知事定例記者会見(2011年8月17日)

平成23年8月17日(水)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約49分) ※MPEG4形式

  

1 スイカの生育販売状況 

●知事

 皆さま、おはようございます。大変暑い夏が続いております。この暑い夏のお蔭でスイカの方は去年並みに301ヘクタールの作付けがございましたが、単価の方はキロ当たり199円と前年よりも随分上回った格好になりまして、単価は良かったかなと、若干その他の問題もありますが、前年並みの収益と言いますか、売り上げが確保できるということになったわけであります。



2 熱中症対策 

●知事

 ただ、片方で猛暑が続いているものですから、その猛暑に対する警戒と対策が必要だと考えております。鳥取県ではかねて、今回熱中症の対策を強化しようといたしまして、熱中症の注意報を発令をするなど、啓発活動を強めてまいりました。ただ、残念ながら今のところ、鳥取県は人口当たりの救急搬送の数が全国的にも多い水準にございまして、そうした背景を考えますと、さらに一層熱中症対策、もう夏も終盤にさしかかりましたが、強化する必要があるだろうと考えております。

 そこで、1つには、熱中症の警報を発令をするという手段を講じようかと考えております。具体的には気温で35度を目安にして、従来注意報に重ねてこの警報を発令をしていくということにいたしたいと思いますが、折しも今日も[最高気温]35度の予想がたちましたので、今日はその第1号の警報を出すということになろうかと考えております。それから、屋外でのイベントについて、改めて注意を喚起をしたり、それから、だいたい熱中症で搬送されるかたの半分はお年寄りでいらっしゃいまして、そういうお年寄りの介護関係者のかたを通じて、熱中症対策の必要なことを周知徹底をしていこうというふうに考えております。



3 高温少雨による農作物への影響 

●知事

 また、昨年に続きまして、高温少雨の状況がございます。まだこれからはどういう恵みの雨が来るかということも注目をされるところでありますが、この高温対策、農業対策につきまして、これも注意喚起を改めて図る必要があるだろうと思います。今のところ、例えば、ハダニの広がりであるとか、一定の高温の影響が出てきております。従いまして、梨とか、お米の防除対策、この徹底を呼び掛けさせていただく必要があるかと思いますし、畜産関係でもそうした高温対策が求められておりまして、厩舎の換気でありますとか、畜舎の換気でありますとかですね、空気の入れ替えでありますとか、そうした徹底を呼び掛けていこうと考えております。いずれにいたしましても、もうすぐ出口もやってくると思いますので、ぜひとも、県民の皆さまには健康に注意をしていただきまして、残り少なくなりつつある夏を過ごしていただきたいと考えております。



4 上海市旅遊局との観光に関する協定 

●知事

 かねて、鳥取県として春秋航空の誘致の件もございまして、中国からの旅客を中心とした国際リゾートの強化を目指しております。この点につきまして、新たに鳥取県として上海市の旅遊局、すなわち上海市の観光局と私どもとで送客の協定を結ぼうではないかと、観光協力の協定を結ぼうではないかと、こういうことになりました。これは、併せて岡山県とか、広島県も一緒にやっていこうという方向で、今最終の詰めをさせていただいておりまして、来週の月曜日にでも調印をしようというふうに考えております。

 これが実現すれば、私どもが加盟しております関西広域連合での上海市、浙江[セッコウ]省などとの交渉と併せまして、今回のこの中国地方の県によります協定で、中国からの旅客の受入の広域周遊の構想が一歩前進するんではないかと考えております。併せまして、この機会に鳥取県からは藤井[喜臣]副知事を上海の方へ派遣をしまして、春秋航空の関連の親会社でございます旅行社の方に派遣をさせていただきまして、鳥取県への観光誘致について、さらに協議をしていこうということにいたしたところであります。



5 台湾マンガ博覧会等への参加 

●知事

 このような海外からの旅客という点で大切なのは、漫画関係でないかと思います。この「まんが王国[とっとり]」の推進にあたりまして、この度、11日から昨日まで台湾における「第12回台湾マンガ博覧会」に鳥取県からも参加をさせていただきました。結構な人の入りがございまして、併せて鬼太郎関係の県内の会社も出店をした相乗効果もございまして、大変な賑わいになりました。鬼太郎の着ぐるみが現地で活躍をしたり、それから折り紙で鬼太郎やコナンを折って楽しむと、そんなような様々なイベントを展開をいたしました。さらに引き続きまして、今日からは5日間、韓国の富川[プチョン]で「第14回富川国際漫画祝祭」に参加をすることにいたしております。

