令和3年度議員全員協議会議事録

令和3年10月8日会議録(確定版)

開催概要、資料はこちらです
出席者
(35名)
委員

市 谷 知 子        尾 崎   薫
銀 杏 泰 利        坂 野 経三郎
島 谷 龍 司        常 田 賢 二
中 島 規 夫        浜 崎 晋 一
濵 辺 義 孝        福 浜 隆 宏
藤 縄 喜 和        山 口 雅 志
内 田 隆 嗣        斉 木 正 一
澤   紀 男        西 村 弥 子
野 坂 道 明        浜 田 妙 子
松 田   正        森   雅 幹
山 川 智 帆        興 治 英 夫
川 部   洋        由 田   隆
浜 田 一 哉        安 田 由 毅
広 谷 直 樹        西 川 憲 雄
福 田 俊 史        伊 藤   保
語 堂 正 範        藤 井 一 博
鹿 島   功        福 間 裕 隆
内 田 博 長

欠席者
(なし)


説明のため出席した者  田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全

 規制管理官、坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)外

職務のため出席した事務局職員  寺口事務局長

 


開  会     午後1時01

休  憩     午後1時52分 / 午後2時57分 / 午後3時52

再  開     午後1時58分 / 午後3時06分 / 午後4時01

閉  会     午後4時48

会議録署名議員  斉木議員  福間議員

司  会     内田(博)議長

協議事項     別紙協議事項のとおり

会議の概要

 

午後1時01分 開会

 

◎内田(博)議長

 ただいまから議員全員協議会を開会いたします。

 まず、会議録署名議員に斉木正一議員、福間裕隆議員を指名いたします。

 島根原子力発電所2号機については、平成2511月に中国電力株式会社から島根原子力発電所に係る鳥取県民の安全確保等に関する協定に基づき、知事に新規制基準適合性審査の申請の事前報告がございました。同年12月に各種条件を付した上で、最終的な意見を留保する旨の回答をしたところであります。

 このたび、かねて審査中であった島根原子力発電所2号機が先般9月15日に新規制基準適合性審査に正式に合格したとの報告が中国電力株式会社からありました。本日はこれらの議題について県議会として十分議論するための端緒として原子力規制庁、内閣府、資源エネルギー庁、中国電力株式会社においでいただき、説明を受ける機会を設けました。

 本日の予定ですが、まず初めに原子力規制庁の説明と質疑を行い、続いて内閣府、資源エネルギー庁、中国電力株式会社という順番で説明者の入替えを行い、説明と質疑を行うこととしています。

 なお、説明及び質疑につきましては、マスク着用のまま発言していただくようお願いをいたします。

 まず初めに、原子力規制庁から島根原子力発電所2号炉に関する審査の概要について説明を受けたいと思います。

 原子力規制庁の皆様には、お忙しい中にもかかわらず議員全員協議会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 それでは、原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官、田口達也様、そして地震・津波審査部門安全規制調整官、内藤浩行様、お二人に合わせて25分間程度を目途に着座にて説明をお願いいたします。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 御紹介にあずかりました島根2号機の審査を担当いたしました田口と申します。本日は御説明の機会をいただきましてありがとうございます。

 今日お配りしている内容は少し専門的になりますけれども、なるべく効率的に分かりやすく説明してまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 お手元の資料の3ページを御覧いただければと思います。まず、審査の前の前置きのことを幾つか御紹介いたします。

 規制委員会が独立をした組織として経済産業省から分離をして設置されたということについて、少し触れております。私は保安院のときにも若干そちらに在籍しておりましたので、それぞれの組織の違いを実際に体感しておりますけれども、保安院のときはトップが大臣でありまして推進も担っておられるということなので、やはり職員はそれを少し頭の片隅に置いた仕事の仕方になっていたと思いますし、それから経済産業省というのは大きな組織で、職員が2年ごとに異動を繰り返しますので、なかなか規制の部門に専門性が蓄積されない、こういった問題がございました。

 規制委員会になりましてからはトップが更田委員長、最も詳しい方がトップに立って安全性のみを議論する。それで職員も他省庁との異動は基本なくなりましてこれに専念をしているということで、非常に専門性が蓄積されている形で審査を行っています。

 4ページをお願いします。福島事故の教訓は皆さん御存じと思いますけれども、念のためにおさらいをしたいと思います。

 緑色の(1)番から(7)番が事故の進展でございまして、黄色い四角で2つ書いているのがそこから得られた教訓でございます。

 (1)から少しおさらいをしますと、まず地震によって外から来る外部電源が全て失われております。次に、津波によって外から来る電源がなくなったときは、所内の非常用の発電機が2台ありまして、これで必要な電気を供給することになっていたのですけれども、これも津波で全てやられてしまっております。そうすると原子炉建屋の中がまず真っ暗闇になってしまったということと、それから中央制御室も電気が消えてしまいましたので、計器類が全部見えなくなって原子炉の中で何が起きているのか分からないし、かつ移動するだけでも真っ暗闇なので非常に困難を極める、こういう事態が起きています。

 もう一つ、原子炉の中には水を注ぎ続ける必要がございます。制御棒というものを下から入れて核分裂反応は止まったのですけれども、燃料は崩壊熱といってその後何日間にもわたって熱を出し続けます。その熱を取るために水を入れ続ける必要がございます。しかし、この水を入れる設備がほとんど電気で動く設備ばかりだったので、電気がなくなったことによって注水ができない。したがって水が入れられないし、かつその原子炉の中の状態、水位がどれぐらいなのかとか温度、圧力がどれぐらいなのかこれも分からないという事態に至っております。

 東京電力はそうした中でそこまでの事態になることはあまり想定していなくて、そうした場合にどうするかということはあらかじめ準備していませんでしたので、その場での思いつきといいますか、例えば駐車場にある車からバッテリーを外してきてそれを12個直列につないで、それを暗闇の中で図面を見ながら中央制御室の裏につなぐとか、そうしたその場でのとっさの対応をしていた。ただ、やはりそれは時間がかかりますので、結局間に合わなくて炉心が溶けてしまったということでございます。

 (3)番の冷却停止というのは注水ができないということで、(4)番、炉心が空気中に露出して溶けてしまう。そうすると水素が発生して、それが格納容器から外に漏れて建屋で爆発をした、こういう流れでございます。

 教訓の1つ目は左の黄色い枠です。地震とか津波とか一つの原因で複数用意していたものが全部失われてしまう。これが非常に壊滅的でした。これまで原子力発電所の安全設計というのは非常用発電機なら2台、蓄電池も2台、いろんなものを複数用意して、一つが壊れてももう一つあるから大丈夫だとこういう考え方だったのですけれども、今回は津波という一つの原因で用意していた電気が全部死んでしまう。こういうことが起きまして、これは非常にダメージが大きいので、こうした要因を徹底的に潰すべきであるというのが1点目の教訓です。

 2点目の教訓は右側ですけれども、シビアアクシデント、炉心が溶けるような事故が起きたときにそれを途中で食い止める事前準備をしていなくて後手後手になってしまった。そういったことを想定して準備しておく必要があるだろうというのが2点目の教訓です。

 5ページをお願いします。以上の教訓を踏まえて基準がどのようになっているかというと、左が従来の基準、右が新しい基準です。左のほうは事故の発生を防止するための基準までしか設けていなくて、万一この青と緑のエリアを超えるような事態が起きたときの備えは、国は規制としては要求しない。電力会社は自主的に対応するようにということは求めていたのですけれども、規制では求めていなかったということでございます。

 右側の新しい基準は、事故を防ぐための水色とか緑色の基準は大幅に強化した上で、それでもなおここが機能しなかったときのために黄色いところ、ピンクのところといった重大事故に備える対策を追加で求めている、こういう構造になります。

 6ページをお願いします。本日の説明は、この左から右に向かって説明します。

 一番左は事故を防止するための対策でございまして、この緑のエリアは常設の設備を中心に対策を講じています。それでもこの緑が使えなくなったという前提に立って重大事故の発生を想定し、黄色とかピンクのエリアは可搬型の設備も使って対策を求めているわけです。そういう事態になったときに原子炉の状態がどうなっているか、あるいは敷地の中がどうなっているかというのは少し不確かですので、可搬型設備も使って柔軟に対応していくという形になります。

 左の緑のエリアは原因別に潰していくような対策で、地震のための対策あるいは津波のための対策あるいは火山のための対策、このように原因を特定してそれを潰すのが緑のエリアです。

 黄色のところは、原因はともかく、注水ができないのだというところからスタートして、それでも追加の設備で何とか食い止められないかというようなことを確認していく、こういう審査になります。

 7ページ、規制の枠組みの御説明です。左側にピンクと水色と緑の矢印がありますけれども、今はピンクのところが終わったところでございます。ピンクのところでは、基本的な設計方針を確認します。その後、詳細な設計については青色、それから運用面の手順とかは緑色のところで詳しく確認していくことになります。

 地震を例に取って申し上げますと、このピンクのところで何をするかというと、敷地に起き得る最大の地震をまず特定いたします。我々はこれを基準地震動と言っていますけれども、最大の地震を特定するのはピンクのところでやります。それから、そうした地震が起きた場合に重要な設備を損傷させないように設計をする、必要な補強をする。こういう方針を確認するところまでがピンクでございます。

 水色の設計及び工事の認可のところで、基準地震動に対して壊れないような設計になっているかと、実際に個別の設備を一つ一つ見てまいります。例えば地震であれば、地震後にすぐ設備の点検をするとか、地震に関係する様々な手順が適切かというのは緑のところで見ていくことになります。

 ピンク色のところで大きな方針を確認して、水色とか緑に行くほどより詳細なところを見ていきますけれども、ピンクの方針に沿っているかどうかという観点で確認をしていく形になります。

 8ページをお願いします。審査の経緯を書いております。従来の審査との最も大きな違いは、透明性を完全に確保した形で行っているということでして、我々の審査会合を全てYou Tubeで同時中継しておりますし、その画像も後から見られるようになっております。我々が電力会社に対して指摘をする場合も何を言うかを事前に一切伝えずに、公開の会合で初めて相手に伝えます。それでそれに対する電力会社の回答はその場で答えられればその場で聞きますし、無理であればまたそれは別の公開の会合で聞くという形で、我々が何を言ってそれに対してどう回答したかというのを全て公開の下でやっておりますので、後から検証ができるし双方がしっかり説明責任を果たせるという形で行っております。

 保安院のときですと、難しい論点になりますと事前に双方調整をしてある程度落としどころが見えてから公開していく。こういうようなこともあったかもしれないのですけれども、今はそういうことは一切なくて、全くガチンコで公開の場で議論をしているということでございます。それによって時間が少し長くなっている面はありますけれども、透明性は非常に確保されたということでございます。

 これまで審査の前置きでしたけれども、10ページから中身の説明に入ります。

 まず、最初申し上げたように緑のエリアで事故の発生を防止する原因別の対策を見てまいります。今日はちょっと時間の関係で、まず自然現象として地震と津波と火山、この3つについて御紹介をします。

 地震ですけれども、12ページをお願いします。地震の評価をするに当たって確認すべき点が2つございまして、そのうちの1点目が断層がずれるかどうかということです。この左の図にありますように、施設の真下に活断層があって、それがこの絵のようにずれてしまうと施設がどのように壊れるか予想がつかないということで、施設の真下に活断層はあってはならないということを求めています。これを審査でどういうふうに確認するかというと、敷地の真下に断層らしきものがあるかどうかを探します。それでその断層らしきものが過去長い間動いていなければ、それはもう活断層ではない、今後動かないという評価になりますし、この過去12万年から13万年よりも後に動いた形跡があれば今後も動き得るということで、活断層であるという判断をいたします。この右下の図のように地層を掘って12万年前の地層を見たときに、そこを断層が切っていれば12万年以降に活動があったという評価になりますし、この図のように下のほうが動いているけれども12万年のところは動いていなければその断層は今後は活動しないであろうと、こういう評価をするものでございます。

 13ページをお願いします。島根2号炉はどうであったかというと、左側のポツの1つ目にあるように敷地には地層を切るような断層は認められない。先ほどの図の右下のような断層はございませんでした。何があったかというと、この右図の青い線を我々はシームと言っていますけれども、これは地層を切るのではなくて地層と平行に滑るようなタイプの断層です。それでその地層というのは水平ですけれども、それが長い年月をかけて少し傾いてこの図のように青い線として地表に露出をしているものでございまして、このシームの活動性を調べたところ、ポツの3つ目、これができたのは約1,000万年前ということで、今後活動する断層には該当しないという評価をしております。

 以上が地震のうちの活断層のずれの問題でございます。

 続いて14ページをお願いします。次に揺れの問題です。こちらは敷地で起きる最大の揺れの想定を評価します。やり方としてはこの図の1、2、3とありますけれども、まず震源の活断層を特定します。この震源の活断層の長さ、面積あるいは傾き、こういったものを調査によって特定します。それでこれが動いたら、動いたときに敷地まで伝播する過程で距離が長いと普通は減衰していくわけですけれどもその減衰の様子や、あるいは地中から地表に上がってくるときに地表のほうが地面が軟らかいので今度は増幅をしますけれども、そうしたことも考慮して最終的に4番の地震動ができるということでございます。島根2号炉については、この1番の震源、活断層の大きさで少し議論がございました。

 15ページをお願いします。この図の黒い線で引いてあるのが全て断層でございまして、特に敷地に影響を与えると評価されたのが赤枠で囲っております宍道断層とF-3.・F-4.・F-5.断層です。特に16ページを御覧いただければと思いますけれども、宍道断層については最初に申請があったときにはこの図の真ん中の少し下の辺り、ピンクで書いていますが、22キロであろうという申請があったわけですけれども、審査によって両端をもっと長く取ったほうがいいのではないかということで、結局39キロで決着がついています。断層が長くなるとその分想定する地震が大きくなるということで、結果としては17ページを御覧いただければと思いますけれども、ここに波が5つございまして、それぞれ審査の結果大きくなっております。

 以上が地震の審査でございまして、続いて津波に移ります。20ページをお願いします。

 津波も地震と少し似ておりまして、海底にある活断層を特定して、それが動いたときにどれぐらいの津波が敷地に来るかという評価をすることになります。

 島根については、この図の上にあるF-3.・F-4.・F-5.断層、先ほど出てきたこの断層が動いた場合と、それから下のほうにあります日本海の東縁部と言うのですけれども、このエリアの断層が動いた場合に最も大きな津波が来るだろうということで、日本海東縁部のほうは2つのモデルを使って評価しております。

 結果として21ページ、基準津波を6つつくりまして、この6つのいずれが来ても敷地に浸水をさせない、あるいは安全性を損なわせないという方針であることを確認しています。

 こちらの右の図を見ていただくと、この波形が波の波形ですけれども、ここでは2.44メートルと書いております。この意味するところは、左の図を御覧いただくとこの基準津波というのは敷地から2.5キロ離れた地点で確定をいたします。したがって、敷地から2.5キロメートル離れた水深60メートルの場所で高さが2.4メートルということで、敷地に来るともっとこれが上がってまいります。その結果どれぐらいになるかというと、23ページを御覧いただくと真ん中の少し上の辺り、赤枠で入力津波高さと書いています。これが敷地に実際に基準津波が来たときの高さで、11.9メートルになるであろうと。これに対して15メートルの防波壁を造って、敷地に浸水をさせないようにするという方針を確認しています。

 この左上の図、青と緑と赤で色が分けられておりますのは、防波壁の構造が少し違って区間ごとに違うタイプの防波壁を使うことになっておりますので、それを表現しております。以上が津波でございます。

 自然現象として、最後に火山を御説明します。25ページです。

 火山については確認ポイントが2つありまして、1つ目はまず火砕流のような、設計でも対応しようがない、来てしまったらどうしようもないようなものが敷地に来るかどうか。これについては、火山から十分離れているので火砕流が敷地に到達することはないだろうという評価がまずされております。

 その上で、もう一つは、火山灰は普通遠い距離があっても到達しますので、火山灰が来るとしたときにどれぐらい積もるのかという評価をしました。最初申請は2センチであったのですけれども、いろいろ評価をした結果56センチの火山灰を想定するという結論に至っております。

 続いて30ページ。自然現象以外の対策は幾つかあるのですけれども、1つだけ御紹介をします。電源の強化です。こちらは福島原発事故の原因にもなりましたので非常に強化しておりまして、まず外から来る外部電源は3回線をそれぞれ独立した回線として設けています。福島では2本の線が同じ鉄塔に載っていて、一つの鉄塔が壊れると両方とも死んでしまうということが起きたのですけれども、3本を独立させております。それから所内にもともと非常用の発電機が3台ございまして、この3台の発電機の燃料を7日間連続運転できる量を求めています。この(1)も(2)も使えなかったときのために、高台にガスタービン発電機を置いたり、あるいは移動式の高圧発電機車を複数置く、こうした対策が講じられていることを確認しております。

