令和3年度議員全員協議会議事録

令和4年2月22日会議録(確定版)

開催概要、資料はこちらです

出席者
(35名)

委員

市谷 知子        尾崎 薫
銀杏 泰利        坂野 経三郎
島谷 龍司        常田 賢二
中島 規夫        浜崎 晋一
濵辺 義孝        福浜 隆宏
藤縄 喜和        山口 雅志
内田 隆嗣        斉木 正一
澤  紀男        西村 弥子
野坂 道明        浜田 妙子
松田  正        森  雅幹
山川 智帆        興治 英夫
川部  洋        由田  隆
浜田 一哉        安田 由毅
広谷 直樹        西川 憲雄
福田 俊史        伊藤  保
語堂 正範        藤井 一博
鹿島  功        福間 裕隆
内田 博長

欠席者
(なし)



説明のため出席した者  平井知事、亀井副知事、植木統轄監、西尾総務部長、足羽教育長、
                服部警察本部長、広瀬病院事業管理者、水中危機管理局長外

職務のため出席した事務局職員  寺口事務局長


開会       午前10時25分

休憩       午前11時09分

再開       午前11時21分

閉会       午後1時17分

会議録署名議員  斉木議員  伊藤議員

司会       内田(博)議長

協議事項     別紙協議事項のとおり


会議の概要

 

午前1025分 開会

 

◎内田(博)議長

 ただいまから議員全員協議会を開会いたします。

 まず、会議録署名議員に斉木正一議員、伊藤保議員を指名いたします。

 本日の議題1は、令和4年度当初予算及び組織・定数改正案について及び議題2、島根原子力発電所に係る鳥取県民の安全確保等に関する協定の改定等についてであります。

 本日の予定ですが、2部構成とし、まず、議題1について協議を行い、休憩を挟んで、執行部入替えの後、議題2について協議を行いたいと思います。

 なお、執行部の説明等に当たっては、自席で着座にてマスク着用のまま御発言いただくようにお願いをいたします。

 それでは、令和4年度当初予算案及び組織・定数改正案について一括して知事に説明を求めます。

 

●平井知事

 皆様、こんにちは。

 いよいよ私たち4年間の任期、最終の年度を迎える準備となりました。そのための当初予算、また、組織・定数改正につきまして、これから皆様に御説明を申し上げたく存じます。

 なお、今日は、異例ながら、もう一つ議案を用意させていただきましたので、2つのうちのまず最初に、この予算、定数関係を扱わせていただくよう議長にお願いをしたところでございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 「春風や 闘志いだきて 丘に立つ」と高浜虚子が詠んでいた句が、今この場にて頭をよぎるわけでございます。私たちは、今非常な困難の中にこの議会を迎えることとなりました。先ほど申しましたように、昨日は178件の陽性者が見つかったところでありまして、明らかに2月の連休以降、我が県はリバウンド状態に入っているところであります。ただ、私たちは座してこの状況を見ているだけでは決してない、そういう決意を込めて、今丘に立つわけでございます。私たちは、今、市中に染み出した感染を一旦は収めようと市民の協力を得ながら進めているところであり、もう片方で、大々的に部隊を増員しまして、市町村と一緒になり、あるいは関係者と一緒になりながら感染拡大の抑え込みを図っています。昨日は、クラスターの大きなものが発生したと思われることがございまして、急に数字が上がったように見えますが、市中感染の要素につきましては抑制ぎみにこの1週間で変わりつつあります。ですから、勝機はあるだろうと思っていまして、今は戦いをしっかりと続けるべきであって、他の地域だと、この辺で諦めて、上方へ上方へとどんどんと発展していくものでありますが、我が県は意地を示して抑えていきたいというふうに考えております。ただ、容易ではないので、議会の皆様の御協力をいただきたいわけであります。

 そういうような状況の中で、今日、開会日を迎えた中、当初予算編成となりました。やはりテーマとして我々考えなければならないのは、新年度もこうした感染症があると思ったほうがいいということだと思います。新型コロナの特徴は、幾らでも変異をして新しい株が襲いかかってくるという波を繰り返していることです。ですから、今後も同じような変異が繰り返されないとも限りません。ですから、私たちはその医療提供体制ですとか保健所体制、さらには将来を見越して、がん対策をはじめとした健康づくり、こうしたことも積極的にやっていく、これが一つの大きなテーマだと思っております。それから、いずれは夜が明ける、霧が晴れるわけでありまして、ポストコロナということを念頭に置いた産業や雇用の復活、そして、発展、さらには、社会的機能を元に戻しながらのふるさとづくりへと進んでいかなければなりません。幸いなことに、東京からの移転ということでいえば、全国で最も伸び率が高かったと言われるように、コロナがゆえに、注目を集めたり、評価されている面もあります。ただ、残念ながら、このオミクロン株も浸透しまして、町なかの活気が戻らないなどの打撃を受けているのはこれは紛れもない事実でありまして、この辺には私たちはひるむことなく対策を取っていくと。事業者支援、あるいは将来を見越した事業転換や承継、そういうことを進めていくことが重要であろうと考えております。30人学級をはじめとして、社会システムを整えながらポストコロナをつくり上げていく、それがこれから1年間、私たちに残された最後の任期の重大な務めではないかというふうに考えております。

 また、地球的規模で考えますと、今日も雪が降っているわけでありますが、異常気象ということも言われるぐらい、脱炭素化ということが重要になります。また、それに伴って災害も増えているわけで、安心・安全というものもつくり上げていかなければなりません。障がい者、あるいはジェンダーの問題など、一人一人が大切にされる社会づくりということも重要です。私たちはそうした温かい真心で、絆で結ばれた社会をつくっていかなければなりません。

 そのような思いを込めまして、今回、3,6405765,000円の予算を組ませていただきました。実は、「400」というところを「よんひゃく」と読んでいただきますと「見ろよ飛躍コロナ後」と読めるわけでありまして、ささやかな決意を込めさせていただいております。皆様とこうした思いを共有しながら、ぜひとも鳥取県から新しい時代の幕開けを呼び起こしていく、このように念願をさせていただいております。

 先ほど申しましたように、財政誘導目標では222億円の貯金を守ることができました。また、3,526億円に借金の実質的残高はとどめることができました。これによりまして、財政誘導目標の貯金や借金の抑制を図られたことになります。黒字も25億円と一定程度確保できましたので、そういう意味で、私たちの任期中に財政悪化ということは招かずに、次代へと引き継ぐことができることになりました。

 組織、定数につきましては、いろいろなやりくりをしましたが、そうしたコロナ対応等々もあり、1名の増員をお願い申し上げたいと思います。その中で、コロナ対策の専任の部長を置くとか、あるいはサイクリングの関係であるとか、また、新時代を創造していくような人材を商工産業の関係で養成していく部局であるとか、あるいは夜間中学をつくっていくための準備だとか、そうした組織対応も考えてまいりたいと思います。

 どうか意のあるところを酌んでいただきまして、この2月県議会、約一月でありますが、実り多い議論をいただきますようお願いを申し上げます。

 詳細につきましては、担当部局長のほうから御説明申し上げます。

 

◎内田(博)議長

 続いて、詳細説明を求めます。

 まず、令和4年度当初予算案について、説明をお願いいたします。

 

●西尾総務部長

 それでは、資料1を御覧ください。令和4年度当初予算案について御説明申し上げます。

 予算編成の基本姿勢に書いてございますが、年明けからコロナオミクロン株との戦いが続いております。この特性に応じた対策を迅速かつ機動的に行うということで新型コロナを越える必要があると考えております。

 財政状況でございますが、交付税につきましては前年度を上回る形で確保されそうな見込みであります。税収増を反映いたしまして、臨時財政対策債は大幅に減少する見込みとなっておりますので、実質的な一般財源は減額となることが見込まれます。このため、新型コロナ関連の交付金ですとか、デジタル田園都市国家構想推進交付金などの財源を駆使しながらやりくりを行い、4つの政策の柱の下に3,640億円の積極的な予算を編成いたしました。

 4つの柱でございますが、3番のところに記載をしております。まず、「命と健康を守り抜く」という項目では、新型コロナ対策に万全を期すために医療環境の整備・充実、保健所の機能強化などの保健衛生・検査体制の強化、あるいは社会福祉施設や飲食店における感染防止対策、専門人材の育成、健康づくりなどを推進してまいります。

 次に、「ポストコロナの産業・雇用へ」では、業種、地域を問わない新たな応援金を措置したほか、コロナを越える経済・雇用対策、デジタルなどの新産業の創造、強い農林水産業の実現を目指しております。

 次に、「ポストコロナのふるさとへ」では、新しい人の流れの創出と、新時代の観光立県、小学校全学年での30人学級化など、未来を彩る人財づくり、子育て王国と支えあい社会の推進を図ることといたしております。

 最後に、「安心安全・エコライフ」では、脱炭素社会の実現、SDGsの実践による持続可能な地域づくり、防災・減災、あるいは地域高規格道路などのインフラ整備の充実を図ってまいりたいと思います。

 また、財政誘導目標につきましては、知事からも御説明ありましたとおり、3つの項目についていずれも目標を上回る形で達成に見通しをつけております。

 次に、2ページを御覧ください。予算案の概要として金額などを書いております。増減要因として幾つか項目を掲げております。増といたしましては、宿泊療養運営等事業の259,000万円、あるいはコロナ後の観光支援事業ということで18億円の増というところが主なところでございます。歳入につきましては、先ほど申し上げたところの数字を表に具体的に記載しております。県税については、コロナ前に戻るのではないかという見込みを立てております。交付税は今年度並みが確保されております。臨時財政対策債は大幅な減ということになっております。このようなことで、財政調整型基金につきましては、減債基金を50億円取り崩して、予算編成を行おうとしたものでございます。

 次に、3ページでございます。一般事業につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。公共事業は507億円を確保しております。上段括弧書きは、3年度の11月補正の追加提案分を合わせたところで、730億円を確保しております。令和4年度末の全線開通を目指しております岩美道路の供用開始に向けた総仕上げを図るとともに、地域高規格道路の整備について所要額を計上いたしましたし、防災・減災関係では、河川の樹木伐採、あるいは河道掘削などに予算計上いたしますとともに、通学路などの交通安全対策、急傾斜地の崩壊対策に係る予算を計上いたしました。農林水産関係では、境港の高度衛生管理型市場の整備、あるいは、皆伐再造林を含む森林整備の予算を積極的に計上いたしました。

 4ページ以降は、これまでの推移ですとかを記載しておりますので、説明は省略させていただきます。6ページにつきましては、先ほど申し上げた4つの柱、それぞれの金額を記載しております。くしくも160億円から170億円の形で、それぞれの柱立ての事業になっております。

 以下、7ページ以降につきましては、それぞれの柱ごとの具体の事業を記載しておりますので、後ほど御確認ください。

 次に、当初予算案の概要という資料がついております。これにつきましても、それぞれ歳入歳出の分析を記載しておりますので、こちらも後ほど御確認いただければと思います。

 大分飛びましたが、18ページをお願いします。事務事業の見直し等について御説明申し上げます。事務事業の見直し、あるいは財源確保などで73億円余りを確保いたしております。

 次に、19ページでございます。使用料、手数料の見直しということで、境港の水産物地方卸売市場の上屋が開設されることから、そこの使用料について新たに定めさせていただくもの、あるいは、運転技能検査の受検が義務づけられたというようなこともございますので、それについての手数料も新設させていただきました。高圧ガスの製造保安責任者試験に係る手数料につきましては、その所要経費の見直しによりまして、手数料を引き上げさせていただきたいと考えております。見直しの影響といたしまして、一番下に記載しておりますが、3,000万円余りの増ということになる見込みでございます。

 次に、20ページは、その地方消費税収の引上げの税収が充てられる社会保障の経費がどれぐらいになっているかというものの一覧でございます。

 その次に、人件費の分析、21ページを御覧ください。トータルでは9億8,000万円の減ということになっております。これは、主な要因といたしまして、今年度末の退職者が多いため、新陳代謝が大分大きな減額になっておりますので、それが影響しての9億8,000万円の減ということでございます。

 その次に、資料2、財政誘導目標について御説明申し上げます。

 この3項目につきましては、まず、1の基金の残高を標準財政規模の1割より大きいという形が目標でございます。令和3年度の標準財政規模を基に算出した目標値が216億円でございまして、当初予算編成の時点では222億円ということで達成される見込みでございます。次に、県内総生産の2割より実質的な県債残高のほうが低いという形がもう一つの目標でございますけれども、この県内総生産は平成30年度が確定値でございます。その後に、国の成長率などを勘案したところで積算をした目標値が3,708億円ということでございますが、今現在は3,526億円ということで、これも達成する見込みでございます。プライマリーバランスについては、公債費から県債発行額を引いたものが25億円の黒字ということになる見込みでございます。

