鳥取県は、天下五剣に挙げられる国宝童子切安綱を生み出したことでも知られる、銘刀の故郷です。
これは、日野郡に印賀鋼と呼ばれる優れた玉鋼があったことに由来すると言われています。
今回は、全国でも名高い刀匠の前田秀士(銘/延秀)さんを訪ねました。
前田さんは江府町在住で、刀鍛冶としては3代目です。
青年学校卒業の春に父親と一緒に島根県の刀鍛冶である川島忠善先生に入門され、日中戦争中は米子航空隊の軍刀をひと月に5振ほど納めていたそうです。

鞘(さや)から抜く瞬間は、緊張感が漂います。

刀の刃を白布で拭く姿は、静謐さと威厳に満ちていました。

見事な刃です。
一人前の刀匠になるには、何十年もかかるとお話ししてくださいました。

前田さんはとても柔和な雰囲気の方なのですが、作られた刀剣は迫力に満ち溢れ、ただただ圧倒されました。

この日見せていただいた前田さんの太刀には佩表(はきおもて)に「伯耆国延秀」の銘が入っていました。
打刀の銘は差表(さしおもて)に入っているそうです。

刀匠・前田秀士さんと二振の刀剣。
鍛え抜かれた地金の肌と美しい刃文が見る人を魅了します。
前田さんの刀剣は美しさと鋭い切れ味を兼ね備え、居合切の世界においても高く評価されているそうです。
たたらで栄えた日野郡。
現在も素晴らしい刀匠が活躍されています。