 これまでが事故を防止するための対策でございました。

 31ページをお願いします。ここから、今御説明した緑色の対策が効かなかったという前提で審査をしていきます。効かなかったということは、緑色の対策のために用意してある電源であるとかポンプとか、それは全部とにかく機能を殺してしまって、そんな中でも、それとは別に用意をしている重大事故用のもので事故の進展を食い止められるかどうかを見ていく、こういう審査でございます。

 32ページをお願いします。確認ポイントは2つありまして、一つはまず炉心の損傷を防止できるか。これは炉内に注水をし続けるということでございます。炉内に注水をし続けておれば炉心は溶けないということで、これができるかどうかというのを確認するのが炉心損傷防止対策です。

 今度は炉心が溶けたと仮定をして、右の図のように溶け落ちたような状態、こうなった場合には、今度は格納容器の閉じ込め機能を守りにいきます。格納容器の閉じ込め機能がしっかり維持されていれば、炉心が溶けても外への影響は小さく抑えられるのですけれども、放っておくとこの溶けた炉心の熱によって格納容器内の温度と熱が上がっていって格納容器が壊れてしまいます。そうならないように溶けた炉心を何とか冷やしたり、格納容器の空気を意図的に抜いたりをやるのが格納容器破損の防止対策です。

 33ページをお願いします。審査のやり方としては、こちらはシナリオ別に審査をしてまいります。事故の防止のほうは地震とか火山とか原因別に対策を講じてきましたけれども、こちらの重大事故については、原因はともかく電源が全くないとか注水設備が全くないとかそういうところからスタートして、そうなるとこの先原子炉がどうなるかというのは原子炉の構造上分かっておりますので、そうしたシナリオごとにしっかり食い止められるかどうかを評価するというものです。

 34ページで実際の行為のイメージをお伝えします。この真ん中の赤い縦の線の枠で描いてあるのが原子炉建屋でございます。水と電気に絞って御説明しますと、もともとこの原子炉建屋の中には様々な注水設備がございますけれども、この注水設備が使えないときにどうするかというと、この建屋のすぐ下の黄土色のところ、ここに水源とそれから別のポンプがございまして、まず必要な水はそこから供給をいたします。そこの水源には限りがありますので、その水が枯渇する前にこのページの少し左下の輪谷貯水槽から送水車でホースをつないで水を持ってくるということでございます。

 電気も中央制御室からスイッチ一つでこの図の下、黄土色のところ、ガスタービン発電機から来るようになっていますのでそこから持ってきて、それも無理なときには各保管エリアに分散配置している電源車を使って直接電気を注ぎ込むということでございます。

 35ページ、38ページに実際に我々が評価したシナリオを書いております。緑色のところは分かりにくいので黄色いところだけ御覧いただければと思います。様々なシナリオを想定して、それでも食い止められるかということを確認しております。

 41ページ、ソフト面でございます。様々な事故対策の手順書がしっかり定められて、かつそれに基づいて訓練を繰り返し行う必要がございましてそうしたことを確認しております。43ページ、今申し上げた対策が全て使えなくなったときでも、放射性物質が外に出ていくのを少しでも抑制する対策としてここにあるような放水砲の整備なども求めております。

 45ページでございます。以上のような確認の結果として、今年の9月15日に設置変更許可を行ったものでございます。

 

◎内田(博)議長

 ありがとうございました。

 それでは質疑に入りますが、質問の際には事前の取決めにより行っていただきます。

 ただいまの説明に対して、御意見、御質問があればお願いします。中央のマイクに行ってください。

 

○安田議員

 県議会自由民主党の安田由毅でございます。本日はお忙しい中御足労いただきまして、質疑の時間を設けていただきましてありがとうございます。

 それでは、質問させていただきます。

 政府方針においては、新規制基準について世界で最も厳しい規制基準との認識が示されています。今御説明いただいた基準は、福島第一原発事故のみならず国内、国外を含めこれまで原子力発電所や原子力関連施設で発生した様々な事故などを教訓とした対応が網羅され、現在想定し得るあらゆる内的・外的事象に対応した基準になっていると考えてよいか、見解をまず伺います。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 まさに福島の教訓を全て取り入れておりますし、基準をつくるときに諸外国の基準も全て確認をして漏れがないようなチェックも行った上でつくりました。それから今福島原発事故の事故原因分析調査はまだ続いておりますけれども、そこで得られたものも随時取り入れるという形で、とにかく最新のものを盛り込みながら審査をしております。

 

○安田議員

 続きまして、平成2512月に中国電力が新規制基準の適合性審査の申請を行って以降、184回の審査会合、10回の現地調査と564回のヒアリングと非常に厳格な審査が行われ、約7年8か月という審査期間を経てようやく正式合格となりました。これは再稼働済みの他地域の原発と比べて審査会合の数も非常に多くなっていると思います。もちろん安全を第一義に厳格に審査するべきですが、なぜこれほどの時間を要したのか。福島第一原発と同じ沸騰水型ということが影響したのか、あるいは島根地域特有の事情があるのか見解を伺います。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 まず、期間について申し上げると、申請が最初にPWRのほうでありまして、BWRは少し申請が遅かったので我々はまずPWRに集中して取り組んでおりまして、その結果としてBWRは後ろに遅れてしまったというのがございます。BWRをしている中でも、やはり我々の考え方として一つモデルプラントを最後のほうで選んで、それに全力で取り組んで、そこから得られた教訓を別のプラントに反映していこうとこういう手順を取りましたので、そのときに柏崎を選びました。島根はその柏崎の後、そこで得られたものを反映する。こういう流れでやってまいりましたので、少し期間が遅くなっている面はございます。

 あとは、我々は地べた側の審査と言うのですけれども、地震・津波側の審査とそれからプラント側の機器類の審査、結局時間の長さを決めているのは地べた側が非常に大きくて、このプラントの機器類、設計のところはそれほど島根がかかったわけではないというふうに考えております。

 

○安田議員

 今ちょうど最後のほうでお答えをいただいたのに関連しますが、我が国は世界の中でも地震が多発する国です。耐震対策は極めて重要であり、そういう観点から平成30年2月には基準地震動が820ガルと確定したのは審査における大きな山場だったのではと思います。

 しかし、その震源として考慮する宍道断層は申請当初の約22キロから25キロ、最終的には39キロと断層の長さが再評価され、そのたびに基準地震動も600ガルから800ガル、最終的には820ガルと変遷していきました。一部で宍道断層と鳥取県沖西部断層が連動しているのではないかと不安視する意見もありましたが、最新の知見においてこの宍道断層の評価及び基準地震動を妥当と評価された根拠を伺います。

 

●内藤原子力規制庁原子力規制部審査グループ地震・津波審査部門安全規制調整官

 地震・津波審査は私のほうで担当しましたので内藤のほうからお答えいたします。宍道断層の長さがずっと歴代長くなっていった。当初はなかったと彼らは主張したのですけれども、というのも我々は認識していますので、ここの宍道断層の長さというか端部に断層があるのかないのかということについては非常に慎重に審査を行いました。

 そこの部分については、お手元の資料48ページについております。西端については古浦沖のところで彼らは止まっていると言ったのですけれども、そこの部分に明確にないという証拠がなかなか見つからない。女島のところではボーリングを掘って、深いところまでないということが確認できていますので、ここを担保としました。

 東端については、当初下宇部尾東と言っていたのですけれども、そこの先にもやはり断層があって、これは13万年以降活動したのかどうなのかという、年代が確定できないというものがありました。その後地震本部のほうでここをP1という形で断層の疑いがあるという形もありました。ナンバー3.5というところで音波測線ありますけれども、これは島根半島を横断する形で断層がないというのがきちんと確認できておりますので、ここにはないということで端部として決めました。宍道断層の長さとしては十分な長さはできたと思っています。

 鳥取と連動するのではないかと地元のほうで御心配があるということは我々も認識していますけれども、宍道断層自体はそこにはもう長さがないというのが確定しておりますし、鳥取の西部断層のほうについても海底の断層として確認をしており、鳥取の端のところはもう断層活動が弱まっていると音波測線のところで確認できていますので、つながるものではないと判断をしております。そのため、同時に地震を起こすようなものではないと判断したというものでございます。

 

○森議員

 会派民主の森です。私のほうからも幾つか質問したいと思います。先ほども世界一厳しい規制基準だというお話が出ており、当然だと思うのですよね。日本は世界一の地震国で、プレートの上に載っている日本列島の上に原発を造っているわけですから、世界で一番厳しい基準が設けられる、当然だと思います。

 ところが、それを基に新たな安全神話が動き始めております。これまで規制委員会のほうは安全だとは言わないと委員長がおっしゃっていたと思うのですけれども、この基準審査の合格は安全を保証しているものなのか、規制委員会の立場をもう一度明らかにしていただきたい。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 まず、世界一と時々言われてしまうのですけれども、我々は世界最高水準であるというふうに申し上げていて、それはほかの国より突出して1位ということではなく、我々は他国の基準も全部調べて抜けがないように、全く遜色がないという意味での世界最高水準というふうに使っております。日本がほかより特に優れているとまでは申し上げておりません。

 その上で、この基準に適合することが安全を保証するものではないというのはまさにおっしゃるとおりでして、原発がそこにある以上リスクは常に残ります。それで安全を保証するような表現をしてしまうと、もちろん安全性は高まってはおりますけれども、リスクが必ずあるのだということは我々は常に自分たちでも認識をしながら審査していまして、その残ったリスクをとにかく減らすために継続的改善を続けるということが大事だと思っています。いずれにせよこれでリスクがゼロになったというものではございません。

 

○森議員

 安全を保証しているものではないということを確認しました。

 先ほど宍道断層と鳥取沖地震の連動はないのだということでしたけれども、結局先ほどもお話があったように中国電力は1号機の申請のときは宍道断層はゼロだと言っていたのですよね。それが8キロだと言い、それがまた10キロだと言い、それからその間にこれは当時の広大の中田教授でしょうか、18キロだという新たな知見が出されても全く無視をしていたわけです。それを今回の申請のときには22キロだと言ってきて、規制委員会のほうから怪しいのではないのということを言われて、ようやく39キロというのを受け入れた。そういうことだと思うのですよ。こういう新たな知見が今後もまた出てくると思うのですよね。今回は連動しない、つながっていないというふうに見たということだと思うのです。バックフィットという考え方を入れているというふうに聞いています。これは新たな知見が入ったときにどうやってこの規制基準を、あるいはこの合格したものについての再検討ということがどういった手順で行われるのか。それから、新たな知見が出てきてからそれが何年もかかって、それが例えば学会で認定されるまで、みんなの大体の意見になるまで規制委員会は動かないとかそういうことではないと思うのですけれども、それがどういったタイミングでどういうふうに発動されて、そのバックフィットに規制が変わっていくのかというところを教えてください。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 バックフィットというのは、新たな知見が出てきたときに遡ってそれを適用する仕組みでございまして、やり方は2つございます。一つは、新しい知見が出てきたときにその知見を踏まえて基準を変えてしまって、したがってこの基準に適合していないプラントは適合するまで動けない、あるいは猶予期間を設けたりしますけれども、その猶予期間の間に適合しなければならない。全ての原発に適用されるような新しい基準のときには、そのように基準そのものを変えてしまって、それへの適合を求めるという形を取ります。

 それとは別に、基準自体は変える必要はないのですけれども、例えばどこかのサイトで新しい断層が見つかったというときは、これはそこのサイト固有の問題として、それも新しい知見になります。ただ、これはだからといって基準自体は間違っていなくて、今まで見落としていた断層があったということになりますと、そこのサイトに限ったいわゆるバックフィットすることになります。これのやり方は、まだ我々もケース・バイ・ケースで試行錯誤しているようなところがありますけれども実例がございまして、DNPという大山の火山灰が想定より多いのではないかという知見を得たときには関西電力に再評価を命じて、再評価にその分厚い火山灰を前提に申請を出し直してもらう手続を取りました。法令上のどの条文を使って何をするかというやり方はいろいろあるかもしれませんけれども、いずれにせよ基準を変えない形でもバックフィットはしていきたいと考えております。

 そのときに時間をかけていると福島事故と同じようになってしまいますので、まずは取れる対策を先に取ってしまって、その後必要な時間はかければいいと思うのですけれども、そういった形で実効性がある形で対応していきたい。規制委員会としてそのように考えております。

 

○森議員

 最後にテロ対策です。飛行機の事故を想定していると書いてあるのですけれども、この日本海で一番想定されるのは北朝鮮のミサイルだと思うのです。ミサイルが建屋にぶつかって、それが大丈夫だと、そういった設計になっているのでしょうか。これだけお願いします。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 いわゆる国家間の紛争、戦争のときのミサイルとかそうしたものは規制の枠組みには入れておりませんので、それは確認をしていないということになります。

 

○澤議員

 公明党の澤です。7ページについて基本的なことを1点伺いたいと思います。

 原子炉等規制法に基づく発電用原子炉施設に関わる規制という観点ですけれども、原子炉等規制法に基づきまして、今回その審査が終了しましての設置変更許可、基本的な設計方針ですね。そして同時並行的に行っておりますこの設計及び工事計画認可、機械等の詳細設計ですね。それと保安規定の変更認可、運用ルールということの審査が行われておるようです。そこで聞きたいのは、あと2つ残っていますけれども、この審査終了までのスケジュール感をお聞かせ願いたい。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 よくそういう質問を受けておりまして、なかなか定量的にお答えしづらい面はあるのですけれども、相場感として申し上げると、この施工には1年とかそれぐらいのオーダーの期間がかかるものです。幅はもちろん、まだ申請もちゃんと受けていないので申請内容によってもちろん変わるのですけれども、オーダーとしてはそれぐらいのものです。

 この緑の保安規定のほうは、そんなにもめなければ数か月のオーダーです。したがって保安規定がそのスケジュールを縛るということには多分ならなくて、この水色のほうがスケジュールを縛る。この水色が終わるぐらいの間に保安規定も恐らく終わるであろうと、こういうのが一般的な相場感であります。

 

○山川議員

 おとといの島根県議会の特別委員会でも傍聴させていただきまして、そのときのやり取り、そして本日の全員協議会のやり取りを踏まえて質問させていただきたいと思います。専門家ではないので、基本的なところの確認をさせていただきたいと思います。

 私たちが気になるところはやはり安全性の担保なのです。そこで、再度追及質問させていただきたいと思います。

 規制庁のホームページには、新規制基準を満たすと絶対的な安全確保ができるわけではありませんとあります。新規制基準に適合するからといって、原発事故を生じないということを保証するものなのか。質問と回答を合わせて8分の時間制限がありますので、はいかいいえでお答えください。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 保証するものではございません。

 

○山川議員

 保証するものではないということですが、その一定の安全性を示している、絶対の安全を保証するものではないというふうに島根県議会でもおっしゃられていました。あえて聞かせていただくのはやはり原発の事故が起きると苛酷で、福島ではいまだに10年たっても帰れない人が多々おられます。

 そこで、再度確認します。絶対事故が起きないという安全性を保証していないことを確認してよろしいですね。イエスかノーでお答えください。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 はい、事故が絶対起きないという保証はしておりません。

 

○山川議員

 島根県議会は説明時間ももうちょっと長かったですし時間も制限がなかった。質問がすごくたくさんされていたのでそれら辺りを言いますと、実際放射性物質が拡散したときどうするのですかということで、こんな原始的な方法ですかと。ホースの水でたたき落とすというふうに言われていて、そんな原始的な方法をされているのですか、実証実験されたのですかと言ったら、されていませんというふうにおっしゃられていました。

 先ほどテロの話もありましたが、テロはあくまでも分散の配置をしただけであって、認可されてから5年以内に求めるものだということが法律で定まっていると説明もありました。そして竜巻とかテロとか、その資料には今回なかったけれどもどうなのというふうに言われていましたら、ネットで覆いますよというふうに。何か本当なのかなということを原子力規制委員会の方が言われていました。

 原子力規制委員会としては、事業者の許可をしたのはあくまで事業者が技能を有しているかどうか、ここの基本的なところを評価したのだということを言っておられましたが、これでよろしかったですか。イエスかノーでお答えください。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 ちょっと質問をきっちり捉えかねている面があるのですけれども、安全性のその基本的なところは確認をいたしました。それで運用面の細かいところ、要は我々基本的なところができている、基本的な考え方、方針は基準に適合している。機器の詳細あるいは運用の詳細は、今後の工認とか保安規定で追加的に見ていくことになります。

 

○山川議員

 なぜこういう質問をしたかというと、原子力規制委員会は先ほど基本的なところや方針を評価したと言われていたのですけれども、絶対的な安全性を保証するものではない。しかし国の政策対応の方針を見ますと、原子力規制委員会は世界で最も厳しい水準の規制基準で、この適合が認められた場合は再稼働を進める。加速させるタスクフォースだったり、資源エネルギー庁は言われるのですね。