 その裏面につきましては、これまでの推移などを記載しておりますので、これは後ほど御確認ください。

 

◎内田(博)議長

 次に、令和4年度組織・定数改正案について説明をお願いいたします。

 

●松田行財政改革局長兼業務適正化推進本部事務局長

 それでは、資料3をお願いいたします。令和4年度組織・定数改正案につきまして説明させていただきます。

 1ページ目を御覧ください。令和4年度に向けた主な組織案の概要でございます。

 まず、1つ目の項目でございますが、新型コロナウイルス感染症に立ち向かうための体制の強化でございます。新型コロナウイルス感染症に迅速かつ機動的に立ち向かうため、新型コロナウイルス感染症対策本部事務局に事務局長を専任で配置するとともに、定数10名を増員するなど、体制を強化するというものでございます。

 2つ目の項目でございます。デジタルを活かした地域づくりや行財政改革を推進する体制の構築でございます。デジタルトランスフォーメーション、それから、地域づくりや行財政改革を一体的に推進していくために、総務部行財政改革局と情報政策課を再編し、デジタル・行財政改革局を新設いたしまして、その局にDXによる地域づくりや県庁業務改革を行うデジタル改革推進課と行財政改革の統括・支援を行う行財政改革推進課を設置するものでございます。

 3つ目の項目でございます。ねんりんピックの開催に向けた体制の強化でございます。ねんりんピックの開催に向けましてこの準備を加速化させるために、ねんりんピック・関西ワールドマスターズゲームズ推進課を地域づくり推進部スポーツ振興局に設置するというものでございます。

 4つ目の項目は、県政の諸課題に対応する体制の強化でございます。5つ記載をさせていただいております。

 1番目は、県立夜間中学の設置に向けた体制の強化でございます。県立夜間中学の設置に向けましてこの準備を加速化させるために、県立夜間中学設置準備室を教育委員会事務局小中学校課に設置するものでございます。

 2番目でございます。サイクルツーリズム等の新たなツーリズムを推進する体制の強化でございます。ナショナルサイクルルートの指定に向けまして、サイクルツーリズムをはじめとする新たなツーリズムの受入れ環境整備等を担うサイクルツーリズム振興室を交流人口拡大本部観光交流局観光戦略課に設置するというものでございます。

 3番目でございます。未来創造型産業の人材育成を推進する体制の強化でございます。未来創造型産業を振興していくため、この産業人材育成を一元的かつ戦略的に推進します未来創造人材室を商工労働部雇用人材局産業人材課に設置するというものでございます。

 4番目でございます。持続可能な水産振興を推進する体制の強化でございます。水産資源を守り育てる施策を強化し、持続可能な水産業の振興を図るために、水産振興局の水産課を再編いたしまして、水産業の振興を担う水産振興課と、水産資源の回復・適正利用の推進を担う漁業調整課を水産振興局に設置するというものでございます。

 最後、5番目でございます。全庁的な債権回収支援組織の構築でございます。税外債権管理の徹底や効率的な回収等を推進するため、総務部税務課が全庁の債権管理を統括することといたしまして、全庁的な債権回収支援組織を構築するというものでございます。

 2ページ目から5ページ目までに詳細版の資料を入れさせていただいております。

 次に、6ページ目を御覧いただきたいと思います。令和4年度職員定数改正案の概要でございます。

 業務体制の見直し等による減員等も行いますけれども、新型コロナウイルス対策本部事務局の増員等もございまして、一番下の欄、(1)と(2)の計というところで、プラス1ということで、トータルで1名の増員をさせていただきたいというものでございます。

 次のページには、学校の教職員の定数、警察本部、それから病院局の定数の資料を入れさせていただいております。

 8ページ目以降は、前年度との比較の資料を入れておりますので、また後ほど御覧いただきたいと思います。

 

◎内田(博)議長

 ただいままでの説明に対して御意見、質疑があればお願いをいたします。

 なお、発言される議員は、中央のスタンドマイクまで移動の上、マスク着用のまま御発言いただくようお願いいたします。

 

○市谷議員

 では、幾つかありますが、まとめて質問したいと思います。

 まず、当初予算案についての1ページ、予算編成の基本姿勢の(2)、実質的な一般財源は減額となるということなのですけれども、その不足分を交付金も使って対応していくというふうに書いてあります。交付金というのはどうしても使い道が限定されてくるということになりますので、交付金の対応ということでただ済ますのではなくて、地方交付税の抜本的増額、やはりここを引き続き求めていただくことが必要だと思いますが、その点について知事はどのように対応されているのかというのを改めて確認させていただきます。

 2ページ、実質的なこの地方交付税については、マイナス29億円ということになっております。では、このマイナス29億円をデジタルだとか、コロナだとかの交付金の総額で補い得るものになっているのかどうか、要するに交付金が結局幾ら来ているのかということを確認させてください。

 一番下のところに基金の取崩しのことがありますが、減債基金は、令和3年度も55億円、今回50億円の取崩しということです。これは取り崩していけばどんどん減っていくということですけれども、令和3年度のものは取り崩したままなのか、それとも、いつの段階でどれぐらい戻しているのか、そこを確認させてください。

 次に、資料3の組織の関係です。新型コロナの体制強化ということで、定数を10名増員すると書いてありますが、ほかの部局で人が減ってしまうということであっては純増にならないと私は思っております。ほかの部局でも対応が必要なものもあると思いますので、この定数10名増というのはどういう中身なのか、専門職の方を増やしているのかというのを確認させてください。

 2つ目のデジタル・行財政改革局を新設するということで、デジタル化と行財政改革をセットで考えるということだと思いますが、私が懸念しておりますのは、デジタル化によって県職員を削減するということがあってはならないというふうに思います。そこをどういうふうに考えておられるのか確認させてください。

 一番下の債権回収組織を新たに構築するということで、総務部の税務課が全庁の債権管理を統括するというふうになっております。債権といってもいろいろでして、生活困窮者の関わる債権というのは、税務課が事情も分からずにどんどん回収しなさいということになってはいけないと私は思っております。ですので、税務課が統括はするのだけれども、やはりこれは各部局が主体的に対応に当たっていくことが大事なのですが、その点についてはどうなっているのか確認させてください。

 

●平井知事

 市谷県議からお尋ねをいただきました。

 2問目以降、詳細はそれぞれの担当部局のほうからお話を申し上げたいと思いますが、交付税につきましては、私どもとして重要な一般財源であるというふうに考えております。したがいまして、その歳出、歳入、これは見合わない場合には交付税率の引上げといったような改正が地方交付税法上も想定をされているわけでありまして、今後ともこの点は政府に対して、これまで同様、働きかけをしてまいりたいと思います。

 交付金で果たして賄えるのかということでありましたが、後ほど詳しいお話はしますが、新型コロナ後の様々な企業支援というものを考えたり、あるいは農林水産業対策を考える上で、そういう企業支援の基金というのを別途この2月補正のほうで積み増しを行おうと思っております。そうしたものも取崩しをしながら、こういう埋め合わせも考えていこうと。実際にはもっと取り崩していかないとできないのですけれども、大幅にそうした財源のやりくりをやっていくということを想定しているところでございます。

 なお、デジタル化に応じて人員が減るという、そういう直線的な考え方はいたしておりません。むしろデジタル化に伴う県のほうの状況からすればサービスの利便性を高める、また、全体としての効率化を果たすことによりましてパフォーマンスを上げていくということが中心になろうかと思います。そういう意味で、今回の定数の是正の中でも、その辺を盛り込んでいるものではなく、いろいろとやりくりをして人員の再編を図った結果でありまして、無理のない形でやろうというふうに考えております。

 

●西尾総務部長

 では、私からは交付金のことについて、まずお答え申し上げたいと思います。

 主な国の交付金の充当状況を御説明させていただきますが、新型コロナ関係の地方創生臨時交付金というものがございまして、それが47億円余り、それから、コロナ対策の包括支援交付金というのもございまして、これは124億円余りでございます。それから、デジタル田園都市国家構想の推進交付金というのが3億円余り、それから、地域脱炭素移行再エネ推進交付金が2億円余りということで、合わせて170億円余りを充当させていただいております。

 令和3年度の基金取崩しがどうなるのかということがございましたが、これにつきましては、このたび提案させていただきました2月補正の予算で取崩しをしないということにさせていただいております。ですから、令和3年度の変動ということについてはないと、減ることはないということでございます。

 

●松田行財政改革局長兼業務適正化推進本部事務局長

 それでは、組織、定数の御質問につきましてお答えをさせていただきます。

 まず、コロナ関係の定数、ほかの部局から持ってきたというようなことではないかということでお尋ねがございましたが、これはそれぞれの部局ごとに必要な定数が幾ら必要なのかということでやっているものでございまして、コロナの対応につきましては、コロナの事務局もありますけれども、全庁的にこれは応援体制も組んで対応していくということでございます。コロナのほうの定数の増員の中には保健師等も2名の増員にしております。

 また、デジタルの関係につきましては、知事のほうからも説明がございましたように、減員ありきということではなくて、しっかりと対応していってパフォーマンスを上げていくということで考えているところでございます。

 また、債権回収につきましては、税務課のほうが中心に全庁的な支援体制を構築するというものでございまして、それぞれの所管課が業務から外れるということではなくて、所管課は従来どおり責任を持って対応していくと。それに対して、税務課が中心となった支援体制をしっかりと構築していくというものでございます。

 

○市谷議員

 御答弁ありがとうございました。

 財源のことについてなのですけれども、結局地方交付税は実質マイナス29億円ということなのですが、さっき各種交付金についていろいろこれだけの額がありますということを言われました。11ページの予算分析の下のところに国庫支出金ということで、国から来る各種交付金がそれぞれ書いてありますが、これは昨年度より増えているのが27億円ではないかなと思うのです。ですから、マイナス29億円の一般財源の減というのに対して、国庫支出が交付金として増えているのが27億円ということですので、これは補い得るような交付金には十分なっていないというふうに私は思います。ただ、知事が最初に言われましたように、そもそも地方交付税そのものは、地方が本当にやりたいことに自由に使える、色がついておりませんから、そこはやはり抜本的な増額を求めていくということは、ぜひとも堅持して頑張っていただきたいと思います。

 

◎内田(博)議長

 要望でいいですね。

 

○市谷議員

 はい。

 

◎内田(博)議長

 ほかに。

 

○森議員

 それでは、当初予算案について質問したいと思います。

 総務部長からとても簡潔な説明を受けまして、資料に目が追いついていかない状態だったので一部しか理解できていませんので、全く的外れな質問をするかも分かりませんが、よろしくお願いいたします。

 まず、1ページ、税収増を反映して臨時財政対策債が大幅に減少するということで、2ページに行きますと、県税が333,800万円増えているということで、この理由をちょっと説明いただきたい。このコロナ禍で、県民の生活が非常に苦しい、また、中小企業、飲食店をはじめ、大変な苦境にあって、全業種にわたって応援金を準備するなど、県としては非常に厳しい中にあってもそういう状況をやってきているのですけれども、この県内の景気の状況というのはどういう状況になっているのか。2021年度の予算において、国においても国税の税収がどんどん増えていて、過去最高を記録しているというようなことも聞いていますが、県内の景気というのは、どういう分析でこういう税収増が考えられているのか説明をお願いいたします。11ページの中では、法人事業税が326,000万円ほど増えるのだというようなことが書いてありますし、それから、地方譲与税では特別法人事業譲与税が36億円ほど増えるのですよというようなことが書いてあるのですけれども、それも含めて、ちょっと状況をお知らせいただきたいと思います。何か私の肌感覚でいくと、どうやってこの県内の景気の中でこういう税収増が起こって、そういう税収見込みが立てられて、予算が立てられていくのかというのがちょっとなかなか分かりにくくて、また、県民の皆さんも、そういった意味では、県税が増えているのだよというのがなかなか実感がないのではないか、そういうふうに思うわけです。先ほど市谷議員の質問であった中では、交付税が減っているという話は、税収が増えれば交付税は減るというのが当たり前の話なのですけれども、その辺も含めて。

 次に、臨時財政対策債、5ページです。臨時財政対策債が非常に増えていて、国からの交付税の真水の割合を増やすということで、臨時財政対策債の割合が鳥取県は減っているという説明をこれまで受けてきていまして、着実に減ってきているというふうには感じています。今回の令和4年度時点で2,503億円ということなのですけれども、この2,503億円の見込みといいますか、今後この臨時財政対策債がどういった方向になっていくのか。私は、臨時財政対策債などというのは、こういう言い方はおかしいかもしれませんけれども、本当に国のインチキで、交付税をこういう形にして地方の借金にさせている。それで、いつかは国が途中で、もうこの借金は地方で勝手に返してねと言うのではないかというようなことを非常に危惧しています。そういった意味で、この臨時財政対策債の見込みについての知事の私見を教えていただきたい。