 併せて、明日、明後日と[愛知県]名古屋[市]の中日ビルにおきまして、「[中日ビル・]ゲゲゲの[ふるさと]鳥取県[観光]キャンペーン」を行おうと考えているところであります。



6 農畜産物の放射性物質検査 

●知事

 こうした観光関係の前提となりますのは、やはり安全安心なふるさとであるかどうかということではないかと思います。今、日本の各地でそうした観光のブランドを傷付けるのが放射能の問題でありまして、さらに、これは食品にも影響を大きく及ぼしています。今、鳥取県ではその食品関係の放射能検査を進めてまいりましたけれども、昨日までに牛の方の全頭検査を実施してきた結果、84頭検査をしましたが、一切、放射性のセシウムは検出をされないという結果になっております。

 また、8月10日に梨の検査をいたしました。この梨は台湾へ出荷をしようということでございますけども、この台湾の出荷の最盛期が来月の12日の中秋節という現地での名月をお祭りをする節目の節句に当たるというふうに考えております。それに向けて輸出をするということでありますので、県内の東部、中部、西部で検査をいたしましたが、これも無事、安心であると、放射性の検出はなかったところでございました。台湾は、我々の有力な海外販売先でございますので、今年は販売強化を図らなければならないということで、農林[水産]部長とか、JA[全農とっとり]などでキャンペーン団を派遣をしまして、台北市や高雄市など販売促進キャンペーンを行うことにいたしたところであります。そのときに鳥取県でも検査をしたけれども、大丈夫ですよというブランドを引っ提げていくという戦略でまいりたいと考えております。

 さらに、稲でございますが、稲につきましては一番早いもので来週の月曜日から検査に入ることにいたしております。ぜひ、鳥取県の食のみやこの安心を感じ取っていただければありがたいなと思っております。



7 モニタリングポストの設置 

●知事

 併せて、原子力発電所の関係で、今後のあってはならないことを想定をしながら、やはり対策を打つ必要がございまして、モニタリングポスト[監視測定装置]の設置を急ぎたいと思っております。これにつきまして、国の方にかねて要請活動をした結果として、鳥取県のような隣接地域には手厚く配分をしようという方針がございますので、鳥取県としてそうした国の支援を受けて、まずは5か所新規に設置をするということを考えて、具体的な場所の選定に入ることにいたしたいと思います。もちろん予算措置も伴いながら進んでまいりたいと思います。従来から県の中部で2か所の設置がございますので、これに加えた5か所ってことになれば、常設のモニタリングポストで7か所の設置ということになります。さらにその他にも観測機器の強化を国の2次補正[予算]の支援も受けながら進めていけるというふうに踏んでおります。

 併せて、中国電力とも協議を進めておりますけれども、中国電力の方の様々なデータについても、鳥取県側の受け入れ準備を進める中で提供していくという合意が進みつつあります。こうした諸要素を総合的に我々の方で取り込みながら、県民の皆さまの安心を図ってまいりたいと考えております。



8 円高対策 

●知事

 現在、世界中は経済の大荒れの状況になってまいりました。まずは米国債のデフォルト[債務不履行]懸念、それは解消されたとは言っても財政赤字の懸念、景気の重たさなどの懸念が広がりました。さらにヨーロッパにおきましても同様に、金融関係の発言が引き金を引きまして、厳しい状況が生まれ、今、世界的な円高という状況になってきております。本県としても、このまま事態を放置すべきではないと考えております。まずは、本来国の方で早急な対策をとるべきだと強く思いますけれども、県としても円高対策の緊急資金を融資制度として設けたいと考えております。これにつきましては8,000万円程の枠を用意をして、当座始めてはどうだろうかと考えておりまして、金融関係の皆さんと調整に入らせていただきました。いろんな、これから状況が襲ってくるとは思いますけれども、ぜひとも乗り越えていく必要があると思います。



9 日程等 

●知事

 そういう中で、この度、境港の方でDSコーポレーションというバックライトの乱反射をするような、そういうプラスチックパネルの会社が新たに工場を作ることになりました。既に10名以上の雇用が実現していまして、もっと雇用していこうというような考え方もありますが、竣工式を来週の23日に行うことにいたしております。

また、今日は、これから「食のみやこ・やらいや農林水産業プロジェクト[会議]」を立ち上げまして、県内の農林水産業関係者と一緒になりまして、新規就農、新規就労の強化でありますとか、県産品のブランド化でありますとか、県を挙げて取り組むことにいたしているところであります。