 新規制基準は最高水準と先ほど言われたのですけれども、アメリカでは原子力規制委員会と連邦緊急事態管理庁(FEMA)が緊急時計画の基準を提示し、原発の稼働を許可する際、

FEMAの評価に基づき原子力規制委員会が事業者と自治体の緊急時計画を審査する制度になっていますよね。アメリカと日本の比較をした上で、世界で最も厳しい水準の規制基準ということが言えるのかということを聞きたいのですよ。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 我々がそういうふうに言っている趣旨は、まず福島事故の教訓を全て取り入れていること、それからIAEAの基準も取り入れておりますし、アメリカ、欧州その他の各国の基準を全て取り入れて、抜けがないようにつくったという意味で世界の最高レベルと比べて遜色がないという、こういう意味で世界最高水準の基準という言葉を使っております。

 

○山川議員

 我々は世界のものを調べて抜けがないということを言われましたけれども、深層防護の第5層の避難計画の実効性については審査されていませんよね。それはイエス、ノーでお答えください。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 申請に対する審査としては行っておりません。別途、防災の枠組みでそちらに規制委員長が参加して確認していることはあるのですけれども、この今回の基準適合性の中にはそれは入っておりません。

 

○山川議員

 原子力規制委員会が深層防護の第5層、避難計画の実効性についてはチェックしていないと。原子力規制委員会の委員長が原子力防災会議で了承したという事実は知っていますが、そこは聞いていません。今回その原子力規制委員会が深層防護の避難計画、こちらを確認していないということ、もう一度それだけをお答えください。

 

●田口原子力規制庁原子力規制部審査グループ実用炉審査部門安全規制管理官

 しておりません。

 

◎内田(博)議長

 以上で質疑は終了し、原子力規制庁からの説明は終わりました。

 田口様、内藤様をはじめ原子力規制庁の皆様には、丁寧な御説明、御答弁をいただきまして誠にありがとうございました。

 それでは、説明者の入替えを行いますので暫時休憩いたします。5分後に再開いたします。

 

午後1時52分 休憩

午後1時58分 再開

 

◎内田(博)議長

 それでは再開いたします。

 引き続きまして、内閣府から島根地域における原子力防災の取組について説明を受けます。

 内閣府の皆様には、お忙しい中にもかかわらず議員全員協議会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 それでは、内閣府政策統括官付参事官、坂内俊洋様、25分程度を目途に着座にて説明をお願い申し上げます。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 それでは、内閣府から参りました坂内と申します。御説明させていただきます。

 本日お配りしております島根地域における原子力防災の取組についてという資料がございます。これに基づき御説明します。

 1ページめくっていただきますと、本日御説明させていただく項目について御紹介しております。

 1つ目が、3ページ目をおめくりいただきますと私ども内閣府の原子力防災担当の組織、これは比較的新しい組織で平成26年に発足いたしておりまして、福島原子力発電所事故の反省を踏まえ設置されたものでございます。内閣府特命担当大臣、岸田内閣の発足に伴いまして山口壮衆議院議員が着任されております。また副大臣には務台俊介衆議院議員、政務官には穂坂泰衆議院議員が着任されておりまして、その下、我々70名の体制で対応いたしております。

 4ページ目を御覧になっていただきますと、我々の業務を御紹介しております。大きく3つございまして、まず1つ目が地域防災計画。これは関係の自治体様においてお決めいただくものでございますけれども、これをしっかりしたものとなるよう、我々は全面的な支援をして充実させていくといったことでございます。

 2つ目が、そうした地域防災計画の充実の過程で必要となる、例えば資機材の整備あるいはその設備の整備、こういったものについての財政的支援をさせていただくというのが2つ目でございます。

 3つ目でございます。制度とそういった設備あるいは資金があってもやはり人がしっかりと動けなければならないということで、訓練をしっかりと支援させていただくという3つが我々の使命ということになってございます。

 それでは、本日2つ目の御説明内容として、緊急時対応の検討の過程ということで6ページ目を御覧いただきたいと思います。緊急時対応と我々が呼んでいるものは、関係の自治体様がお決めになるその地域防災計画・避難計画、これとあと国の防災業務計画、事業者の防災業務計画等々を取りまとめたものでございます。この表はちょっと複雑でございますが、最もコアとなる部分は自然災害と同様、国が防災基本計画を定めまして、これが一番左上に書いてございます。それに基づいて、各自治体様が地域防災計画をお決めになる。その中には避難計画もございます。

 ただし、その原子力災害というのは非常に特別、特殊な災害でございまして、しっかり国がバックアップして、また関係する自治体様も多くいらっしゃいまして、そうした複数の自治体様と国、あと事業者がしっかりと連携して取り組まなければならない。まず原子力規制委員会が原子力災害対策指針というものをつくって、これと防災基本計画の原子力災害編に照らして地域防災計画をつくっていく。関係の自治体様がおつくりになったものを全て取りまとめる形で、緊急時対応というのをこの緑色の四角にございます地域原子力防災協議会、これは原子力発電所が立地する地域ごとに設置するものでございますけれども、この島根原子力発電所についても島根地域の協議会をつくりまして、ここで関係省庁と関係自治体様がお集まりいただきまして取りまとめるということで、また後ほどのページにも出てきますけれども、今年7月30日に取りまとめたところでございます。

 また、最終的には総理を議長とする原子力防災会議のほうで関係閣僚がこの緊急時対応に基づいてしっかりと関係省庁、その配下の行政機関がしっかりと対応するようコミットするという形となってございます。それぞれのプロセスを内閣府がしっかりと支援していくという形になってございます。

 次の7ページ目、この島根地域の緊急時対応について、これまでの検討過程をお示ししたものでございます。検討経緯ということで左側にフローチャートもございますが、平成27年から島根地域原子力協議会の下に作業部会を設置しまして、33回開催して検討を進めてまいりました。それが今年の7月30日に取りまとめる形となりまして、9月7日に原子力防災会議で関係の閣僚全てにおいて了承されたということでございます。

 また、このページには記されておりませんけれども、令和元年11月に島根地域において原子力災害の総合防災訓練をさせていただきました。これは国と関係自治体様が共同で行う訓練でございまして、その成果もこの検討の中に反映されています。

 8ページ目を御覧ください。先ほど、原子力規制委員会が定める原子力災害対策指針にも照らして避難計画等をつくっていると申し上げました。その原子力災害対策指針というものは8ページにもその概要についてお示ししておりますけれども、まず原子力災害時における放射線被曝の防護措置、基本的な考え方を示しておりまして、住民等の被曝線量を合理的に達成できる限り低くすると同時に、被曝を直接の要因としない健康等への影響も抑えるということを基本的な考え方としております。

 ここでその被曝を直接の要因としない健康等への影響ということで、最も考えなければならないのは福島原子力発電所事故のその避難行動における状況でございます。その避難に伴って災害関連死と呼ばれることもございますけれども、無理な避難によって命を落とされた方と東日本大震災に関係する大きな被害を受けた3県、岩手県、宮城県、福島県、この中でも福島県が突出して多い、桁が1つ多いということになってございまして、これは大きな反省点でございます。命をお守りするという観点から見てもそうした状況はしっかりと防がなければならないということで、そうした反省点を基に、重点区域を定めるとともに、その重点区域ごとに行動を取るための判断基準を定めたということになってございます。

 9ページ目を御覧になっていただきますと、その重点区域の概要として発電所からおおむね半径5キロ圏内をPAZ、これは国際原子力機関(IAEA)が技術的な文書の中で定めている概念をこちらに適用したものでございまして、そのまま引用しているものでございます。原子力災害が起こった場合、その発電所から放出されるであろう放射性物質からの健康被害を前もって、これ「Precautionary」と書いてございます。前もって回避するためにここの方々については事前に避難いただくということでございます。

 また、5キロ圏内を超えますと、放射線被害の健康への影響は相当程度低くなってございまして、UPZの30キロ圏内におかれてはまず屋内退避をしていただいて、その経過をモニタリング結果等を踏まえ対応していただくということになってございます。

 今、私が申し上げたことが10ページ、11ページ目のほうに書いてございまして、10ページのほうを御覧になっていただくと、今申し上げましたPAZ、UPZ、これが左側の縦軸のところに並べてございます。それぞれ横軸に警戒事態、施設敷地緊急事態、全面緊急事態と状況の進展によってフェーズを分けてございます。大地震が起こった等の警戒事態以降、その施設にも実際の影響があったという黄色い段階になったところでPAZの方々の中で避難に時間のかかる方々、例えば介護等を受けていらっしゃる方、あるいは小さいお子様をお連れの方、あるいは妊娠なさっている方、こういう方々についてはこの施設敷地緊急事態というところ、前もった段階で避難を始めていただく。

 さらに事態が悪化して、放射性物質の放出の可能性が相当高まってきた全面緊急事態、赤色のフェーズになります。こういった事態については、PAZの方々については避難をしていただく。また、UPZの方々については屋内退避をしていただく。こういった形となってございます。

 また、次の11ページ目を御覧になっていただきますと、さらに全面緊急事態以降状況が悪化して放射性物質の放出がされてしまったといった段階においては、UPZの方々については全面緊急事態で屋内退避をされているのですけれども、例えば500マイクロシーベルトという数値が出た場合は数時間以内を目途にどういった地域がそうなっているのかというのを特定して、速やかに避難していただく。また、そこまでには行かずとも20マイクロシーベルトを超えた地域については1日以内を目途に区域を特定し、その方々には1週間程度の時間的猶予を持ちながら計画的に一時移転をしていただくという基準を決めております。

 また、こうした避難、一時移転の基準とともに飲食物を摂取する際の様々な制限を設けるかどうかという判断基準として0.5マイクロシーベルト/アワーという値もありまして、これに基づいて対応を取っていくということとされております。

 次に、3つ目の本日の御説明事項ということで、今、私が申し上げた原子力災害対策指針あるいはその地域防災計画・避難計画の基本的な考え方をこの島根地域に当てはめるとどうなるかというのをお示ししてまいります。

 13ページ目を御覧になっていただきますと、そのPAZ、UPZ、5キロ圏、30キロ圏がどういった形となるのかというのをお示ししたものでございます。

 PAZ5キロ圏内というのは、島根県の松江市の中でも鹿島地区、生馬地区、古江地区、島根地区の令和2年12月末現在で9,487名の方がお住まいの地域となってございます。

 一方でその30キロ圏内となりますと、鳥取県様の中でも米子市と境港市、それに島根県の松江、出雲、安来、雲南といったところを加えまして、お住まいの方の規模でいうと448,009名の方がお住まいの地域となってございます。

 また、14ページ目を御覧いただきますと、我々は松江市の中にオフサイトセンターを設置しておりまして、全面緊急事態という状況になりますと、そこに原子力災害現地対策本部を設置します。内閣府副大臣がこちらのほうで本部長となって、自治体様も含む関係機関からの情報、事業者からの情報を集約して、官邸に設置される災害対策本部と連携を取りながら判断、あるいはその対応を進めていくということとなってございます。

 福島原発事故で最も反省すべき点は、このオフサイトセンターが機能しなかったということでございます。震災に伴って停電あるいは地震に伴う設備の損壊、さらには放射性物質の放出によってその建物内も放射線レベルが上がってしまったということで、このオフサイトセンターが全く機能できず、必要な情報の集約、一元的な判断というのもなかなか困難であったと。したがって、対応も相当後手に回ったものもあったということでございます。そうした反省点を踏まえ、松江市に設置されたオフサイトセンターはそういった震災等様々な災害からもしっかりと守れるというか、機能が守れるような形となって設置されております。

 次、15ページ目、大きな災害、原子力災害も含め起こりますと、関係自治体様のほうでも様々な災害対策本部あるいは警戒本部ができます。そういったところとしっかりと連携していくということで、こちらは鳥取県様のほうにおいても境港市あるいは米子市のほうにも対策本部ができて、当然鳥取県庁のほうにも対策本部がつくられるということでございまして、ここと密接に連携して対応していく。

 16ページ目を御覧になっていただきます。行政機関同士が密接に連携していく際には情報連絡系統が最も重要でありまして、福島原発事故ではこういったものが相当寸断されてしまったと。そういった反省を踏まえ、一つの手段が駄目であってもほかの手段が必ずあるという対応を取っていくということでございます。

 次の17ページを御覧いただきますと、行政機関同士のやり取りがなされていても最終的には住民にしっかりと情報をお伝えしなければならないということでございます。一番右側が官邸の本部でございますけれども、ここから住民の方々に至るまでしっかりと迅速に情報がちゃんと届けられるという対応を取ってまいるということです。

 18ページ目についてはPAZにおける防護措置の考え方ということで、これは先ほども申し上げたとおり松江市の4地区の方々がそれぞれ大田市と奥出雲町のほうに避難していただくのですけれども、その避難元と避難先の対応といいますか、重複のないように設定して、また避難道、この避難をするために用いるその経路についても複合災害等で寸断等が起こっても代替路等がしっかりと確保できる、あるいはそれが難しい場合は道路啓開を迅速にやる、あるいは他の海路、空路を使った手段を取っていくということといたしております。

 19ページ目、これもPAZの話でございます。避難においては、弱い立場の方がしっかりと避難できるようにきめ細かい対応をすることが重要でございまして、学校等へ行っていらっしゃるお子様方については適切なタイミングで保護者の方に引渡しを試みつつ、それが駄目であればしっかりと避難先までお連れするという対応を取っていくということです。

 また、20ページのほう、こちらは医療のケアなどを受けていて、急いで避難することによってむしろ健康を害されてしまうような方々については、近傍の放射線防護対策施設というところに一時的に身を寄せていただくか、あるいは既に滞在していらっしゃるその施設が放射線防護上特定の機能がある場合はそこにとどまっていただくと。受入先の対応等が整い次第、あるいはその移動手段の対応が整い次第、避難所のほうへ移動していただくということといたしておりまして、無理な避難が健康等への悪化につながらないように対応していくということです。

 21ページ目、22ページ目それぞれが一時的に身を寄せていただく放射線防護対策施設について示したものでございます。21ページはその概念として建物の中に放射性物質が入らないように少し圧力を高めに設定するような仕組みですとか、あるいは一時的に滞在できるような燃料タンク等も備えたもの、こういったものを22ページにあるようなPAZのしかるべき場所に設置・整備して、ここにとどまれるような対応を取っているということです。

 また、23ページ目は先ほども申し上げたことの若干繰り返しになりますけれども、避難経路については事前に関係機関と共有して、あるいはその代替路についても関係機関と共有して、仮に使えない場合は迅速な対応ができる代替路の確保等の対応も取れるようにするということです。

 24ページ目以降です。こちらはUPZの皆様が取っていただくべき対応ということでございます。先ほども申し上げたとおり5キロを超えますと、屋内退避によってIAEA等で定めている基準よりも相当健康影響は下回る形の放射線影響にとどまるということで、まず屋内退避をして、仮にその気体状の放射性物質が飛んできても、直接暴露されるようなことだけは防いでいただくということをまず取っていただくということでございます。

 しかしながら、気体状の放射性物質が通り過ぎても雨が降ったりすると地面等に沈着してしまうことがございます。そうすると、その長期的な影響というのが無視できなくなってきます。そうしますと、例えば毎時20マイクロシーベルトを超えるような場所については1週間程度以内に一時移転をしていただくといったような対応が必要となってございます。

 次、25ページ目でございます。これはUPZの方々が仮に先ほど申し上げた一時移転ないしは避難が必要となった場合の避難先あるいは一時移転先を示したものでございまして、こちらの鳥取県様におきましては境港市、米子市から鳥取県の中でそれぞれ避難先、一時移転先が重複のないように決められているということでございます。

 26ページ目を御覧いただきますと、これも避難行動において弱い立場の方、医療的なケアが必要な方、お子様方について、PAZと同様にしっかりときめ細かい対応をして無理な避難とならないように、あるいは確実な防護対策を取れるように対応していくということです。

 27ページ目を御覧いただきますと、基本的に移動手段は、自家用車をお使いいただける方については自家用車をお使いいただくのですが、そうでない方、そういった手段のない方についてはバスによって御移動いただくことになってございます。これにお示しするのはバスの台数の確保状況でございまして、鳥取県様も島根県様も県内で十分な台数を確保していただいているのですが、そこは複合災害等においてほかの用途でなかなか回せないですとか、あるいはより厳しい感染症、今のコロナ感染症と同じか、あるいはそれよりも厳しいような感染症が仮にあってより多くのバスが必要であるといったような場合であっても、岡山県、広島県、山口県といった近傍の県からも調達できます。それでもさらに足りないという場合は、関西広域連合からもバスの支援を受けることを協定として結んでいただいているということでございます。

 28ページ目からしばらく、UPZの各地域がどこの地域へ避難いただくかというのを具体的にお示ししたものでございまして、鳥取県様におきましては33ページ目に米子市、34ページ目に境港市について御紹介しております。

