決算審査特別委員会として、付託を受けた議案を認定するに当たり、検討又は改善を要する事項のうち、口頭指摘の申し渡しを行います。 
                 
                 第1点目は、草の根自治支援室の抜本的な見直しについて であります。 
                 
                「草の根自治」とは「行政の舵取りは住民みずからの手で」という考え方に基づき、草の根自治支援室は住民自治を支援しています。しかし平成18年度の相談件数は54件、平成19年度に入っても10月末時点で25件と低調。また出前説明会等も1年半で33回と草の根自治へのニーズは多くはありません。 
                 県民が行政をチェックする手法を教授するのではなく、県民と協働して県政等を運営する手法を考えていくことが、これからの同室に求められることなのではないでしょうか。 
                 草の根自治の理念は尊いものですが、理想と現実の問題もあり、同室のあり方を抜本的に見直すべきであります。 
                 
                 第2点目は、行政監察監のあり方の再認識について であります。 
                 
                前知事の就任以降について、調査になかなか着手しなかった理由を、当時の行政監察監は、「知事のこれまでのマネジメントを見ているとこういった不適正な資金造成があったとは正直思っても見なかった。あとからみれば調査をしておくべきだったかもしれないが、知事のマネジメントの一環としての行政監察監なので、その時点で独自に調査することは難しい。」と言っていましたが、そもそも行政監察監は、第三者的な立場で県の業務をチェックすべき立場にあります。 
                 今後は、第三者的立場で監察を徹底すべきであります。 
                 
                 
                 第3点目は、自主防災組織の組織化推進について であります。 
                 
                 本県の自主防災組織の組織率は平成18年度末で53%と全国平均の66%と比べて10%以上も低くなっていますが、特に米子市は22%、倉吉市は 
                35%、境港市は20%程度と3市が低調となっています。 
                 米子市、境港市は鳥取県西部地震で学んだ教訓を活かすべきであり、早急に自主防災組織を普及させるよう3市に対して県も働きかけるべきであります。 
                 
                 
                 第4点目は、子育て家庭への支援について であります。 
                 
                 子育てを楽しむことのできる環境づくりや、子育て家庭をみんなで見守り支援する地域づくりを推進するため、県では「親支援プログラム」の普及などに取り組まれているところであります。 
                 また、鳥取大学へ委託し、県内全域の乳幼児健診等に訪れた保護者や保育士等からの生の声を聞き取る「家庭と育児力の実態調査」を行い、子育て家庭のニーズの把握に努めたところでありますが、せっかくの調査結果を施策等に十分活用されているとはいえない状況であります。この調査結果について十分な分析を行い、県内の子育て支援機関へ早急に還元し、家庭と育児力の向上に生かすべきであります。 
                 
                 
                 第5点目は、不法投棄防止対策の徹底について であります。 
                 
                県内における不法投棄の発見件数は、平成17年度から増加傾向にあり、平成18年度は179件と、特に山間部を中心として増えています。県では不法投棄多発地帯に監視カメラ、無人警報装置を設置し防止に努めていますが、これらは設置地点では効果を発揮しているものの、広域的に見れば、県内全域での不法投棄は後を絶たないことから十分ではなく、また、その高額な設置費用からいっても疑問であります。よって、住民との協働による監視通報活動等を基本に、より広域的、効果的な不法投棄防止対策を策定し、早急に実施するべきであります。 
                 
                 
                 第6点目は、学校給食の地産地消の推進について であります。 
                 
                学校給食における県内産食材使用率は50%を超え、地産地消の取組みが広がってきてはいるものの、市町村によって食材使用率に温度差があり、市町村合併に伴う統一献立の実施や調理場の統廃合等から、今後使用率を上げることが困難な状況となっています。 
                 県の地産地消や食育施策を一層推進するため、生産・流通関係者との連携を図り、市町村の統一献立の見直しや旬の食材の活用など、市町村と十分連携しながら地産地消に取り組みやすい環境整備を進めるべきであります。 
                 
                 
                 第7点目は、妻木晩田遺跡の整備について であります。 
                 
                 国指定史跡である妻木晩田遺跡の整備等については、平成24年度を目途に現在進められており、平成18年度は各施設の基本設計が終了し、平成22年度には中央ガイダンス、平成23年度からは復元建物の公開等が予定されているところであります。 
                ついては、今後、妻木晩田遺跡の整備にあたっては、社会教育施設としての目的を明確にした上で、保存と活用のあり方について費用対効果を十分に検証し、必要であれば現在の計画も見直しながら進めるべきであります。 
                 
                 
                 第8点目は、地域を支える人材の育成について であります。 
                 
                本県の高等学校卒業者の多くが、進学又は就職等のため県外に転出して地域を離れている中にあって、県内に就職する学生に対しては、地域を支えていく人材という認識を持ち、液晶関連産業のみならず、全産業において人材育成を図る施策を講じるほか、就職内定後や就職後の不安定な時期にきめ細やかな施策を講じるなどし、郷土意識の醸成や離職防止を図ることを検討すべきであります。 
                 