 そういう中で、気になりますのは国の政治の方かと思います。今、特例公債法案の目途が立ち、さらに、現在、修正協議が整ったところでありますのは再生可能エネルギー特別法案の法案でございます。この再生可能エネルギー特別法案につきましては、かねて鳥取県から、あるいは関西広域連合で意見を申し上げて、それを通じて国の方へ要請活動をしてきたことが今回の法案修正協議の中でも一定程度反映をされていまして、ホッとしているような状況でございます。これから、月末に向けまして、いよいよ法律が成立をするとかいうようなことになってこようかと思います。我々として、エネルギーシフトを実現していくような環境イニシアティブ[主導]の動きを強めていかなければならないと考えております。

 併せて、国政において大きな動きが予想される状況となってまいりました。私自身、全国知事会の中で政権公約の特別委員会の委員長を拝名をいたしております。これから民主党の代表選が実施をされるというようなタイミングに合わせまして、全国知事会としても候補者のかたがたに全国知事会の考え方をお渡しをしたり、それから、公開の質問を行ったり、そうしたことを展開をしていきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、これから大きな動きがあるかと思いますけれども、しっかりと国会で国民の視点に立った議論を行っていただき、できれば実行力のある政府というものを作り上げていただきたいというふうに考えております。特に地方分権、地域間格差、そうした意味で我々としても待ったなしの課題も多いところでございますので、そうした地域の実情を汲んでいただく必要があるというふうに、強く念願をいたしているところあります。私からは以上です。



○時事通信 小出秀 記者(幹事社)

 それでは各社さん、質問ございましたら。



10 上海市旅遊局との観光に関する協定 

○読売新聞 野口英彦 記者

 春秋航空の件なんですが、これは先程上海市旅遊局とおっしゃいましたけど、これは旅に遊ぶ郵便局の局でいいんですかね。


●知事

 ええ。ただちょっと日本語じゃないんで、観光局でもいいかもしれませんね。上海市の、要は観光局という意味です。


○読売新聞 野口英彦 記者

 これが向こう側の提起されていた、こちら側の日本側からはどういったのが。


●知事

 今回は、これは広島[県]、岡山[県]さんもそれぞれにお話があると思いますが、私どもは文化観光局長の名義での協定締結ということにいたしたいと思います。ただ、名義はあんまり意味がないと思っていまして、関西広域連合では山田[啓二京都府]知事が我々を代表して署名をされましたので、問題はそうした共同歩調をとって相互送客と言いますか、総合PRと言いますか、そうしたことに向かっていける体制が作れるかということだと思います。今回のこの件につきましては、広島県の湯崎[英彦]知事と先般、初めて広島鳥取両県知事会議を行いましたけれども、湯崎知事からもお話が出て、私も賛同いたしましたが、両県で、ぜひ、共同で観光PRをやっていこうということに基づく行動の第一歩ということになりました。


○読売新聞 野口英彦 記者

 相互送客ということは中国からもこちらに送ってもらい、こちらからも中国に送るという、だから片務的なものじゃないということですね。


●知事

 一応相互互恵ということにはなっております。または現実問題ですね、我々もそうした春秋航空の誘致活動を始めるにあたりまして、若干のリサーチと言いますか、状況をいろんなかたちでお聞きをいたしておりますけども、日本からビジネス客はやっぱり上海向けには多いだろうと思います。それは経済の問題でありまして、向こうにしてはそれでも誘客ということになりますので、そういう意味でかたちはそれぞれですね、中国から日本に来るのと日本から中国に行くのとではかたちは異なるし、特に、鳥取県のような場合は、むしろ観光で入ってくるかたが多いだろうというふうに思います。いずれにいたしましても、単県でこれをやるって言ってもあまり意味がない。特に、中国のように長期間日本に滞在して、旅行する形態の場合はそうであります。従いまして、関西広域連合の方で協定を結び、さらに中国地方の中でも、共同で協定を結ぶということで、道筋が一歩一歩、こう開けてくるかなという期待感を持っております。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 これの協定を結ぶことによって、例えば、定期的なチャーター便が来るというふうなことになるんでしょうか。あるいは、その協定の内容、先程、岡山、広島と3者でとおっしゃいましたけども、協定の内容というのはどういったかたちになってくるんでしょうか。