 

●平井知事

 2点、森議員のほうからお尋ねがございました。

 まず、税収増33億円の根拠ということでありますが、これは私どもは、実は企業さんの状況の聞き取りなどもいたしております。それから、全体としてのマクロな見方もさせていただいております。世の中、どうしても繁華街のことに目が行きがちでありますが、他方で、例えば製造業であるとか、それから、意外に思われるかもしれません、金融業などを中心に好調であります。金融業の場合は、例えば我々が無利子のゼロゼロ融資を出すわけですね。こういうもので融資残高が増えてきているわけでありまして、ゼロの部分は公が負担していますから、その分は銀行側は収入になりますよね。いろんな構造的な問題がありまして、実は金融機関のほうは全国的にこの間、割と好調のほうになります。それから、税収が多いところは、やはり製造業などでありますけれども、例えば自動車関連産業など、半導体の問題や、また、海外でのサプライチェーンの問題などはありますけれども、それでも、やはり好調を維持しているところが結構ございまして、結局、基本的に毎年赤字法人のような形でやっているところはもともと税収がありませんが、税収が今までも見込めるような比較的大型、あるいは中小でも中の上的な、そういう大きなところを中心として、税収のほうは好調であるというのがベースにあります。あと、消費税の税率増がございました。その影響も今表れてきているところでございます。東京都のほうの特別法人税の分配のほうも見ていただければお分かりのように、全国的には税収全体は悪くはないということでありまして、本県もその分配に預かっている面があるということです。ただ、大切なのは、数の上で、ある程度少ない、そういう納税できる事業者のほうは好調なのかもしれませんが、なかなか納税額というとまとまりがつかない小規模な事業者、こういうところに今景気のしわ寄せがコロナで生まれているところでありまして、そちらの対策はそちらの対策で別途やらなければいけないというのが今の宿命だというふうに御理解いただきたいと思います。ですから、33億円は恐らく確保できるだろうという見込みの下に計上させていただいております。

 また、臨財債につきましては、これも議場で何度も議論いたしましたけれども、本来は例外的なものであります。したがいまして、その解消が図られるべきものでございまして、皆様のお手元のほう、5ページに県債・基金残高の推移というのがありますが、一番上の縦じまのところが臨財債です。思い出していただければと思いますが、本来、この臨財債がどんどん膨らんでくることに議場でも心配の声が上がりました。ですから、臨財債を減らすべきだというふうに我々は申し上げてきまして、真水の地方交付税のほうを求めてきたところでございました。その成果がありまして、この縦じまのところが最近縮小しているというのがお分かりいただけようかと思います。特に今年度というか、新年度を見込む際の、その臨財債につきましては、政府側でも圧縮をしてきていると。他方で、本県は交付税の真水は増えています。これは、地域再生事業費という、税収の偏在是正をもくろんだような本県の要望に応えたものが交付税上、確保されていまして、算定上有利になるというところがありますので、本県は交付税増額になると。だから、トータルで見ますと、一定程度の一般財源の確保はできているというふうに考えております。

 あわせまして、臨財債が不健全なものにならないようにということで、令和3年度の措置として、政府のほうから、将来の今発行する臨財債の分の返済額を基金で積んでよいというふうに交付税のほうに積み増しが来ています。それを今年度、算入させていただきまして、先ほど御説明申し上げましたように、基金のほうに新設して積ませていただきます。これによりまして、将来の臨財債負担が取れるというのが今回実現することになりました。こういうようなことで借金の返済のほうが今年度中に引き当てができる形になりますので、その分、新年度のほうでの一般財源の回しがやりやすくなっているというふうに御理解いただきたいと思います。

 ちょっと技術的なのですけれども、こういうやりくりをしまして、何とか過去最大規模とも言うべき予算額を確保しながら、経済、雇用、そして社会を回していく予算を確保したところであります。

 

◎内田(博)議長

 ほかにございますか。

 御意見が尽きたようでありますので、以上で令和4年度当初予算案及び組織・定数改正案についての協議を終了いたします。

 暫時休憩いたします。再開は1120分といたします。

 

午前1109分 休憩

午前1121分 再開

 

◎内田(博)議長

 再開いたします。

 続きまして、島根原子力発電所に係る鳥取県民の安全確保等に関する協定の改定等について協議を行います。

 島根原発に関する安全協定については、立地自治体と文言が一部異なることから、議会から県に対し、立地自治体と同等の安全協定に改定するよう求めており、これを受け、県はたび重ねて中国電力に対して申入れをされてきました。昨年9月に島根原発2号機が新規制基準適合審査に合格後、県と中国電力の間で安全協定の改定に係る協議会が再開され、昨年1130日には議員全員協議会を開催し、改定協議の途中経過について知事から報告を受けました。去る2月18日、4回目の協議会が開催され、中国電力から安全協定の改定等に係る全ての項目の回答が提示されたことを受け、本日、知事からその内容について説明を受けたいと思います。

 なお、執行部の説明等に当たっては、自席で着座にてマスク着用のまま御発言いただくようにお願いいたします。

 それでは、知事に説明を求めます。

 

●平井知事

 引き続きまして、皆様の労を煩わせていただきます。

 議題の2つ目として、全員協議会にお諮りを申し上げますのは、前の議会で議論を聞いていただきました原子力発電所の安全協定の改定についてであります。

 若干その経緯をもう一度申し上げる必要があるかなと思いますが、平成23年の12月、福島原発事故を踏まえまして、私たちは全国で最初の周辺地域としての原子力安全協定を締結いたしました。そのときも様々な議論が全員協議会でも出されたところでございましたが、やはり何らかの契約の担保を取っておこうと。内容が若干不十分なところもあるかもしれないけれども、ただ、いろいろと覚書のやり取りをしまして、私たちとしては取れるものは取ったということで、この安全協定を締結しようということで、了としていただいたものであります。ただ、その後もやはり議論が残りまして、翌年、私たちは議会の発議を受けまして中電側のほうに改定の申入れをさせていただき、以来10年にわたる協議を進めてきたわけであります。この間、中電側は事前の了解に相当するものとして、取扱いは島根県と変わらない、同様であるという覚書の取り交わしもさせていただきましたけれども、なお、3号機のこの議論に入るに当たりまして、やはり全員協議会を中心として、もう一度しっかり交渉してこいという皆様の負託を受けたわけであります。再度巻き直してやってきたわけでありますが、正直、非常に厚い壁がありまして、なかなかこれは進展するとは思えない状況ではございましたが、議会の皆様が強い態度でこの交渉に臨むべきだということが私たちの背中を押し、また、先方の矛先を和らげることにもなったのだろうと思います。10年にわたる議論を経まして、今日、皆様のほうに今私たちが提示を受けました案の御説明をさせていただきたいと思います。

 前議会におきましてお示しをさせていただいた中間的なところでは、立入調査権が従来の現地確認に代わって認められることとなりました。これは、協定の11条の改正を見越すものでございました。あわせまして、協定の7条を改正して、燃料の輸送についての情報開示も勝ち取ることができました。残る2つの項目として、現地確認に併せて行われるべきものとして、従来は意見のやり取りということをお互いに申し述べ合うということでありましたが、これについて、措置要求という非常に強い権限を島根県と同様に与えてもらいたいということが一つございまして、あと、もう一つは、事前了解と報告との言葉の違い、実質は一緒だというふうに先方は言っていますが、やはり言葉としても一緒にすべきだという御議論を踏まえた交渉をさらにこの間やってきたわけでございます。

 最終的に、今回提示をされましたのは、この措置要求につきましては、私たち鳥取県が米子、境港両市の意見を聞いた上で措置を要求する、国を通じて、または中国電力に直接要求するという項目が設けられました。注目に値するのは、前の議会でも申し上げましたが、島根県の原子力安全協定は、全国で最も強いレベルでありまして、原子力発電所の停止も要求できるというふうになっています。今回、中電側は、その原子力発電所の停止ということも含めた最も強い形での措置要求を鳥取県に認めようというふうに譲歩してきました。この点は満額回答だと思いますし、正直、我々も予想していた以上に、ここは成果が取れたのではないかと思っております。

 あと、もう1点のほうでありますが、島根側では事前了解というふうに言っているものが、私たちのほうでは、その計画等の報告という項目になっていました。これについて、中国電力は、事前報告という手続にするというふうに今回提示をしてきました。その際、私たちが述べた意見につきましては、誠意を持って対応するという文章を特に付け加えさせていただくというお話でございました。実は、最終的なやり取りを先週金曜日にさせていただきましたが、その際に確認をいたしますと、中電側は、これは島根県と同様に扱うということですと、同じものでありますと、こういうように我々に対して説明をしていただいたところであります。そういう意味で、従来とは文言の修正もあり、中身の説明としては同じというようなことでありますので、この点も議会にお諮りをする、それだけの値打ちはあるだろうというふうに考えたところでございます。

 この安全協定を締結する平成2312月の議会でも大きな議論がありましたけれども、思い起こしていただきたいと思います。と申しますのも、中電には何ら自らを縛る義務はないのです。せめて私たちが協定を結ぶ、契約を結ぶことで民法的債権的にこちらのほうから権限を行使できるようにすると、その権利を設定するということなのですね。したがいまして、今回、改定案が最終的なものとして先方から提示がなされました。これを了とするかどうかということになります。仮に了としないということになりますと、措置要求権も含めて、全て単なる夢に終わってしまうことになります。私たちは、正直、ぎりぎりまで交渉してまいりました。非常に無理だと思われたぐらいの交渉でございましたけれども、ぎりぎりまで、我々はここまで勝ち取ってきたというところであります。確かに一定程度まだまだというところは我々から見てもないわけではありませんが、ただ、大切なのは住民の皆様の命を守り、地域を守ることであります。その実質が取れるかどうか、それに着目をして契約を改定する、すなわち協定の修正をこのたび受け入れるかどうかということだと思っております。そういう非常に込み入った事情が前提にございますので、その辺をぜひともしんしゃくをいただきながらお聞き取りをいただきたいと思います。

 詳細につきましては、局長の水中より御説明申し上げます。

 

◎内田(博)議長

 引き続いて、詳細説明を求めます。

 

●水中危機管理局長兼原子力安全対策監

 それでは、私のほうから詳細な説明をさせていただきます。

 大きくは安全協定、それから、財源のことについてでございます。

 まず、1点目の今回、中国電力から安全協定の改定について回答がございましたので、それについて説明させていただきます。資料と、それから別冊のほうの資料を使って説明させていただきます。

 今回は、中国電力のほうから協定案の全文が示されましたので、前回の全員協議会におきましても説明いたしましたが、再度、経緯のほうを確認させていただいて、その後、中国電力から示されました今回の回答案を丁寧に説明させていただきたいと思います。

 まず、別冊資料を御覧ください。資料の1ページでございます。資料1と書いておりまして、安全協定の改定につきましては、前段、知事からも御説明がございましたように、これは立地自治体と同じものであるということでございましたが、文言としましては、4点、違いがございました。この1ページに書いてございますように、左側が立地自治体のもの、右側が現在の鳥取県のものでございます。1点目につきましては、計画等に対する事前了解というのが立地自治体でございますが、鳥取県のほうは計画等の報告となっております。2点目、これは立入調査、これが鳥取県のほうでは現地確認となっております。次、2ページを御覧ください。3項目めでございますが、立地自治体のほうでは適切な措置要求、いわゆる措置要求というものが、鳥取県のほうでは現地確認のところにおきまして意見を述べられるということの権利でございました。4点目は、核燃料物質の輸送計画の事前連絡項目ということで、核燃料物質の輸送につきましては、これは核防護のセキュリティー上、輸送日時、輸送経路等の詳細な情報が鳥取県には伝えられないという4点、この4点について文言上の相違がございました。

 3ページの資料2を御覧ください。そのようなことがございまして、県議会からも御決議いただきまして協定改定を進めるということで、平成24年の11月にこの申入れ書にございますように、協定改定を申し入れました。そこで、これを契機として改定協議会を開催したところでございます。

 4ページを御覧ください。その改定協議会の途中におきまして、平成25年の3月になりますが、このような文書を頂きました。中段のほうに赤線しておりますが、鳥取県民の皆様の安全の確保及び環境の保全を図るという安全協定の目的は、立地自治体と同じものであり、安全協定の運用におきましては立地自治体と貴県と同様の対応を行っていきますと、中国電力からこのような文書を得て、安全協定が立地自治体と同じように運用されるということを確認したものでございます。

