雑踏警備実施要領の制定について(例規通達)

平成14年7月9日
鳥地例規第3号
改正  平成26年鳥地例規第6号
 
対号 昭和52年7月16日付け鳥勤例規第8号 雑踏警備について(例規通達)

 雑踏警備については、対号例規通達により実施してきたところであるが、制定後長期間を経過し、実情にそぐわない部分が生じてきたこと等により、新たにみだしの要領を制定し、平成14年7月10日から施行することとしたので、運用上誤りのないようにされたい。
 なお、対号例規通達は、平成14年7月9日限り廃止する。
別添
   雑踏警備実施要領
第1 目的
 この要領は、警察法第2条第1項及び警備実施要則(昭和38年国家公安委員規則第3号)を根拠法令として、鳥取県警察における雑踏事故防止対策を的確かつ効果的に実施するために必要な事項を定めることを目的とする。
第2 雑踏警備の意義
 雑踏警備とは、祭礼、花火大会、興行、競技、その他の行事の開催により、特定の場所に不特定多数の人々が一時的に集まること(以下「雑踏」という。)により、事故若しくは混乱等が発生し、又はその発生するおそれがある場合において、主として部隊活動により事故又は紛争等を防止するために行う混雑緩和、犯罪の予防、交通規制等の諸活動をいう。
第3 群集心理に対する理解
 雑踏警備実施に当たる者は、雑踏事故が群集心理に大きく影響し発生することを理解しておくことが肝要である。
 この群集心理とは、個々人が共通の関心や興味の対象として集合し群集となった場合に生じる軽薄性、無責任性、興奮性等の心理状態であって、そこには個人の役割や組織 性はなく、また匿名性があるが故に理性が低下しやすいため、異常な雰囲気に巻き込まれると、その場の混乱や無秩序が重なりあつて、不測の雑踏事故が発生するものである。
第4 雑踏事故防止に関する基本的な考え方
 一般的に雑踏事故防止に係る行事等の主催者及び警察の責務は、次のとおりである。
1 主催者の責務
 主催者は、行事等の開催により雑踏を生じさせる原因者として、自主警備を実施すべきであり、雑踏の影響が及ぶと認められる範囲については、会場内だけでなく会場外においても、また、そこが公道であるか否かを問わず、必要な事故防止対策を講じることにより、雑踏事故の未然防止を図るべきものである。
2 警察の責務
 警察は、警察法第2条に定められた責務を果たすため、主催者に対して必要な指導を行うとともに、警察部隊の投入が必要と判断される場合には、事前実査等の必要な措置を行った上、雑踏警備計画を作成し、当日には主催者等と連携して必要な事故防止対策を講じることにより、雑踏事故の未然防止を図るべきものである。
第5 雑踏事故防止に関する指導体制の確立
1  警察本部による指導
 生活安全部地域課長(以下「地域課長」という。)は、警察署が実施する雑踏警備について、次の事項を事前に把握し、指導を行うこと。
(1) 雑踏警備の実施予定
(2) 主催者に対する事前指導の内容
(3) 雑踏警備実施計画の内容
2 雑踏警備実施指導官の指定
 地域課長は、地域課次席の職にある者を雑踏警備実施指導官に指定し、次の任務を行わせること。
(1)  雑踏事故防止に関する平素の措置
ア  過去の雑踏警備実施における問題点等の分析
イ 前記分析結果を踏まえた警察署に対する指導
ウ 自治体等関係機関との連携(前記分析結果の提供、指導等)
エ 警備業主管課である生活安全部生活安全企画課との連携
(2)  警察署に対する指導
ア 雑踏警備実施に関する実施計画の策定、部隊員の配置運用、主催者への事前指導等に関する指導
イ 雑踏警備実施主任者及び雑踏警備に従事する警察官に対する指導・教養
3 雑踏警備実施主任者の指定
 警察署長は、雑踏警備を担当する警部補以上の階級にある警察官1名を雑踏警備実施主任者に指定し、次の任務を行わせること。
(1)  雑踏事故防止に関する平素の措置
ア 過去の雑踏警備実施における問題点等の分析
イ 行事等が行われることが予想される施設の管理者等との連携(平素の指導、開催予定の行事等に関する指導等)
(2)  実施計画の企画・立案
(3)  実地調査の実施