 35ページ目を御覧になっていただきます。こういった車による移動で最も懸念されるのが、渋滞による円滑な避難が妨げられることでございます。そうした課題については、これまでも関係者、自治体様も含め認識しているところでございまして、令和元年の総合防災訓練においてもその点についてどのような対策が有効かということを検討しながら進めてまいりました。現時点で有効と考えられるのは、交通誘導対策あるいは様々な広報対策により、どこで渋滞が起きているのかということを広く周知させていただく。

 さらには、交通規制ということで、場合によっては避難すべき方が円滑に御移動できるような形で信号を制御するといったようなことが有効ではないかということで、これについては本日御説明している緊急時対応の中でも反映されています。

 36ページ目を御覧いただきますと、そういった円滑な避難を行うための様々な工夫として、まず島根県様のほうの今申し上げた信号の制御。あとこちらの鳥取県様のほうでは、各避難の対象となる方が自分はどう対応すればいいのかというのをお分かりいただくというのは非常に有効でございまして、それをアプリによってきめ細かく示していただけるという取組をしていただいている状況でございます。

 37ページ目を御覧いただきますと、感染症の対策ということで、様々な避難の類型、UPZの中の方、PAZの方、あるいはその中でも感染の疑いのある方とそれ以外の方と、様々な類型の方々が避難元から避難先に移動していただく際にどういった対応を取るべきかというのをお示ししたものです。基本的には人と人との距離を取ってマスクをして手指消毒あるいは手洗い等を励行して、あるいは会話等を慎んでいただくといった、現在我が国の国民の皆様がしっかりと対応していただいている基本的な感染対応を取っていく。あとはそういった対応が円滑に進むよう、行政のほうでも十分な場所の確保等をしていくということでございます。

 38ページ目には、仮にこの島根地域だけでいろんな不足が生じた場合であっても、他の地域からの様々な支援を要請することを事前に協力関係を結んでいるといったことをお示ししたものでございます。

 また、その足りないものということで39ページ目、40ページのほうにお示ししているのが食糧等をはじめとする様々な生活用品等や燃料の調達ということで、39ページのほうはそういった生活物資等については関係省庁と協力しながら、関係業界団体等とも協力しながら被災地のほうに不足したものをしっかりとお届けする。また、燃料については経済産業省のほうで燃料関係の業界団体と協力して被災地に、例えば御移動いただく際の車のガソリンですとか、あるいは冬場の暖房のための燃料、こういったものの不足のないように対応してまいるということとなってございます。

 41ページ目、42ページ目は原子力災害対応をする方々に必要な機材ということで、サーベイメータですとか防護服、こういったものの不足もないように要所要所に、41ページ目がPAZで42ページ目がUPZとなってございますけれども、その資機材の備蓄場所と配付場所を事前にしっかりと用意しています。

 また、4344ページ目は緊急時モニタリングの実施体制ということで、UPZの方はそのモニタリング結果によって対応を取っていただくということになってございます。そのモニタリングの実際の計測地を示しているのが43ページ、これは固定的な計測地点でございまして、これとさらに追加して可搬式のモニタリングの仕組みもございます。また、そのモニタリングの結果については関係機関に迅速に共有されるとともに、国民の皆様にもホームページ等を通じてお知らせします。

 福島原子力発電所事故では、このモニタリングポストが震災の影響で全く機能しなかったものが多かったということで、もう測れもしないのでその共有する中身もなかったという状況でございました。そういったことがないように、災害に強いモニタリングポストと連絡体制を整えていくということでございます。

 45ページ目、46ページ目が安定ヨウ素剤の事前配布ということで、45ページ、PAZの方々には事前に配布させていただくということでございます。また、UPZの方々に対する対応としては46ページ目をお示ししてございます。こちらは実際に一時移転ないし避難が必要な地点の方々に対してあるタイミングで服用していただく必要があることから、緊急時に配布させていただくという対応が基本となってございまして、そのための備蓄場所と配布場所をお示ししたものでございます。

 UPZから外へ避難していただく際に念のため汚染状況を確認させていただくための避難退域時検査場所を示したのが47ページで、その段取りを示したものが48ページとなってございます。

 また、49ページ、特に複合災害においては予定どおりなかなかいかない場合がございまして、島根地域だけの実動組織、警察、消防、海上保安庁、自衛隊、この能力が足りない場合は全国からのそういった能力を追加的に要請して対応を取ってもらうということをお示ししております。50ページ目は避難路が寸断されて使えないような場合、自衛隊等、あるいは海上保安庁等が海路、空路を使うことも想定されるわけでございますけれども、この50ページでお示ししたオレンジ色の点がヘリポートが使えるところ、水色の点が船舶の避難が可能と考えられるところを示したものでございます。

 51ページ目はその例示として、実動組織がどういった対応を取るのかというものをお示ししたものでございます。

 大変駆け足になって申し訳ございませんが、53ページ目にお示ししておりますとおり、この防災対応というのは終わりのない、常に改善を続けなければならない活動でございまして、それにおきましては関係自治体と私ども国の連携をしっかり取っていくということでございます。特に訓練、毎年県レベルでの訓練を行われておりますし、また令和元年に共同で行ったような訓練、そういった機会にしっかりとその問題点を抽出して、より先の改善につなげていくといったことを今後とも続けてまいりたいと考えております。

 以上、大変駆け足でございますが、私からの説明とさせていただきます。ありがとうございました。

 

◎内田(博)議長

 それでは質疑に入りますが、質問の際には事前の取決めにより行っていただきます。

 ただいままでの説明に対しまして、御意見、御質問があればお願いします。

 

○安田議員

 県議会自由民主党の安田由毅でございます。本日は、遠方よりありがとうございます。質疑の時間を頂戴いたしましたので、質問させていただきます。

 まず、緊急時対応の実効性を不安視する声がございます。福島第一原発事故における避難の教訓は今も多少説明の中にございましたが、島根地域において緊急時対応にどのように生かされているのかお尋ねいたします。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 福島原子力発電所事故では、事故はそんなに起こるものではないといういわゆる安全神話がございました。しかしながらそれは全く間違いでございまして、事故は起こり得るということで、福島原発事故で実際に起こったことを踏まえ、先ほども説明の際に申し上げたとおりオフサイトセンターはしっかりと機能するものとするですとか、あるいは避難される方の移転先はしっかり事前に設定しておく。福島原発事故ではその行き先が決まらないままその避難途上で健康を害される方が非常に多かったということで、しっかりとその関係行政機関、あとできれば住民の方も含め自分はどこに、あるいは避難者の方々はどこに避難されるべきなのかというのを事前に決めておく。当然それは一般災害において使えなくなる場合もございますので、使えなくなったらどうするのか、避難路が使えない場合はどうするのかというのも日頃我々行政機関がシミュレーションを講じていくこととしております。

 

○安田議員

 続けます。避難計画を見ますと、万が一の事故の際には松江市の島根地区、本庄地区、美保関、川津、八束各地区の住民も境水道大橋、江島大橋を渡り、弓浜半島を通って岡山県へ避難することとなっています。その数は最大で約9万人とも試算をされている。そして我々境港市、米子市の弓浜半島に住まう約7万人、合わせて約16万人の人が避難すると想定をされています。

 しかしながら、境港-米子間には国道431号と県道47号、米子境港線、いわゆる内浜産業道路です。この2本しか大きな道はなく、さらに津波による被害で国道431号が使えなくなる可能性も想定された計画と現状はなっています。これを補完するためには、凍結されている米子-境港間の高規格道路の事業化が必要であります。国土交通省と連携して避難路の整備を急ぐ必要があると考えますが、見解を伺います。

 また、島根県の方が避難した後に境港市民、米子市民が避難することをどれだけの県民が知っているのでしょうか。もっともっと広報、周知する努力が必要だと思いますがいかがでしょうか。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 まず、避難道の整備ということでございます。円滑な避難をしていただくためにやはり道路がしっかりしたものであることは非常に重要なことでございまして、我々内閣府としてもその例えば狭隘な場所ですとか、あるいは島根地域ではそれほどではないかもしれませんが、降雪によって冬場非常に離合等が難しくなるようなところはそこを修繕するような対応を取ってございます。ただ、おっしゃるとおり高規格道路の整備等については関係省庁としっかりと共有して、避難が円滑になるように我々はしっかりと働きかけていきたいと考えております。

 また、住民の方がどれほど避難の経路を知っているかということでございます。私どもとしては様々な機会を捉えて、特に訓練の機会等を捉えて、住民の方については関係自治体様と協力しながら皆様がどこに避難すべきなのかというのはお示ししたいと考えております。住民の方は、ずっといらっしゃるわけではない方もいらっしゃいまして、そういった方々にも我々は極力機会を捉えてきめ細かくお知らせするように今後とも努めていきたいと考えております。これも終わりのない世界でございまして、このチラシを作ったからいいということではなくて、それをしっかりと継続的に住民の方にお知らせを続けていくということが重要であると考えております。

 

○安田議員

 最後とします。緊急時対応に関する国からの財政支援について質問いたします。

 避難者を受け入れる側のUPZ圏外の市町村においても、避難所や福祉避難所の備品の整備などが必要と考えます。UPZ圏外の市町村への財政支援について、どのように考えておられるのか見解を伺います。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 避難先というのは、必ずしもUPZの円の中に入るわけではございません。当然そこから遠くへお逃げいただく場合もございます。そうした場合、私、申し上げたとおり避難元と避難先は1対1対応を取っていて重複のないようにしているということがございます。その少し財政的、技術的な話ですけれども、避難元の自治体様に交付金をお支払いしているのですが、その途上、その避難先の自治体様でも必要な費用についても一括してその避難元の自治体様に支援するような対応を取ってございます。これについては、引き続き我々もきめ細かい不足のないように対応を取ってまいりたいと思います。

 

○尾崎議員

 どうも今日は遠いところをわざわざ鳥取県まで説明にお越しいただきありがとうございます。

 県民の方々の代わりに避難計画について1~2点お伺いいたしますので、簡潔に分かりやすい言葉でお願いしたいと思います。

 まずは避難計画についてですけれども、県がしっかりと練り上げて国の支援を受けてやってきたものとは思っています。しかし、住民の方で本当でこの計画どおりにできるのか、本当にみんな無事に避難できるのか、本当に死んだりしないかというような声を聞いたりもします。

 そこで、伺います。1点目、この計画の実効性とはどんなことを意味するのでしょうか。一人の死者も出さずに被曝もせず避難できる、こういうことでしょうか、お聞きいたします。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 避難計画というのは、やはり究極の目標は住民の皆様の身体あるいは健康あるいは財産をお守りするための対応というふうに認識しておりまして、そのために原子力災害という目に見えない放射線影響、これをなるべく低減するように対応を取っていくということでございます。

 その際に、我々はコアとなるのは2つ要素があると考えておりまして、1つ目は我々防災対応をする行政側の対応能力、これをしっかりと維持、向上していくということでございます。2つ目が、住民の皆様の御理解ということでございます。なかなか不安というのは完全には払拭できない。ただ、我々は常にこうした避難計画を分かりやすく住民の方に継続してお伝えしていくということでございまして、この行政の対応能力と住民の方々の御理解、これがあって初めてしっかりした避難活動、あるいは防護活動ができるというふうに認識しております。当然終わりはない世界でございますので、引き続き住民の方の御理解、あと我々のその対応能力の向上に努めてまいりたいと考えております。

 

○尾崎議員

 では、どこも理解をしてもらうということが実効性ということでよろしかったでしょうか。そこまでちゃんと死者も出さずにということはないということですね。

 2点目です。どの機関がこの避難計画をきちんと計画されていると責任を持って判断されるのでしょうか。かなり国が関わっていらっしゃるということはよく分かりました。最終的に誰が責任者なのかということです。

 例えば誰しも思うことなのですけれども、先ほどの説明では例えば地震が起こって道路が分断されたとか、鳥取ではよくあるのですが大雪で道路が立ち行かない。いろんな場合があるのですけれども、これを全て網羅されて大丈夫だと誰が判断するのでしょうかということが本当に不安になってきます。

 2014年の国会審議で質疑がありました。菅直人議員が質疑をされていますけれども、計画について自治体にも地域防災計画をつくるようにと指示が出ています。それでその30キロ圏自治体がこれでいいと言わないとスイッチを押せないということですかと東電の姉川常務に聞いています。姉川常務は、地域防災計画は定まっていない。すなわち御理解をいただいていないということであれば、我々事業者として条件が十分でないと理解していると答弁されています。

 ここでその計画が再稼働の非常に重要なポイントになってくるのだと思いますが、例えばアメリカでは原子力規制庁が1層から5層、すなわち避難計画まで責任を持ちます。運転許可も出します。必然的に計画を厳しくチェックします。

 40年前、アメリカ・ニューヨーク州ロングアイランドに建設されたショアハム原発は、運転することなく廃炉になりました。その一番の理由は、避難計画が不十分だったためということです。その計画は5分刻みの避難計画で、季節ごと、悪天候などそういった21のケースに分けてつくられていました。それでもロングアイランドという突き出た半島の中頃に原発があり、その先に住む人たちの命が守れないと判断し廃炉になったということです。これぐらいの厳しい判断をしていらっしゃいますけれども、内閣府としてはその避難計画の責任、最終責任はどこにあるとお考えでしょうか。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 この防災の責任というのは、これは国と自治体様が連携して対応することによって住民の命と健康と財産を守るということが達成されるものであると認識してございます。災害対策基本法においても、国、自治体様それぞれに国民をお守りするということが重要な責務であるというふうに書いてございまして、我々は基本的な災害対応、先ほど来申し上げている原子力災害対策指針、これは原子力規制庁が決めておりますけれども、それにのっとった形で地域の方々が避難計画をお決めするのをしっかりサポートしながら、実際その避難指示等が自治体の首長様から適切に出されるようにしっかりとサポートしていく。国と自治体が連携して対応する。これが防災であるというふうに認識してございます。

 先ほど1層から5層の話がありましたけれども、そういったことも我が国においては国と自治体様がしっかりと連携して、毎年総理も参加して総合防災訓練も行うことによって、いつ何どきでも自治体と国がしっかりと対応が取れる。当然その事業者もそこの連携に加わって皆さんで対応を取るということを行っておりまして、そうした米国の例とも遜色のない形で我々は対応が取れるというふうに考えております。

 

○尾崎議員

 最後にもう一度聞きます。この防災計画の責任を内閣府は取るのでしょうか取らないのでしょうか、その一言だけお聞かせください。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 この緊急時対応というのは地域防災計画と国の防災業務計画、事業者の防災業務計画を取りまとめたものでございまして、国と地方自治体の皆様、事業者それぞれが連携して対応していくというものでございます。

 

○澤議員

 公明党の澤です。1点お伺いしたいと思います。

 特に内閣府の関係道府県への財政支援という、こういう観点からお聞きしたいと思います。

 鳥取県はUPZという格好になっております。その中で、原子力防災業務でのこの人件費の対応としましては、隣接自治体の人件費ということで中国電力のほうから寄附で対応をしている。国のほうでこの経費を出すようにできないものか、これが1点です。

 それともう一つは、今現在中国電力から寄附でないそういう拠出、そういう仕組みをつくってもらえないかと思っているのですけれども、そこのところについて教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

●籔本内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)付専門官

 今日のスライドで説明したように、内閣府としては道府県の財政支援として主に交付金という形で防災資機材といった面とか、訓練に関する費用といったもので支出をしております。

 人件費については、防災計画とか訓練というのは地方自治体のほうでやっておられるものなので、基本的には各自治体の皆さんにみていただいていることになっております。一方で職員以外に係る人件費というものも物によってはみるものはありますので、そこについては自治体の皆様と相談しながら我々は対応しているところでございます。

 

○澤議員

 どうか検討のほうも併せてお願いしたいと思います。

 中国電力が寄附金でない拠出となるような仕組みについてお願いできたらと思うのですけれども、この辺のところをお願いできますでしょうか。

 

●籔本内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)付専門官

 防災に係る費用というものは、説明したように国においても必要な支援を行っております。国と自治体、あと電力の皆様、こういった地域防災協議会の枠組みを通じてしっかりと引き続き議論をさせていただければと考えております。

 

○山川議員

 先ほど、原子力規制委員会において深層防護の第5層において避難計画の実効性は審査はしていないということの確認を得ました。

 そして先ほど尾崎議員が、アメリカの避難計画の審査の厳しい仕組みについて御紹介あったのですけれども、調べてみますとアメリカは法律上で避難計画の実効性が認められないと運転ができません。片や日本では避難計画は再稼働の法的要因になっていません。そうですよね。原発の福島の事故を起こしたとき、残された防護手段は広域避難のみ。こうして広域避難が原子力規制行政の手法として取り入れられることになりました。広域避難、いわゆる第5層の深層防護の仕組みは国際標準です。IAEA、EURなども5層の深層防護の理念を勧告し、これに伴いアメリカ、イギリスはこの勧告を採用し、各国は避難計画の実効性、実現可能性を審査する仕組みを持っています。