 5ページを御覧ください。資料4でございます。このようなことを受けまして、概要の中段にございますが、平成30年8月2日に、先ほどございましたように、3号機のときに、これの新規制基準を申請するときにも県に事前報告がございまして、このときについても県議会のほうから協定改定の要請をいただきました。そのときに、県のほうからは、中国電力に対しまして、3号機だけでなく2号機についても安全協定改定が再稼働判断に影響を及ぼすということを申し入れまして、今回の改定協議につながっているところでございます。昨年の9月15日に島根原発2号機が新規制基準に合格いたしました。それを受け、改めて協議会を再開したところでございます。その実績はこれまで4回ございまして、第3回の昨年11月に、安全協定のうち2項目、核燃料物質の輸送のこと、それから現地確認のことについて回答がございました。その際は、骨子で改定するというふうなことを受けました。あわせまして、そのときに財源につきましても一定の継続性を持った仕組みとする方向で協議を行うという回答があったところでございます。年が明けまして、2月18日、中国電力から残りの2項目の回答ということで、措置要求と事前了解について回答がございました。それに併せまして、財源のこと、それから、協定につきましては全文が中国電力から示されたものでございます。

 それでは、資料のほうにお戻りください。

 1ページをお願いいたします。今回、協定案が示されましたので、第3回と、この間の第4回の全部の項目について御説明させていただきます。

 まず、第6条の計画等の報告でございます。これまでは計画等の報告でございましたが、今回は計画等の事前報告と、協定の見出し文をこのように変更しております。それから、6条の3項に中国電力は前項の規定による意見があった場合は、誠意を持って対応するものと、これまではこの3項につきましては違う条文に入っておりましたが、今回、中国電力と交渉の結果、回答の内容では、事前に報告し、意見を言い、切実に対応するという一連の流れがこの条文の中で具現したものでございます。これまでは相互に誠意を持って対応するというのも、中国電力が誠意を持って対応するというふうにも改めておられます。

 次に、第7条、核燃料物質等の輸送計画です。これは、第3回の協議会で昨年骨子で示されたものでございますが、この運営要綱の4条に書いてありますように、「ただし」以下で、核燃料物質の輸送日時、経路等、連絡できないものを除くというふうに、この情報についてはもらえないことになっておりましたが、今回の中国電力の提案では、この部分が削除になりましたので、核燃料物質の輸送日時、経路等の詳細情報についてもいただけるようになったことでございます。

 2ページを御覧ください。それから、立地自治体と同じように、第1項の(3)、それから(4)のように、関係法令に基づき輸送計画及びその輸送に係る安全対策が確定したときは、速やかに鳥取県、米子市及び境港市に連絡するものとする。それから、やむを得ない事情によって、輸送計画及び安全対策の内容に変更が生じた場合は、中国電力は直ちにその内容を鳥取県、米子市及び境港市に連絡しなければならないと。ただし、核物質というテロにも狙われるものでございますので、2項としまして、鳥取県、米子市、境港市は、中国電力から連絡があった内容のうち、輸送日時、経路等、輸送に係る詳細な情報については、核物質防護の観点から、公表しないものとするというふうに、情報はいただけるけれども、鳥取県のほうできちんと情報は管理するという項目も入ったところでございます。

 次に、立入調査でございます。これは、昨年の第3回の協議会で骨子が提案され、今回内容が示されたものでございます。ここにございますように、現地確認という言葉が立入調査になりました。それから、運営要綱の8条、下のほうにございますように、立入調査で、鳥取県の原子力安全顧問も鳥取県の職員に含まれるということで、県の原子力安全顧問にも専門的な観点で見ていただけるように、原子力発電所の立入りも認められたということでございます。それから、運営要綱の8条の第2項でございますが、米子市及び境港市は、発電所周辺の安全を確保するため必要があると認める場合は、米子市及び境港市の職員を発電所に立ち入らせて確認させ、意見を述べることができるということも書き込まれております。

 それで、第11条の3項、4項についても、立地自治体の規定に倣いまして、同じように挿入されたものでございます。

 次に、4つ目の措置要求でございます。これは、鳥取県の協定のほうに新たに条項として設けられました。これまでは措置要求というのは、相互に意見を述べるということで、現地確認の11条の3項ということでございましたが、今回、新たに12条として、適切な措置の要求、いわゆる措置要求権として認められたものでございます。ちょっと読ませていただきますと、鳥取県は立入調査の結果、周辺地域住民の安全確保のため、特別な措置を講ずる必要があると認める場合は、米子市及び境港市の意見を聞き、中国電力に対して直接、または国を通じて適切な措置、括弧で原子炉の運転停止を含むと、非常に強力な内容でございますが、それを講ずることを求めるものとすると。中国電力は、前項の求めがあったときは、誠意を持って対応するということでございます。

 運営要綱のほうでは、中国電力は処置方針を速やかに回答し、鳥取県はその処置方針に意見がある場合は、直ちに鳥取県及び中国電力において協議し、中国電力が適切な措置を講ずるというものも入ったところでございます。

 その他、5つ目として、これは4項目には関係ございませんが、これまで旧協定では20条の2項にございますように、運用のほうでそれぞれ、鳥取県、米子市、境港市及び中国電力は、第5条2項、これはモニタリング、それから第6条2項、これは事前報告、それから、第11条3項、措置要求、ここの規定による意見があった場合並びにこの協定の運用において、いずれから意見があった場合は相互に誠意を持って対応するというのがございましたが、それぞれの条項に上げさせていただいて、そして、右側を御覧ください。このたび、これを修正しまして、この協定の運用において、鳥取県、米子市、境港市から意見があった場合は、誠意を持って対応するということになりました。これの全文につきましては、資料6に載せておりますので確認いただけたらと思います。

 続きまして、2つ目のほう、原子力防災に対する恒久的な財源に対する中国電力の回答でございます。前回の協議会におきましては、一定の継続性を持った仕組みとする方向で協議を行うという回答を得ておりましたが、今回、中国電力からは以下のように回答いただきました。1つ目は、防災財源への協力に関しては、これまでの応急措置から一定の継続性を持った仕組みに直す。2つ目として、鳥取県が実施する原子力防災対策に係る経費のうち、国の財源措置が行われないものについては、応分の負担をすることを考えている。3つ目、負担する年額は1.8億円を上限に、毎年度協議して定めることとなるが、基本的な水準は前回の寄附実績を目安として考えると。

 別冊資料の7ページの資料5を御覧ください。参考までに、これまでの寄附金の受入れ経過と活用状況でございます。この寄附金につきましては、平成26年、知事等からの中国電力への申入れについて、県のほうで鳥取県原子力防災対策基金条例を設けまして、平成27年からその都度交渉し、これまでに118,000万円余を得たところでございます。

 

◎内田(博)議長

 それでは、質疑に入りますが、議員の皆様には、中央のスタンドマイクまで移動の上、マスク着用のまま御発言いただきますようお願いいたします。また、質問に当たっては、本日の議題である安全協定の改定等に限って行っていただくようにお願いいたします。

 ただいままでの説明に対して、御意見、御質問があればお願いいたします。

 

○浜田(一)議員

 県議会、自由民主党の浜田一哉でございます。

 このたびの安全協定の改定につきまして知事にお伺いをいたします。

 平成23年に周辺地域として全国初の安全協定を締結して以降、県議会の要請を受け、知事は様々な機会を捉え、中国電力に対して立地自治体と同等の協定となるよう、協定改定を申し入れてこられました。その結果、安全協定の改定に係る協議会の再開に至り、このたび、協議を行ってきた4項目全てについて、中国電力からの回答が出そろいました。満額とも言える内容だったと思います。これまでの核燃料物質等の輸送計画に対する事前連絡、立入調査に加え、このたびは措置要求の権利も周辺自治体として全国で初めて獲得できたことは驚きでありました。県民の安全と安心を守るために十分な内容であり、平井知事のこれまでの粘り強い交渉の大きな成果であると高く評価をしたいと思っております。

 私は、この改定案を了とすべきと考えますが、確認の意味で、改めて今回の満額に近い中国電力からの回答について、知事はどうお考えなのか、お尋ねいたします。

 また、特に従来の現地確認の結果の意見表明から立入調査の結果の措置要求へ改定することの意義について伺います。

 あわせて、措置要求は県の権限ということでありますが、地元である米子市、境港市が必要と考えれば、県に要請できるという認識でよろしいのか、知事にお尋ねします。

 

●平井知事

 浜田一哉議員からの御質問にお答えを申し上げます。

 議員のほうから、今回のこの協定改定をどのように考えるかということでございますが、これは、4つの項目それぞれにつきまして一定程度前進があったと思いますし、恐らくあちらとしてはぎりぎりまで譲歩してきたのかなというふうに受け止めました。交渉当事者として厳しい折衝をしてきた立場からしますと、この内容はそういう重みのある内容になったと思っております。

 そういう中で、議員がおっしゃいますように、措置要求につきましては、我々も驚くぐらいかなり忠実に島根県側と同等に並べてきたということでありまして、一番大切な万々が一のとき、この原子炉を止める必要があるというふうになれば、立入調査をしてそれを要求することができる、その権限は立地と同じようにということは、非常に大きな意味があり、これから未来に向けて住民の皆様の一つの安心の手がかりになるだろうと考えております。

 なお、事前了解の件につきましては、文言としてそろえるべきだという議会のお話は我々もそのままぶつけておりましたし、粘り強く交渉もしてまいりましたが、改めてこの権限については、従来とは変わらないと、鳥取県側と島根県側が変わらないという従来どおりの考え方をあちらも確認してきました。これまで、皆さんも御案内のように、数次にわたりまして原子力発電所についての協議が私どものほうになされてきています。その手続は島根県と鳥取県と変わらない形で行われておりまして、実務としては、私どもはこれを定着させることが一番大切だろうというふうに思っています。違いがあるということを強調する必要はあまりなくて、むしろ同じようにやってくれるのですねと、中国電力に念を押すことが一番重要ではないかというふうに考えております。恐らく裁判所に出ていったときも、そういう覚書的な文書も交わしておりますので、島根県側と同じように扱うべきだという判決をもらえるのではないかと我々は期待しているところでございまして、そういう意味では大きく前進したと考えているところです。

 境港市、米子市は最もこの問題と厳粛に対峙しなければならない地域でございまして、両市から、これはやはり立入調査をやろうと、それで入ってみたら措置要求をしようということになれば、それは鳥取県側としては、最も重要な意見として、そのまま我々も中国電力側に申し入れるという実務にしてまいりたいと思います。

 

◎内田(博)議長

 ほかに。

 

○安田議員

 県議会、自由民主党、安田由毅であります。

 平成23年の安全協定の締結からちょうど10年という節目の年に、こうした協定改定の案が提示されたことを感慨深く感じますし、10年という長きにわたり、粘り強く交渉を続けてこられた平井知事、そして執行部の姿勢に、まずもって心から敬意を表したいと思います。

 今回新たに提示されました措置要求ですが、立入調査の結果、不備事項を確認した場合に、原子炉の運転停止を要求できるということで、知事も先ほど言われたように、非常に重要な権限であり、県民の安全確保という観点からすれば、事前了解より重要な権限ではないかと私は考えるところであります。また、各項に信義則、信義誠実の原則が、丁、すなわち中国電力を主語として明記されることになったことは大きな前進であり、大きく評価したいと思うところであります。

 これまでに提示された4項目の文言の改定により、名実ともに立地自治体の協定と同等になると考えますので、私はこの改定案を了とすべきと考えますが、1点確認させていただきたいと思います。

 事前了解は施設の重要な変更等について事前了解するもので、再稼働、あるいは稼働のときのみ行使される権限ですが、措置要求は安全上の不備が確認されれば原発の運転停止を要求できるものであり、安全確保上、一番重要な権限だと考えますが、この権限について、知事はどのようにお考えかお尋ねします。

 あわせまして、措置要求は非常に重い権限であり、中国電力だけではなく、周辺自治体、我々も島根原発の安全に対してこれまで以上に真摯に取り組む必要があります。この権限を得ることについて、知事の覚悟を伺います。

 

●平井知事

 安田県議から御質問をいただきました。

 この新しい措置要求の権限というのは、議員が今いみじくもおっしゃったとおり、これは運転中、平時において稼働できる権限でございます。再稼働等の事前の報告ということは、それはまだ建物を建てたり、整備をしている段階とか、あるいは、様々な事情の下に停止したものをまた動かすというような場合の、その一瞬といいますか、その時期のものでございます。しかし、この措置要求につきましては、その後、運転がなされていて、これは周りから見てちょっと心配だなというときには、立地と同じように立入調査をして、措置要求できるというものでありまして、言わば常時我々が行使できる権限であり、特に差し迫った危険があるとき、原子炉の運転の継続に懸念があるときには、非常に直接的に効果を持つものでございます。そういう意味では、最も重要な権限という安田議員の御指摘に共感をするものでございます。

