知事定例記者会見(2020年1月6日)

令和2年1月6日(月)午前10時30分~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約45分) ※MPEG4形式

  

1 年頭所感 

●知事


 皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いを申し上げたいと思います。[県政]記者クラブの皆様、県民の皆様におかれましては健やかにこの正月をお迎えになられたことと存じます。私自身も令和2年の年頭に当たりまして、東京のほうで皇居、新年祝賀の儀に参列をさせていただきました。天皇陛下のほうからお言葉がございまして、年の初めに当たり、国民の幸せと国の発展を祈りますと、そういうお言葉がございました。ぜひ、皆様と一緒に令和という新しい時代をつくり上げていくことができればと念願をしておりまして、御指導のほどよろしくお願いを申し上げたいと思います。


 年末はOfficial髭男dismの熱唱で幕を閉じることになりましたが、[NHK]紅白[歌合戦]出場というふるさとの願いが東京で花開いたのではないかというふうに思います。私たちは小さな山陰、そして鳥取県かもしれませんけれども、大きな花を咲かせることができる、そんな思いでこの一年向かってまいりたいと思います。





2 2020年度当初予算等の編成方針 

●知事


 私は今年、これから予算編成、新年度に向けて入るわけでありますが、重要なポイントは3つあるのではないかと思います。それは3つのSでございます。


 1つ目はサステナビリティ、持続可能ということであり、SDGs[持続可能な開発目標]という言葉、国[際]連[合]のほうで生まれまして、今、そうした事業に取り組む世の中の動きになってきました。新年度にはSDGsの推進本部をつくる、そして、SDGsの自治体としての動き、本格化させたいと思いますが、本県でも環境対策でありますとか、あるいは障がい者福祉、ユニバーサル社会の実現でありますとか、さまざまなテーマ、これに切り込んでいければと思います。


 2つ目にはセーフティ、安全・安心ということであります。最近は災害の多い時代となってまいりました。これは台風の進路を見ましても、最近はない進路を通るということを学者の間でも分析をされるようになったり、海面温度が高いものですから、激烈化されているということであります。いずれ、東南海トラフ、これが動くということも想定をされているわけでございまして、地震や火山活動、日本列島とは無縁ではなくなってまいりました。そういう意味で安全・安心を作る必要があります。また、医療とか、健康、福祉ということもそうしたことにつながってくると思います。


 3つ目には東京オリンピック、パラリンピックの年でありまして、スポーツということを極めていく、これによりまして、鳥取県も売り込みを図ることができるのではないか、県民の健康をつくることができるのではないかと、こういうように考えているところであります。SDGs、サステナビリティの関連で言いますと、本県は昨年末にREという、今、運動をやっているわけでありますが、再生可能エネルギー、「再エネ100宣言RE Action」ということをしています。このアンバサダーとして[県が]認定を受けました。最近再エネ100宣言を行っている企業が増えてきていますが、こうした運動を盛り上げていく、普及していくためのアンバサダーに鳥取県は熊本県とともに12月6日に認定をされたところであります。


 こうしたことを一つの梃といたしまして、再生可能エネルギー100%、これを県内津々浦々でそれぞれの企業などでも実現できるように推奨を図っていくことといたしたいと思います。鳥取県自身も今年は水力発電、これをさらに展開をしていく、そのバネとするためにもコンセッション[公共施設等運営権]による安定的な経営を目指す、それを今年の大きな節目を迎えることになります。さらに住宅など、こうしたところでもそうしたサステナビリティ、持続可能性ということをつくり上げることができるのではないだろうか、省エネ住宅の新しい基準を県独自につくることにいたしたいと思います。これにつきまして、パブリックコメントを始めることにしたいと思います。


 国の基準よりも3割、空調コストを下げることができる、そういう機能性の高い省エネの基準、これを住宅で実現できないだろうか。欧米では、実はそういうことが主流でありまして、我が国の場合、まだ、国基準はそれに比べるとかなり緩やかであります。それよりも厳しめの基準をあえて設けて、これを住宅の補助制度と連動させることによるなど、その普及を図っていく、山陰は寒いときは寒いですし、暑いときは暑いものでありますから、そういう意味で断熱効果を高める、そうした住宅の基準というものを独自に制定することができないだろうかこういうところにも切り込んでいけるのではないかと考えているところであります。


