2.1 廃棄物の減量化、リサイクル、適正処理

平成21年度版 鳥取県環境白書

2.循環を基調とする経済社会システムの実現

 2.1 廃棄物の減量化、リサイクル、適正処理

高品質堆肥製造技術の検討(農林業緊急プロジェクト)

1 事業の概要

 化成肥料の代替可能な高濃度窒素・リン酸堆肥の製造技術及びその施用方法の検討を行う。

 

2 事業の背景・目的・効果

  1.  事業の背景・目的
    ア 肥料資源としてのリン酸はほぼ全量を海外からの輸入に頼っているが、世界的にリン酸資源が不足し、肥料価格の高騰を招いている。
    イ 肥料価格の高騰により耕種農家では、化成肥料の代替可能な窒素・リン酸などの肥効成分の高い堆肥が要望され、減化成肥料栽培、有機栽培に関する要望も多い。
    ウ 家畜排泄物より窒素・リン酸を回収し、高濃度窒素・リン酸堆肥を製造し、化成肥料の代替とする。
  2.  事業の効果
    ア 家畜排泄物より回収した窒素・リン酸成分が肥料として利用できることが期待される。
    イ 高濃度窒素・リン酸堆肥製造・施用方法の確立による安全・安心な有機農産物生産の推進。
    ウ 化成肥料施用減によるコスト削減。
    エ 家畜排泄物の適正処理化・堆肥流通促進。
     

3 事業の内容

  1.  高濃度窒素・リン酸堆肥製造技術の検討
    ア 堆肥化過程で発生するアンモニアを完熟堆肥に吸着させ、さらに亜硝酸酸化細菌を添加して窒素成分の揮散を防ぐことにより、高濃度窒素堆肥を製造する。効果的なアンモニア吸着条件(アンモニア濃度、吸着時間、堆肥温度、堆肥水分等)、鳥取県の環境に適し、窒素成分が空中に揮散しない効果のある亜硝酸酸化細菌の抽出、細菌添加条件(添加量、添加時期等)について検討する。
    イ 畜産汚水からリン酸を回収し、それを上記アで製造した堆肥に混入し、高濃度窒素・リン酸堆肥を製造する。効率的なリン酸回収条件(回収資材、pH、水温、リン酸濃度等)について検討する。
  2.  高濃度窒素・リン酸堆肥施用方法の検討
    園芸試験場・農業試験場と連携し、高濃度窒素・リン酸堆肥の施用方法を検討する。

 平成21年度の実績

 
○堆肥化過程で発生するアンモニアを完熟堆肥に吸着させることにより、窒素成分を乾物当たり2.39%から3.60%に向上させることができた。

○堆肥化過程に完熟堆肥(亜硝酸酸化細菌)を添加することにより、地球温暖化ガスである亜酸化窒素を41~51%抑制させることができ、硝酸態窒素成分を乾物あたり約0.30%向上させることができた。

○養豚汚水からリン酸(MAP)を200g以上/週回収することができた。ただし、回収期間は気温の高い夏季に限定された。

●担当:農林総合研究所中小家畜試験場 環境・養鶏研究室 電話 0859-66-4121


参考URL
 鳥取県中小家畜試験場のwebサイトより
「農林総合研究所中小家畜試験場」
 http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=43013

食品残さを利用した低コスト化飼料給与試験

1 事業概要

 食品リサイクル法施行を背景に、食品残さの飼料化が普及することが期待される。また、石油価格の高騰に伴い、家畜飼料も高騰している。そこで食品製造工場と共同で食品製造残さを飼料化して豚に給与し、飼料の給与効果及び生産コスト低減効果を検証する。

 

2 事業の背景・目的・効果

  1. 事業の背景
    食品製造工場から規格外品、食品製造副産物等、毎日大量の食品残さが出され、現在そのほとんどが廃棄物として有料で処理されている。そこでそれら食品残さを飼料に転換することにより、飼料費を中心とした生産コストの低減効果及び肉質に与える影響を検証する必 要がある。
  2. 事業の目的
    ア 中小家畜試験場及び養豚農家で食品残さの飼料化とその給与効果を実証し、県内の食品残さの再利用の推進と実用化における経済性の検討を行う。
    イ 試験場、農家、食品製造メーカー、廃棄物処理業者間でデータ等を共有すると同時に、配合飼料の一部を食品残さを使用した飼料(エコフィード)に置き換えることを推進し、生産コ ストの低減を図る。
  3. 事業の効果
    ア 食品リサイクル法では食品関連事業者が食品廃棄物を20%以上再生利用することを目標としており、食品残さの飼料化(エコフィードの利用)により、地域での資源の循環にもつな がり、環境への負荷の低減が図られる。
    イ 石油高騰に伴い飼料価格も高騰しているため、生産コストが増加している。今後食品残さを利用した飼料を利用できれば生産コストの軽減が期待される。

3 事業の内容

 食品製造工場から出された食品残さ(おから、規格外ビスケット等)を飼料化(乾燥・粉砕)する。
その飼料を中小家畜試験場及び養豚農家にて肉用豚に給与し、健康状態及び肉質に及ぼす影響を調査して、普及の可能性について検討する。

 

 平成21年度の実績


1.効果
菓子屑等の食品製造残さを肥育豚に給与したところ、市販飼料を給与した豚よりも、肉質等級などの枝肉成績が向上して販売価格が上昇し、かつ飼料コストの削減効果(1頭当たり1,178円の削減)もみられ、有効な方法である事が確認できた。

   

 <給与した食品残さ(菓子くず)>         <給与の様子>

2.課題
排出場所が分散されており、運搬コストが高くなることから、収集方法に検討を要する。
 

●担当:農林総合研究所中小家畜試験場 養豚研究室 電話 0859-66-4121

参考URL
 鳥取県中小家畜試験場のwebサイトより
 「農林総合研究所中小家畜試験場」
 http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=43013

 

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