高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援者等に関する法律に基づく高齢者虐待事案への適切な対応について(例規通達)

平成29年1月13日
鳥生企例規第1号外
 高齢者の尊厳の保持にとって高齢者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等に鑑み、高齢者虐待の防止、養護者の支援等に関する施策を促進し、もって高齢者の権利利益を擁護するため、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号。以下「法」という。)に基づく高齢者虐待事案への適切な対応に係る留意事項を下記のとおり定め、平成29年1月13日から施行することとしたので、誤りのないようにされたい。

第1 認知時における適切な対応
1 法第7条第1項においては、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかにこれを市町村に通報しなければならないこととされ、同条第2項では、同条第1項に定める場合のほか養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかにこれを市町村に通報するよう努めなければならないこととされている。また、法第21条第2項においては、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかにこれを市町村に通報しなければならないこととされ、同条第3項においては、同条第1項及び第2項に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかにこれを市町村に通報するよう努めなければならないこととされている。したがって、各警察署において、警察安全相談、高齢者を被害者とする事案等の捜査、急訴事案や保護の取扱い等の各種警察活動に際し、高齢者虐待事案を認知した場合は次により速やかに市町村等へ通報をすること。
(1) 通報先
 市町村の高齢者福祉高齢者虐待担当課又は地域包括支援センター
(2) 通報対象となる事案
 原則として、警察が認知した全ての高齢者虐待事案が対象となる。
 なお、次のような場合にも通報対象となるので、留意すること。
ア 虐待行為があったことの明確な裏付けができない場合
 通報は、「高齢者虐待を受けたと思われる高齢者」について行うものであるので、虐待行為を裏付ける具体的な証拠がない場合であっても、被害高齢者や関係者の申出内容等から判断して警察が高齢者虐待が行われた可能性があると判断できる事案であれば、通報をすること。
イ 加害者が養護者に該当するか判明しない場合
 加害者を特定していても、当該加害者が被害高齢者の養護者に当たるかどうかの判断については警察では困難な場合もあり得る。このような事案については、加害者が被害高齢者と同居している場合には、高齢者虐待事案とみなして市町村に通報をすること。また、加害者が親族である場合には、当該加害者が養護者に当たらないときも、高齢者虐待事案の早期発見・早期対応の観点から、市町村に通報をすること(例えば、同居していない親族による事案や同居している孫による事案などが考えられる。)。
ウ 認知症に起因する被害妄想が疑われる場合
 認知症が疑われる高齢者から虐待を受けているとの申出があった場合についても、警察において被害高齢者が認知症であるか否かの判断は困難であること及び仮に申出が認知症に起因する被害妄想によるものであると考えられる場合であっても市町村において福祉的な観点から必要な対応を行う場合もあるため、通報をすることとして差し支えない。
エ 配偶者からの暴力事案に該当する場合
 虐待行為が配偶者から行われた場合で、被害高齢者へ身体に対する暴力がなされているときは、高齢者虐待事案であるとともに、配偶者からの暴力事案にも該当する。このような事案については、高齢者虐待事案として市町村に通報するとともに、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律等の運用上の留意事項について(例規通達)」(平成26年3月7日付け鳥生企例規第13号)で定める配偶者からの暴力相談等対応票の作成等、配偶者からの暴力事案としての対応を行うこと。
 なお、被害高齢者から保護を求められた場合に、市町村と配偶者暴力相談支援センターのいずれに引き継ぐかは、被害高齢者の年齢、要望等を踏まえて、事案に応じて判断すること。
(3) 通報要領
 警察で認知した高齢者虐待事案については、警察署の生活安全(刑事)課に集約し、市町村に通報するものとする。
 通報は、原則として、高齢者虐待事案通報票(様式第1号)により行うものとし、急を要する場合には、電話により行うものとする。通報時点では詳細が判明していない事項については「不詳」と記載すれば足り、調査に時間を要することにより通報が遅れることのないようにすること。
 なお、高齢者虐待事案通報票の記載要領については、別紙を参照すること。
(4) 通報後の措置状況の把握
 通報した事案については、市町村における措置結果を連絡するよう依頼しておくこと。
 なお、通報後1か月を経過しても市町村から措置結果の連絡がない場合には、警察から市町村に対して状況を確認すること。
2 通報以外の措置
 高齢者虐待事案については、市町村に通報するほか、刑罰法令に抵触する場合は適切に事件化を図ることはもとより、刑罰法令に抵触しない場合であっても、事案に応じて加害者へ指導・警告するなど、警察として必要な措置を講ずること。
第2 警察署長に対する援助依頼への対応(法第12条関係)
1 制度の趣旨
 法第12条第1項においては、市町村長は、高齢者の住所又は居所への立入調査に際し、必要があると認めるときに警察署長の援助を求めることができることが規定されている。警察署長の行う援助とは、市町村長による職務執行が円滑に実施できるようにする目的で、警察が、警察法(昭和29年法律第162号)、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)等の法律により与えられている任務と権限に基づいて行う措置である。
 したがって、警察官は、市町村長の権限行使の補助者ではなく、調査業務そのものの補助を行うことは適当ではない。
2 援助の手続
 援助に当たっては、緊急の場合を除き、市町村長から高齢者虐待事案に係る援助依頼書(様式第2号)の提出を求めた上で、速やかに市町村長と事前協議を行い、対応の方法、役割分担等を検討した上で、事案に応じた適切な援助に努めること。事前協議の窓口は、警察署の生活安全(刑事)課において行うこととするが、実際の援助を行う要員については、必要に応じて他部門にも協力を求めること。
3 援助の要件
 警察が援助を行うこととされているのは、高齢者の生命又は身体の安全を確保するため必要と認めるときである(法第12条第3項)ので、援助の依頼があった場合には、市町村が行う法第9条第1項に規定する事実確認のための措置等の状況を確認し、その内容によって援助を行うか否かを判断すること。
 なお、援助の依頼を受理したが、援助を行わないものとした場合には、その理由や経緯等を記録しておくこと。
第3 その他
1 関係部門間の連携
 高齢者虐待事案への対応に当たっては、生活安全部門、刑事部門、地域部門、被害者対策担当部門等関係部門間で連携を密にすること。
2 関係機関等との連携
 市町村を始め、県関係部局や民生委員等関係機関・団体等との連携を強化し、被害高齢者の立場に立った的確な措置が講じられるようにすること。
 なお、地域包括支援センターによっては、高齢者虐待事案に関わる関係機関等を構成員とする高齢者虐待防止ネットワークを構築しているので、市町村又は地域包括支援センターから警察に対して高齢者虐待防止ネットワークへの参加依頼がなされた場合には、積極的に応じること。
3 指導、教養の徹底
 警察における高齢者虐待事案に対する適切な対応を推進するため、法の内容等について、集合教養、随時の教養、巡回教養等あらゆる機会を活用して警察職員に広く指導、教養を行うこと。
別紙、様式 省略
  

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