                 
                 第9点目は、鳥取県造林公社のあり方について であります。 
                 
                 森林資源の造成及び整備を推進するため、財団法人鳥取県造林公社は農林漁業金融公庫から造林資金等を借り入れて事業を実施しており、その償還及び負担軽減のため、県は公社に対し借入金の原資や利子の助成等を行っています。 
                しかし、その借入残高は約305億円に達し、償還計画を立てることが極めて困難となっています。 
                 そもそも、この事業は、国が国策として取り組んできた経過を踏まえ、国に対して抜本的な対策を講じるよう強く要請すべきであります。 
                 
                 
                 第10点目は、木質バイオマスの利用促進について であります。 
                 
                 本県では、森林の整備が図れて持続可能であり、林業関係者の雇用と所得の確保にも繋がる木質バイオマスの利用を推進しているところであります。 
                 そのため、端材、支障木等が活用できるペレットストーブの導入を推進し、ペレットの生産拠点も整備されているところですが、その導入は伸び悩んでいます。 
                 石油価格の高騰により、ペレットの優位性が高まる中、一般家庭への普及や公共施設での一層の利用促進を図るほか、暖房に限らず冷房への利用をPRするなど、積極的な取り組みを行うべきであります。 
                 また、同様の観点から、薪ストーブの普及についても検討すべきであります。 
                 
                 
                 第11点目は、携帯電話不感地域の解消について であります。 
                 
                 携帯電話は、県民生活や災害時緊急時の連絡手段に不可欠な情報手段となっ 
                 
                ています。 
                 県内には、携帯電話事業者3社のいずれも通話エリアとなっていない不感地域が、中山間地を中心に数多くあり、県民の不感地域の解消の要望は強いものがあります。 
                 この不感地域の解消のために、県は携帯電話の移動通信用鉄塔施設整備を行う市町村への助成を行うなど努力されていますが、携帯電話事業者の採算見込みのたたない不感地域の解消には、目途がたたない状態にあります。 
                 維持経費の節減の可能性を検討するため、国による市町村がアンテナ設置するための国庫補助基準の緩和を求めるとともに、市町村が整備した光ファイバーを伝送路として活用する等、積極的に携帯電話事業者に働きかけをすべきであります。 
                 
                 
                 第12点目は、防災幹線道路ネットワークの安全対策について であります。 
                 
                 平成8年10月に、災害時の物資等の輸送路を確保するため、県内外の主要拠点施設を結ぶ直轄国道や、県管理国道を中心に緊急輸送道路ネットワークを指定しています。 
                 そのネットワーク上の道路においては、地震時の落橋防止や法面やトンネルの安全対策が行われています。 
                 特に、阪神・淡路大震災に対応した耐震対策が必要な橋りょうは、219橋であり、県管理の橋りょうは約91%は整備済でありますが、国管理の橋りょうの整備はわずか3%に過ぎず、その対策が急務となっており、強く国に整備促進を要望すべきであります。 
                 また、法面対策においても平成20年以降、県の未整備箇所は14箇所に対して、国の未整備箇所は62箇所の現状であり、併せて国に整備促進を要望すべきであります。 
                 
                 
                 第13点目は、急傾斜地崩壊防止対策事業における受益者負担の軽減について であります。 
                 
                 県民の人命と財産を守るために、土石流の流下防止、地すべり対策、急傾斜地の崩壊防止等の砂防事業が行われています。なかでも、急傾斜地の崩壊防止対策事業は、人家の裏に迫っている山腹の土砂崩壊対策を行うもので、県民ニーズは高いものがあります。 
                 その整備にあたり、受益者負担金として県は市町村に対して負担を求め、市町村によっては、更に住民に負担を求めています。市町村の住民負担の率は市町村負担の0.25~50%あるいは、1戸当り40~50万円までと種々の負担率となっています。住民負担能力によっては、崩壊対策事業を行うことができず、県民の生命・財産の保全が放置されることになります。 
                 よって、こと人命にかかわることであり、市町村に特段の理解を求めるべきであります。 
                 
                 
                 最後は、自然エネルギーの活用促進について であります。 
                 
                 地球温暖化の防止や県内エネルギー自給率の向上の観点から、また、昨今の石油価格の高騰もあり、今後ますます自然エネルギーの活用は重要であります。 
                 企業局では、これまで水力は6箇所、風力は15箇所について、事業化の可能性調査を実施し、平成17年には鳥取放牧場風力発電所の運転を開始、平成19年には袋川発電所の実施設計に着手したところであります。 
                 近年、木質バイオマスを活用した発電や風力発電の電力を安定供給するための蓄電池の実証実験が行われております。 
                 今後とも、このような技術開発の動向を踏まえて、事業の採算性や企業局の経営状況を勘案しながら、引き続き自然エネルギーによる発電の事業化の可能性を探るべきであります。 
                 
                 以上で口頭指摘の申し渡しを終わります。 
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