 また、廃棄物関連、これにつきましても、計画も作り対応を深めていく必要があると思います。現在、環境イニシアティブの計画や環境の基本計画、こういうものの見直しをしているところでありまして、環境イニシアティブ計画として一本化をして制定を今年目指したいと思いますし、廃棄物の計画も改定時期でありますが、ここに新しく制定が求められるようになってきました食品ロスの削減の計画と2枚看板にした廃棄物の基本の計画をつくらせていただきたいと思います。具体的には従来、私ども4Rということを言ってます。国としては3Rでありますが、それにリサイクルを加え、さらにリニューアブルという概念も入れたようなそういう廃棄物の計画や環境の基本的な計画、環境イニシアティブ、こういうものの制定を目指したいと思います。


 食品ロスの運動も進める必要がありますのは一般廃棄物の処理量自体は鳥取県は若干高めになっています。そのかわりリサイクル率が高いので全体としては、ゴミは抑制しているという制度設計になっているところでもあるんですが、ただ、食品ロスなど、こうしたところを事業用ゴミも含めて削減することができないだろうかということであります。国のほうではこの食品ロスの削減に向けてのガイドラインは、私ども現場では解せないところもあります。例えば、ゴミ袋を開けて監視をしなさいということが入っているんですが、これは国の基準でつくられているんですが、ナンセンスだと思います。私たちは地方のほうでプライバシーの問題などもありますから、そのプライバシーなどにも配慮をしながら食品ロスを進めていく、そうした実効性ある運動をつくっていくことが本来の姿ではないかと思います。あえて政府のほうのそうしたガイドラインとは違った意味の基準も含めて食品ロスの削減に向けたムーブメントも起こしていければと考えております。


 また、中山間地も含めて住み心地のよい鳥取県ということを目指す必要がありますが、このたび鳥取市が住みたい田舎ベストランキングの中で、少子化対策、子育て対策[子育て世代部門]としてはナンバーワンに再度輝くことになりました。こういうことなどいい条件もあるところであろうかと思いますが、さらに中山間地における交通の対策、これも持続可能な地域社会という意味では重要であろうかと思います。市町村との合意を今月[1月]中に得て、できれば予算案として新しい補助制度を、提案をしてみたいと考えております。また、中山間地などの通学費助成、高校生の悩みはそこにありまして、通学費が結構本県の場合かかるということであります。この助成制度を都道府県レベルでは全国で初めて導入できないだろうか、これも市町村との共同事業ということになりますが、市町村との合意を今月得て、2月の県議会に向かっていければというふうに考えております。


 また、安全・安心という意味では、今、河川の掘削であるとか、それから堤防の点検、さらにはそこに強化をするための事業などを考えていくべきだと思っているところであります。これらを予算の中でも補正予算も含めて提案をしていきたいというふうに考えております。補正予算の公共事業の規模も膨らむのではないかと思われます。100億[円]は超えていくんじゃないかなというふうに考えられる規模になりそうでありまして、そういう意味で思い切った、そうした安全・安心の対策も含めた公共投資も考えていく必要があると思っております。


 また、安全・安心ということでは、がんについてもこの1月1日に県立中央病院ががんセンターを設置をいたしました。ここで例えばキャンサー[がん]のカンファレンス[会議]、がんの個別ケースも含めた診療をみんなでやっていく体制づくり、テレビ会議も含めて鳥取赤十字病院とこの県立中央病院を結びまして、そういうキャンサーカンファレンスということを始める。そのほかにももちろん診断であるとか、薬剤による治療であるとか放射線治療であるとか、そうしたさまざまな機能を統合したがんセンターを県立中央病院、県の施設としては初めて設置をさせていただきました。


 こうしたことなど、医療面の機能強化を図り、特に今年は医療の再編ということが注目をされる年になろうかと思います。今、政府と交渉をしているところでございますが、これから民間病院も含めたデータが示されることになろうかと思います。そういうものを総合して、地域で本当に持続可能な医療の姿というものを見つめ直す、そういう大切な年になるんではないかと思います。こんな意味で、医療や健康づくりということも進めていかなければなりません。また、スポーツにつきましては東京オリンピック・パラリンピックに、[飛び込みの]三上紗也可選手の出場が内定をしていますけれども、さらに同じ種目でも安田舞選手が今、挑戦をしていますし、あるいは自転車の河端[朋之]選手とか、それからまた小笹[知美]選手がラグビーの女子で挑戦をしていたり、入江[聖奈]選手がボクシングで挑戦をしていたり、瀬川[和正]選手のセーリング、高橋[峻也]選手のパラ陸上等々、さまざまな今、挑戦がなされているところであります。