 また、あわせまして、覚悟ということでありますが、それだけ強い権限であるがゆえに、行使をするに当たりましては、慎重さ、それから専門的な知見、あるいは地元の御意見、こういうものを踏まえて私たちは行使をしなければならないというふうに考えております。そういう意味で、原子力の安全顧問の皆様方、また、先ほどもお話がありましたが、境港市の皆さんがどういうふうに御意見を固められて、すぐさま調査しろ、止めろということになるのか、その辺をよく見極めながら行使をしなければいけないというのも事実だと思います。この原子炉は一旦運転停止しますと、またもう一度動かすのに様々な手続なり、時間を要するものでございますし、社会経済全体の損失ということも我々は要求しなければいけないことにもなりますので、片方で電力の利用者に対する責任も感じながら行使をしなければならないというものだと思います。ただ、どうしてもそれが必要なときには敢然と行使をする、それが地域の命や、あるいは地域の安全を守る、そういう考え方であろうかと思いますので、厳粛にその適用を考えてまいりたいと思います。

 

◎内田(博)議長

 ほかに。

 

○森議員

 先ほど知事のほうから安全協定の改定案を受けたという説明を受けました。お話を聞きながら、2312月の全員協議会のときのことを思い出しておりました。当時は、全国にどこにも安全協定がなく、そういった中で、不完全であるけれども、県民の命を守るためには、この安全協定でも締結をして、その武器を持ちたいというのが当時の知事の説明だったと思います。私は、これについては否定的な意見を申し上げたと思います。これが全国に先駆けてできることによって、いわゆるスタンダードになり、それが固定をされてしまって、いつまでたっても周辺自治体は立地並みの安全協定が持てないのではないのかという危惧を持ったからでありました。それが、先ほどの説明で、粘り強い、本当に厳しい交渉をしていただいたということで、私はその交渉に最大限の敬意を表したいと思います。

 そして、中に若干、私も聞きたいことがありますので、それについて質疑をしたいと思います。

 まず、事前了解の件であります。第6条なのですけれども、知事のほうからは、口頭で島根と同じ扱いにするのだということを付け加えての説明があったということでの説明を先ほど受けました。島根県のこの事前了解の項目は、甲、乙、島根県、松江市の了解を得るものとするということになっています。そこが、事前報告という形になっているのだけれども、口頭では、この島根の協定と同じ扱いをするのだという説明があったというところですね、ここが一番のポイントかと思うのですけれども、中国電力からは、この島根と同じにできない理由というのは説明があったのでしょうか。そこのところをお聞かせ願えないでしょうか。私は、今回ここまでできたということについては、本当に敬意を表するところなのですけれども、ここはこれで終わりでないというふうに私は思っていまして、今後も、この事前了解権というものを、立地と周辺の違いというものを、何をもってこれを変えているのか、そこのところは本気で議論しないといけないと思うのです。というのは、この事前了解権というのは、被害を受ける可能性があるところは同じ権利を持つべきというのが当然のことだと思うわけです。このことについて、中国電力はどういった説明をしているのかというところの御説明を願いたいと思います。

 次に、第11条、立入調査です。ここで立入調査が認められたのは県だけということになっていまして、境港市、米子市は、運営要綱第8条の2項において、発電所周辺の安全を確保するために必要があると認める場合は、米子市、境港市の職員を発電所に立ち入らせて確認させ、意見を述べることができるものとするということになっています。これは、安全協定第11条の県が立入調査を行うときに、それに付随して米子市、境港市がここに入ることができるのかどうなのか。県とは別に独立した意思を持って、県は別にどうでもいいと思っているけれども、米子市、境港市は県とは別にこういったことができるのかどうなのか、そこのところの確認をお願いしたいと思います。

 次に、措置要求権、第12条ですけれども、先ほど浜田議員からの質問があったところなのですけれども、先ほど知事は、米子、境港から意見があれば、そのまま中電へ措置を求めるという実務にするという答弁があったと思いますが、私はそこのところがちょっと非常に曖昧だと思うのですね。今は県と米子市、境港市が同じ方向を向いていると思うのですけれども、もし仮に県知事が原発大賛成、どんどんやってよということを言う知事が現れ、そして、境港市、米子市の市長が非常に慎重な市長が現れ、この意見が対立するときにどういうことになっていくのか、そういったことが私はちょっと曖昧ではないのかと思っているのです。そこの辺りをどうしていくのかということをお聞かせ願いたいと思います。

 先ほどからこの安全協定の改定について了とするという御意見が多いのですけれども、私は基本的には了とするという気持ちでおります。しかしながら、境港市、米子市のそれぞれの市議会がこういったことを議論し、その結果というのをまだ聞いておりません。私も知り合いのそれぞれの議員からどういった状況かというのは確認をしたいと思っております。そういった意味では、ここで県議会が早々に同意をしたということでは、私はいけないのではないかと思っていまして、私は少なくともこの県議会が終わるまでといいますか、一般質問が終わるまでというふうになるのですかね、米子市、境港市で議論がされ、その結果を待ちたいと思います。気持ちは、先ほども申し上げましたけれども、これまでの交渉に対して最大限の敬意を払い、気持ちは了としたいと思います。

 あわせて、最後になりますが、島根側の出雲市、それから雲南市、安来市がこういった安全協定の改定ということについては、早々に諦めてしまったというところに鳥取県側との大きな違いがあると思います。その意味では、本当に知事の功績は大きかったと考えております。

 

●平井知事

 森議員からお尋ねを何点かいただきました。

 まず、事前報告につきまして、島根側と同じにできないことについての理由の説明はあったのかにつきましては、局長の水中のほうからお話をさせていただきたいと思います。

 ただ、重要な論点が含まれていると思います。要は実質的に同じだということは、今回も向こうは確認していました。それで、森議員も御案内のように、今までも実は議会の議論に基づいて、先方ともそれを確認し、実務としても同じように行われていることは、たんび、たんび、我々も確認をしてきております。要は信頼関係、実際の運用のところだと思います。ですから、これについては、また協定改定ということが仮になされるのであれば、そのときにも改めてやはり文書でも、そうした同様に扱うのだということは、取り交わす必要があるほど重要なテーマだろうというふうに思います。もちろん口頭確認だけでいいということでは多分ないと思いますし、この辺は今後、今日の議会の御議論を踏まえて、我々としての先方への申入れ、ないし、交渉を考えてまいりたいと思います。

 立入調査についてでありますけれども、私は米子、境港との一体関係を取っていますし、あまりさしたる不安もございませんが、ただ、運用上どうするのかというのは、まずは、県議会、それから両市議会を含めてコンセンサスが得られたときに、どういうふうに運用していくかについては十分に話し合っていく必要があると思いますし、場合によっては、そこで取り交わして、今後のルールを文書的にも作っておく必要があるのかもしれません。大切なのは、言わば風穴を空けることができるかだと思っています。米子、境港両市も一緒になってやるという前提で我々はおりますけれども、ただ、そもそも措置要求を認めなければ、全て中には入れない、権限として行使できないことになります。ですから、せめて風穴を空けて、向こうへ飛び込むことができる、そういう体に我々はつくり替えておく必要がありまして、そういう意味では、措置要求を県として認めることで、全体を担保したいというのが私たちの気持ちです。両市も、それを前提にして、今回のことに両市長は評価をしてくださっていますので、話合いをして、今後の適正な運用については考えていかなければいけないと思います。

 立入調査についても同様に考えるべきことでございまして、現地確認と立入調査の違いはありますけれども、立入調査になったわけでありますから、そのときに向こうもこの運営要綱で書いてきていますので、これをてこにやっていけると思います。実際的には、協定があり、そして、要綱がありまして、これはセットの文書でありますから、実質は従来の現地確認が立入調査に変わっているというふうに思っていただいて結構なのではないかと思います。ただ、おっしゃるように、運用としては、県が今度はキーパーソンになりますので、県としての権限の行使の仕方というのは、両市の御意向に基づくように、そこは将来に向けたルールづくりは必要になってくると私も思います。

 時期の問題につきましては、これはちょっと議会のほうの手続の問題でありますので、議会のほうでお考えをいただきたいと思いますが、今後、今、了とする気持ちだという森議員のお話がございましたが、実際、最終的に例えば再稼働云々ということがあるとしたら、どのみち、その両市の考え方が基本にあるべきだと私は思っていますので、この議会中に先回りして何かをやろうということはいたしません。したがいまして、結果的には、全体として両市と足並みがそろうことになるだろうと思っております。いずれにしましても、ちょっと手続のことは議会のほうの問題だと思いますので、議会のほうで御判断いただきたいと思います。

 

●水中危機管理局長兼原子力安全対策監

 それでは、私のほうからは、前回の改定協議会において、計画等の事前報告の説明において、このようになった理由を中国電力がどのように説明したかということについて、補足の答弁をさせていただきます。

 前回の改定協議会におきましては、中国電力は、なぜ完全に一致できないかという理由については説明がございませんでした。ただ、中国電力が申しましたのは、安全協定の運用については立地自治体と同様の対応を行うと、それから、安全の確保に立地と周辺の差はないと、そのような観点からも、措置要求については、計画等の報告についても引き続き誠意を持ってしっかり対応させていただくと。当社の対応を明確にするため、計画等の報告の規定の項目を計画等の事前報告に見直すとともに、当社が鳥取県、米子市、境港市からいただく意見に対しては誠意を持って対応させていただくことについて、規定に明記をさせていただくということの、しっかり同じように対応していくということの説明がございまして、私のほうもそれを聞いて、なぜ一緒にならないかということは、そのときは聞いておりません。

 

○澤議員

 では、公明党の澤でございます。

 知事から、先ほど安全協定に関する説明がございました。この改定については、お話しのとおり、昨年12月からの中国電力との改定協議が行われておりまして、そんな中、立地自治体と周辺自治体の協定で異なるこの4項目のうち、立入調査権と、そして核燃料物資の輸送に関する事前連絡を、このいずれも立地自治体と同じ内容に変更すると。今回、残りの2項目のうち、安全協定で最も強い発動措置となる措置要求については、現地で確認できると限定的だった内容を、県は周辺住民のため必要があると認めた場合、原子炉の運転停止を含む適切な措置を講ずることを求めるということを規定していまして、要求に対して誠意を持って対処するとして、立地と同じ権限を認めていると。これは本当に踏み込んだ内容だと思いますし、大変に評価すべき内容で、容認したいと私は思います。

 また、立地自治体のみに認めております事前了解権については、周辺自治体への報告を事前報告に修正し、意見があった場合は誠意を持って対応するとしておりまして、周辺自治体にとって大きく前進した回答だと思っておりますし、これも評価をし、容認をしたいと思っております。

 それを前提に何点かお伺いをしたいと思います。

 安全協定改定の中、4項目にわたって中国電力が誠意を持って対応するものとする、こういう文言を使っております。それで、この安全協定改定において、この文言がどのような意味と実効性があると捉えているのかということをまず伺いたいと思います。

 それと、もう一つは、中国電力との間で、昨年の改定協議で、事前了解権が立地自治体固有の規定と、こういう発言がありました。今回は、事前報告と意見に誠意を持って対応するとあります。この事前了解権が立地自治体固有の規定は譲れないとする背景と意味、そして、誠意を持って対応するとは、条件を示して対応を迫る、こういうことなのかどうなのか、これを伺いたいと思っております。

 もう一つは、運用についてですけれども、原子力防災対策に関わる恒久的な財源の措置ということの説明がございました。これについては、国の財政措置が行われないものについての応分の負担として、年額1.8億円を上限に毎年度協議して決めるとなっております。そこで、今後、社会状況等の変化による負担の増額等について、協議が可能なのかについてお伺いしたいと思います。

 