 片や日本はこの避難計画の実効性を審査するスキームがありません。内閣府において、これは御存じだと思います。この制度設計自体がおかしいのではありませんか。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 我が国の法体系といたしましては、本日6ページ目のほうで御紹介しましたとおり災害対策基本法及び原子力災害対策特別措置法に基づきまして国が防災基本計画を定め、原子力規制委員会が原子力災害対策指針を定め、これに基づきまして関係自治体の方々のほうで地域防災計画と避難計画をおまとめいただく。ただ、ここについて、私どもは地域原子力防災協議会を設けまして、関係省庁と関係自治体様が一体となってこの国が定める計画、指針、これにかなうように避難計画等をおまとめするということでございまして、実質他の国と同等の対応が取られていると我々は考えてございます。

 

○山川議員

 まともな答えをしてください。他国と同様ではないでしょう。原子力防災会議というのは、そちらの事務局が内閣府の防災担当がされて、あくまでも自治体がつくった避難計画を受け取って審査する仕組み、どんな審査をする仕組みがあったのですか、どんな審査基準があったのですか。内部の機関でしょう。そこをちゃんと答えてください。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 先ほど申し上げたとおり、国がお決めしているその防災基本計画と原子力規制委員会が定めている原子力災害対策指針に基づきまして、関係機関、自治体様が一体となって協議会でしっかり現場を見ながらこの計画を定めているところでございます。

 また、先ほど申し上げ忘れましたけれども、これに基づいて訓練をして、その得られた教訓を継続的に反映していくという仕組みも相まって、我々の対応というのは他国に遜色のないものと考えております。

 

○山川議員

 先ほども国と自治体が一体となってというふうに言われているのですけれども、責任の所在がどこにあるのですかということが曖昧だったのですよ。国が国がと言われますけれども、福島の事故を経て、この日本国において福島事故の独立検証委員会においては原子力規制委員会と別に首相に対して物申すことができる独立した機関を創設しなさいと言われている。創設されていないではないですか。

 島根県議会においても、車の渋滞が予測されるけれどもどうするのかと言われたら海とか空の便で行きますと言っていて、2トンしか停まらんところにこのシーマップがついておるけれども、何で大型船が入るのだ、実効性がないと怒られていたではないですか。たくさんの指摘があったではないですか。UPZ外において、UPZ内を通っていかないと入れんけれども輸送計画はどうなっているのだ。それに対しても今後考えていきますみたいな回答だったですけれども。

 何が言いたいかといったら、日本は世界で一番厳しい基準と言って、深層防護の避難計画のこの実効性を審査していないことが問題なのですよ。そこがきちんとあってこそだと思います。お国で働かれているというのは国民の命を守りたい、それで幸せを願いたいという、それはもちろんだと思うのですけれども、私たちはこの地で郷土で生まれ、やはりこの地から逃げたくないのですよ。だからこそ福島を繰り返してほしくないし、きちんとした避難計画を了承取ってほしいのですよ。そういう第三者の創設が必要ではないですか、どうですか。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 まさに今議員からおっしゃったとおり、国民の命を守るという最大の目的のために国と地方自治体の方が、あと事業者、これらがそれぞれの役目をしっかりと果たすというのが我が国においては最も効果的であると考えております。

 

○山川議員

 何か質問の答えになっていないです。実際に鳥取県のUPZ圏内は境港市が3万6,000人、米子市が3万7,000人なのですけれども、安定ヨウ素剤が実際に配布された現在の状況は境港市が217人、米子市が172人。要は両方とも1%を切る現状なのです。これで周知されているのか。これで避難計画の実効性が高いと言えるのかということなのです。

 鳥取県の避難計画は9割が車で逃げるとなっています。でも車で逃げる前、一時集結所にまずは歩いていって、安定ヨウ素剤を受け取って車で避難することになっています。毎年改訂している県の原子力防災ハンドブックにはそのようなことが記載してありません。車で逃げる場合、避難退域時検査場所に直行するという説明が図解で示されています。住民は、当たり前ですけれどもこう示されていたら当たり前に安定ヨウ素剤を受け取ることはできません。このような状況で実効性がある避難計画と言えるのでしょうか。

 内閣府は、9月7日の原子力防災会議において避難計画を了承したと言われていますが、この事実を知った上で了承したのですか、事実確認をお願いします。

 

●坂内内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災担当)

 安定ヨウ素剤につきましては、UPZの方々については緊急時に御配布させていただくという対応を基本としております。これは実際にその放射性物質に暴露される8時間前から2時間後に飲んでいただかないと効き目が相当なくなってしまう、その効果が減ってしまうということもありまして、本当に飲んでいただくべき方にしかるべきタイミング、今申し上げた8時間、2時間、この間に飲んでいただく必要がございます。したがいまして、私どもとしてはその飲む方をしっかりと特定して緊急時にお渡しするということを基本といたしておりまして、事前配布はどうしても緊急時に受け取ることが困難な方で、なおかつ医療的な問題もないということを確認された方に限定することとしております。

 

◎内田(博)議長

 以上で質疑は終了します。

 内閣府からの説明を終わります。

 坂内様をはじめ内閣府の皆様には、丁寧な御説明、御答弁をいただきました。誠にありがとうございました。

 それでは、説明者の入替えを行いますので暫時休憩いたします。再開は3時5分といたします。

 

午後2時57分 休憩

午後3時06分 再開

 

◎内田(博)議長

 再開いたします。

 それでは、引き続きまして資源エネルギー庁から国のエネルギー政策について説明を受けます。

 自然エネルギー庁の皆様には、お忙しい中にもかかわらず議員全員協議会に御出席いただきまして誠にありがとうございました。

 それでは、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官、佐々木雅夫様、約15分程度を目途に着座にて御説明をお願い申し上げます。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 ただいま御紹介にあずかりました資源エネルギー庁の政策統括調整官、佐々木でございます。今日は貴重な機会をいただきました。エネルギー政策のコアな部分を簡単に御説明申し上げたいと思います。時間も限られておりますので、早速始めさせていただきます。お手元の資料を御覧いただければと思います。

 まず、目次を見ていただきますと、今日は大きく分けて3つ、エネルギー政策を考える上での基本的な視点。今週月曜日までパブコメがかかっておりました今第6次のエネルギー基本計画をつくってございますけれども、そのポイント。そのポイントの中でも、原子力政策の部分を少し抜き出して若干詳しめに御説明させていただければと思います。

 まず、右下の数字で3と書いてあるページを御覧いただけたらと思います。エネルギー政策の基本的な視点。私どもは今回、エネルギー基本計画の改定を目指しておりますが、この基本的な視点というのは実は前のエネルギー基本計画でも、その前の前のエネルギー基本計画でも同じというものでございます。上の青い四角の中にありますように、安全性の確保を大前提に安定供給を第一とし、経済効率性と環境適合の両立を図ることがエネルギー政策の要諦だということを書いてございます。

 下のほうの段落、まとまりを御覧いただけたらと思いますけれども、もう一つ重要な物の考え方として、各エネルギー源についてはそれぞれサプライチェーン上の強みと弱みがある。要はこれに頼っていれば日本のエネルギー需給というのは盤石だというようなエネルギー源はないという前提に立った上で、効率的なエネルギー需給構造を一手に支えられるような単独の完璧なエネルギー源は存在しないことに鑑みれば、一つのエネルギー源に頼ることはリスクが高く、エネルギー源ごとの強みが最大限に発揮され、弱みが他のエネルギー源によって適切に補完されるような組合せを持つ多層的な供給構造を実現することが必要である。私たちが目指しているそのエネルギー政策というのは、この多層的な供給構造、その最適な組合せというものが何なのかということを考えるというのがエネルギー政策の一番のポイントだということを御確認いただければと思います。

 日本を取り巻く個別の状況を幾つか、4ページ目、これは歴史的に日本のエネルギー源がどのように推移してきているのか。エネルギー需給が昭和50年代から60年代、70年代と増えてくるに当たって、どのようなその構成で来ているのかというのを表しているグラフでございます。

 右下のページで5ページ目を御覧いただきますと、いわゆる3E、自給率ないしは価格、コスト及び二酸化炭素の排出量というものの推移を簡単に整理してございますが、右下のページで6ページ目を御覧いただきますと、日本のエネルギー自給率の国際比較でございます。日本は残念ながら鉱物資源が国内に存しませんので海外からの輸入に頼るわけですけれども、いわゆる先進工業国と言われる国の中で日本は最低だと。OECD加盟国の中でルクセンブルクを除いて下から2番目ということでありますので、したがっていわゆる先進工業国の中で日本のエネルギー自給率というのは最低にあるということを御確認いただけたらと思います。

 7ページ目を御覧いただきますと、電気料金の推移のグラフを載せてございます。今、足元は多少落ち着いてきたとはいえ、まだ産業用、家庭用とも2割、22%、25%。震災前と比べて上昇している状況は変わってございません。

 その上で環境適合、国の温室効果ガスの排出量の推移でございますけれども、電力業界由来の二酸化炭素の排出量は若干減ってはいるものの、やはり日本の温室効果ガスの排出のうち9割近い、8割以上はエネルギー起源だということを御確認いただけたらと思います。

 ここから若干最近のトピックを御紹介申し上げたいと思います。まず10ページ目を御覧いただけたらと思います。実は、今年1月に日本の西側中心に需要が増えて電力需給が逼迫したタイミングがございました。何があったかということですけれども、もともと予定されていた長期予報よりもかなり気温が下がってしまった結果として暖房需要が増えたということ。加えて、その当時のLNGの生産プラント、こちらのほうで事故等が続いて日本にLNGがなかなか届かなくなってしまったこと等が重なり、1月の前半はかなり苦しい状況になりました。そんな中ではありましたけれども、1月中旬に気温が若干上がって需要が戻り、また大飯原子力発電所の検査が終わって再び稼働したことを受けまして電力供給が増えたので、結果としてこの状況は乗り切れたということでございます。

 それと11ページ目を御覧いただきますと、再生可能エネルギーの導入の現状とそれに伴う国民負担の状況を簡単に整理したものでございます。

 左のグラフを御覧いただきますと、年間2.7兆円ぐらいのいわゆる固定価格全量買取り制度に基づく国民負担が発生しているということを御確認いただけたらと思います。

 それと13ページ目を御覧いただけたら思います。私どもエネルギー政策を考える上で安定供給というのは極めて重要なポイントになってくるわけですが、今までどうしても安定供給というと海外からのエネルギー、例えば石油と天然ガスといったものがきちんと届くのかということを意識していたわけですけれども、昨今の非常に激しい自然災害等を踏まえると、消費者の皆様に最後の一歩まできちんと届けるというようなことの重要性を改めて意識しているところでございます。

 14ページ目、これはお時間があるときに確認いただけたらと思いますが、それぞれにエネルギー源の特徴がございますので、これをうまく組み合わせていくのが私どもエネルギー政策を考える政策当局の一つの重要なポイントということでございます。

 16ページ目以降、エネルギー基本計画の概要を簡単に御説明申し上げます。

 まず、17ページ目、今回のエネルギー基本計画でございます。総理が言わば国際約束として世界にお示しした、2050年に我が国はカーボンニュートラルを実現するというその目標の達成に向けて、エネルギー基本計画というのは当面のその政策的対応をまとめたものですけれども、途中段階の目標として2030年に46%の温室効果ガスの排出削減を目指すということを国際公約として掲げた上で、それに必要な政策をまとめたものが今回のエネルギー基本計画でございます。

 18ページ目、とはいえ、そのエネルギー政策を考える上での原点というのはやはり福島の事故でございます。引き続き福島の復興、再生に全力で取り組む。それがまず第一のプライオリティーだということ。あとは廃炉のプロセスを東京電力任せにすることなくしっかり進めていくという政府の方針を明らかにしているものでございます。

 19ページ目を御覧いただきますと、2050年に向けた対応のポイントを整理しております。先ほど申し上げましたように、2050年カーボンニュートラルを実現する上では、温室効果ガスの排出の8割以上を占めるエネルギー分野の取組が重要だということで、これは簡単に達成できる目標ではないがゆえに、この黄色で反転しているところ、産業界、消費者、政府など国民、各省総力を挙げた取組が必要だということを改めて宣言しているところです。

 その上で、下から2番目の黒ポチのところ、これがまさに最も基本的な政策の対応方針です。安全確保を大前提に安定的で安価なエネルギーの供給確保は重要であり、この前提に立った上で2050年カーボンニュートラルを実現するために再エネについては主力電源として最優先の原則の下で最大限の導入に取り組み、水素・CCUSについては社会実装を進めるとともに、原子力については、国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくという方針を明らかにしているところでございます。

 その上で、20ページ目の一番上の2030年対応の政策対応のポイントでございます。先ほどから申し上げております、安全性の確保を大前提とした上でエネルギーの安定供給を第一にし、続いてSプラス3Eの同時達成を目指すという方針を明らかにしてございます。

 時間も限られておりますので、途中お時間があるときに確認をいただくということにして、26ページ目まで資料を飛んでいただけたらと思います。こちらにこのエネルギー基本計画に書かれたもろもろの施策を実現したときに、2030年断面でどういうエネルギー需給構造になるのかということをお示ししている。様々な課題の克服を野心的に想定した場合に、どのようなエネルギー需給の見通しとなるのかということをお示ししているものでございます。

 再エネについては、2030年断面で36から38%、原子力については20から22%、これは前回と変わっていませんが、前回に比べてLNGや石炭への依存度が下がっていくであろうということがお示しさせていただいているところでございます。

 さらに、28ページ目、29ページ目にそれぞれのエネルギー源の発電コストを比較したグラフを入れてございます。細かいところはお時間のあるときに改めて御確認いただけたらと思いますが、1つだけ御紹介しますと、こちらで比較している発電コストというのは真っさらの土地、更地に一からプラントを建てたときにそのプラントを建てるコストから最終的に廃棄をする費用まで含めて計算をしたときの価格の比較でございます。これは例えば系統につなぎ込むのにかかる費用ですとか、再エネなどは典型的ですけれども、その出力の変動があったときのバックアップのための電源確保に係る費用といったコストは反映されていない。ないしは今あるものをもう一度単に動かすというもののコストよりは高く出ているということは言えるかと思います。

 原子力政策について、簡単に触れさせていただきます。

 31ページ目を御覧いただけたらと思います。この原子力について、一番上の矢羽根のところに書いてあるのが一番の基本方針だと思っていただけたらと思います。安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げるという前提の下で、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制水準に適合すると認められた場合にはその判断を尊重し、原子力発電所の再稼働を進める。その上で国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組む。地域の方々の理解と協力を得るよう取り組むというのが政府の基本方針であります。

 その上で、個々一つ一つ詳しくは御説明できませんけれども、使用済燃料対策ということでまずは安全に貯蔵する能力の拡大に向けた中間貯蔵施設や乾式というキャスクという入れ物に入れて保管するような技術があるわけですけれども、それの活用を拡大する方針ですとか、核燃料サイクルにつきましてはやはり体積を減らし毒性を下げるといったそういった観点も含めてやはり再処理事業を進めるということで、青森県の六ヶ所村に建設を進めております再処理工場の竣工と操業に向けた取組を加速化する。ないしは出てきた新しく作られたMOX燃料を使って燃やして、さらにいわゆる高レベル放射性廃棄物のさらなる減量化を図るといったような取組を進めていく方針を明らかにしているところでございます。

 最終処分につきましても、北海道の2自治体で文献調査というまだまだ先の長いプロセスでありますけれども、最初の1歩目を踏み出していただいた自治体が出てきてございますので、そういった取組が全国の他の自治体にも広がっていくよう、各国民の皆様への周知等をしっかり進めていくということを明らかにしてございます。

 お時間のあるときに御確認いただければと思いますけれども、37ページ目、38ページ目に核燃料サイクル政策についての政府の基本的な考え方を整理させていただいてございます。

 40ページ目以降に最終処分場選定に向けたプロセスを簡単に整理させていただいておりますが、最後に1つだけ、43ページ目の最終処分場の選定プロセスであります。今申し上げました北海道の2自治体が手を挙げていただきました文献調査といいますのはこの左側にある部分でございまして、この先に地域の意見をしっかり聞くプロセスというのが何段階か用意されてございます。したがって、地域の意見に反して先へ進まないといったような形で物事が進められているところでございます。

 最後に、島根原子力発電所の2号機につきまして、政府がお示しをしている基本的な考え方も載せさせていただいているところでございます。

 駆け足になってしまいましたが、御紹介申し上げましたエネルギー政策の基本的な進め方にのっとって、今後とも政府、政策当局として政策を進めていきたい、各措置を進めていきたいと思ってございますので、御理解と御支援を賜れればと思います。

 