●知事

 なんでしたらまた、詳細の今の案を、後ほど担当部局からお話をしたいと思いますけれども、チャーターは、今、春秋航空も定期チャーターなんですね、高松[空港]に来ている、茨城[空港]に来ている。だから、我々としてはそういう将来的には、定期的にお客さんが入ってくるような、そういう動きを、ぜひ、模索したいなというふうには思っております。ただ、それができなくとも、現在、広島[空港]、岡山[空港]には中国東方航空が上海から定期便を飛ばしています。こうしたもののお客さんの周遊ルートの中で鳥取県を活用していただけるというチャンスもあるかなと思っております。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 春秋航空だけじゃないと思うんですね。


●知事

 ええ。もちろん春秋航空に特定した協定じゃありません。これは鳥取県の国際リゾート化を目指すと、さらに言えば広域的にこういうことをやらなきゃいけませんので、広島県、岡山県とも共同の歩調を取ることができたということだと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 具体的にこれをやりましょうというふうな、具体的なものが何か入っているんでしょうか。


●知事

 これは、今後の方向性についての[協定の]締結になります。例えば、これで、こういうツアーができますよということは、直接は書いていません。ただ、我々としては、今回そうした協定も結んだことも併せてPRをしながら、春秋航空の方に藤井副知事に行っていただこうと思っております。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 ということは、現在のところ、この協定に基づいて、例えば、第1便のチャーター便とかがどこかに来るとか、そういったことはまだないんですね。


●知事

 それとは全然、別です、行政ベースです。上海市の旅遊局というところであります。ただ、日本と若干、違いますのは、こういう旅遊局が、そうした観光事業者に対する影響力を相当程度持っているという、そういう感触を持っておりますので、上海側で、鳥取県なり、中国地方の知名度アップに貢献してくれるのではないかという期待感を持っています。



11 熱中症対策 

○時事通信 小出秀 記者

 熱中症警報に関してなんですが、これは以前から熱中症注意報というものは県独自に発令しておりましたが、これとは違って、警報にすることによって、なにかしらの一定の強制力を持つとか、そういったなにかしらの目に見える変化はあるのでしょうか。


●知事

 これはあくまでもPR、啓発ですね、注意喚起として行うことといたしております。ちょっと我々も想定外でありましたのは、今まで暑さ指数の28というポイントを境目にして、注意報の発令をしていたんですけども、これがずっと出っぱなしになってしまったんですね。従いまして、今の気象の大変な変化がございますので、その後、じわじわとまた、気温も上がってきました。それが、県民の皆さまにやや伝わりにくくなったかなというふうに思っていまして、今度は、じゃ、気温に着目をして、さらにもう1段上の警報というものを発令をしながら、市町村と一緒になってPRをしていこうというふうに考えております。


○山陰放送 秦卓史 記者

 気温35度のその基準、最高気温ですね、気温35度の基準なんですけれども、そうしますと、気象庁の出す高温注意情報と全く同じで、気象庁の高温注意情報と県の警報が同時に、同じ日に出るということになります。結局それは、こうどちらかが埋没すると言うか、あまりこれもまた啓発の意味がだんだん薄れていくっていうふうにはなりはしないでしょうか。


●知事

 従来、注意報が出っぱなしになっていますので、それをもう1段上げるということでありまして、気象庁のやっておられます高温注意情報、これも1つのメルクマール[判断基準]として我々も参考にしていただいて、出させていただこうかと考えております。恐らく気象庁さんと目的は一緒だと思いますので、特に熱中症対策を呼びかけるという意味でしょうから、我々としても、より高めの警報ということで、県民の皆さまに注意喚起を行うということにいたしたいと思っております。



12 原子力発電の規制行政と安全対策 

○共同通信 中川亘 記者

 原子力行政に関して1点質問です。この度、原子力安全庁が環境省の外局として設置されることが決まりました。その過程でいろいろ今も批判ですとか、様々な意見がありますが、原子力規制に関する行政について、鳥取県として考えていること、求めるというものがあれば、聞かせてください。


●知事

 鳥取県としてということであれば、従来の規制なり、安全対策は、やや不十分の謗りを免れないと思います。それは、想定事態の問題もございましたし、また、範囲の問題があったと思います。私どものような隣接地域が捨象されてここは安全だと言わんばかりの安全対策であったわけでございまして、そこはぜひ、この機会に正していただく必要があるだろうと考えております。また、原子力の安全を図る行政組織の在り方でございますけども、従来、世上を言われているように政官業の癒着のようなことが言われました。特に規制をして、ストップをかけるべきところが、促進側の行政官庁と一体化をしていたりというふうなことは、やはり我が国の原子力行政を歪めた一因ではなかったかと思います。そういう意味で、独立性のある行政組織を作ろうということは、理解ができると思います。