(4)  主催者への事前指導に関する窓口的業務
(5)  雑踏警備に従事する警察官に対する指導・教養
第6  雑踏警備実施上の留意事項
 雑踏警備に当たっては、別表を参考とし、次により実施すること。
1 事前の措置 
(1)  主催者に対する事前指導の徹底
ア 主催者に対しては、次の事項について、その理解が得られるよう必要な指導に努めること。
(ア) 主催者は、会場等の安全許容人数を把握の上、迂回路、避難場所及び立入り・停滞等の禁止区域の設定、警備員の配置、広報手段等について、雑踏事故を防止し得る警備計画を作成すること。
(イ) 主催者は、十分な警備員を配置して動線の安全を確立すること。特に、参集者が過密となった場合には、迂回路の誘導体制及び分断規制による警備体制を確立できるよう十分な警備員を配置すること。
(ウ) 主催者は、当日の警備員の配置状況並びに誘導及び規制に必要な資機材の活用状況について、計画どおり実施されているかを確認すること。また雑踏警備の当日、天候の変化等の事情により警備計画を変更する場合には、その変更どおり実施されているかを確認すること。
(エ) 主催者は、当日、警備員を運用して、参集者の動向及び群集密度を的確に把握した上、拡声器、案内看板、ロープ等の資機材を活用して、無秩序な人の往来や滞留を防止すること。また、参集者が過密となった場合、警備員をして、参集者の分断、進入規制、迂回路等適切な措置を執り、参集者の圧力を緩和させて雑踏事故の発生を未然に防止すること。
イ 行事等の開催計画自体の早期把握に努め、主催者が適正な警備計画を作成するよう指導を行うこと。
ウ 主催者が作成した警備計画については、事故防止の見地から十分な検討を加え、その計画に不備な点がある場合は、是正を指導し、警察の指導事項を確実に遵守させるように努めること。
(2) 実地調査
ア 雑踏警備は、年ごとに条件や事情に変化が生じていることを前提として、その都度、新たな感覚又は視点で実地調査を行うこと。 
イ 実地調査に当たっては、次の事項を中心に綿密に調査を行い、事件・事故等の原因となる事象の発見及び危険の除去に努めること。
(ア) 現場及び付近の地形・地物、現場周辺の交通機関、交通量、道路の幅員及び照明設備並びに気象の状況
(イ) 建物又は施設の構造及び周辺の状況、特に収容能力、非常口、避難路及び避難場所
(ウ) 警備本部の設置及び部隊員の配置に適切な地点
ウ 実地調査は、主催者と合同で行うように努め、主催者の安全措置及び警備措置を点検し、主催者に対して不備な点を是正するよう指導すること。
(3) 関係機関との協力体制の確保
 主催者と連携の上、消防機関、輸送機関その他の関係機関との協力体制を確保すること。
(4) 雑踏警備実施計画の策定
 雑踏警備実施計画については、次の事項に留意の上、策定すること。
ア  行事等の内容、性格、規模等を勘案して、警察部隊の投入が必要と判断される場合には、あらかじめ実施計画を策定すること。
イ 実施計画は、実地調査の結果を踏まえ、部隊の配置、指揮命令系統、主催者等との連絡体制、装備資機材の配備、突発事案発生時の措置要領等について、周到かつ適切なものとすること。
ウ 実施計画の策定に当たっては、行事の内容、人出予想、地形・地物、交通の状況、主催者の警備体制、予想突発事案等を総合的に判断し、かつ、過去の教訓等を十分活用すること。
エ 部隊の配置に当たっては、著しい雑踏が予想される場所又は人の転倒しやすい場所等、雑踏による事故の発生の危険性が高い場所を重点とすること。また、部隊員個々に具体的な任務を付与し、現場の状況に応じて弾力的に配備を強化すること。
(5) 交通規制
 雑踏事故の発生が予想されるときは、予想される人出に応じて、合理的な整理対策を樹立し、必要範囲の車両の通行禁止又は制限その他の交通規制を行うとともに、一般車両等に対する事前広報を徹底すること。
(6) 広報活動
 会場及びその周辺における広報活動は、特に、危険な事態が発生し又は発生のおそれがある場合において、主催者と協力して実施し、不穏な群集心理の発現を未然に防止し、併せて事故防止上の注意を喚起すること。
2  雑踏事故発生時の措置