 こういうように県の選手が活躍すること、これをぜひ私どもふるさととしても応援をして支えていきたいと思います。年末には子どもたちの熱闘が光りました。また、年始にも光りました。そういう中、相撲のほうでは、また、返り咲きの優勝を遂げる鳥取城北[高校]の姿があったり、また、倉吉西高校の長谷川[愛]選手が弓道でナンバーワンを射止めたりしたわけでありますが、年始には[全国高校サッカー選手権大会で]米子北高校、あるいは[全日本バレーボール高等学校選手権大会で]鳥取中央育英高校、米子西高校が、残念ながら今、トーナメントを去ることになりましたけれども、頑張りが光ったところではないかと思います。スポーツのすばらしさというものを再認識するのが今年であり、障がい者スポーツも含めての節目の年、ステップアップの土台にならなければならない、基礎をつくる大事な年だと思います。この夏ごろまでには布勢の運動公園[コカ・コーラボトラーズジャパンスポーツパーク]にパラの拠点施設を設けようと、ここでスポーツ人材の育成をしたり、障がい者がスポーツと出会う、そういう場所、聖地となればと思います。こうしたことなどを拠点もつくりながら、県内各地でスポーツの花を開かせていく必要があります。サイクリングは新しい、そうしたテーマになろうかと思います。恐らく3月には弓ヶ浜におきますサイクリングロードを開通すると思いますし、県の東西を結ぶサイクリングルート、こういう長大ルートなども設定されることになります。


 新年度に入りますとそういうサイクリングの新しいステージを迎え入れることができます。これは健康づくりにも役立つでありましょうし、また、スポーツ振興を通じまして「鳥取すごい!ライド」に台湾のお客様が多数お見えになったことに代表されますような、そういう1つの聖地を目指していける土台ができるんではないかと思います。ジャマイカ[代表団]のキャンプ、[クロアチアを拠点に活動するセーリングの国際チーム]JKモルナルのキャンプ、さらには、フランスの[スポーツ]クライミング[チーム]のキャンプについて今、交渉をまとめつつあります。こういうようなことなどを通じまして、鳥取が世界から注目をされるスポーツの聖地の1つに数えられるようになればというふうに考えているところでございます。


 こういうようなことで3つのSの充実、発展を目指す、そういう重要な年というふうに位置づけさせていただきたいと思います。それで、3つのSの実現を図る、スモールバット、スマートアンドスーパーということであります。スモール、小さくてもスマート、非常に賢く、機動的に、それで、スーパー、傑出した存在となると、そんな3つのSの実現を図っていく、こんな年にしたいというふうに考えております。恐らく小泉[進次郎]環境大臣だったらSにセクシーを加えるんでしょうけども、私はちょっと流派が違いまして、別のSを選ばせていただいたところでございます。そんなようなことで、今年、また皆様のお世話になることとなります。





3 米子上海便就航に向けた準備 

●知事


 重要なのは今週末、1月11日にいよいよ就航をします[上海]吉祥航空による[米子]上海便でございます。これには多くのお客様来ますが、今、満席状態で中国からのお客様が来る状況になってきました。その日[1月11日]に式典を、実施をしたいと思います。趙宏亮(ジャオ・ホンリアン)総裁をお迎えしまして、このスタートを祝う開業の式典を行うことにいたします。その日はカニ汁の振る舞いもさせていただき、中国からのお客様に鳥取県だけでなくて蟹取県、先ほどニィァォチュシィェン[鳥取県]という中国語講座を[仕事始め式で]職員がしましたけれども、シィエチュシィェンという蟹取県のほうの実感もしていただく、そんなお迎えをさせていただきたいと思います。


 この1月11日から今月中ですね、新年おめでとうキャンペーン、新年クゥアィルゥー[快楽]キャンペーンをさせていただき、漫画の施設のパス[まんが王国満喫周遊パス]を無償で配布をさせていただくという特典をつけようということです。さらに、また米子までのシャトルバス、これも提供させていただき、これを実証実験として今後二次交通のあり方というものを考えていきたいと思います。また、2,000円で米子からタクシーで回ることができる、そういうサービスも開始をする、こんなようなことなどでお迎えをさせていただきたいと思います。1月11日には中国の旅行会社の皆さんも同じ便で乗って来られます。その乗って来られた方々と当地、山陰両県の観光宿泊関係等との商談会を1月13日に実施をさせていただきたいと思います。