◎内田(博)議長

 それでは質疑に入りますが、質問の際には事前の取決めによって行っていただきます。

 ただいまの説明に対して御意見、御質問があればお願いいたします。

 

○浜田(一)議員

 遠路より御説明いただきましてありがとうございます。県議会自由民主党の浜田と申します。何点か質問させていただきます。

 先ほども御説明がありました菅政権が表明された2050年、カーボンニュートラル、さらに2030年の温室効果ガス46%削減に向けて、第6次エネルギー基本計画の案においては再生エネルギーを主力電源として最大限導入するとして、2030年の電源構成において再生エネルギーの割合を36から38%へ引き上げる一方、原子力は20から22%に据置きをされています。

 しかしながら、再生可能エネルギーは太陽光にしろ風力にしろ天候や気象に左右される電源であります。この不安定な電源の割合を増やせば増やすほど、その電源が止まったときのバックアップの電源がなければ我々の生活は立ち行かなくなってしまいます。

 カーボンニュートラルの観点から化石燃料に頼れない今、水素エネルギーなどの次世代の技術が確立するまでの間、原子力発電の存在は不可欠でありその重要性は高まると考えますが、見解を伺います。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、それぞれのエネルギー源にこれにだけ頼っていけばいいというような完璧なエネルギー源がないという前提で、その最適な組合せを目指すというのが政府のエネルギー政策の基本的な方針であります。

 そんな中で、再生可能エネルギーは確かに温室効果ガスは出ないけれども、その出力が不安定化するとかバックアップに関わるコストが一定程度かかるとか、ないしはLNGだ石炭だといったものは安定的に供給できるけれども温室効果ガスが出る。原子力については確かに温室効果ガスは出ないけれども、やはり福島の事故を経験した日本にとってみればその事故処理に係る負担等も考え、組合せを考えていくというのが基本的な方針であります。

 その中で、今この局面で2030年に46%の温室効果ガスの排出削減を達成するためには、やはり原子力を一定程度使っていかないとそれが実現できないというのがまさにエネルギー基本計画に書いてある政府の基本的な考え方だということは明確に言えるかと思います。その上で、2050年についても持続的に必要な量については活用していくということを明らかにしておりますので、その点はエネルギー基本計画の骨子の中で御確認いただけたらと思います。

 

○浜田(一)議員

 エネルギー安定供給の観点から再生可能エネルギーを推進しながら、そのバックアップとして安全確保を前提に原子力発電による電源を確保していく。そのために必要な原子力発電の必要性や安全性について、事業者任せではなくて国が前面に立って国民の理解を得るための努力をこれまで以上に行う必要があると思いますが、御所見を伺います。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 おっしゃるとおりでございます。特にエネルギー基本計画をめぐる議論でも、やはり原子力についてのやり取りがかなり注目を集めたところでございます。これはもう地域の方々でより強い関心をお持ちの地域等もございます。そういったところにはこれまで以上に積極的に私どもが出ていって政府の基本的な考え方を御説明する機会をつくり、かつしっかり説明していきたいというように思ってございます。

 

○浜田(一)議員

 この夏の第6次エネルギー基本計画の策定に向けた審議会の議論の中で、発電コストについて原子力発電の安全対策経費が高くなり太陽光発電が最安と報道されました。その後、再生可能エネルギー拡大のためのバックアップとして火力発電等の増強が必要といったことが勘案された結果、再生可能エネルギーが割高になるといった報道もありました。停電で安定的な電源供給が重要であるという観点から、改めて原子力と太陽光など再生可能エネルギーの発電コストの優位性について見解を伺います。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 お手元の資料の28ページ目、29ページ目に詳しく、いわゆる発電コストの比較を載せているところでございますけれども、今御指摘いただきましたように原子力については確かに安全対策工事等の費用の拡大及び再生可能エネルギーについては、例えば太陽光パネルの価格の定価等のコストの低下もあって、先ほど申し上げた真っさらの土地に一から建てるそのコストだけを考えると、発電コストを比べると、いわゆる大規模太陽光のほうがコスト的に優位にあるという数字をお示しをしたところでございます。

 一方で、この同じ28ページ目の右下の参考の(2)というところを御覧いただきますと、今議員が御指摘いただきましたような再生可能エネルギー、特に太陽光だ風力だといった自然の変化によって影響を受け得るもののバックアップの電源に係るコスト等を踏まえると、一つの試算として見るとここに出てきているような発電コストの修正も可能だという、そういった数字も併せてお示しをしているところでございます。

 発電コストの比較というのは、どこまでどのコストを見込むかという意味において非常に難しいものでありますので、一概にこれが正しいという数字をお示しすることは難しいのですけれども、その様々な要素を踏まえた上でそのバランスも取って、それぞれの電源を組み合わせていくということは一つ重要なことだということと、原子力のコストについて言えば再生可能エネルギーの発電コストが総体的に下がったとはいえ、トータルで言ったその発電コストを考えた、トータルというのはその実際に使うところまで考えたコストという意味でも、まだコスト的にも競争的優位な立場にあるというのが私どもの見解であり、その旨をエネルギー基本計画の議論でも御説明申し上げているところでございます。

 

○浜田(一)議員

 エネルギー基本計画において立地自治体の位置づけということは明確になってはおりますけれども、やはり周辺自治体に対するそういった配慮、丁寧な説明、様々な支援体制というものをいま一度協議していただいて、そういった配慮をいただきたいということを要望して質問を終わります。

 

○森議員

 会派民主の森です。よろしくお願いします。

 資料の22ページには、世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合はその判断を尊重し、原子力発電所の再稼働を進めるというふうに再稼働を進める立場のエネルギー庁の話が書いてありますが、これが政治家の言葉に替わると安全な原発は稼働させるという言葉になって、菅総理大臣をはじめみんながそういう言葉を言っているのですよ。そのことによって新たな安全神話が始まっている。

 先ほども規制委員会にも聞いたのですけれども、安全だとは一言も言っていないと。規制基準に適合しているということを審査したということを言っていて、資源エネルギー庁は安全だと考えておられますか。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 今の御質問に対するお答えでありますけれども、私どもはその安全性の確保は最優先だという方針の下で、原子力規制委員会が今の基準に適合すると認めた場合には再稼働を進めるというのが基本的な方針であります。そういった考え方というのはこれまでもこれからも維持していくというのが基本的な考え方です。

 

○森議員

 それでは、安全と言っている政治家は何で安全と言っているのですか。あなたたちの上司は何で安全だと言っているのですか、教えてください。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 そう言った方の意図まで正確にお伝えすることはできないかもしれませんけれども、今、原子力規制委員会が新しくつくった基準に適合する。それがその稼働に必要な規制への適合が確保されているということを確認しているわけですから、そういった原子力規制委員会の確認があれば再稼働させるというのは政府の方針でありますし、その方針は政府内で協議されているものと私は理解しております。

 

○森議員

 規制委員会は、安全性は担保していない、保証していないと言っているのですよ。資源エネルギー庁は安全性があると言っているのですけれども。結局、そこでもし事故になったときに責任を取るのはどこですか、電力事業者ですか。全て電力事業者の責任なのですか。推進している資源エネルギー庁は、その事故の責任を取るのですか。それを教えてください。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 まずは原子力事業をやっている事業者として、一定の責任を負っているというのはあるのだと思います。ただ、政府も関係法令に基づいてきちんと国民の生命、身体、財産を守るというのは政府の基本的な役割でありますので、その役割については各法令に基づいてしっかり責任を持って対処するというのが基本的な考え方でございます。

 

○森議員

 それは全く答えになっていないです。国は原賠法を含めて1,200億円までは一応はそれを保険も含めて補償するというふうに言っているのですけれども、それ以上は物すごい天変地異があったときだけ国がみて、あとは全部事業者だということになっています。

 今回の福島原発の賠償金も、もう既に10兆円を超しているのですよ。10兆円ですよ。全部国が貸し付けています。これは全部東京電力が自分で返さなければいけないものになっていますね。国は東京電力の株式を売ってそれを返すのだという話になっていますけれども、とても株式がどんどん下がっている中でそれで返せるとは思えません。全部これはコストに入ってくるはずです。そうすると、再エネよりも原発のほうが優位性があるのだみたいな話でしたけれども、この事故の費用は賠償金を入れたらどんな計算になるのですか。原発は高くて、全然駄目でないですか。そういった費用は入れないのですか、計算しないのですか。どうなっていますか。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 今言及いただきましたコスト、28ページ目、29ページ目の部分については事故対策費用というのは一定程度織り込んでございます。もちろんその福島に係っているそこの費用等を念頭に、現時点でそれをほかの全プラントで当然ながら案分するわけですけれども、そういったものが入ってございます。ただし、確かにまだ福島の事故対策費用ないしは賠償費用等についてはまだ見通しが立っていない部分、完全に終わっていない部分がございますので、その部分についてはこれは字が小さくなってしまっていますけれども、真ん中の辺りのところにその感度分析という形で、この費用がこれだけ増えればコストはこれだけ跳ね上がるというようなことというのは数字として入れている。そこを御確認いただければと思います。

 

○森議員

 一般的に事業をやるときには会社は保険を掛けて、私が車に乗るときも任意保険を掛けて車に乗っていますよ。普通の会社が事業をやるときには、保険を掛けてやる。原発の場合は原賠法を含めて1,200億円までの保険が一応あるのですけれども、それ以上のものについては何もなくて、どこの保険屋さんも責任が持てないから引き受けないわけですよ。結局誰もその責任を取らない、原発事故の責任を誰も取らない、また取れない、そういったものを国がどんどん推進している。これは一体誰がどう責任を取っていくのですか。そういったスキームを先につくって、あなたたちは推進する立場にあるのではないですか。さっきのその最終処分場についても全く、端緒に就いただけだと思いますよ。それがもう明るい兆しができて、もうできるのだみたいな説明が今日ありましたけれども、全然そういった見通しが立っていない中でどんどん進めていく。その責任を誰が取るのですか、そこのところをもう一回教えてください。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 事故が起こったときの賠償については、まずは事業者が一次的な責任をしっかり取っていただくということだと思いますし、政府も原子力賠償等支援法に基づきその賠償金等の支払いについては様々な支援を提供しているところでありますので、そういったもので被害を負った方々にしっかり向き合っていくということかと思います。

 確かに最終処分場ないしは使用済燃料の保管という問題について、大きな課題として残っていることは私どもも理解しております。先ほど申し上げた最終処分場の選定プロセスはまだ端緒に就いたばかりですので、したがって最終処分場もしっかり探す、それに加えて安全にしっかり保管する。そういった取組も併せて進めているというのが足元でありますので、まずは事故を起こさないような、安全性を高めていただくような取組を事業者がまず進めるわけですけれども、そういった取組を促すような対応も政府として取り、かつ今申し上げたような最終処分場等の原子力を活用することに伴って発生する様々な負担についても対応できるような、そんな取組を同時並行的に進めるというのが基本的な考え方であります。

 

◎内田(博)議長

 時間です。

 

○澤議員

 では、質問をいたします。澤です。

 先ほどずっといろいろな形での説明をいただきました。今回は、少し視点を変えたいと思っています。エネルギーについて、自民党の総裁選で、高市早苗衆議院議員が電力供給のリスク対応に向けて、小型核融合炉の開発を国家プロジェクトとする、こういう持論を展開いたしました。そこで国のエネルギー施策として、この核融合炉をどういうふうに考えて進めていくべきなのかということをお伺いしたい。

それともう一つ、これは日本海側にもたくさんありますがメタンハイドレート、これも日本周辺の海底に膨大な埋蔵量があって、資源問題の救世主とうたわれることも多いのですけれども、その可能性。今までずっと取り組んできているものがあると思いますけれども、この可能性についてお聞きしたいと思います。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 お答え申し上げます。

 1点目の核融合炉についてでございます。小型モジュール炉と言われるような新しいその原子力関連の技術も含め、お渡ししている資料の31ページ目を御覧いただきますと、一番下のところに研究開発の推進ということで、新しい技術をしっかり追求していく取組もここに盛り込んでいるところでございます。その中の一つとして核融合炉も入ってございます。したがって今ある技術、安全に使う技術というのもそうなのですけれども、より安全に原子力というエネルギー源を使うための革新的な原子炉の開発といった取組も政府が進める方針であります。特に国際的な国際協力の枠組みなども活用しながら、アメリカ、フランスなどとも一緒になってそういった取組は引き続き進めていきたいと思ってございます。

 一方、メタンハイドレートであります。これは日本の近海、日本の領海内にある極めて貴重な炭化水素資源だと思ってございます。ただ、残念ながら非常に水とメタンがシャーベット状になって海底下に眠っている。それを溶かして地上に持ってきて経済性を合わせるというのはやはり難しい。まだ技術的な課題はあろうかと思います。ただ、炭化水素資源が日本の領海内に非常に多く眠っている。その眠っているということ自体はもう既に分かっていますので、いかにそれを経済的に見合うような形で活用するのか。ないものは使えませんけれどもあるものは使い方を考えればいいので、そういった技術開発も政府としてしっかり進めていきたいと思ってございます。

 ちなみに今日は触れられませんでしたけれども、エネルギー基本計画の資源、燃料の部分にはメタンハイドレートの開発についても触れているところでございます。

 

○澤議員

 御答弁いただきました。

 そういう革新的な部分といいますか、やはりこれは今後の大きなポイントになると思いますので、しっかり進めていただきたいということを申し添えておきたいと思います。

 

○市谷議員

 日本共産党の市谷知子と申します。よろしくお願いいたします。

 先ほどから、エネルギー政策について安全が大前提と言われます。そうであるならば原発の環境適合ですが、CO2の排出だけを評価していますけれども、原発事故の放射能による環境汚染についてもぜひ評価していただきたいと思いますけれどもいかがでしょうか。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 先ほど来、やはり原子力もそうですけれども、ある特定のエネルギー源がもうこれで完璧というものがない。その際に、事故が起こったときの被害の大きさというのが原子力にはあるということは私どもは理解をし、その上で安全性の確保が大前提ないしは原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた場合のみ再稼働するといったような方針を掲げているのは、その要素も踏まえた上で、組合せの中に原子力というのはやはり必要だと私どもは考えていると思っていただけたらと思います。

 

○市谷議員

 さっきお答えいただきました、放射能による環境汚染の危険性というのは分かっていながら評価しないという、本当にとんでもないことだというふうに思います。

 福島原発事故の被災者の心の痛みに向き合うと資料に書いてありますけれども、反対があるのに汚染水を海洋放出すると書いてあります。この鳥取の日本海にも汚染水を流すつもりでしょうか、お答えください。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 まだ具体的な放出の方法についての方針は決まっていないと思いますけれども、基本的には事業者の方々、東京電力の方々が関係地域の方々とも御相談をしながらその流し方を決めていくのだと思っています。まだ決まっていないと私は理解しています。

 

○市谷議員

 汚染水は流さないとおっしゃいませんでした。もうこれもとんでもないことだと思います。

 先ほど、原発事故の費用などを入れたらもっと高くなるというお話でしたけれども、それは確認させてください。そうですね。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 一定の感度分析、先ほどのコスト分析の中に入れているということを御紹介申し上げました。

 

○市谷議員

 事故を踏まえたら、もっと高くなる。

 新規制基準を満たしても絶対に安全はないと原子力規制庁も言っている。それでもエネ庁は原発を再稼働するとアクセルを踏むわけですね。そうであるならば、先ほどから話が出ていました原発事故について最終責任を取る仕組みを資源エネルギー庁がつくるべきではないでしょうか、いかがでしょう。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 先ほども御説明申し上げましたけれども、まずは事業者の方がその原子炉を動かすために必要な規制基準への適合をきちんと果たしていただくということに加えて、さらなる安全性の向上に向けても取組を進めていただくことが大事だと思いますし、政策当局としてそういったことをバックアップしていきたい。そういった方向に事業者の方に進んでいただくよう促したいと思っています。その上で、先ほども申し上げましたように、まずは事業者の方がその事故が起こったとき等にしっかり対処いただくわけですけれども、政府も原子力賠償等支援法といったスキームをつくってございます。そこを通じた資金支援等も含め、しっかりと関係法令に基づいて政府としての責任をきちんと果たしていきたいと思ってございます。

 

○市谷議員

 原発の再稼働にアクセルを踏んでいるのは資源エネルギー庁なのですよね。それなのに責任を取る仕組みをつくるということをおっしゃいませんでした。

 立地自治体と丁寧に対話し支援するとありますけれども、ここには鳥取県のような周辺自治体は入っているのでしょうか。それから県議会の説明は今日で終わりでしょうか、続けていただけるのでしょうか。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 立地自治体等と書いてございます。これはいわゆる地域の方々ということですので、そこに例えば島根県と鳥取県といったような区別を私どもはしているわけではございません。

 県議会との関係においては、県の方々にまずは県議会をどのように運営するか御判断いただくということだと思いますけれども、いずれにせよ様々な機会を捉えてきちんと県民の皆様、市民の皆様等々には向き合っていきたいというふうに思ってございます。