(1) 雑踏警備に際しては、事前に主催者と連携して常時かつ組織的に参集者の動向及び雑踏密度を把握し、危険な事態が発生した場合は、直ちに必要な措置を講ずることができるようにしておくこと。  
(2) 参集者が過密となるなど雑踏事故が具体的に予想される場合においては、部隊を指揮して、参集者の分断、誘導、進入禁止等の措置により、参集者の圧力を緩和させて、雑踏事故の発生を防止すること。また、秩序を乱す者については、主催者に対し必要な措置を執らせるほか、その事態に応じ、指導、警告、制止等の事故防止の措置を執ること。
(3) 具体的に危険な事態が発生した場合は、的確な部隊運用、広報、交通規制等の措置により、その拡大防止を図るとともに、負傷者を救護し、事態の早期収拾に当たるほか、次の事項に配意すること。
ア  部隊運用に際しては、直ちに警察力を集中させ、迅速かつ適切な現場措置を講じること。
イ  広報に際しては、混乱の制止と人心の安定を図るため、主催者と連携して、速やかに状況を周知し、事故の拡大防止に対する協力を得るよう努めること。
3 警察署幹部の心構え
(1)  主催者に対する指導内容及び実地調査の結果を把握の上、警備要点を見極め、実施計画に反映させるとともに、雑踏警備当日は、警備本部において、組織的に情報を集約し、一元的な指揮を執り、部隊を的確に運用することにより、雑踏事故の未然防止に当たること。
(2)  部隊員に対しては、個々の任務を具体的に指示するとともに、群集心理の特性、受傷事故の防止等に関する教養を行い、活動要領及び関係法令の周知徹底を図ること。
第7 風評等により突発的に生ずる滞留・混乱事案への対応
 雑踏事故については、特定の行事等ではなく偶発的又は意図的な風評等により、予想外の形態や場所で突発的に群衆の滞留や混乱が生じる場合もあるところ、次の事項にも留意すること。
1 事案の防止に向けた対応
 特に多数の歩行者等が滞留し混雑することが常態となっている箇所については、この種の事案の発生を想定し、必要と認められる場合には、付近の商店主等の関係者や自治体等に対し、次の事項について働きかけを行うこと。
(1) 事案発生の懸念が生じた場合の措置
ア 警察への速やかな通報の実施
イ  拡声器等の放送設備を利用した管理者等による群衆への正確な情報提供、注意喚起
ウ  上記の放送設備を利用した警察による広報への協力
(2) 要所における拡声器等の放送設備及びカメラの設置
2 事案発生時における対応
(1) 通信指令課等における的確な対応
 突発的な滞留・混乱事案の場合は、近接した場所から、短時間集中的に110番通報が入電することが予想される。こうした場合においては、群衆の滞留・混乱等の特異な状況が生じている可能性があることを念頭に置き、通報内容に応じ、地域、刑事、交通、警備等関係部門との連携に留意しつつ、状況の把握、態勢の確保、消防への通報その他安全確保のための措置の実施について、直ちに必要な指令を行うこと。              
(2) 体制の確保
 事案の把握のため、現場周辺の交番勤務員、パトカー等を直ちに現場へ派遣するほか、幹部の指揮の下、必要な体制及び装備資機材を確保するとともに的確な任務付与を行い、現場の状況に応じた必要な措置を執ること。
(3) 交通規制の実施
 事案の状況を踏まえ、安全を確保する上で必要な範囲にわたる車両の通行禁止又は制限その他の交通規制を速やかに行うこと。
第8 報告
1  雑踏警備実施主任者を指定した場合は、その都度様式第1号により報告すること。また、変更した場合も同様とする。
2  雑踏警備を要する行事等については、雑踏警備実施計画のほか、次の事項について、各様式により速やかに報告すること。
(1) 雑踏警備実施予定(様式第2号)
(2)  主催者に対する事前指導の内容及び実施結果(様式第3号)
(3) 雑踏警備実施結果(様式第4号)
3 雑踏事故が発生した場合は、雑踏事故の概要、対策、事案の見通し等を早急に集約した上、速報すること。

別表及び様式 省略
  

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000