1 一般会計
(1)現 状
平成25年度の決算状況
○ 一般会計の歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた実質収支額は134億2,831万円(1万円未満切捨て。以下同じ)の黒字となっている。
○ 実質収支の前年度との差である単年度収支は8億8,584万円の黒字となっている。
一般会計の決算状況 (単位:円)
区分
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金額
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歳入決算額 A
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362,666,778,293
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歳出決算額 B
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345,978,524,834
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歳入歳出差引額 A-B=C
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16,688,253,459
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翌年度へ繰り越すべき財源 D
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3,259,938,870
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平成24年度実質収支額 C-D=E
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13,428,314589
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平成23年度実質収支 F
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12,542,474,385
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単年度収支額 E-F=G
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885,840,204
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(2)課題及び意見
ア 県財政の健全化と効率的、機動的な予算執行について
○ 一般会計の県債発行額は、前年度に比べ19億6,000万円減少している。
○ 地方公共団体の財源不足を補てんするため、国の制度に基づく臨時財政対策債の発行を余儀なくされているが、一般の県債の発行を抑制しており、全体の県債残高は減少し、平成25年度末では6,759億1,468万円となった。
県債発行額及び年度末残高の状況 (単位:百万円)
年度
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H20
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H21
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H22
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H23
|
H24
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H25
|
発行額 |
52,309
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72,899
|
69,128
|
53,943
|
51,515
|
49,555
|
残高 |
626,739
|
653,996
|
673,357
|
676,503
|
677,192
|
675,914
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注 百万円未満切捨て。
○ 財政指標の面から決算の状況(普通会計)を見ると、財政の弾力性を示す経常収支比率は88.6%と前年度に比べ0.8ポイント低下している。また、一般財源総額のうち公債費に充当されたものの割合を示す公債費負担比率は23.2%と前年度に比べ0.1ポイント低下している。
財政指標の状況(普通会計) (単位:%、ポイント)
区分
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平成24年度
|
平成25年度
|
差引
|
経常収支比率 |
89.4 |
88.6 |
△0.8 |
公債費負担比率 |
23.3 |
23.2 |
△0.1 |
○ ここ数年間にわたって、財政の健全化に取り組んだ結果、財政状況を表す指標である健全化判断比率において、財政規模に対する借入金の返済額の割合を表す実質公債費比率及び将来見込まれる財政負担の割合を表す将来負担比率はいずれも全国上位となっている。
実質公債費比率等の推移 (単位:%、位)
区分 |
平成23年度
|
平成24年度
|
平成25年度
|
実質公債費比率 |
本 県
全国平均
全国順位
|
12.6
13.9
9
|
12.7
13.7
9
|
12.7
(ー)
(ー)
|
将来負担比率 |
本 県
全国平均
全国順位
|
123.3
217.5
3
|
115.1
210.5
3
|
108.9
(ー)
(ー)
|
(注) 全国平均は全都道府県の平均値(加重平均)、全国順位は全都道府県中の順位であり、平成25年度分は未公表である。
○ こうした中、「未来づくり財政誘導目標」である財政調整型基金の残高の確保、実質的な借入金残高の抑制、当初予算編成時でのプライマリーバランスの黒字化の堅持などの目標は平成26年度当初予算編成においても達成されており、また経済対策や災害対策などには機動的な予算措置も講じられているところである。
○ 以上のように、県財政は健全化に向けた取組みが進行しつつあるものの、構造的には、県財政に占める自主財源の割合は依然として3割弱に留まっており、今後の人口減少や少子高齢化、社会保障費等の義務的経費の増大なども踏まえると、本県財政は中長期的には懸念される状況にある。
○ 一方、現在講じられている国の経済対策は、未だ地方には十分に波及しているとは言えない。
○ ついては、引き続き、健全な県財政の構築に努めるとともに、県政 の課題に的確に対応するため、効率的・機動的な予算執行に一層努められたい。
イ 収入未済額の縮減について
○ 平成25年度の一般会計の収入未済額の合計は24億8,632万円で、前年度に比べ2億1,167万円減少している。
○ このうち、県税は8億8,674万円で、前年度に比べ7,749万円減少している。
○ 県税のうち、個人県民税の収入未済額は7億3,559万円で、前年度に比べ7,323万円減少したものの、県税全体の収入未済額の8割以上を占めている。
