犯人が成人の場合
「捜査」
捜査とは、証拠を収集して事実を明らかにし、事件を解決するために行う活動です。
警察が、一定の証拠に基づいて犯人であると認めた者を「被疑者」といい、警察は必要な場合には被疑者を逮捕してから48時間以内に、事件(被疑者と捜査結果を記録した書類や証拠等)を検察官に送ります。これを「送致」といいます。(報道機関などは、送検ともいいます。)
送致を受けた検察官は、その後も継続して被疑者を拘束する必要があると認める場合には、24時間以内に裁判官に対して被疑者を拘束する請求(この拘束を「勾留」といいます。)を行い、裁判官がその請求を認めると、被疑者は最長で20日間勾留されることになります。
被疑者が勾留されている間にも、警察は様々な捜査活動を行います。
被疑者が逃走するおそれがない場合などには、被疑者を逮捕しないまま取調べ、証拠をそろえた後、捜査結果を記録した書類や証拠を検察官に送ることになります。
「起訴」
検察官は、勾留期間内に警察から送致された書類や証拠を精査し、検察官自身で被疑者の取調べを行い、被疑者を裁判にかけるかどうかの決定を行います。
裁判にかける場合を「起訴」
裁判にかけない場合を「不起訴」
といいます。また、起訴には、
通常の公開の法廷で裁判をすることを請求する「公判請求」
一定の軽微な犯罪について書面審理を請求する「略式請求」
などがあります。起訴された被疑者を「被告人」といいます。
「公判」
被疑者が起訴され、「公判」が開かれる日が決められた後、審理が行われ、判決が下されます。
判決について、検察官や被告人がその内容に不服がある場合には、さらに上級の裁判所(高等裁判所等)に訴えることとなります。
犯人が14歳以上20歳未満の少年である場合
「捜査等」
警察では、14歳以上の少年については、刑事手続と同様に捜査を行います。
法定刑が懲役・禁錮等の比較的重い犯罪を犯した場合は、検察庁に事件を送ります。送致を受けた検察官は、取調べなど必要な捜査をした後、少年をどのような処分にするのがよいのかの意見を付けて、事件を家庭裁判所に送ります。
法定刑が罰金以下の犯罪を犯した場合は、警察から直接家庭裁判所に事件を送ります。
「審判」
家庭裁判所では、送られてきた事件について、審判(刑事手続でいう裁判)を開始するかどうかを決定します。
これまでの手続の課程で、少年が十分改心し、もはや審判に呼び出す必要がないと判断された場合は、審判手続を開始せず、その時点で終了します(これを「審判不開始」といいます。)。
その他、少年に対する処遇を決めるために裁判官が直接審理することが必要であると認められる場合は、審判手続を開始します。審判では、保護処分(少年を施設内に収容し、矯正教育を行う少年院送致や、社会内において保護観察官と保護司が協働して少年の最非行防止・改善更正を図る保護観察等)の決定を行うほか、保護処分の必要がないと認められた場合には、事件を検察庁へ送り返します。この場合、少年は原則として裁判にかけられ、通常の刑事手続と同様に、刑罰を科すかどうかの決定を受けます。
犯人が14歳未満の少年である場合
「調査等」
14歳未満の少年については、法律上、罰することができないことから、警察において調査を行います。
14歳未満の少年に対する調査の手続では、少年に対して逮捕等の拘束はできませんが、押収・捜索等の強制処分ができます。警察では調査の結果、事件を児童相談所に通告できるほか、少年について家庭裁判所の審判に付すべきと思料するときは、事件を児童相談所に送致します。
「児童相談所における措置」
送致又は通告を受けた児童相談所では、少年に対して児童福祉法上の措置(児童自立支援施設への入所や里親への委託等)をとり、事案を終了させるほか、家庭裁判所での審判が必要であると判断した場合は、事案を家庭裁判所に送ります。児童相談所は、警察から送致を受けた事件については、原則として家庭裁判所に送らなければならないこととされています。
家庭裁判所に送られた少年は、14歳以上の少年と同様に、審判を開始するかどうかの決定を受けます。