4 今年の産業分野における展開 

●知事


 2月に入りますと、倉吉の産業人材育成のセンターにおきまして、中国語も交えたおもてなしの人材育成の講座をスタートをすることにいたします。今、フェイスブックでの発信も始めたところでございますが、これのみならず、WEIBOやWECHATという中国でも主流のSNSによる情報発信もしていく。さらには向こうの上海吉祥航空の機内誌等々を通じましたPR活動などを、今、計画をして実施をしているところでございます。こういうようなことなどで存在感がまだ山陰[については]、中国上海でないということでもありますので、一気に私どもとしても攻勢をかけていきたいと思います。いろいろとインバウンドのほうで韓国など陰りも見られるところは正直なところでございますが、上海というビッグマーケット、中国というスーパー[な]マーケット、こういうすばらしい市場を手にすることができれば、私たちとしてもこのインバウンド観光を再興させることができるのではないかというふうに考えているところでございます。


 産業面でも、今年[2020年]に入りまして1月になりますと、私どものほうで支援をしてまいりましたブリリアントラボ、ブリリアントアソシエイツ[株式会社]によります商品開発の施設でありますとか、また、情報会社の新しい施設でありますとか、さらに今後、[株式会社]オークであるとかいろんな工場、今年は新工場が開設をされてくることにもなります。このようなことなど、産業の展開を図っていくことも重要な要素になってこようかと思います。心配されますのは雪不足でありまして、これについては、年末12月30日に1.43%の資金を発動させていただきました。


 さらに注目しなければならないのはイラン情勢であります。アメリカとの摩擦がだんだんと非常に緊迫化しているところでございまして、イランのほうは濃縮ウランにつきまして再稼働させるという、そういう発表をし、今、原油価格も今後の情勢を心配して高騰してきているところであります。本県経済にとりましても、円高株安という状況が年初からこう見え始めましたのは、黄色い信号が点ることにもなりかねないところでありまして、今年注意深く状況をフォローアップさせていただきながら、新産業の展開を図ったり、さらには、梃入れとしてのこうした施策、働き方改革等も進めていきたいというふうに考えているところでございます。





5 鳥取県の女性管理職の割合など 

●知事


 こうしたことなどに加えまして、このたび鳥取県の男女共同参画につきまして女性職員については、また、首位に輝くこととなりました。20%を超えるということが国全体の平均10%を大きく倍に上回るということになりまして、2位の16%台の東京も引き離すことになってまいりました。こんなような新しい職場づくり、コンセッションの導入等も含めまして展開を図ってまいりたいと思います。いろいろと今年に積み残された課題もございます。そうした課題等々も向き合いながら、ぜひともすばらしい年、解決できるそういう力を本県の中で培い発揮してまいりたいというふうに思います。


 カワセミのダイブ五輪の水面指す


 今年、年頭に当たりまして三上紗也可選手などの活躍を願いましてつくらせていただきました。実は某テレビ局の番組の関連だったわけでありますが、言ってみたら[テレビ番組の]プレバト!![のよう]になっていまして汗をかいた状況がございましたけれども、三上紗也可選手が念願していたのは、あまり大きなしぶきを上げないで着水できるような準備をして、それで金メダルを取ることだということでありました。カワセミのようにスッと針が突き刺すかのような、そういうダイブを五輪で決めていただいて、すばらしい活躍をしていただければなと思います。今年はいよいよオリ[ンピック]・パラ[リンピック]の年となりました。世界中が注目するこの年に鳥取県もいっぱい、いっぱい売り出していければというふうに考えております。県民の皆様の御多幸と、そして本県の御発展お祈りを申し上げて、私からの年頭の会見とさせていただきます。本年もよろしくお願い申し上げます。





6 鳥取県独自の住宅省エネ基準 

○読売新聞 滝口憲洋 記者


 ありがとうございます。各社質問ございましたらお願いします。


○日本海新聞 岡宏由紀 記者


 すいません。先ほどおっしゃられた住宅で、県独自の省エネの新基準を設けられるということだったんですけど、改めてその住宅においてサステナビリティを実現される意義というのと、あと、国の基準ではどこが不足しているのかっていうような具体的なところをちょっと教えていただけたらと思うんですが。