●平井知事

 澤議員からお尋ねをいただきました。

 まず、誠意を持って対応するという言葉がそれぞれ入ったけれども、これはどういう意味を持つのかということであります。ちょっと昔話も含めて申し上げますと、資料の3ページのところに20条という項目がありまして、20条の2項というもので従来はございました。この20条の2項に書かれているように、甲、乙、丙、それから、丁、どちらからも意見があれば、それは意見を出して、それについて誠意を持って対応するというのは、双方の義務で課されていたわけです。これは、先ほど森議員も昔のお話をされまして、十分でない点もあったのではないかと、当時のお話がございましたが、とにかく協定を結ぶことを我々は優先したいと思いました。それで、法的な地位を我々は得て、相手に対して要求する請求権を持とうと。そのためには、我々としては、例えば事前報告、報告のことであれば、報告に対して意見を述べ合うという体裁になっているのですね。その意見を述べ合ったことについて、我々が出した意見に対してちゃんと応じてくださいということを求めたわけです。もともとは事前了解という言葉がいいと言っていたわけです。しかし、向こうは、それはお互いのものだろうと。鳥取県側も中国電力の意見に対して誠意を持って応じると。双方の言わばイーブンなやり方、総務的な関係の中で、そういう誠意を持って対応するということを書けばいいではないかと。実は当時そういうやり取りだったのです。これは、我々としては、そういうことではないのになとは思ったのですけれども、ただ、少なくともこちら側が述べた意見に対して、向こうは誠意を持って当たるということが入りましたので、それをもってよしとして、実質を取ろうというふうにここは要求降りしたところなのです。その残った部分がここに入っていまして、それを今回、もっとシンプルに、10年間を経て、我々が今までやってきたこと、実務が重なってきていますので、多分先方としてはもう大丈夫なので、通常のこの我々が意見を出して、それに対して中電が対応しますという中身に書き換えようというふうになったのだと思います。ですから、言わば従来の手続を追認しながら、中電がその当方の意見に答えるということでシンプルに書き切ったのだと思います。その際、鳥取県側の誠実な応諾義務というのが取れたということですね。これは、言わば実質に即した形に先方は切り替えたということでありまして、この点は、前の協定を結んだときのそうしたやり取りの中から生まれた異物が取り払われたところでございまして、この点は、先方としての評価できるところではないかなと我々は思っています。そういうような経緯があって、誠意を持って対応するという言葉がそれぞれに中国電力側の義務として書かれたというところでありまして、従来、我々が誠意を持って中国電力に対応しなくてはいけないというところを外したという意味で、しっかりと協定の趣旨が表れるようになったと思っています。

 1億8,000万円のところの上限のことについては、基本的には、今後も交渉はあり得ると思っています。ただ、今回、何らか、恒常的な制度にするためには、一旦はこれを受け入れた上でやっていくべきものだと思いますが、今後の事情変更ということは当然あり得るだろうと思います。なぜなら、この1億8,000万円ないし1億6,000万円を基本として考えるというところは、現実の執行状況に基づいてやっているものでございまして、そうした考え方で今後も運用してもらえるように、我々としては、今後も求めていかなければならないと思います。

 なお、交渉過程におきましては、当初先方は8,000万円というところを提示してきておりました。我々としては、到底受け入れられないと。実態に即した額にすべきだということで、1億6,000万円を基本として、1億8,000万円上限と今回書いてきましたので、これは先方としてもそうした実情に応じた対応を今後もやっていく余地を残しておられるというふうに思います。

 なお、この点につきましては、これもまた別途協定等の形で未来永劫使える形のそうした取決めが必要だということで、双方合意をいたしているところであります。

 

○山川議員

 山川です。

 知事及び執行部の粘り強い交渉のおかげで、措置要求等、一定の成果を得られ、感謝し、評価しています。

 確かに言われるように措置要求権は重要である権利だと誰しも認めています。ただ、措置要求に関しては、立入検査後、停止を要求するもの、すなわち原発が動いてからのことではないか。原発が動く前であっても立入検査、停止などを想定されているのでしょうか。要は、停止を求める状況というのは、相当の問題が起きていて運転自体が危険という意味です。そうなる前に、動く前に自治体は何らかの権限を行使できる権利を確保しておくべきではないか。その意味でも、入り口論である事前了解権は必要です。安全協定と稼働は全く別、おっしゃるとおりです。だからこそ、稼働する前に事前了解権を認め、これが一丁目一番地であったはずです。事前了解権は中電の回答ではゼロ回答だと思います。中電の回答の6条を見ますと、報告が事前報告になりました。そして、誠意を持って対応するものを加えるとありますが、既に現行の協定では運営要綱3条の4項で事前と担保されています。そして、誠意を持って対応というのは、現行の20条2項、先ほどありましたが、これにも記載してあります。つまり、今回の中電の事前了解は、回答は見かけを変えたものであり、内容に関して何ら変更はありません。これまで知事及び議会は、事前了解権は条文の明記を求めていました。また、知事の過去の定例記者会見、公式の記録を見ますと、事前了解権を認めないのであれば、中国電力に対して回答は受け入れ難いとおっしゃっておられました。この発言から県民は誰しも事前了解権を勝ち取ってくれるだろうと期待していました。知事の心境の変化をお聞かせください。

 そして、事前了解と事前報告、これが中国電力側は実質同じであるとおっしゃっておられますが、知事自身はどうでしょうか。知事が実質同じであると判断される根拠は何でしょうか。中国電力は、立地自治体に配慮し、周辺自治体の文言差を生じさせたとも思われます。ただ、この回答で文言差を生じさせたのであれば、UPZ30キロ圏内を含む、その知事として、やはりこれを容認してはならないことだと思います。この今の2点についてお聞かせください。

 この知事の回答を得ましてから、もう一度質問させていただきますので、この自席で待機させてもらいます。よろしくお願いします。

 

●平井知事

 山川議員からお尋ねをいただきました。

 事前了解のことにつきまして、原発を動かす前にとか、それから、20条の問題、それから、実質的に同じと何で考えるかの等のお話がございました。

 これにつきましては、ちょっと考え方の詳細は、また水中のほうからも補足をさせていただきたいと思いますが、原発を動かす前であっても、この立入調査権というのは発動できます。措置要求の中で括弧書きで書いてあるわけでありまして、要は原発を止めることもできますよと、そういうことでありまして、様々な措置を要求することができるわけでございます。例えば建物等の不備とか、炉の不備だとか、そうしたことに対しての措置要求ということも想定されるというふうに我々は思っております。現実もそうした意味で、原発は止まった状態ですけれども、今でも私どもは度々立ち入らせていただいており、現地確認と称するものをやっているわけでありまして、そういう意味で、前もって行使できる部分もあると。ただ、一番大切な現に差し迫った危険があるときに、原子炉を止めることができるという極端なケースまで、今回、認められるというところであり、その意義は大きいのではないかと考えております。

 事前了解と、それから計画等の報告との違いにつきまして、20条の2項のお話がありました。先ほども申し上げたところでございますけれども、20条の2項は双方の責務ということで定められています。これは、言わば我々からすれば、曖昧になる部分があると思っていました。つまり、我々が要求したのは事前了解の手続でありまして、その事前了解は、まずは、計画の提示があると。それに対して我々は意見を述べる。それに対して向こうがそれに応じてくるということであります。こういうようなことでありますので、我々が出した意見に対して先方が対応するということが重要でございますし、我々が意見を出すときに、この計画では駄目だからやめてくれと言えば、それに対して向こうは誠実に対応するというところの流れが重要なのですね。これを今回、手続の中で、向こうが出した意見に対して我々が応じる。つまり、例えば仮の話ですけれども、我々が駄目だといって、向こうが応じるかと思えば、向こうが絶対動かすぞと言ってきたときに、我々はそれに誠実に対応しなければいけないというのが実はまぎれ込んでいるわけです。ここを捨象できたということで、事前了解と同等の手続だということは明確になったのではないかというふうに我々は考えたところであります。そうした意味で、実質的には同等のものということの担保が必要でありまして、それについては、先ほど森議員ともやり取りをさせていただきましたが、何らかの文書的な確認も含めて、後世でも使いやすいように、そこの手続は別途必要かなと思って、今伺っていたところでございました。もちろん今までもいろんな工夫をして、実質的には同じというところを担保しながら10年間やってきましたけれども、今後もそうした努力が必要ではないかと考えております。

 私が言っていたことについておっしゃる向きもありますが、この協定改定ということで、私は申し上げてきていまして、様々な議会での意見が出ましたと。それに基づいて、協定改定について何らかのお答えがなければ、我々としてはそれが再稼働の判断に影響しますと、実はこの文言を私としては申し上げてきております。ですから、それについては、今までも変わることもございませんし、今回のこの御相談もそういう考え方の中で協定の改定を了とされるかどうか、それをお伺いしているということでございます。

 

●水中危機管理局長兼原子力安全対策監

 それでは、私のほうからは、措置要求の件につきまして、補足の説明、答弁をさせていただきます。

 まず、第6条で計画等の報告とございます。これは島根県でいう事前了解でございますが、これについては、6条を見ていただいて分かりますように、発電所の増設の計画とか、それから、原子炉施設の重要な変更とか廃止措置計画というもので、新たに造ろうか、あるいは変更しようかというものに対する許可について了解するかというものでございます。しかしながら、措置要求、これについては11条ではございませんで、12条を見ていただくとお分かりいただけるかと思いますが、島根原子力発電所については、もう既に設置許可は下りていますので、1号、2号、3号、それぞれ全てに対してこの安全協定は効力を発するものでございます。この12条の第1項に書いてございますように、例えば立入調査をして、安全上の不備等を認めた場合については、適切な措置を要求できると。それについては、原子炉の運転停止を含むというのは、これは運転中であれば止めることもできますよというふうに読めるものでございますが、例えば建設工事中に重大な事案、特に運転等にかかわらず、建設工事、あるいは不備事項ですね、例えば点検の問題とか、いろんなものがあれば止められますよということで、建設工事で不備があったものを含めて止められる、措置を要求できるというもので、議員がおっしゃるように、あらゆる段階で措置を要求できるものでございますので、御心配には至らないかと思っております。

 

◎内田(博)議長

 短くやってください。

 

○山川議員

 はい、1回で終わります。

 今の知事のやり取りで、知事の発言で、言質が、本当に前進した発言だなと思ったのが、やはり事前了解、その立地自治体同等の、周辺自治体であっても担保を、その明文規定は必要であるというふうにおっしゃられました。今、議事録取ってもらったら分かります。御存じのように、事前了解は法律であってもありません。原発の安全規制は法で、国の関与しかありません。それでも立地自治体の意向に反して原発を稼働するわけにいかないから、立地自治体と電力会社は安全協定するのが慣例でした。ただ、福島の事故を受けて、やはり国はリスクを認め、30キロ圏内の周辺自治体であっても避難計画の策定が義務づけられました。被害を受ける可能性があるところであれば、同じ安全協定をと、先ほども議論がありましたが、そうであるなら、立地自治体、周辺自治体同様の安全協定を結ぶのは当然のことであると思います。事前了解、事前報告というのが実質同じではないかというふうに言われましたが、これをどう判断されて、どう責任を取られるのですかということなのです。なぜかというと、境港だったり、米子は、松江より被害が少ないという保障はありません。そして、現実を見てみますと、松江の一部よりも境港のほうが原発の近くにあります。立地自治体と周辺自治体の文言差をつけること自体が周辺自治体を愚弄しています。

 そして、安全協定のスケジュール感ですが、米子市議会では、28日、全員協議会が行われます。境港市は25日開会ですので、まだ未定です。この安全協定、両市の安全協定の協議はいまだまだです。今日の県議会の議論が色濃く影響すると思われます。安全協定の改定する、そのタイムリミット、スケジュールはあるのでしょうか。もしないのであれば、中国電力に対して粘り強く交渉いただきますようにお願いします。

 そして、知事自身、法学部出身であるからよく御存じであると思います。知事は、事前了解、そして、事前報告、この文言差によって明文が明示されるという効力を重々御承知だと思います。ですから、再度お願い申し上げます。周辺自治体も事前了解を認めるよう、粘り強く慎重に慎重に交渉いただきますようお願いし、以上で質問を終わります。

 

●平井知事

 山川議員から重ねての御質問と御意見を賜りました。

 まず、冒頭ちょっと申し上げなければならないのは、私が舌足らずだったのかどうかよく分かりませんが、私は、事前了解というふうに条文を改めなければいけないというふうに先ほど申したわけではなくて、事前了解と実質的に異ならない、そういうやり取りを中国電力側とやることの必要性、森議員が指摘されていたようなことは、必要であろうと。それによって担保を取ることが大切であると、こういうように申し上げましたので、その点、重ねて御理解をいただきたいと思います。

 文言の変わりによってということでありまして、変わっているということであって、それが地元としての地位についていかがかと、こういうことであります。だからこそ、私たちは一貫して事前了解という言葉を協定締結の当初から交渉としては求めてきたところでありますが、なかなかそれが受け入れられなかったということであります。今回、先週金曜日に私たちは交渉に臨む機会となりましたが、そのとき、一部報道で、事前了解権は認めないという話が見出しとして出されたわけです。その朝、私は担当部局のほうに連絡を取りまして、絶対にこれは反論しろと。事前了解権を認めないということは、我々を愚弄するものだと。実は同じようなことを言いまして、議事録を見てもらったらお分かりだと思うのですが、局長の水中も我々を愚弄するのかといって、冒頭、中国電力を叱責したところであります。そういうことが実は交渉力になったのだと思いますが、あちらも事前了解とは変わらないのですというふうにその場で強調されたのです。だから、事前了解権を認めないというふうに新聞の見出しには出たかもしれませんが、それに実質的には相当するものを皆さんには与えているのですよということは、交渉の席上も先方はおっしゃっていました。だからこそ、一定の担保を取るための文書のやり取りが必要ではないかということは今日の議論の中でも私も感じたところであります。