○ そのため、本県では、個人県民税の税収確保及び徴収体制の強化に向け、税務職員相互併任制度の導入、鳥取県地方税滞納整理機構による共同滞納整理等を行ってきているところである。
○ 税外収入の収入未済額は15億9,958万円で、前年度に比べ1億3,418万円減少している。
○ 平成25年1月には、全庁的な債権回収の取組方法等をまとめた「債権管理マニュアル」が作成され、各部局では、このマニュアルに基づく債権管理事務取扱要領の改正、或いは新設を行ったが、その取組みには部局による差が見られる。
○ 今後は、全庁的に債権回収の取組みを推進していくとともに、各部局は債権管理事務取扱要領により効率的な債権回収を行うことが求められる。
○ ついては、県税では、市町村・関係機関等と連携した滞納整理の取組みを推進するとともに、税外収入では、各部局において改正した債権管理事務取扱要領に基づいた債権回収を推進し、引き続き収入未済額の縮減に努められたい。
収入未済額の状況 (単位:円)
科目 |
平成25年度
A
|
平成24年度
B
|
対前年度比較
AーB
|
県税 |
886,742,364 |
964,232,396 |
△77,490,032
|
|
うち個人県民税 |
735,597,474 |
808,831,846 |
△73,234,372
|
税外収入 |
1,599,581,772 |
1,733,767,352 |
△134,185,580
|
合計 |
2,486,324,136 |
2,697,999,748 |
△211,675,612 |
ウ 基金から歳計現金への繰替運用の見直しについて
○ 繰替運用は、一般会計等の歳計現金の一時的な資金不足へ対応するために基金から資金融通する制度であり、本県の基金条例では「知事は、財政上必要があると認めるときは、確実な繰戻しの方法、期間及び利率を定めて基金に属する現金を歳計現金に繰り替えて運用することができる」とされている。
○ 平成25年度は、財政調整基金、減債基金など8基金から歳計現金へ約410億円が繰替運用されていたが、繰替運用を行わなくても歳計現金に不足が生じる状況にはなかった。また、書類上運用期間は定められていたが、繰替運用期間終了日に繰戻しは行われていない。
○ 近年の繰替運用の状況を確認したところ、ここ10数年間、毎年度400億円を超える金額が基金から歳計現金に繰替運用されており、いずれも運用期間終了日(年度末)に基金に繰戻しが行われていない状況であった。(年度末に繰替運用中である旨は、毎年度公表の「決算に関する説明書」に注記)
○ 平成21年度から平成24年度の資金状況を見ると、繰替運用を行わなかった場合に生じたであろうと考えられる歳計現金の不足は、平成21年度が最大300億円で、他の年度は115億円から240億円であり、また、不足の期間は、平成22年度が最長で4か月、その他の年度は1か月から3か月で、時期的には主に年初から年度末であった。
○ 資金需要の正確な把握は、時々刻々の資金状況の変化を勘案すれば容易ではないことは理解できるものの、繰替運用の資金規模と現実の資金不足額とは大幅に乖離していることは否めず、その乖離した部分については、繰戻しを予定していることから債券運用など中長期の有利な運用が行えない状況にある。
○ ついては、一時的に資金融通するという繰替運用の本来の趣旨を念頭に、資金需要の把握に努め、必要な資金規模及び時期を踏まえた上で繰替運用を行うよう見直されたい。
2 特別会計
(1)現 状
平成25年度の特別会計は、15会計で、これらの歳入歳出差引額は17億7,958万円となっている。
特別会計の決算状況 (単位:円)
区分
|
金額
|
歳入決算額 A
|
112,282,360,214 |
歳出決算額 B
|
110,502,773,828 |
歳入歳出差引額 A-B=C
|
1,779,586,386 |
(2)課題及び意見
収入未済額の縮減について
○ 平成25年度の特別会計の収入未済額は、15の特別会計のうち、8の特別会計の合計で7億4,998万円となっており、前年度に比べ1,374万円減少している。
○ ついては、収入未済が発生している特別会計の所管課においては、一般会計と同様に債権管理事務取扱要領に基づいた債権回収を推進し、引き続き収入未済額の縮減に一層努められたい。
収入未済額の状況 (単位:円)
特別会計名 |
平成25年度
|
平成24年度
|
対前年度比較
|
中小企業近代化資金助成事業 |
566,008,355
|
585,339,493
|
△19,331,138
|
県営境港水産施設事業 |
1,737,249
|
1,737,249
|
0
|
林業・木材産業改善資金助成事業 |
6,922,000
|
6,942,000
|
△20,000
|
沿岸漁業改善資金助成事業 |
1,570,000
|
1,720,000
|
△150,000
|
港湾整備事業 |
10,760,294
|
14,158,021
|
△3,397,727
|
母子寡婦福祉資金貸付事業 |
64,982,278
|
68,730,490
|
△3,748,212
|
育英奨学事業 |
92,633,122
|
79,249,046
|
13,384,076
|
就農支援資金貸付事業 |
5,367,224
|
5,847,224
|
△480,000
|
合計 |
749,980,522
|
763,723,523
|
△13,743,001
|
第1 審査の概要
基金運用状況審査は、定額の資金を運用している鳥取県土地開発基金、鳥取県市町村資金貸付基金、鳥取県美術品取得基金の3基金を対象とした。
審査に当たっては、
ア 運用に関する計数は、正確であるか
イ 基金は、設置目的に沿って、合理的かつ効率的に運用されているか
ウ 会計経理事務は、関係法令等に基づき、適正になされているか
に主眼を置き、関係諸帳簿及び証拠書類を照合精査するとともに、別途実施した定期監査、例月現金出納検査の結果も勘案し審査を行った。
第2 審査の結果及び意見
○ 各基金とも運用に関する計数は正確であり、設置目的に沿って概ね適正に運用されているものと認められた。
○ なお、鳥取県土地開発基金及び鳥取県美術品取得基金については、現金の全額が歳計現金に繰替運用されており、繰替運用期間満了日には繰戻しが行われていなかったので、見直されたい。
基金の運用状況 (単位:円)
区分 |
前年度末現在高 |
決算年度中増減高 |
決算年度末現在高 |
増
|
減
|
土地開発
基金 |
(2,600,000,000)
2,600,000,000
|
(0)
0
|
(0)
0
|
(2,600,000,000)
2,600,000,000
|
市町村資金貸付基金 |
13,094,720,000
|
622,190,080
|
622,190,080
|
13,094,720,000
|
美術品取得基金 |
(500,000,000)
500,000,000
|
(58,515,500)
58,515,500
|
(58,515,500)
58,515,500
|
(500,000,000)
500,000,000
|
注1( )書きは、平成26年5月31日現在の状況である。
2 土地開発基金の前年度末現在高及び決算年度末現在高のうち2,600,000千円及び美術品取得基金の前年度末現在高及び決算年度末現在高のうち500,000千円は歳計現金に繰替運用。
以上が平成25年度鳥取県歳入歳出決算審査意見書及び基金運用状況審査意見書の概要であります。