 

○市谷議員

 これで終わりでないということで確認させていただきます。

 次に核燃料サイクルについて、原発を動かすと使用済核燃料がどんどんたまりますから再利用するという計画なのですけれども、これははっきり言って回っておりません。使用済核燃料の六ヶ所村の再処理工場、2022年度の竣工はあくまで目標と書いてあります、決まっていません。また、再処理して取り出したウランやプルトニウムを混合してMOX燃料にするMOX工場、これも2024年度竣工。これもあくまで目標となっています。

 島根県議会で、実際動くかどうはまだ先の話だ、むしろ見通しが出てきているのだと言われましたけれども、再処理工場の稼働がはっきり決まるまで原発の再稼働だとかプルサーマル計画は見切り発車になると思います。見切り発車すべきではないと思いますけれどもいかがでしょうか。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 島根県議会で確かにそのように、まずは使用済燃料の再処理工場にせよMOX燃料の加工工場にせよ、原子力規制委員会のその審査等が進展していることを御紹介申し上げました。その上で、その使用済燃料対策をしっかりと進めるということも踏まえた上で、先ほど来申し上げていますような日本にとって今この瞬間、温室効果ガスの46%削減ですとか2050年カーボンニュートラルですとか、ないしは経済性、安定供給、そういった観点を全て含めると、やはり一定程度の原子力を活用していくことが必要だというのがエネルギー政策当局としての基本的な判断であります。

 

○市谷議員

 その必要性をるる言われ、核燃料サイクルをやっていくのだと言っているのですけれども、結局再処理工場は動く見通しがまだはっきり決まっていないのですよ。決まっていないのにこの核燃料サイクルをやるとおっしゃるのですけれども、矛盾があると思います。だからこれがきちんと確立しない限り、私は再稼働やプルサーマル計画をやってはならんと思いますけれども、もう一度どうですか。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 確かにまだいつ動くということを明確に、目標だというのはそれは確かに目標だと掲げていますのでそのとおりだと思いますけれども、ただ取組は前に進めてきておりますので、いわゆるプルサーマル利用計画等も含め、使用済燃料対策の一環として、こういった取組をむしろさらに加速化させていくというのがエネルギー政策当局としての役割だと思ってございます。

 

○市谷議員

 安全協定を立地自治体と同等にするよう、中国電力を指導していただきたいと鳥取県が経済産業大臣に要望しております。これは指導されたでしょうか、お答えください。

 

●佐々木資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官

 中国電力の方々とは日々コミュニケーションを取っているところでありますけれども、その地域の方々ときちんと向き合って話合いを進めていってほしいということはきちんと伝えているところであります。

 

◎内田(博)議長

 以上で質疑は終了し、資源エネルギー庁からの説明を終わります。

 佐々木様をはじめ資源エネルギー庁の皆様には、丁重な御説明、御答弁をいただきまして誠にありがとうございました。

 それでは、説明者の入替えを行いますので暫時休憩いたします。再開は4時といたします。

 

午後3時52分 休憩

午後4時01分 再開

 

◎内田(博)議長

 再開いたします。

 それでは、引き続きまして中国電力株式会社から島根原子力発電所の概要と必要性について説明を受けます。

 中国電力株式会社の皆様には、お忙しい中にもかかわらず議員全員協議会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 それでは、中国電力株式会社電源事業本部島根原子力本部副本部長、尾田光正様、20分程度を目途に着座にて説明をお願いいたします。

 

●尾田中国電力株式会社電源事業本部島根原子力本部副本部長

 それでは、お手元の資料に基づきまして説明させていただきます。

 資料の下半分に目次がございます。本日は島根原子力発電所の概要について触れた後、原子力発電の必要性としてなぜ当社が島根原子力発電所の稼働が必要と考えているのか、こういったことを中心に御説明させていただきます。

 それでは、おめくりいただきましてシートの右下8と書いてあるページをお願いいたします。こちらは発電所を日本海側から見たものでございます。山手側に1号機、2号機、そして少し離れた海側にあるのが建設中の3号機でございます。敷地面積は約192万平方メートル、当社そして協力会社の社員合わせまして約3,100名が日々この構内で仕事をしております。

 9ページをお願いします。原子力発電所の設備概要と現状でございます。1号機につきましては2015年に営業運転を終了し、現在は廃止措置中でございます。2号機は1989年2月に営業運転を開始し、32年8か月が経過しております。電気の出力は82万キロワットで、この82万キロワットという数字は鳥取、島根、山陰両県で1年間お使いになられる電気の6割程度を賄うことができる能力を持つ設備でございます。原子炉の型式は沸騰水型でございます。2012年1月から運転を停止しておりますが、201312月に新規制基準の適合性審査の申請をしておりまして、先月、原子炉設置変更許可を受領したところでございます。

 3号機につきましては、福島の事故が発生いたしました2011年に運転を開始する予定で建設を進めておりましたけれども、現在は2号機と同様に安全対策工事を進めるとともに2018年に国へ適合性審査の申請を行ったところでございます。

 資料を飛びまして、16ページをお願いいたします。ここからは、なぜ当社が島根原子力発電所の稼働が必要と考えているのか、必要性について御説明させていただきます。

 こちらのシートは日本のエネルギー政策の大本を記載しているものですけれども、Sというのは安全確保、この安全確保を大前提として安定供給、経済性、環境への適合、3つのEでございますけれども、このSプラス3E、これを同時に達成するということが基本的な視点として、我が国ではエネルギー政策が進められております。

 17ページをお願いします。こちらは、エネルギー源の長所と短所を取りまとめたものでございます。一つ一つの説明は割愛をしますけれども、どの電源にもそれぞれ長所と短所がございます。原子力を含め、様々なエネルギー源を適切に組み合わせて使うことが非常に重要であると考えております。

 18ページをお願いします。こちらの左側のグラフにお示ししておりますとおり、東日本大震災以降、原子力発電の停止などにより、火力発電の割合が8割程度にまで上昇しております。国は、2050年のカーボンニュートラルという目標、さらにはその手前の2030年度において2013年度と比べて温室効果ガスを46%削減すると、そういった目標を掲げておられます。現在、国において第6次のエネルギー基本計画の検討が進められておりますが、その中でここにございます2030年度のエネルギーミックスの素案が示されています。ここでは、化石燃料による発電を41%まで低減し、その代わりに非化石電源を59%程度まで増やしていくとなっております。このうち再生可能エネルギーは現状の倍程度に増えていくという形になっておりますけれども、原子力につきましては2割程度、一定程度は今後も必要であると、そういった政府の考え方が示されていると考えております。

 20ページをお願いします。続いて、安定供給の観点から、原子力の必要性について御説明します。こちらの表は自給率について説明したものでございますけれども、2000年代には20%程度ありました自給率が、2011年度以降原子力発電の停止により低下をし、現在は1割程度にとどまっております。燃料の多くを輸入に頼っている我が国にとりまして、自給率をいかに高めるのかということは大きな課題であると認識しております。

 続きまして、22ページをお願いします。こちらは、1日の電気の使われ方をグラフの形で一例として示したものです。電気はためることができませんので、供給力と需要を常に一致する必要がございます。そのためには、発電する量を絶えず調整しておく必要がございます。近年、太陽光発電の導入が拡大しておりますけれども、太陽光発電は自然条件により発電する量が大きく変化します。太陽光で電気が余った場合には火力発電を抑制し、逆に不足をする場合には火力発電をたき増しすると、そういった運用をしております。太陽光発電を運用するその後ろ側で、バックアップとしてCO2を排出する火力発電を現状では使わざるを得ないというのが現実でございます。

 一方、このグラフの一番下のところにベースロード電源と書いております。安定的に発電できる原子力は、このベースロード電源として電気の安定供給に貢献できる、そういったエネルギー源であると考えております。

 続きまして、25ページをお願いします。こちらは当社の保有する発電設備の割合を示しておりますけれども、65%が火力発電となっております。この火力発電のうち、40年以上を経過する設備が43%となっております。原子力発電が運転できていない現状では、火力発電の高稼働が続いておりますけれども、この40年以上経過した発電所においても高い稼働率で運転をし、何とか供給力を確保している状況でございます。さらに、今後時間が経過しますと、この高経年化する火力の割合もさらに増えていくということですので、中長期的には代替となる電源の確保が大きな課題になると考えております。

 26ページをお願いします。ここまで安定供給について、るる御説明してまいりましたけれども、このシートの左から2番目のグラフを御覧ください。島根2号機が稼働いたしますと、全体の約1割程度を原子力の発電で賄うことができるようになると考えております。国のエネルギー政策も踏まえ、当社としても再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでまいる所存でございますが、同時に、島根原子力発電所の稼働によりまして、バランスの取れた電源構成を実現していきたいと考えております。

 続きまして、28ページをお願いします。ここからは、経済性の観点から原子力発電の必要性について御説明します。こちらのコスト試算は、国の審議会でこの夏に示された2030年断面での電源別の発電コストの試算であります。新たな設備を更地から建設、運転した際のコストということでございますので、一定の前提の下で機械的に算出したものとなっております。風力発電や太陽光発電など、これらについては国内のみならず世界的に普及が進むということで、設備費の低下が期待される、そういった観点でこれまでよりも発電コストが大きく低下したとされております。

 当社としても、再生可能エネルギーのコストの削減というものは再エネの導入を拡大していくに当たり、非常に意義が深いことであると考えておりますが、このコストの中には、先ほど触れました火力発電所でバックアップをするようなコスト、あるいは送電系統を増強するような費用、そういったようなことが含まれていないといった指摘もあるところでございます。原子力発電につきましては11.7円という数字が出ております。安全対策費用などで増加をした、従前に比べて少し価格が上がったといったところはございますけれども、このように押しなべてみましても、ほかの電源と比較して遜色のない水準であると考えております。

 32ページをお願いします。このグラフは当社の燃料費の推移をまとめたものです。緑の棒グラフは当社が実際に支払った燃料費で、青色の折れ線グラフは燃料の市場価格でございます。2011年以降、原子力が稼働を停止し、当社でも火力発電の割合が増えたことによりまして燃料費は大きく上昇しておりますけれども、この火力の割合が高い状態が続いていることで当社においても燃料価格の変動の影響を受けやすい、そういう構造となっております。

 33ページをお願いします。島根2号機の再稼働により、火力発電の燃料の使用料を減らすことができます。一定の前提の下で算出をした削減効果でございますけれども、年によって変動はございますが、1年間で約400億円の燃料費を削減することができるというように考えております。現在、島根原子力発電所では様々な安全対策を行っており、そのための費用が必要となっておりますけれども、今後稼働した場合には、こういった燃料費の削減効果を踏まえますと、十分な経済性が見込まれると考えております。それと同時に、中長期的には電気料金の安定化に大きく寄与するものであると考えております。

 続きまして、36ページをお願いします。ここからは、環境への適合の観点で必要性の御説明をいたします。このシートにございますとおり、日本の温室効果ガスの削減目標2030年度約46%削減と、それを達成するために、現在素案の段階ではありますが、エネルギーミックスが政府で示されているところでございます。やはりこれを見ましても、原子力、再生可能エネルギーなど非化石電源の比率を上げることがこの目標を達成する鍵になると考えております。

 37ページをお願いします。日本全体では年間約11億トンのCO2が排出されておりますけれども、このうち電気事業を含むエネルギー転換部門が約4割を占めております。この4割のうち、電気事業の割合は9割となっておりまして、日本においてCO2を削減するその実現に当たりまして、電気事業者には大きな役割が求められると考えております。

 40ページをお願いします。こちらは、島根原子力発電所の稼働による当社のCO2の排出の抑制効果です。2号機が稼働しますと、約260万トン削減ができると試算しております。さらに、参考までに、3号機の稼働を想定して試算した場合には2号機と合わせまして700万トンの削減ができると考えておりまして、当社のCO2排出量を約2割削減することが可能となります。

 それでは、資料48ページをお願いします。こちらでは安全対策の全体像をお示しします。福島第一原子力発電所での事故を受けて、新たに策定をされました新規制基準を踏まえ、地震、津波、火山の噴火、竜巻、こういったあらゆる事象を厳しく評価して、これに備えた記載の安全対策を強化、拡充をしているところでございます。

 49ページをお願いします。こちらは、従来から配備をしている設備に加えまして、代替の冷却手段として新たに追加、強化をした手段を電源、設備、水というテーマで分類して整理したものでございます。従来の設備が使用できなくなった場合に備えまして、電源においては耐震性の高い受電設備、あるいは様々なタイプの発電機を設置しております。設備におきましては、代替となる冷却設備、あるいはポンプ車のような可搬式のもの、据付け型のポンプ、そういったようなものを新たに設置しております。さらに、水源につきましても、新たにタンクを追加する、あるいはその強度を高める、そういった取組を行っているところでございます。

 52ページをお願いします。こちらでは、緊急時に備えまして津波の影響の心配のない海抜50メートルの高台に耐震構造の緊急時対策所を設置し、外部から支援のない状態でも150名の人員が1週間対応できる設備を備えております。また、こういった設備を活用して緊急時の対応訓練を昨年度は64回実施しました。人の対応力を強化するとともに、国や自治体との連携を強化する訓練を通じて連携を強化するといったことにも努めております。

 57ページをお願いします。こちらでは、自主対策の一つとして、地下水の対策について御紹介します。万一原子炉の格納容器が破損し、原子炉内の冷却水が建物の外に漏れ出すといった場合には、地下水と混ざり合い放射性物質を含んだ汚染水が発生する可能性がございます。それを低減するために、敷地を取り囲むように止水壁を強化する、あるいは山側から流入してくる水をくみ上げる井戸を設置する、こういった対策工事を行っております。

 続きまして、68ページをお願いします。こちらは、当社における不適切事案の概要と再発防止策を一覧にまとめたものでございます。2010年の点検不備問題以降も不適切な業務処理の事案が複数発生をしておりまして、地域の皆様に御心配、御迷惑をおかけしておりますことを、この場をお借りして改めましておわび申し上げます。再発防止対策を確実に実施することはもとより、全ての所員が安全を最優先に日々の業務に対して誠実に向き合うこと、そしてその一つ一つを日々しっかり積み重ねることで多くの皆様に御安心いただける発電所を目指してまいりたいと考えております。

 69ページをお願いします。こちらは、今年5月に協力会社の社員の方が負傷された労働災害、そして管理事務所で発生いたしましたバッテリーからの発煙事象について、再発防止対策とともに記載しております。こちらにつきましても、しっかりとした原因究明と、それに基づく再発防止対策、一部まだ取りまとめができていないものもございますけれども、この対策を確実に実施することで同様の事案が発生することがないようにしてまいらなければならないと考えております。

 70ページをお願いします。当社は、過去の不適切事案を踏まえまして、再発防止策を徹底することはもちろんのことですが、その土台となります原子力安全文化の醸成にも取組を進めてまいりました。中でも、社外の有識者の皆様を中心に構成をした原子力安全文化有識者会議を定期的に開催し、第三者の視点から貴重な御意見、御提言をいただいており、これを当社の施策に反映しているところでございます。

 最後に、71ページをお願いします。当社は、福島第一原子力発電所と同様の事故を決して起こさないという強い意思の下、事故の教訓を踏まえながら徹底した設備対策と緊急時対応力の向上を両輪に、安全性の向上に取り組んでいます。

 安全への取組に終わりはございません。新規制基準に適切に対応することはもとより、新たな知見も踏まえながら地域の皆様に御安心いただける発電所を目指してまいります。

 

◎内田(博)議長

 ただいままでの説明に対して、御意見、御質問があればお願いいたします。

 

○浜田(一)議員

 本日は、お忙しい中、誠にありがとうございます。そういたしますと、幾つか質問をさせていただきます。

 福島第一原発事故においては、全電源喪失による冷却機能が停止し、炉心損傷に至る重大事故に至ってしまいました。冷却機能の維持のため、電源確保は極めて重要なことであり、外部電源や非常用電源など多重的な対策が取られていますけれども、東日本大震災のような広域的な災害により外部電源が長期にわたり利用できない場合に、どのぐらいの期間を持ちこたえると評価をされているのか。また、それで安全性が保たれると考える根拠について、見解を伺います。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 福島事故は、まさに燃料そのものの前に発電機が海水につかったということが原因でございます。新しい規制基準では、もともとある非常用発電機が3台、それに加えて2号用としては2台のガスタービン発電機を設置し、それとは別に高圧発電機車、トラックに積んだ発電車も配備しました。当然これは燃料も確保する必要がございまして、新規制ではそれぞれについて1週間は自分で供給できるように備蓄すること、したがいまして、単純に考えると、それは別々ですから、実力的には2週間あるということになります。ただ、この燃料だけに頼るのではなく、外部からの電源の復旧、66キロボルト、6万6,000ボルトであれば、過去実績でいうと山崩れがあっても大体3~4日で仮復旧可能ということがありますので、外部電源も1週間以内に受けられるように、それが駄目でも陸送、あるいは空輸でもって燃料を運ぶ、そういった一重、二重の、三重の体制を取って、長期といってもいつまでも燃料が補給できる体制を組んでおります。