 それで、法学部のお話がございましたが、法律的には、裁判所に行ったときは、書いてある文言だけでは判断しません。それを今度、解釈するのですね。その解釈をするためのいろんな材料というものが必要になると。いろんな材料というのは、恐らく両者が協定を結ぶに当たって合意をするわけです。その意思の一致を見るわけです。その意思の一致がどういうふうに行われているかというのを裁判所は判断します。その際に、我々、今までも文書のやり取りを続けているのですが、これは立地と同等のもの、同様のものですよというふうにあちらが意思表示をして、こちらと了解を取っていることというのは、非常に重要でありまして、いざ裁判になったときに、これを持ち出すことによって、本来の協定書と併せて、そういう附属文書といいますか、やり取りをした、そういう証拠書類と併せて判決が下り、島根県と同じような権限になるかどうかというのが出てくるわけですね。総合的なトータルのものです。ですから、文言以外のところも含めて、我々としてはぎりぎりまで担保を取る努力をする、これが重要なのではないかというふうに考えております。

 

○市谷議員

 日本共産党の市谷知子です。

 大きく3点にわたって、1つずつ確認をさせていただきたいと思っております。

 まず、1点目、今日の全員協議会の位置づけなのですけれども、今朝、議会運営委員会で、この協議会の意見を聞いて、今日でもって知事が結論を出すという性質なのかというのを聞きましたところ、議運の委員長からは、どういう性質のものかというのは聞いていないということでした。私は知事が粘り強く協議に当たっていただいたということは、そうだろうとは思いますが、今日いろいろ皆さんの質問やら、それに対する回答も聞いていて、またこれから後も聞きますけれども、曖昧な点があったりとか、まだ疑問点があります。私としては、今日のこの協議、今出されている改定の内容を見て、事前了解権なども確立しておりませんので、今日のこの場で了というわけにはいかないというふうに思っております。

 それで、さっき山川議員からもありましたが、境港は、この間、選挙がありまして、議会は25日からと。それから、米子市もまだこれからだということで、両市議会の意見がまだ聞けていない状況ですので、とにかく今日、ここでもって知事が結論を出してしまうということはないようにしていただきたいなと。もう一度、今日出た疑問については、中電に問い合わせするなり、御回答いただいた上で、もう一度全員協議会を開いていただきたいなというふうに思っているのですけれども、今日の意思決定は拙速なのでやらないでほしいという点について、知事、いかがでしょうか。

 

◎内田(博)議長

 ちょっと待ってね。知事、答弁しますか。

 

●平井知事

 全員協議会の性質につきましては、野坂委員長がおっしゃったとおり、それは私どもも、こちらはお諮りすることでありまして、今日はもちろん説明をするという場ではございます。ただ、かねて申し上げていますとおり、この協定改定は我々も相当な作業をしていまして、10年にわたってやり取りをしておりますし、かなり今回、ぎりぎりまで向こうは譲歩してきたというふうに思っています。ですから、この内容を了として協定改定に進んでいいかどうかということについては、議会からの宿題によって我々は動いているものですから、議会のほうで御判断いただきたいというのは率直な我々執行部の気持ちであります。ですから、そういう意味で了とされる内容となったかどうか、そのことについては、我々は確認したいというふうに思っております。したがいまして、仮に了としないということであれば、その協定自体、御破算になりますので、今までの交渉は全部白紙に戻さなければいけないことになります。本当にそれでいいのかどうかというのは、我々は判断しかねるところでありまして、皆様の御意見を最終的にはお伺いせざるを得ないと思っております。そういうようなことでありますので、今日は、そういう気持ちも含めて、御説明をさせていただいていること、御高見賜れればありがたいというふうに思います。

 なお、先ほど森議員にも申し上げましたとおり、手続的にはこれからいろいろあると思いますが、私は、最終的な様々な判断、最終的な判断ですね、再稼働云々というようなことが多分最終のところになると思うのですが、そうしたところも含めて、両市の考え方というのは、最大限尊重したいと思います。したがいまして、両市が仮にこの協定案に同意できないということであれば、それはもう一回白紙に戻さなければいけないかもしれません。ただ、それぞれの議会の時期というのは当然物理的にずれますので、意見の取りまとめ方は議会のほうで御判断いただければと思います。

 

○市谷議員

 私の意見は、今のままでは了とできないということは最初に言っておきたいと思いますし、境港、米子の両市の意見は、これから議会が開かれてということですので、知事はその意見は尊重するというふうにおっしゃったわけですから、県議会の意見は聞かれたとしてもですよ、両市の意見を尊重するというのであれば、今日でもって結論を出されるというのはやめていただきたいなと思います。

 2つ目に行きます。立入調査に基づく措置要求なのですけれども、先ほど安田議員が質問の中で、事故が起きれば停止を求めることができる内容になっているというふうにおっしゃったのですけれども、事故が起きてしまったら求めるも何も原発は停止しなければならないわけで、知事が言われたほうが正しいかなと思いました。差し迫った危険があるとき、つまり事故が起きる前に止めることができるということなのだと思いますね。ちょっと聞きたいのが、差し迫った危険があるときに立入調査はできるのでしょうか。今回のこの措置要求というのは、立入調査の結果、措置要求ができるということになっているのですね。だから、立入調査ができなかった場合には措置要求ができないのではないかというふうに思います。ですから、仮に立入調査ができなかったとしても、知事のほうがこれは危ないという場合にはちゃんと措置要求できるものに、ここは改善しないといけないというふうに思います。さらに、その要求に対して誠意を持って対応すると。誠意を持って対応するというのは、知事が止めてほしいと言ったからといって、止めるとは書いていないのですよ。誠意を持って対応するしか書いていないのですね。だから、止めてほしいと要求をすれば、止められるというふうにきちんと書いていただかないと、これは担保したことにならないと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。

 

◎内田(博)議長

 ちょっと待ってくださいね。一気に全部質問を出してください。時間がございません。

 

○市谷議員

 では、3点目ですけれども、事前了解権についてです。先ほどどなたかも言われましたが、前回、この全員協議会のときに知事が被害を受ける可能性があるということであるならば、事前了解権、こういう重要な権限についても、立地のみならず、周辺についても与えられて当然だと言われましたが、本当に事前了解権は担保が取れているのだろうかということについて確認したいと思います。

 今、再稼働の是非が問われているわけですから、ここが私は今回一番大事だというふうに思っております。協定の文章なのですけれども、島根県の協定は、島根県の了解を得るものとすると。鳥取県のこの今回の協定の改定案は意見を述べることができる、中国電力は誠意を持って対応するということなのですね。例えば、再稼働反対といった場合、島根県が再稼働反対と言えば、この協定でいけば当然再稼働にはなりません。ただ、鳥取県の場合は、意見を述べることができても、誠意を持って中国電力が対応するとしか書いていないわけですね。そうしますと、例えば島根県が再稼働はいいよと言いましたと。例えば鳥取県がノーと、再稼働は駄目ですと言った場合に、では、鳥取県は再稼働をノーと言っていますから、駄目ですと、再稼働はしないという判断になるのかどうか、ここが大事だと思うのですよ。鳥取県の協定、改定案でも了解を得るということになっていないのですよ。誠意を持って対応するしかありません。ただ、いろいろ覚書があるからと言われるのですけれども、島根県は再稼働はいいよと言って、鳥取県は再稼働はいけませんと言った場合に、鳥取県が再稼働はノーと言っているから鳥取県の意見を尊重して、再稼働はノーということになるのかどうか、それはどうなのでしょうか。

 

●平井知事

 市谷議員のほうから2点お話がございました。

 一つは、立入調査権の問題でありまして、それが立入調査をする前の権限行使だとか、誠意を持ってというようなことのお話があったわけでございます。これらにつきましては、実はこれは島根県と同じ文言です。したがいまして、島根県が行使できる最大限の権限と同じものを我々は手にしたところであります。当然ながらこれは、条文上はこう書いてあるから、状況はちょっと想定しにくいですけれども、例えば立入調査が何らかの形でできない場合でも、措置要求できるかどうかというのは、恐らくそれはさせると思います。それは立地でもそうですから。それは周辺であれ、立地であれ、同じ文言に沿っているものでありまして、その辺はやはり運用の問題なのだろうと思います。ただ、基本的なところをどういうふうに書いておくかというところで、立地と合わせた文言規定になっていますので、この辺は当然、同様に扱っていただけると。島根県と同じように誠意を持ってということで扱っていただくわけでありますから、これについては、あまり心配をする必要はないと私たちは思っています。むしろ措置要求をそういう何らかの細かい事象で、我々としては要らないというほうがよほど損失があるのではないかなというふうに思いますので、今の同様の規定のところで読み込めるところを我々は担保を取っていけばよいのではないかと思っています。

 事前了解との差異につきましては、これはもう議場で何度も繰り返していることでありまして、私どもは、事前の報告ということに対して、誠意を持ってというような向こうのやり取りがあると。これは協定締結の頃から大分議論をしているのですが、了解ということの中身は、相手方が意見を言って、それに対して応じることだというふうに解釈できます。それを分析的に書いたのだというようなことでございます。ただ、それでは担保になりませんので、我々として、では、島根と本当に一緒なのですねというふうに尋ねるわけです。そうすると、一緒ですと、同じように扱いますというふうに文書で返してきていると。こういうような言わば担保を取る行為というのが片方で重要なのだと思います。現実に、では、あと、運用がどうなるのかというのはそのときの勝負なのですよね。たとえ条文にどう書いてあったとして、相手がどういうふうに出てくるか、それが違反と言えるかどうか、この辺を最後は裁判所に打って出ても、取っていくということであります。だから、仮に両者、意見が異なって、それで片方だけが止めろといった場合に、中国電力がどうするのか、最も誠実に彼らが対応するのだったら止めたままにするでしょうということであります。だから、そこの選択を本当にさせるために担保を取ることが重要であるということです。

 なお、再稼働につきましては、これは議場でも繰り返していることでありますが、実はここにある事前了解権の対象外であります。事前了解権の対象となるのは、例えばこういう施設を造るとか、そうしたことについての事前了解ないしは事前報告という今回定められた手続でございまして、厳密には再稼働自体についての手続というのはないわけでありますが、今現に我々は、保安規定違反があるかどうか、そういう施設の適合基準を満たしているかどうかということについて、適合性があるという規制委員会の御判断に基づいて、あちらが協議をしてきているのに返すことで実質的に担保を取ろうということにしているものでありまして、これは全国の立地はどこでもそうですが、再稼働に対する立地の判断というものは実はなくて、これ自体も慣習上のものなのですね。ですから、そういうような意味で、我々としてもその辺の実際にどう動くかという運用も含めた担保を取る努力というのを同時にやっていって初めて、こういう文言のものと併せて、実効性ある取決めになっていくのだというふうに考えているところであります。

 

◎内田(博)議長

 市谷議員、ほかに質問がございますので、この質問だけで止めてください。

 

○市谷議員

 事前了解権の関係で、この協定上は再稼働云々のことの案件ではないと。設置変更許可から入りますよね。その設置変更許可が事実上、再稼働ということにつながっていくわけで、では、設置変更許可しないと、やめてくださいと、設置変更しないでくださいというので、同じことなのですけれども、島根県がいいよと、鳥取県はノーですと言った場合に、どういう対応になっていくのかと。要するに権限があっても、言った内容が担保されなければ、保障されなければ担保されたということにならないと私は思うわけです。ですから、この島根県がイエス、鳥取県はノーと言った場合に、では、設置変更許可でもいいですけれども、鳥取県がノーと言ったら再稼働しないとか、ちょっとその辺は、きちんと運用上どういう対応をされるのかというのは確認していただきたいと思います。

 措置要求の関係も、恐らく立入調査しなくても要求すればそれは言うことを聞いてくれるだろうと。止めてと言えば止めてくれるのではないかと。信頼関係の問題だとおっしゃったのですけれども、そのことについても、本当にそうなのか、中国電力の姿勢を確認していただかないと、この文面からは、鳥取県が要求したことがどうされるのかは読めないのです。だから、いろいろ知事はおっしゃるのですけれども、それを私は聞いて確認しないと、この今回の協定改定が実質的に私たちの権限が担保されているとは、とてもではないですけれども、取り難いです。ちょっと確認をしていただけないですか。

 