●知事


 やはりエアコン等のそういうところで、暮らしの中では多くのCO2というものを生み出していると考えなければなりません。そういう意味で省エネを進めていける住宅というのは住む人にとってもプラスになり得るはずであります。国の基準など、断熱性能とか、そうしたさまざまなところで実は国際基準よりも緩やかなものになっています。これを鳥取県として独自に少し厳しめの背伸びした基準を考える。これを実は専門家の皆さんと旧年中も話し合ってまいりました。その新基準のガイドラインが本県独自にまとめることができました。もしあれでしたら、また、後ほど詳細を説明をさせて担当課からいただきたいと思いますけれども、これでやりますと、国の基準よりも3割ほどCO2削減に効果があるだろうということであります。


 そして、これをやると15年ぐらいで、お金が高くなる部分がありますけども、15年もすれば回収できると、15年で回収できるのであれば家の寿命考えていただければ、十分にペイし得る[採算がとれる]ものというふうにお考えいただけようかと思います。さらに、これを普及させる意味で建築士さんだとか、そうした専門家のところに向けたそういう説明会であるとか、県民向けのPR活動であるとか、そうした「鳥取省エネ住宅」というものを推奨することを始めてはどうだろうかということです。こういうようなことを通じて欧米風の環境に優しい家というものを鳥取[県]から始めてみたいと思います。具体的には木の住まいづくりの「住まいる事業」がございます。こうしたものの中に、そうした補助制度というものも埋め込んでいけるのではないかと、年末担当部局のほうに指示をしたところでございます。


○日本海新聞 岡宏由紀 記者


 ちなみに、他県とかでそういった県独自に基準を設けられている事例っていうのはあるんでしょうか。


●知事


 それぞれの県でも、独自にこういうようなことをされている所も出てきていると思います。ただ、今の国の基準だけで十分かというと、少しそうした上乗せをして背伸びをしたほうが15年で回収できるのであれば、実効性も納得できるんではないだろうか、こんなように考えられるところでございまして、あえて独自の基準を考えた上でパブリックコメントを始めたいと思っております。


○山陰中央新報 原田准吏 記者


 スケジュール感なんですけども、当初予算案に盛り込んで新年度からスタートというような考えでよろしいでしょうか。


●知事


 これについては、今年度中にその基準というものを確立をして、それで、新年度の当初予算の中でも助成制度やPR経費等も盛り込んでまいりたいと思います。こういうことも含めたSDGsの予算というのを全体としてもわかりやすく県民の皆様へ説明してまいりたいと思います。





7 米子上海便就航に向けた準備と就航後の対応 

○毎日新聞 野原寛史 記者


 よろしいですか。毎日新聞です。上海便なんですけれども、11日に向けて県のほうで対策いろいろされてきたと思うんですけども、ここまでで上海の方の旅行客の受け入れに関して県としてここまではできたというところと、多分受け入れ、失礼しました。就航後にやりながらまた対策やっていかなきゃならないところがあると思うんですけども、知事の考える今の課題等を少しお伺いしたいんですけれども。


●知事


 今、心配されていたのは搭乗率のことだったんですけども、当面この旧正月[2020年は1月25日]ころは中国の書き入れどきでありますけども、基本的には皆さん乗っておられる、そういう満席の状態で、今、来ていまして、ただ、課題としては日本からまだ向こうに行くところで、一応例えば[旅行会社には]7割ほど売れるような状況もあるんですけども、ただ、まだ旅行会社を通じての販売が実際購買者の所まで行ったかどうか、この辺の確認がなかなかまだ取れないところであります。ですから、定期便でありますので、相互往来ということをつくっていかなければなりませんが、アウトバウンドのほうでもまた周知活動をやはりきちんとする必要があるのかなということです。


 旅行会社によっては、商品の売れ行き好調な旅行会社もございまして、市場性は十分あると思うんですが、ただ、まだ浸透していないというところが1つあるのかなと思います。さらに課題として単にインバウンド、あるいはアウトバウンドも含めて観光往来だけでなくて、ビジネス利用ができないかということであります。そういう意味でまた今度、趙宏亮(ジャオ・ホンリアン)総裁が来られたとき、相談もしなきゃいけないところではありますけども、上海吉祥航空の機体を使って航空便での輸送ということができないだろうか、テスト輸送をこれも予算計上も含めて考えてみたいと思います。なかなかの商業ベースで最初から行くのは荷物の定常的な確保が必要でありまして難しいのかもしれませんけれども、ただ、生鮮品で特に和牛の[輸入]解禁がなされるとか、中国市場も日本の農産物、生鮮品も含めて需要が高まってくると思います。