 ただ、問題は、これ、どこの自治体も同じような思いだと思いますけれども、実効性のある規制を本当にやってくれるのかどうか、高い見識を持って、電力会社相手に止めるなら止めろと、停止せよということを言う見識なり、そうしたものを持って動いていただけるのかどうかと。この辺は、さらに深い考察が求められるんではないかと思います。従いまして、単に経[済]産[業]省から切り離せば、それで問題が解決するというものでもないと思いますので、具体的な中身を、これからよく考えていただきたいと思います。


○共同通信 中川亘 記者

 今のお話を確認すると、環境省の外局におく独立性っていうことについては一定の評価ができると考えていらっしゃると取ればいいんでしょうか。


●知事

 はい。従来の経済産業省から切り離すことの意義は感じます。ただ、そのときに、じゃ、このスタッフが本当に集まるかどうかということが、今環境省案では、世上議論されているわけでありまして、スタッフもないのに、とりあえず看板かけたでは意味はなくなります。ですから、問題は中身だと思いますので、先程申しましたとおりでありますが、実効性のある組織になるような、さらに深い検討が求められていると思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 それに関連しまして、今までといえば原発関係で国に要請をする場合は、文部科学省であったり、経済産業省であったり内閣府に行って、3か所行かなきゃいけなかったわけですけども、これが1か所になることで意思疎通がしやすくなるとか、そういう期待はありますでしょうか。


●知事

 それはまた別じゃないかと思いますね。特に今、文[部]科[学]省と経[済]産[業]省とは、これ、歴史的な沿革から分かれてしまっている部分がございまして、一気にそこの統合まで持っていけるかと言うと、今の政府の原案の中にはないと思います。我々としては、実効力のある規制行政らしい規制行政をしっかりとやっていただく必要があるかなと思っておりまして、改善の余地はあると思います。



13 モニタリングポストの設置 

○NHK 月岡信行 記者

 モニタリングポストを5か所という話がありましたが、これはもう確定ですか。それとも、予測を残して今から動くということですか。


●知事

 我々の方での情報収集で、中国地方の中では比較的多い5か所のモニタリングポストを獲得、設置できるのではないかというふうに踏んでいまして、そういう感触なり、情報を基に、5か所の選定をしようという考え方であります。



14 牛肉全頭検査 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 牛の全頭検査の関係なんですけれども、今、卸業者さんなんかが検査済みというシールを作って、小売店でパックに貼って、消費者に安全を確認してもらおうという、そういう独自の取り組みをしておられるみたいなんですけども、非常に喜ばれているというような話を聞いています。特に関西の市場なんかに出すときに、そういったシールがあると非常に安全だし、他の県でもそういう動きが出てきているらしいんですけれども、県として、こういった民間のかたがされる、こういうシールなんかに助成をしたりとか、そういったお考えはないでしょうか。


●知事

 それは、ぜひ検討したいと思います。非常時でありますから、BSEのときと同様に、我々としてもPRの支援ということを考えてみたいと思います。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 この全頭検査をどの時期まで実施するかというのは非常に難しい問題だと思うんですが、当面の間は実施しないといけないと思うんですけども、知事、いつまでかというのは、今のところ、何か見通しみたいなのはありますでしょうか。


●知事

 これは市場の心理を見極めてということになると思います。市場が、そうした全頭検査に安心感を感じてもらえる限りは、我々としては続けていく必要があるかなと考えております。今の手持ちの機材では不足するところがございますので、それは体制を整えて、新しい機器も導入して、もっと効率的に検査できる体制を整えたいと思います。その趣旨は、当面は続かざるを得ないんではないかなと、これは結局、放射能の残存期間の問題が付いて回るわけでございまして、それは何十年、何百年というところをやっていくことにはならないとは思いますけども、市場側が、やはりまだしばらくは、こうした検査がないと安心できないという心理が働くと思いますので、当面、やや長い期間続けざるを得ないという前提で動きたいと思っております。



15 食品衛生法施行条例 

○時事通信 小出秀 記者

 生レバーの禁止に関してなんですけれども、9月[定例県]議会に改正条例案を提出するということで、いろんな飲食店からは、売上高でかなりの割合を占めるものを、もう頭ごなしの対応で禁止されるのは営業上厳しいですとか、いろんな、様々な厳しい意見が出ています。それでも知事は9月議会にこの改正条例案を提出する考えに変わりはないでしょうか。


