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2016年12月15日
青谷横木遺跡から国宝「高松塚古墳壁画」に次ぐ女子群像絵画発見!

一般国道9号(鳥取西道路)改築事業に伴い、平成25年度から27年度にかけて発掘調査を実施した「青谷横木遺跡」で見つかった古代の官道「山陰道」を構築した際の盛り土の中に、女子群像を描いた古代の板(長さ約70cm、幅15.5cm)が含まれていたことが分かりました。

絵は髪を結い裳(も)という縞模様のスカートをはいた女性が6人、右から左に向かって歩を進めている様子を墨で描いています。一番右に描かれた払子(ほっす、獣毛や麻などを束ねて柄をつけたもの)を捧げる侍女は他より小さく描かれています。板材は板目で樹種はまだ同定していません。
 
高松塚古墳壁画の女子群像が衣装等の表現と女性が集まって描かれているというモチーフで、当時の中国(唐)の影響を強く受けているのに対して、この絵は衣装等の表現は高松塚古墳壁画と同様、中国(唐)の影響が見られるものの、複数の人物が行列するというモチーフは、当時はすでに滅亡していた高句麗(朝鮮半島北部)の壁画表現と類似性があるという特徴があります。

描かれた時期は高松塚古墳壁画とほぼ同じ飛鳥時代(7世紀末から8世紀初頭)と考えられますが、朝鮮半島からの影響も受けた絵画表現であるという点で高松塚古墳壁画とは異なっています。板絵は、国内外の類例から葬送に関わるものと考えられます。板絵上部に直径5mm程の穴が開けられていますが、具体的な用途はよく分かりません。古墳の石室に架けられていたとか、実際に壁画を描く際に参考にする構図のデザイン画であるなど色々な可能性が考えられます。

いずれにせよ、この地が朝鮮半島と伝統的な関係があった可能性を裏付ける絵画資料としても価値が高い発見です。

今後は、墨だけではなく顔料で色づけされていなかったかを調べ、将来にわたって保存していくための処置を行う予定です。

なお、12月17日(土)に当センターで板絵の特別公開を行います(午前9時から午後4時まで)。ぜひお出かけください。(公開は終了しました)

 ○記者発表の概要(PDF 2.22MB)

 ○12月17日(土)の特別公開へのアクセス(PDF 716KB)

青谷横木遺跡全景(東から)板絵
板絵(撮影 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所)
板絵の赤外線写真
板絵の赤外線画像(撮影 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所)
板絵のトレース図
左から四番目の人物像左から5番めの人物像
左から4人目の人物像         左から5人目の人物像
(撮影 奈良文化財研究所)      (撮影 奈良文化財研究所)
一番右側の人物像記者発表風景
一番右側の払子を捧げ持つ侍女像            記者発表のようす
(撮影 奈良文化財研究所)
 
  

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 久松山地域は戦国時代以降鳥取城が築かれ、鳥取藩32万石の中心地でした。現在でもこの地域は県庁があり、行政の中心地となっています。

 しかし、戦国時代から遡ること約800年前の奈良時代、県庁から4キロほど離れたこの国府町に国史跡因幡国庁(現在の県庁にあたるもの)がありました。今ではひっそりとした田園地帯ですが、因幡三山(甑山(こしきやま)、今木山(いまきやま)、面影山(おもかげやま))に囲まれ、当時の面影を残す万葉の歴史と古代の出土品にあふれた万葉の里となっています。
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