、それから消費税収入、こういったものが今後どうなっていくという見通しを立てていらっしゃるのか、それをまず、1点お伺いしたいと思います。
 それで、前事務次官が一番おっしゃっていたのは国の借金の総額の問題です。1人当たり1,000万円を超えるというような借金を国が抱えているこの現状が続くはずがないということをしきりとおっしゃっていました。今、日銀の総裁が替わるということで、そのまま今の黒田総裁の方向を当面は続けられるというような報道が出ていますけれども、まだまだこの借金を続けていくのか。そういった中にあって、鳥取県はどのような危機感を持ちながらこの借金の問題を考えていくのか、ちょっとその辺りの話をお伺いできればと思います。

◎内田(博)議長
 答弁を求めます。

●平井知事
 先ほど全員協議会の冒頭で申し上げたことと若干重なり合っていると思いますが、今、森議員のほうから税収の見通しのお話がございました。税収は実は中が区分けされていまして、伝統的に鳥取県をはじめ都道府県で多いのは法人課税の税収であります。それに次いで個人所得課税とか自動車税とかでありますが、今、税収の好調を支えているのは地方消費税であります。この地方消費税、あるいは付加価値税というのは、ある意味、非常に安定的な税と言われています。結局、人が生活したり、あるいは企業が活動する上で必要な付加価値の増加というものはあるわけでありますし、所得課税だと、さっき矢野前事務次官のお話がありましたが、これが浮いたり、沈んだり、場合によっては政策によって変わるかもしれませんが、この消費ということに着目した付加価値税については安定的に推移すると見込まれます。したがいまして、ベースは底堅いものは多分あるだろうと思いますが、もう一つ、鳥取県をはじめ都道府県で大宗を占めているのが法人課税でありまして、この法人課税については経済動向などに左右されやすいわけで、不安定性というのは否めないだろうと思います。今、税収について、国のほうの財政出動があるからというお話もありますが、ただ、それが影響を与えているのは恐らく金融業、これは利子の関係、利子を無利子にしているということがありまして、これが金融機関のほうには有利子で市場にはありますから、そこを我々県などが支えて、無利子化していると。それで、融資が過去最大規模、2,000億円残高に膨らんでいるわけですね。こういうようなことは確かに政策で誘導された黒字という部分がありますが、片方で、やはり投資意欲が旺盛になり始めているのは我々も感じています。中国で生産していたものの国内回帰も確かに現れてきています。ですから、今後はやり様だと思います。そこの戦略によって税収の確保が引き続き図られる可能性もありますが、ただ、そこの戦略的な展開がうまくいかない場合には、例えば大型の倒産が相次ぐとかいうようなことになりますと、その法人課税が失われることにもなりかねないと。かつて三洋系グループで我々も経験したことがございました。ですから、こういうようなことはやはり私どもとしてはよく警戒しなければいけない局面であることは間違いないですが、ただ、極端に税収が減るような仕組みではなくなってきていることも御理解いただければと思います。
 国の借金が膨らんでくることはどう影響するかでありますが、先ほど申しましたように、我々として避けたいシナリオは交付税に影響してくることです。幸い、地方交付税というのは所得税だとか、そうした主要な課税にリンクさせる形で総額を決める仕組みになっていますので、そう簡単に国は触れないはずなのですけれども、ただ、国債の償還の金利が高くなってきますと、今のこの国債残高から見れば、国の財政負担が急激に上がる可能性があって、そうなると財政当局が急ブレーキを踏む可能性があると。その際に、国の財源、地方の財源は本来、峻別をされている部分がありますが、地方交付税の運用に手を出してくるということは、避けたいシナリオではありますが、考慮に入れておかなければいけないと思います。そういう意味で、先ほど申しましたが、今後の財政運営は慎重に考えるべきではないかと考えております。

◎内田(博)議長
 ほかにございませんか。
 御意見も尽きたようでありますので、以上をもちまして本日の議員全員協議会を閉会いたします。

午前11時28分 閉会

 

 

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000