●知事

 これも繰り返しこの場で申し上げていますが、理論的に申し上げれば、生レバーについて、その危険性を除去することは難しいという現在の状況がございます。従いまして、我々追っかけて国の方も調査結果を出しましたけれども、生レバーについては自粛してほしいということで、各県が呼び掛けろという非常に中途半端なことを国全体で、今やっているわけですね。これでは現場は混乱しますので、明確な指針を作って我々は動くべきだということで、その条例での禁止の構想とか、述べさせていただきました。

 その際に重ねて申し上げてきましたのは、デモクラシー[民主主義]でありますので、条例と言うのは皆で作るルールでありますから、県民の皆さまの意見と言うのをこのあと、総合していくプロセスに入りたいと申してまいりました。現在ですね、パブリックコメントをやったところでございますし、それから、併せて、県民のアンケート調査を,今行っております。そうした、結果を見ながら、どの辺が県民意識かなあというところを慎重に見ながら、我々としての最終案を固めて議会の方に問うていきたいというふうに思います。それは、ですから、最初から結論ありきで動いているわけではございませんので、県民の意識というものを十分に考慮しながら、進めていきたいと思っておりますし、最後は県民代表の議会のご意見も当然ながら議決として、反映されることになると思います。その結果、どういう規制なり、なんなりになるかなということであります。

 あと、私としてはですね、主旨は、別に営業を妨げるということでやっているわけでなくて、逆に、鳥取[県]は安心して、牛肉を食べられる所だなという、そういう環境を作りたいということでございます。従いまして、逆に規制ではなくて、衛生確保の促進を図る必要がございまして、9月議会の中で、真空パックを流通過程でやると、つまり加熱をして、安全だという状態で真空パックをして出していくと、こういう設備投資の支援の助成措置を盛り込むように、今指示をしたところでございまして、これも、数百万円程度予算の中で反映されてくるかなと思います。さらに、今出ている様々ご意見を総合して、片方で、条例の規制の問題、それから、片方で予算上を含めた支援措置の問題、これをパックで考えていきたいと思っております。



16 モニタリングポストの設置(再質問) 

○読売新聞 野口英彦 記者

 モニタリングポストの話に戻りますけども、知事、先ほど、予算措置ということをおっしゃったと思うんですが、原則国が整備するもんですけども、県で何か計上される、調査費のようなものを計上されるお考えでしょうか。


●知事

 ちょっとそこはまだ情報収集しながら、9月議会の前までに整理をしていきたいと考えております。国の方の補正予算が成立をしていますので、それを受けた予算措置で計上できるんではないかなと、今漠然と思っておりますが、十分ですね、精査してみたいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 県がやることは、候補地の調査とか、そういうことになるんでしょうか。こういう場所がありますよということを、情報を国に提供するとか。


●知事

 いや。国の10分の10で助成を受けてやるとか、そういうようなスキーム[枠組み]じゃないかと思いますが、まだ詳細が明らかではありません。


○毎日新聞 遠藤浩二 記者

 5か所のモニタリングポストの場所なんですけども、既に、中部に2か所あるということで、5か所を選ぶとしたら、西部3、東部2ぐらいですかね。


●知事

 ちょっと、そこは、専門的な知見を入れてやっていこうと考えております。ある程度、今も、距離に応じまして、とりあえずのモニタリングを始めたところでございますので、こうした地点ですね、私的にやるほどの数はございませんので、定性的な傾向が分かるような、そういう設置の仕方になろうかと思います。これは専門的な観点も入れながら、早急に箇所の詰めをしていきたいと思っております。


○読売新聞 野口英彦 記者

 設置者は県になるんでしょうか。


●知事

 県だと思いますね。それを国が財政的に支援をするということだと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 そこで得られた情報は県に直接入るのか、いったん国に吸い上げられてまた県に戻ってくるのか、そのあたりは。


●知事

 現在のこの県の[危機管理局]災害情報センターの方に入ってきております。ただ、その情報は国と共有をしているということでありまして、国からの委託を受けた調査を県が行っているとか、そんなような構成が併せてなされているところです。



17 民主党代表選 

○読売新聞 野口英彦 記者

 民主党の代表選挙が、政治日程のことを言いましたけど、知事の考えられる、先程も少しおっしゃいましたけども、こういうような候補が望ましいのではないかということはありますでしょうか。