 そうなりますと、蟹の季節の蟹であるとか、市場性のあるもの十分ありまして、そうした意味で旅客利用だけでなくて、貨物としてのカーゴの活用、この辺も見え始めた課題なのかなというふうに思います。中国でのPRはまだまだ不足していると思います。従いまして、旅行博であるとか、物産展の機会を利用してであるとか、従来はちょっと上海のほう、本県手薄でありますけども、島根県とも連携をしながら山陰のプレゼンスを高めてまいりたいと思います。向こう[中国]の楽天トラベルのようなネット通販大手のシートリップ[C-trip社]については、この商談会とかすることにさせていただいておりますし、さらに、今、社員旅行と言いますか、そういう形でのこちらに来ていただいて、まるごと皆さんにこちら体験していただくと、これの、今、招致も進めているところでありまして、何とかプレゼンスを高めて山陰の浸透度を上海エリアで高めてまいりたいと思います。


○毎日新聞 野原寛史 記者


 アウトバウンドに関しては今後何か検討して、推進のための取り組みをさらにされる予定というのはあるんでしょうか。


●知事


 今、グループ旅行などでこうした上海便の活用について支援制度もつくらせていただきました。こういうようなことなどをJATA会[日本旅行協会]、旅行業者の協会などと連携をしながらPRを進めてまいりたいと思います。恐らくベースは向こうから来るインバウンドのお客様になろうかと思いますが、いろいろと定期便となりますとそういうお客様の波があるものですから、双方向で行き来する姿というのを目指していければと思います。そういう意味で上海地域というのも、上海だけでなくて蘇州ですとか、周辺地も含めて周遊先に選べるところでありますので、その辺のPR活動などを今後、1月11日の就航を契機として一層強めてまいりたいと思います。





8 中山間地の高校生通学費助成 

○共同通信社 遠矢直樹 記者


 すいません。中山間地の通学助成の所で、これも当初予算とかに盛り込んでいかれるのでしょうか。


●知事


 今、これ、慎重に市町村との意思の調整を図ってまいりました。今月[1月]ですね、市町村長との行政懇談会という会議があります。それに向けて、今、最終調整をさせていただいているんですけども、考え方としては、今、市町村もいろいろと、ところによってはこういう中山間地の通学助成を始めています。そういうような助成制度を持っておられて、それについて県のほうから半額出していくというようなやり方、金額としては7,000円という金額を目安に、今、最終調整を進めているところであります。県によっては確かに中山間地などの助成をしたり、それから低所得者の高校生の通学助成をしている所もあるんですけども、足切り的に最初の1万円は支給しませんよ、みたいなところでありまして、本県のように根っこから助成をしますと、そういう意味で普遍的に中山間地等ちょっと遠距離通学でもハンディキャップはあまりないですよという、そういう助成をする所はまだありません。そういう意味でちょっと冒険なんですけども、市町村とも、今、話し合いが大体煮詰まってきまして、まだ最終調整中ではありますけども、そうした7,000円の助成を根っこからゼロベースで行うという、そうした助成制度の姿を基本にして、市町村長との話し合いに望めればと思っています。





9 中山間地の交通対策 

○共同通信社 遠矢直樹 記者


 すいません。あと、関連して、中山間地の交通の助成なんですが、これについても各、鳥取市とかって、それぞれ独自の支援を検討されていたり、実際にもう始めていたりとあると思うんですが、今回のこの中山間地交通支援というのは、先ほどの通学助成と同じように市町村が助成しているものの半分を出すとか、そういうふうなイメージになるんでしょうか。


●知事


 これは従来からものによって助成の割合をいろいろにしてあります。これからまた話し合いもしながら調整をしていきたいと思いますが、従来の助成制度は例えば共助交通だとか、それからタクシーなども含めてやっていくところが手薄な助成になっていまして、遠隔的には全国どこもそうですけど、バス、バス路線が中心なんですね。しかし、もう全国趨勢としては、バス路線は撤退の方向に残念ながら向かっているのが実情であります。それで、そうすると一気に交通の足が奪われることになりかねないわけでありまして、[2019]年末には鳥取市のほうで近々、近い将来に廃止が考えられる路線というのを公表されました。それで、言わば切迫感を持って地域の交通というのを話し合いを始めたところでございますが、私はこういう姿勢は評価できるかと思います。やはり現状に正直に向き合いながら、それぞれの地域の工夫の中でやっていくということになろうかと思います。そうなりますと、補助制度もバスを念頭に置いた固定的なものではない、自由度の高い助成制度に転換をしていく必要があると考えておりまして、その辺を基本にして最終的に、予算編成に向かっていきたいと思っております。


