特集/コロナに負けない企業経営~変化と進化で生き残る~

  日本経済に深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス。企業は社会の変化に対応し、感染対策と事業活動を両立していかなければなりません。新たなチャレンジにより、コロナ禍に力強く立ち向かう企業の姿を紹介します。

コロナ禍に苦しむ日本経済

  新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、経済・産業に大きなダメージをもたらしました。2020年度のGDP(国内総生産)は、前年度比4.4%減と、リーマンショックがあった2008年度の3.6%減を超え、戦後最大の下落幅を記録(下記「GDP成長率の推移」を参照)。人やモノの移動の制約が、需要の縮小や生産活動の停滞を招き、国内経済を著しく低迷させています。
  特に大きな影響を受けたのが、社会的な活動や交流を主体とする運輸業や飲食・宿泊などのサービス業(下記「業種別売上高増加率の推移」を参照)。観光業界の成長をけん引してきたインバウンド需要は完全に消失したほか、国内旅行のキャンペーンも停止されました。家族以外の人と飲食を共にすることや街でショッピングなどを楽しむことは自粛の対象となり、多くの人が集うイベントやセレモニーなどの機会も激減。企業活動を取り巻く社会情勢、そして人々の価値観や消費行動は、もはやコロナ禍以前とは比較できないほど変化しています。

■GDP成長率の推移
GDP成長率の推移のグラフ

■業種別売上高増加率の推移
業種別売上高増加率の推移のグラフ

業績伸ばした分野も

  一方、コロナ禍で業績を伸ばしている分野もあります。いわゆる「巣ごもり需要」はその代表格。外食のテークアウトやデリバリー、インターネット通販やゲームなど、在宅生活を楽しく過ごすことのできるサービスやコンテンツへのニーズが高まりました。鳥取市で居酒屋を営む有限会社ティーティーエモーションズは、こうした需要の変化に応え、複数の飲食店が参画するテークアウト専門店を開業。外食業界の苦境を打開し、地域で愛されてきた味を多くの人に届けようと、新たな市場開拓に挑んでいます。
  また、オフィスでは人流抑制を目的としてリモートワークが急速に普及し、デジタル技術の活用やICT環境の整備が大きく進みました。これを契機として、柔軟なワークスタイルの導入や業務の効率化に取り組む動きも加速する中、株式会社LASSIC(ラシック)(鳥取市)は、リモートワークの労務管理システム「Knock(ノック)Me(ミー)!」を開発し、企業の生産性向上を支援しています。

地域つながる「味の駅」に

有限会社ティーティーエモーションズ 代表取締役
藤木(ふじき) (たくみ)さん
藤木巧さんの写真

  テークアウトの専門店「鳥取グルメステーション」は、8月30日、鳥取市瓦町にオープン。店内には市内12店舗の飲食店が丹精込めて作り上げた弁当が並びました。外出自粛や時短営業の影響で遠のく客足に苦しむ飲食店。代表の藤木巧さんが経営する居酒屋でも、売上げは例年の6割に落ち込んだといいます。「厳しい状況で飲食店全体が苦境に立たされている今、やるべきことは何か」と模索する中でたどりついたのが、同店の開業でした。
  店内には和食、洋食、カレー、エスニックなど、さまざまな飲食店の弁当や総菜がにぎやかに並びます。「自店だけではなく飲食店全体で取り組むことで、一つでも多くの店がこの難局を乗り切り、日常を取り戻していけるように。お客様が地域の店を知り、店舗へ足を運ぶきっかけとなるように」。そんな藤木さんの思いに賛同した多くの同業者が、自慢の味を出品。開店後の売り上げは計画を大きく上回り、参加する飲食店の輪も広がり続けています。
  毎日の生活や旅・行楽の思い出などと共に、日本人の心へ深く根付いている「お弁当文化」。藤木さんは、コロナ禍が終息してもテークアウト需要は長く続いていくと予想します。「コロナに負けず、この店から鳥取を盛り上げていきたい」。食の魅力が集まる「味の駅」として、地域の人々や飲食店がつながりあう場となることを目指しています。

鳥取グルメステーションの外観の写真
店内の様子
陳列された弁当の写真
弁当を持つ店員さんの写真
鳥取市にオープンしたテークアウト専門店「鳥取グルメステーション」。地域の飲食店による個性豊かな弁当を求めて、多くの人が訪れている

リモートワークで豊かな社会を

株式会社LASSIC 広報担当
鈴木(すずき) かなほさん
鈴木かなほさんの写真

  リモートワークを通じた人材活用や地方創生に取り組むLASSICは、鳥取発のIT企業。鈴木かなほさんは「コロナ禍をきっかけにリモートでも仕事はできることを実感した人は多いのでは」と指摘します。しかし企業サイドでは管理上の懸念も多く、同社への問い合わせや相談が増加。こうした状況に応えて開発されたのがリモートワーク支援システム「KnockMe!」です。勤怠管理やセキュリティー、業務マネジメントなど、リモートの課題をシステム上でまとめてサポート。導入ユーザーからは「不安がかなり解消された」と高い評価を得ています。
  リモートワークの活用は、業務の効率化や労働環境の向上、人材確保などへの高い効果が期待されるもの。鈴木さんは「コロナ禍の一時的な対応ではなく、働き方の選択肢の一つとしてリモートワークの定着を目指したい」と語ります。「理想はオフィスとリモートの両方を組み合わせながら、働く人のパフォーマンスを最大化すること。その環境づくりに当社の経験やノウハウを生かしていきたい」。多様で柔軟な働き方の浸透により、多くの人が場所を選ばず活躍できる豊かな社会の実現が期待されます。

システムの活用イメージ。リモートワークで働く人を見守り、コミュニケーションをサポート
リモートワーク支援システム「ノックミー」の画面1
リモートワーク支援システム「ノックミー」の画面2

時代切り(ひら)く企業を応援

  ワクチンの普及や医療体制の充実など感染症への対処は着実に進んできましたが、社会は当面、新型コロナウイルスとの共存が求められると予想されます。また、人口減少やグローバル化、気候変動といったさまざまな課題にも直面する中、私たちは生活スタイルを変えていかざるを得ません。
  コロナ禍で進展した遠隔サービスやデジタル技術の活用は、こうした変化に応じたものといえるでしょう。社会の変化に対応して新たな需要を獲得するため、企業には、新事業や多角化などの業態転換が必要とされています。
  鳥取県には、企業の新たな挑戦や生産性向上を支援する制度があります。またコロナ禍においても、全国に先駆けた資金繰り支援や独自の応援金などを通じて、企業の事業継続を支援してきました。
  引き続き、新時代を切り拓く県内企業の挑戦を応援していきます。

コロナ禍の主な企業支援
○感染対策 感染防止設備支援など
○経営安定化 事業資金融資など
○市場開拓 販路開拓・サプライチェーン構築支援など
○新分野進出 事業の多角化・新展開支援など
○雇用確保 雇用維持・テレワーク導入支援など

企業向け補助金などの相談窓口
○東部ワンストップセンター(県庁商工労働部内)
  電話 0857‐26‐7538
○中部ワンストップセンター(中部総合事務所)
  電話 0858‐23‐3985
○西部ワンストップセンター(西部総合事務所)
  電話 0859‐31‐9637

【問い合わせ先】 県庁企業支援課
電話 0857‐26‐7243 ファクシミリ 0857‐26‐8117
メールアドレス kigyou-shien@pref.tottori.lg.jp



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