●知事

 これは、政党の中の問題でございますので、私の方で口を差し挟むことは控えさせていただきたいなと思います。ただ、やはり外交とか、それから震災対策だとか、経済の今の危急の状況であるとか、地方分権の必要を考えますと、相当程度、やはり実行力というものをこの政権の中に作っていただかないと大変なことになるという危機感は持っておりまして、ぜひ、そうしたことで新しい枠組みを早急に作っていただく必要があるだろうと思っております。


○読売新聞 野口英彦 記者

 その実行力ということになると、大連立ということも1つのイシュー[争点]となっていますけども、知事は何か、大連立が望ましいとか、そういうお考えはおありでしょうか。


●知事

 そういう政権の枠組みですね、これは政党間の自由な協議の中から生まれるものだと思います。1つの選択肢として大連立ということも、こういう国家的な危機の中にございますので、当然、検討され得る選択肢だろうと思います。ただ、これには結局、選挙の洗礼を経てそれぞれの政党が議席を得ているという現実がありますので、現実にそれが実現するかどうかというのは、また別問題だろうと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 連立になると、1つの条件と言うか、政策面で、いわゆる4K[民主党の4大マニュフェスト]と言われるものに、子ども手当は一応ある程度のかたちで決着はしたわけですけども、高速[道路]の無料化であるとか、高校[授業料]の実質無料化ですね、このあたりについて難航しているんですが、順番にお聞きします。まず、じゃあ高速無料化ですね、これは地方の高速道路に光をあてたという部分もあったと思うんですが、これについては知事はどうお考えでしょうか。


●知事

 結局、今のむしろ個別の問題と言うよりも、おそらくこれ、パッケージの話だと思うんです。4Kという言葉で自民党さんが議論をされておられますのは、この4Kという政権公約に関わる政策が大変な財政需要を発生させていると。それで、こういう財政需要にこの4Kというパッケージの政策を実際に実行するのがいいのか、それとも、もっと遡って財政再建に向かうべきだと考えるのか、あるいは震災対策に使うべきだと考えるのか、そういう他の政策に使うべきだと考えるのか、こういう、いわばトレードオフのような議論だと思うんですね。その中で優先順位をどうやって持ってつけていくのかということではないかと思います。私は1つ1つには、それなりの民主党政権なりの理由があると思います。例えば、高校の授業料の無償化であれば、これは子どもたちの教育の負担を緩和していくには、どうしたらいいだろうかということだと思います。ただ、その問題意識の中から、全額無料化がいいのか、それから別の形態があり得るのか、その辺はやはり議論の余地はあるだろうと思います。

 高速道路についていえば、これは観光としては一定の効果は、私はあったと思いますけれども、ただ、地域的な偏りがあったのも事実でございまして、鳥取県では境港方面にかなりの観光需要を発生したと思いますが、こういう政策が賢い選択であるのかどうか、当然、財政事情がございますので、その辺のプライオリティー[優先順位]の議論はあり得るだろうと思います。例えば、千円高速でしばらくやってきました。千円高速でも十分な効果があったように思いますし、どういうような代替手段も含めて検討されるのかということではないかと思っております。


○読売新聞 野口英彦 記者

 高校の無償化に関しては、県も中学校に支援をするというふうになって、比較的肯定的に受け止められておったのかなと思うんですけども、例えば制度が変わるということに関しては、知事はどうでしょうか。


●知事

 これはよく国の方で議論をしていただければと思います。実は、自民党政権の時代、自公政権の時代も高校[授業料]無償化の議論はその政権側の方にもございましたので、これは民主党が先か、自公政権が先かというぐらいのことではないかと思います。1つの教育に対するスタンスとして考えられる選択肢だろうとは思います。ただ、当然、財政事情発生しますので、全てのご家庭において無償化がいいのかどうかというような議論はあり得るだろうと思います。



18 熱中症対策(再質問) 

○山陰放送 秦卓史 記者

 熱中症対策についてなんですけれども、これまで注意報があったから警報だということだと思うんですけれども、先程も高温注意情報という言葉もありますし、それから暑さ指数という国の環境省の基準もあります。いろんな言葉が出るよりは、例えば注意報、警報を鳥取県はやめて、高温注意情報が出ました、熱中症に気をつけましょうというような同じ基準であれば、そこのPRの仕方に傾注する、力を傾注するとか、そういうような考え方というのはできないのでしょうか。やはり警報を出すことが大切なんでしょうか。