 

○浜田(一)議員

 新規制基準に沿って必要な安全設備など、物理的な対策は十分進められていると考えられますけれども、実際に原発が停止してから9年以上が経過している中で、スタッフの中には原発稼働時の経験がない職員も多数おられるのではないかと思います。幾らシステムが完璧でも、それを運用するのは人であり、熟練したスタッフが減少していればヒューマンエラーにより重大な事故に発展することも懸念されますけれども、その防止に向けた取組について伺います。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 御指摘はごもっともでございまして、現時点、大体500名以上の職員が発電所におりますが、200人程度は1号機、2号機が動いているのは見たことがない人材でございます。そのために、当然運転員であればシミュレーターを使って有効な事故訓練を対応させる、それ以外にも、実機の体験をさせるために自社の火力発電所で研修をさせる、あるいは既に稼働している関西電力、例えば大飯発電所などにお願いして、関西電力のPWRでも経験させていただく。さらには、原子力発電推進協会という全国組織があるのですけれども、そちらのほうでも現場の気づきとかそういった感覚を磨き上げるプログラムを使った訓練、そういったことで経験がない人間をできるだけサポートしながら技術力の維持向上を図っております。これからも、稼働に向けてしっかりとそういった維持向上を図っていくつもりでおります。

 

○浜田(一)議員

 最後に、安全協定については、立地自治体との文言の差異の解消に向けて、県は度重ねて改定の申入れを行ってきました。このたびの安全協定の改定に向けた協議会が再開をしたとの報道がありましたけれども、中国電力としては協定の改定についてどのようにお考えなのか、見解を伺います。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 まず、安全協定については、申出を受けて長時間期間がかかったということをこの場を借りておわび申し上げます。

 10月5日の改正協議会におきまして、本文の改定も含め、準備を進めているところと申し上げておりまして、現在細部を詰めております。次回の協議会で、私どもとしては協定以外に防災も含めて、いろんな具体的な御提案をお示ししたいと考えております。詳細については協議会でお示しさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

○森議員

 会派民主の森です。

 先ほど安全協定の話がありました。現在立地並みを求めているのですけれども、確認文書という形で別の文書で立地と同等に扱うというような覚書みたいなものが入っています。この県議会の中でも、それで立地並みだという議論もあるのは事実です。でも、私どもの仲間が広島の本社に伺ってこの話をしますと、立地の安全協定と現在鳥取県が結んでいる安全協定は違うんだという社員の対応だったということです。現在の枠組みと立地の安全協定との違いを教えてください。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 まず、安全協定を鳥取県、米子市、境港市さんと提携させていただいていますが、私どもは目的については当然市民の安全と環境の保全、これを守るという前提が同じでございますので、その際に協定の文言が若干違うところがあっても、私どもは運用面では立地自治体と同様の対応をさせていただきながら、これまでもいろんな行動は同様に対応させていただいたということでございます。この対応につきましては、今後も変わるものではございません。その文言の中で違うところにつきまして、協議をさせていただくというところでございます。

 御要望はしっかり受け止めまして、いわゆる事前了解、あるいは立入検査、あるいは適切な措置の要求、そして燃料輸送、この4項目について、どういった形でできるかというところについて、協議会の場でお示ししたいと思っております。

 

○森議員

 島根の周辺自治体との話の中で、中国電力さんのほうで立地の固有のものだというような発言をされていると新聞報道があったのですけれども、その真意を教えてください。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 安全協定、いわゆる1号機の建設以降、火力は半世紀にわたってやってきたわけでございますけれども、その当時の経緯というのがまずありまして、そういったものを踏まえて立地との安全協定が発展してきたという過去の経緯がございまして、その経緯も尊重しなければならないということでございますが、いろいろ事故が起これば当然その影響は一緒だということもごもっともでございます。私どもは、そういったいろんなお話を統合して、現在安全協定の改定協議に向けて検討させていただく。

 ただ、私どもは安全協定だけが鳥取県の皆様の安全を確保する手段とは思っておりません。当然防災に関するいろんな約束、そしていろんな仕組みもございます。そのトータルでまず御議論させていただきたいということは申し上げておきたいと思います。

 

○森議員

 これからの安全協定の協議会をぜひ期待したいと思います。

 今日、規制委員会、そして内閣府、そして資源エネルギー庁と説明を受けました。その中で、国は基本的には規制をつくって、それに適合しているかどうかを審査。そして、資源エネルギー庁が、それに適合していたらどんどん原発を進めるという立場です。規制庁側は、安全だということは一言も言わないと、基準に適合していると言うだけ。それから、資源エネルギー庁のほうは、適合していたらそれを一定の安全があるみたいな言い方でそれをどんどん進めていくというふうに言っているのですね。責任はどこが取るのですかと言ったら、責任のことははっきり言わないのですよ。事故があったときは、国は事業者である中国電力さんに全部おっかぶせる、そんな話ですよ。今の東京電力もまさにそのとおりになっているのですけれども、国が進めておきながら、いざとなったら、はしごを外して全部電力事業者さんに責任を負わせる、そんな仕組みになっているのです。

 また、今の最終処分場のことも含めて、事業者の責任みたいな形になっています。私は全部おかしいと思っていまして、そういったものを本来は国がやるべきだと思っているのですけれども、今なぜこうやって再エネにも投資ができるはずの中国電力さんが高い投資をしながら原発にだけどんどん投資をしているのか。そこのところを電力会社の気持ちとしてお伝え願いたい。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 必要性のところで述べさせていただきましたが、やはりSプラス3E、安全を前提に経済性、安定性、そういったものがあります。やはり、それを全て再生可能エネルギーだけで賄うというのも難しく、バランスよくというのが当社の電気事業部の運営の考え方でございます。したがいまして、一定の比率の原子力もやはりその中には必要ということで、再エネも当然投資を2030年に向けて、現時点で30万キロワットの見通しを持っていまして、さらに上積みをしたいと思っておりますが、再エネも進め、原子力も一定比率を維持したい、これが当社の考え方でございまして、2050年のカーボンニュートラルに向けては、さらに水素の、あるいはアンモニアの導入、いろんなオプションがございます。いわゆる温暖化防止に向けた脱炭素に向けてしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

 

○森議員

 安全ということになってくると、過去に例えば宍道断層一つ取ってみても、1号機、2号機建設時には宍道断層などはないとおっしゃっていて、次には8キロ、その次は10キロ、別の知見が出て18キロだという知見が出ても無視をされていながら、福島原発事故が起こって規制基準の審査を申請するときには22キロと言われて、規制委員会から指摘をされたら渋々39キロということで了承された。そういうところが、私は信頼がなかなかできないなと思うのですよ。投資した分は必ず電気料金として返ってこなければいけないという、そんな仕組みだと思うのですけれども、福島原発のときに現場ではもっと高い津波が来るかもしれないと思っていたのに、それで申請したけれども、経営が優先してそれの対応を取らなかったことが一番の原因なのですよね。そういったことが中国電力さんはできるのですか。経営よりも安全を優先することはできるのですか、これを教えてください。

 

◎内田(博)議長

 時間がありませんけれども、できますか。北野本部長、まとめてください。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 いわゆる規制に対する要求もありますが、私どもは知見は常に出てくるものと思っております。新たな知見に適切に対応し、新たな測定機器も登場して、見つからなかった活断層も見つかってきたという事実に尽きますし、また国の機関の知見も出てくる。そういった知見は常に取り入れながら、安全性向上をやっていくことでございます。今回でそれで終わりとは思っておりません。新たな知見が出ればしっかりと対応してまいります。

 

○澤議員

 公明党の澤でございます。

 そうしますと、質問させてもらいたいと思います。今、中国電力と鳥取県の協議会が開かれますけれども、残念ながら中国電力との鳥取県の協議が再稼働の要件にはなっていない、こういう現状があるのです。そこで、協議会で立地自治体並みの安全協定をと要請しているわけですけれども、これまでの回答では難しいということだと。そこで、次の方策として鳥取県の意見・要望を許認可権限を持っている国や島根県に要請することになると思います。島根県は平成2511月7日に、島根原子力発電所周辺地域住民の安全確保等に関する覚書を当時の溝口善兵衛島根県知事と平井伸治鳥取県知事は結んでおります。島根県は現在、丸山達也知事になってからも、この覚書は継続をされていると。

 例えば、この覚書に沿って島根県から鳥取県の要求を中国電力に伝えた場合、それが安全協定に関わることであっても中国電力は対応するか、こういうことを伺いたい。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 現在、私どもの鳥取県、米子市、境港市さんとの協定では、当然あらゆる県民に対して御意見をいただいて、それに私どもは誠意を持って対応すると、文言はそうなっておりますが、実質的に私どもは同様に対応しますということで、どのような御要求があってもしっかりと御意見として承って対応する考えでございます。また、覚書のほうからもそういった形で流れてきますけれども、当然島根県さんの御意見も聞きながら、そういった御要望についてはしっかり対応していくということでございます。

 一例を申しますと、このたび新規制基準で地下水、汚染水対策についてぜひともやってほしいという御要望を受けまして、私どもは一生懸命頭で考えまして対策も、規制にはございませんが対応した経緯もございます。引き続き、協定の考え方、目的は一緒でございますので、しっかりと対応させていただきますし、協議のほうも真摯に進めさせていただきます。

 

○澤議員

 今の答弁で協議会のほうもしっかりとやると、あわせて、覚書についても当然沿ってやっていくという御答弁でしたので、しっかりと進めていくべきだと私も思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、私たち公明党も、再稼働については基本的に反対するものではないと、こういう見解を持っております。ただ、当然なことですけれども、原発並びに住民への安全性の確保が必要な条件となると、こういうことを申し上げて終わりたいと思います。

 

○市谷議員

 日本共産党の市谷知子です。よろしくお願いいたします。

 まず、2号機を動かしますと400億円の燃料費の経費削減効果があり、電気料金が安くなるというふうに書いてありますけれども、今問われているのは経済性ではなく安全性です。しかも、資源エネルギー庁が言っていましたけれども、事故が起きたその費用を入れ込んだらもっと高くなると言っていました。だから、経費が安く済むからよいなどというこのアピール、資料はやめていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 安全性が大前提であるということは、当然我が社も一緒でございます。1号機をなぜ廃炉にしたかというと、新規制対応が難しいということで安全性が確保できないので廃炉を選択した。2号機についてはきちんと対応ができ、またその安全性も十分説明できる状況であるということで、今回こういったお願いをしていることでございます。

 なお、経済性が全くないという企業経営はございませんで、安全性を大前提に、まず電力の安定供給、そういったことも踏まえて具体的な中身について説明したわけでございますので、この400億円だけが目的で稼働をお願いしているわけではございません。

 

○市谷議員

 何か経費優先というふうに見えて、私たちの安全は本当に確保されるのだろうかと不安になりました。

 環境への適合性、2号機稼働でCO2が1割削減できると書いてありますけれども、原発事故による放射能汚染とか核のごみとか、環境への負荷はぜひ試算していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 まず、福島事故、あのような大量放出に至る事故につきましては、私どもも二度と起こしてはならないと考え、しっかりとした対応を取ってきたものでございます。

 今回の安全対策における放出量は、単純に言うと消防自動車のようなもので水しか突っ込めないような最悪の状態を想定しても、敷地内に長期に避難する量のセシウムは収まるという前提でございます。そういった形で、環境への負荷も当然低減させておりますし、核のごみと言われる高レベル廃棄物、確かに放射能は多いですが、狭い箇所でとどまるというメリットもございます。皆様の御理解を得ながら、国にも協力して、そういったことも進めていきたいというふうに考えてございます。

 

○市谷議員

 環境への負荷は試算されないということで、さっきトリチウムもここに収めることができると言われましたけれども、これは処理できないのですよ。全然安全ではないのです。きちんと試算していただきたいと思います。

 汚染水について、先ほど何か対策も取られたということで、囲うのは囲うのですけれども、これはその後どう処理されるのでしょうか。

 資源エネルギー庁は海に流すといって方針を出しているのですけれども、中国電力としては海には流さないとお約束していただけませんか。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 原子力発電所の運転に当たっては、当然ある程度の気体廃棄物、液体廃棄物は発生いたします。これは国の基準に沿って安全を確認しながら系外放出するわけでございますが、トリチウムに関しましてもこれまで放出をしてきております。ただ、その基準は国の基準の大体1万分の1以下という非常に薄い、事故を起こしたプラントですともう少し濃くなりますが、通常運転のプラントであれば非常に薄い、人体には全く影響のない量の希釈で放出することができます。

 いずれにしても、私どもはできるだけ放出は少なくなるように努力しながら、安全を追求してまいりたいと思っております。

 

○市谷議員

 この汚染水対策は、私たちにとっては再稼働を許すかどうかの前提条件なのですよ。知事も出していますけれども、県議会からも出ました。今みたいに海洋放出するなどということがあるのだったら、これは許せないと思いました。

 活断層について、中国電力は最初宍道断層はないと言ったのが、今は39キロになりました。なぜこれまで活断層をちゃんと調査されなかったのですか。

 鳥取沖断層との連動はしないということになっていますけれども、これがもし連動したら、820ガルどころから1,014ガルになって、原子炉は壊れるのですよ。自ら調査し、きちんと影響評価すべきではないですか。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 宍道断層と鳥取西部断層につきましては、当社の綿密な調査、あるいは音波探査、重力異常、いろんな観点でできる限りの調査をし、そしてなおかつ、本来であればないものはあるものと定めた、そういった保守的な評価で定めたものでございます。この連動につきましては、私どももこれはないと判断しますし、国のほうもそれは了承いたしております。調査については引き続きいろんなものを含めて継続していきますけれども、先ほど言ったように新たな知見には適切に対応してまいるということでございます。

 

○市谷議員

 近頃の地震だとか津波だとか災害というのは、想定外が起きるのですよ。住民は不安なのですよ。ですから、きちんと調査していただきたいと思います。

 また、過去の不適切事案を踏まえて、安全文化の醸成に取り組んでいると書かれておりますけれども、2010年、511か所の点検漏れ、2015年、点検記録の偽造と100か所以上腐って穴が空いていた、2020年、巡視の未実施と虚偽報告、そして今年、作業員の転落事故、管理事務所の火災、また原子力規制庁から借りていたテロ対策の重要書類を誤ってシュレッダーにかけて捨ててしまった。これは5年前から認識していたのに、報告されていませんでした。私は中電にも聞きましたけれども、文書管理していた人というのは特定されておりますね。なぜその方を公表して処分されないのでしょうか。処分していただきたいと思います。

 また、シュレッダーにかけて捨てたという証拠はありません。本当は紛失したのではないですか。紛失ではないという証拠があるのでしょうか、答えてください。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 過去2010年以降、複数の不適切事案が発生し、都度きちんとした対策をしたつもりですが、防ぎ切れていないというところは改めましておわびをするところでございます。

 腐ったという話がありましたが、そういう事実はないと思っております。

 なお、誤廃棄のところでの処分につきましては、社内規定に沿って適切に処分をしておりますし、また、昨年起きましたサイトバンカ建物巡視業務の未実施、これは当社のみならず、協力会社で起こった事案ということで、こちらも大変重く受け止め、全所員3,000人を対象にしっかりとしたレベルになるようにきちんと監視、評価しながら、当社の責任で安全文化を向上させる、そういった対応を取ってまいります。

 

○市谷議員

 この不適切事案の対策を取ったと言われるのですけれども、何度も何度も繰り返しているから問題なのです。これは反省していないということだと思います。これで安全文化を醸成してきたと言えるのでしょうか。

 原発は、間違えましたでは済まないのです。今回この資料に反省の言葉が一言も書かれていないのはどういうことなのでしょうか。これまでの不祥事に対する責任をどう取られるのでしょうか。不祥事が起きたら自ら原発を停止される意思はおありでしょうか、お答えください。

 

●北野中国電力株式会社取締役常務執行役員電源事業本部島根原子力本部長

 不適切事案につきましては、同じことが起こったわけではございませんが、やはり完全にカバーし切れていないところが私どもの反省事項でございます。今後、先ほど言ったように全包囲をしっかりと監視しながら、こういったことがないようにしっかりと取り扱いますし、事の事案によって、当社の対処は今後も進めていくところでございます。事案によってそれぞれ社内で処置しながら進めていくということでございます。

 

◎内田(博)議長

 以上で質疑は終了し、中国電力株式会社からの説明は終わります。

 尾田様をはじめ中国電力株式会社の皆様に、丁寧な御説明、答弁をいただきました。誠にありがとうございました。

 以上で議員全員協議会を終了いたします。

 

午後4時48分 閉会


 

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000