○日本海新聞 岡宏由紀 記者


 すいません。中山間地のその交通についてなんですけど、年末に幹部会議をされたときに、ウーバーのシステムを導入してみてはどかっていうようなことをちらっとおっしゃっておられたと思うんですけど、具体的にそういった構想ですとか、おありなのかっていうのをちょっとお聞きしたいんですが。


●知事


 これ、[米国ITベンチャー]ウーバー[テクノロジーズの配車システムの活用]は都市部中心に行われています。それはやはり経済合理性からそうなっているのかなと思いますが、考えてみますとそもそもタクシー会社とか、バス会社に乏しい本県のような地域でもそういう発想はあり得ないのかなというふうに思いますし、海外から来られた方にもインターネットを通じて配車手配ができる、そういう手軽さというのはあり得るんではないかなと思います。そういう意味で、それぞれの地域によってそうした方式の採用ということもあり得なくはないだろうと。そういう意味で自由度の高い助成制度と制度設計というものを担当部局のほうでも調整考えてもらいたいと、こういうことを申し上げたところであります。今、具体的にウーバーの実現ができるというところではないんですけども、ただ、もう限界にきているというのは認識しなければなりません。そういうウーバー方式で実際に交通の確保を図っている中山間地もないわけではございませんで、そういったところも研究してみる必要があるんではないかと思っております。





10 東京オリンピック・パラリンピックに向けた事前キャンプ 

○山陰中央新報 原田准吏 記者


 すいません。東京オリンピックの事前キャンプでフランスとの、フランスのクライミングチームですかね、との交渉もまとめつつあるというようなお話があったと思うですけど、現状どうなのかということと、それからそのほかに、今、交渉中でまだ可能性がある国とかというのはあるんでしょうか。


●知事


 現在確定をしていますのはジャマイカ、それからJKモルナルでございます。それとフランスチームにつきましては私もヘッドコーチと来日されたときにお話をさせていただき、ぜひ東京オリンピックの前にはこちらにキャンプに戻ってきてくださいということを申し上げました。それで、実はあのとき来ていた選手も含めてフランスの代表が五輪切符を獲得しております。ですから、どこかでキャンプをやるということは確定的になってきたんではないかなと思います。


 実はその後、交渉もしておりまして、フランス側からは感触としてはキャンプ実施の感触をいただいております。最終的に、これ確定できるように、今、調整を進めているというのが現段階でございます。実現すれば地元の倉吉とも一緒になりまして受け入れの組織もつくり、[スポーツクライミングの]フランスチームがこちらで心置きなく練習ができる体制をつくれればと思います。また、あわせてもちろん日本のチームにも練習していただける環境はあるかと思います。前回もそうでしたけれども、そうしたことなども可能性としてはあるのかもしれませんし、今後とも多方面にクライミングの3つの壁がそろった施設の有用性というのを働きかけていきたいと思います。


 そのほかにも、例えばサッカーとか、あるいはホッケーとか、さまざまな国に、今、働きかけている種目もございまして、これから正直五輪代表に選ばれるかどうかっていうのがまずあるわけでありまして、その国がですね。そういうところを見据えながらやっていくということかなと思います。あと、例えば卓球などパラ[リンピック]の日本チームの合宿の可能性というのも本県もあり得ると思うんですね。パラについての機能性を高めてきていて、布勢の運動公園[コカ・コーラボトラーズジャパンスポーツパーク]にも拠点施設をオリパラの季節までには間に合わせて完成させようとしております。そんな意味で、そうしたパラ競技についても日本チームを含めた働きかけを現在しているというところでございます。


○読売新聞 滝口憲洋 記者


 よろしいでしょうか。それで知事ありがとうございました。


●知事


 はい。どうぞよろしくお願いいたします。おめでとうございます。




  

 ※広報課編集
  [ ]については、広報課で補足説明しています。

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