●平井知事

 前段のほうにつきましては、恐らく私が言っていることと市谷議員が言っていることは、結果として変わらないのではないかと思います。結果、要は協定がどういうふうに書かれていようが、それをきちんと守ってどういう行動を取るかというのが問題なのです。そのための担保措置をどういうふうに取るか。これはやはり協定以外の文書などで我々として確認を取っていくことが必要だと思いますし、従来もやってきた手続ですけれども、その辺を求めていく必要があるのではないかと思います。

 後段につきましては、これは、正直誰もやったことがないのですよ。島根県も原子炉を止めたことはないのです。ですから、やってみないと分からないのですね。この辺は、今我々ができることは、島根側と同じ条文を書くこと、これによって最大限の担保を取るというところだと思っています。そこから先は交渉力ないし両方の誠実な対応力にかかっているのだろうというふうに思います。

 

○市谷議員

 最後に1点だけ。そういう……。

 

◎内田(博)議長

 いやいや、もうやめてください。

 

○野坂議員

 鳥取県議会、35名の中で、UPZに居住する3人目、浜田一哉議員、安田議員、そして、私でございます。福島原発以降、居住している者の実感としましては、様々な、例えば住民避難訓練やら、モニタリングポストの設置、あるいは、安定ヨウ素剤の配布、いろんなことがありましたけれども、その都度にいろんな議論がありました。そのような思いも込めて、意見を申し上げたいと、こんなふうに思っております。

 平成23年に日本で初めて、全国初で安全協定を結ばれた。この意味というのは、この協定を結ぶことによって住民の安全確保の担保を取るということですから、すなわち安全を確保するということであります。そして、今、10年を経て、この改定案、ほとんどの議員が異口同音に満額に近い回答だという表現もされております。この改定案を、我々は安全確保の上で今何をすべきかというと、これをきちんと受け入れて、了として、すなわち県民の安全に対しての権限を、新たな明確な権限を手にするということであります。これは紛れもない事実でありまして、いたずらに引き延ばすということではありません。米子市、境港市、様々な周辺市もありましょう。ふだんから連携、意見交換をされてきている知事でございます。この先、必要な議論があれば、それは都度都度しっかりと議論していただければいいことであって、今我々がやらないといけないことは、新たにこの勝ち得た県民の安全に対するこの大きな大きな権限を手にする、武器にするということでありまして、私は今回の件、改定案、ボールはこちらに返ってきたわけですから、それは了として、安全を確保していただきたいと、こんなふうに冒頭申し上げたいと思います。

 様々な御意見を聞いておりましたけれども、前議会からの議論と新たな議論というのは特になかったのではないかなと、こんなふうに思っております。その上で、やはり今回、一番重要だったのが、これは前議会でも言いましたが、適切な措置の要求、これは万が一、島根原子力発電所におきまして、いつの段階であろうが、安全上の不備が確認された場合には、県が立入調査をして、原子炉を止めるという非常に強い権限であります。再稼働時に一度きりの事前了解と違いまして、今後稼働し続ける限りずっと続いていく、安全確保上一番重要な権限だと、私はこのように理解をしております。一方、事前了解権の解釈につきましては、そもそも立地自治体の有する公有水面の埋立てや開発許可など、既存法に基づく許認可権限に由来するものであり、これは鳥取県に原子力発電所を誘致しない限りどこまでいってもかみ合う議論ではないと私は思っております。事前報告として、今日も議論がありましたけれども、文言上の差異はありますが、県は報告に対し、これは意見を述べて、中国電力がこれに誠実に対応すると、これは明記されたわけでありまして、運用上、同一になったということであります。これが肝だと思います。文言上の差異ではなく、実質運用上の権限がどうなのかと、こういうことを勝ち得た、非常に大きな成果だと、このように思っております。中国電力にとってもぎりぎりの点を引き出したのは、この長きにわたりまして、平井知事をはじめ、県の執行部の皆さんが粘り強く交渉した成果であり、評価したいと、このように思っております。本来、原子力発電所の安全確保につきましては、立地、周辺の差なく、同等であると、これは言うまでもございませんが、今回勝ち得た措置要求により、全国で初めて、立地県と同じ強い権限を得たことは、繰り返しになりますけれども、県民にとって安全確保をする上で、かつてない画期的な成果だと、このように申し述べたいと思っております。今回は詳しく言いませんが、新聞でよく報道される東海の第二原発の協定は実質的事前了解、こういった言葉が躍っておりますけれども、中身を見ますと、今回の福島事故後の再稼働に限った限定的な協定でありまして、立地自治体の立場を損なわない内容になっておると承知をしております。

 また、中国電力は、今の現行の安全協定の締結以降、2号機の申請、1号機の廃止措置、3号機の申請といずれの手続におきましても、立地自治体と同様に、本県に事前に報告し、本県の意見に対して誠実に対応されていることを考え併せると、私は今回の改定案が名実ともに立地自治体と同等になったと評価して、了とする。そして、10年にわたる安全協定の改定問題に決着をつけて、もっと実質的な県民の安全確保に向けた取組にもっともっと傾注すべきだと、こんなふうに思っております。

 そこで、このたびの中国電力の回答も含めて、この10年間にわたる交渉結果に対し、県民の安心・安全をつかさどる長として、また、このように日本で初めて画期的な安全協定を勝ち得たタフなネゴシエーターとして、平井知事はどのように受け止められておられるのか、最後にお尋ねして、私の質疑を終わりたいと思います。

 

●平井知事

 野坂議員から御質問いただきました。

 議員のほうがおっしゃいましたとおり、河崎はUPZ圏内でございまして、非常に難しい地域の立場の中で御発言されたことの重みというのがひしひしと伝わってまいりました。

 正直申し上げて、単なる政治闘争をやる必要はないし、多分、議員がおっしゃったように、実質的にどうやって安全を確保するのか、そういう中身のことを我々は大切にしなければならない。それがこの原子力安全対策だと思っています。福島原発の事故がございまして、私たちは目を開いたわけであります。今までは蚊帳の外に置かれていました。それは、UPZ圏内は相手にしないということでありましたし、中国電力も協定等ということは全くなく、国のほうもらち外の扱いにされていました。それを声高にいろいろと発言はしたり、要望はしたりしていましたけれども、実質を勝ち得ることはなかったわけです。しかし、平成23年の後、その方針転換を望みまして、まずは、一つの橋頭堡として、協定を結ぶことにより法的地位を得ようと。ここから我々はスタートしたわけでありました。以来10年にわたりまして、野坂県議はじめ、皆様の叱咤激励を得て、我々は交渉のほうに立ってきたわけであります。正直申し上げ、職員の局長、水中をはじめ、かなり難しい折衝をしてきましたし、汚れ役を買って出てきたところでもございました。ただ、そういう中で、県民の皆様の安全・安心が前進するのであれば、我々としては望外の喜びでございます。そういう意味で、今回、こういう全国で初めての措置要求ということを今目の前にできたことは、議員の皆様のお導きのおかげだと感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、仮にこれを了としていただいたとしても、実質を伴われなければならないわけでありまして、今後とも中国電力と不断の交渉といいますか、例えば避難の計画のレベルを上げていく、担保を取っていくだとか、あるいは我々のほうでかねて言っているような境港の水の問題の確保だとか、今後とも折に触れて我々はやはり言っていかなければならないことがあると思います。そういう中で、肝腎の原子炉に直接関われるこの措置要求権というのは、将来非常に大きな効をもたらすものだと思っております。そういう意味で、いろいろとニュアンスの差はあるとは思いますけれども、できれば、この協定改定案が目前に迫りましたので、これを結ぶ権限を議会のほうから我々に与えていただき、実質的な安全獲得のための道筋を開いていただければというふうに考えております。

 

○福浜議員

 失礼します。野坂議員が総括的な質問をされたので、ちょっと空気が読めていないのかもしれませんが、一番前だと後ろのほうが見えないので、大変申し訳なく思っているところでございますが、改めまして、県議会が投げたボールに対して、平井知事ほか執行部の皆さんが真摯に粘り強く交渉していただき、このたび成果を上げていただけたこと、心から感謝申し上げたいと思います。

 私も10年前を振り返ると、マスコミにおりまして、「ええ、こんな協定が結ばれるのだ」と思って驚きを持って受け止めて、自ら発信したことを思い出しているところです。それから10年の歩みがありました。今日ここに来るまでに物すごく大変だったと思います。県も大変だったでしょう。それから中国電力もある面、大変だったのではないでしょうか。といいますのも、やはり先ほどから周辺自治体、立地自治体という話がありますが、周辺は周辺の考え方がある、立地は立地の考え方がある、そのはざまに挟まれて中国電力もしんどかったのではないかなというふうに思います。その中で、一番の措置要求を獲得できた。これは物すごく本当に大きな意義があると思いますし、それが未来永劫続いていくこと、文言に加えられたこと、原発を止められるという大きな力を得たこと、本当にすばらしい成果だというふうに評価したいと思いますし、先ほどから事前了解権という話もありますが、あそこに事前報告、ただ報告ではなく、事前とついたことの重みというものを物すごく大きい一歩だと思います。私は、実はその事前了解、事前報告、ここは変わらないだろうなというふうに諦めておりました。しかし、あそこに事前という言葉がついた重みというのは、物すごく私自身は措置要求と併せて大きな評価として受け取らせていただいております。

 その上で、一つ質問があります。先ほど安田議員のほうからも責任、覚悟という言葉がありましたが、まさに今回大きな権限を得た鳥取県としては、大きな責任と覚悟が求められることになっていきます。その御覚悟、先ほど知事のほうからも御発言があり、私自身も県議会の一員として責任を負う立場にいるのだなということを改めて思い知った限りではありますけれども、例えばですが、核物質の輸送、これも事前了解、事前に連絡を得ることになりました。こういう情報を得るということの重みというのは物すごく大きいものがありまして、もし漏れたらテロに直結するかもしれません。これも大きな責任だと思います。そういう情報の統制の仕方、これは米子も境港にも同じように情報は入ってまいります。そういう部分の本当に責任の重みというものをかみしめながら、県民の安心・安全をより高めていく。

 その1点目の部分の情報統制のあたり、それと、もう一つが、やはり一番大事なのは、私もマスコミにいましたが、原発というものはあまりよく分かりません。分かっていただくのは、今鳥取県で後ろに控えてくださっていらっしゃる専門家だと思います。この専門家の皆さんの今でもしっかりと資質は高いものがあると思いますが、これを未来永劫、さらにさらに質を高めていくこと、これこそが県民の安心・安全、島根原発の安全性の確保、ここに向かっていく大きなベクトルになっていくと思います。

 その部分の2点について、質問させていただき、私の意見としては、このたびの改定について、もうもろ手を挙げて了としたいと思います。

 

●平井知事

 福浜県議から2点のお尋ねがございました。

 福浜県議も情報の専門家でいらっしゃいますので、お分かりいただけていると思いますけれども、情報をどのように保持して、確保して、それのセキュリティーを高めていくかというのは非常に難しいところでありますけれども、それをやらないといけない場面というのがあります。特に核防護というのは、これは危機管理の中でも非常に重要度の高いところでありまして、そういう燃料物資の輸送の情報が入ること、それからまた、場合によっては、いろんな情報に接することができる。そういう意味で、今回、仮にこの協定が結べるということになりましたら、その情報管理の在り方につきましては、精度の高い、そういう対策を早速考えてみなければいけないというふうに考えます。こうしたノウハウにつきましては、米子、境港両市とも共有を図っていかなければいけないと思います。

 また、あわせまして、専門家というお話がございました。原子力安全顧問というやり方をやっておりまして、こちらのほうで当代一流の学者さんたちに加わっていただいています。これは今後とも活用していきたいと思いますし、現実に原子力発電所が今後、いろんな展開をしていくでしょうけれども、そのときに、その状況をどう判断したらいいか、あるいは、将来どう動くかということを予測したらいいか、どういう方策が有効なのかなど、そうした専門家の知見を密接にこれからも得て、県民の皆様の安全確保に供してまいりたいと思います。あわせて、県庁の中でも専門家を育てることが重要でございまして、採用、また、その後の育成、場合によっては、他の組織からのリクルート、これらも含めた専門的な組織の質の強化ということを今後も図ってまいりたいと思います。

 

◎内田(博)議長

 以上で質疑を終わります。

 この問題につきましては、議会の要請に対し、知事、執行部が10年という長きにわたり、粘り強く働きかけ、また、議場においても度々議論が交わされたという長い歴史を経て、今こうしてようやく中国電力から回答が得られたわけでございます。本日の議論においては、中国電力の回答について了とする意見があったと思いますので、知事におかれましては、ただいままでの意見を踏まえ、引き続き適切に対応していただきたいと思います。

 以上で全員協議会を閉会いたします。お疲れさまでした。

 

午後1時17分 閉会

 

 

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