●知事

 これは新年度に向けて、今年のやり方は点検する必要はあるだろうと思います。実は、今年初めて注意報というのを出したわけです。ただ、その注意報が出っぱなしになってしまうということになりまして、注意喚起としては効果が薄れてきたかなということでありました。従いまして、その注意報のやり方を前提にすればもう一段上の警報も出して、それで県民の皆さまに対する呼びかけを強化をしようという考え方であります。ただ、今シーズン終わって、最終的には総括をして、どういうやり方がいいのかということはあろうかと思います。

 正直申し上げて、暑さ指数28できって、それで、警報、注意報も毎日出すのではなくて、継続して出すというやり方を今年やったわけでありますが、これが緊張感を緩めさせることになったかもしれません。いろいろと工夫改善の余地はあるだろうと思います。いずれにせよ、この警報のことだけではなくて、今からやりたいのは、さらなる呼びかけでありますとか、つまり屋外のイベントとか、それから介護関係者を通じて高齢者のかたにパンフレットをお渡しをするとか、そうしたことを強化をしていきたいと考えておりまして、それと併せて警報という分かりやすい手段を今年については追加をしていこうということであります。今、秦さん、おっしゃったように、実際の注意報や警報のやり方がこのままでいいのかどうかというのは、今シーズンはスタートしていますので、来シーズンの課題としては考えていきたいと思います。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 11日に1人農作業中の女性のかたが中部でお亡くなりになったという話も昨日お聞きしたんですけども、やはりどういうふうに外におられるかたに今気温がこれだけ上がっているのか、注意報、警報が出ているんだというのを伝えるかということだと思うんですよ。今、市町村の防災無線なんかを通じて鳥取市でも朝には、今日は35度になりそうですということを言っていますけれども、そういう外で働いておられるかたにどうやって伝えるかというのは、本当に難しい問題だと思うんですけども、例えば大阪なんかで光化学スモッグが出たときに、校庭なんかに赤い旗がかかるとか、なんかそういう分かりやすい所に印が出るような仕組みができています。例えば、学校とか、役場にそういう印とか、電光掲示板で表示をするとか、そういったことも考えてもいいんじゃないかなと思うんですが、その辺は県としてはいかがでしょうか。


●知事

 それは市町村とよく協議して、できるだけ効果的な啓発、注意喚起を行っていきたいと思います。そういう旗を立てるというのも1つのやり方かもしれませんけれども、防災行政無線も周知徹底には1つの効果があるだろうと思っています。分析してみますと、やはり年を重ねられますと、汗腺と言いますか、発汗機能が衰える状況がございまして、高齢のかたに特に熱中症の搬送がみられるわけでございます。あとは屋外での子どもたちも含めたイベントですね。こういうイベントで、みんな集団でいるもんですから、どうしても注意喚起が劣ると。1人でいれば暑いと思えば日陰に入るんでしょうけれども、みんなでいるとそのままになるとか、そういう状況がございますので、そういう屋外イベントだとか、高齢者のところには重点的な対策が必要じゃないかなと考えております。そういう意味で当面、今年、今からできることとして、改めての注意喚起、屋外イベントの注意喚起でありますとか、高齢者へのパンフレットなど、その辺を強化をして今シーズン残りを充実していきたいと考えております。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 この関係機関との協議も必要になるんで一概には言えないと思うんですけれども、例えば35度を超えて警報が出た場合は、屋外イベントの最初のあいさつというか、そういったところで、今日はこういう注意報が出ていますので十分気をつけてくださいということを義務付けるとか、さっき、山陰放送さんがおっしゃったように、ある程度強制力を持たせるとことをしないと、あまり意味がないんじゃないかなという気はするんですけれども、やはりその辺も検討事項として考えておられますか。


●知事

 そうしたより効果のあることをやっていかないといけない国になったんじゃないかなと思います。日本は長く温帯の中にいたわけでありますけども、温帯からどうも亜熱帯の方へ移りつつあるわけでありまして、それに人間の体がついていってなくて、そういう発汗機能だとかが私たちの体には抜け落ちかけているということがあります。従いまして、従来とは違った注意が必要だということを従来以上に知っていただく必要があると思います。これは本県だけの問題ではなくて、日本全国通じた課題ではあると思いますけども、鳥取県にも残念ながら亡くなられたかたがいらっしゃるという現実に向き合えば、従来以上の対策を考えていく必要があると認識しております。


○時事通信 小出秀 記者(幹事社)

 それでは、ほかはよろしいでしょうか。ありがとうございました。


●知事

 どうもありがとうございました。


  

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