身体犯被害者等に係る医療費等の公費支出運用要領の制定について(例規通達)

身体犯被害者等に係る医療費等の公費支出運用要領の制定について(例規通達)

平成23年8月2日
鳥捜一例規第6号
 改正 平成25年鳥捜一例規第1号外、27年鳥務例規第2号、29年鳥刑企例規第5号、31年鳥県民例規第1号外、令和元年鳥県民例規第2号外、令和2年鳥捜一例規第2号外、令和2年鳥務例規第13号、令和3年鳥県民例規大5号外、令和5年鳥刑企例規第2号

 この度、身体犯被害者等に係る医療費等について、身体犯被害者の初診料、性犯罪被害者の初回処置料及び人工妊娠中絶費用を全額公費支出することとし、別添のとおり「身体犯被害者等に係る医療費等の公費支出運用要領」を制定し、平成23年8月2日から施行することとしたので、運用上留意されたい。

別添
   身体犯被害者等に係る医療費等の公費支出運用要領
1 趣旨
  この要領は、被害者(身体犯被害者及び性犯罪被害者をいう。以下同じ。)の経済的、精神的負担の軽減を図るため、被害者が犯罪被害により負担する経費(以下「医療費等」という。)の一部を公費支出(以下「支出」という。)することについて必要な事項を定めるものとする。
2 支出の可能な経費
  警察署長(以下「署長」という。)が必要と求める医療費等のうち、支出が可能なもの(以下「支出対象経費」という。)は、次に掲げるとおりとする。
 ア 身体犯被害者

 (ア)診断書料

 (イ)初診料

    初回診察時の診察料(時間外等加算料を含む。)とする。

 イ 性犯罪被害者

 (ア)診断書料

 (イ)診察料

    初回診察時の診察料(時間外等加算料を含む。)とする。

 (ウ)初回処置料

    初回診察時における鑑定資料採取、膣・肛門等の洗浄、尿検査および超音波検査に要する並びに致傷に伴う処置料及び投薬料とする。

 (エ)緊急避妊措置費用

    緊急避妊措置に要する費用とする。

 (オ)性感染症検査費用(再診料を含む。)

    HIV(エイズ)、B型肝炎、クラミジア、トリコモナス、カンジダ、淋病、梅毒その他の性的接触により感染するおそれのある傷病の検査に要する費用とする。

 (カ)人口妊娠中絶費用

    手術費及びその手術に伴う入院費用とする。
3 支出対象犯罪
 (1) 次に掲げる身体犯の事件のうち、署長が医療機関の診察を必要と認めるもの
  ア 殺人未遂罪
  イ 強盗致傷罪(未遂を含む。)
  ウ 逮捕等致傷罪
  エ 傷害罪
  オ アからエまでの罪以外で、人の致傷を結果とする結果的加重犯(過失を除く。)
 (2) 次に掲げる性犯罪のうち、署長が医療機関の診察を必要と認めるもの
  ア 不同意わいせつ罪及び同致傷罪(未遂を含む。)
  イ 不同意性交等罪及び同致傷罪(未遂を含む。)
  ウ 監護者わいせつ罪及び同致傷罪(未遂を含む。)
  エ 監護者性交等罪及び同致傷罪(未遂を含む。)
  オ 強盗・不同意性交等罪(未遂を含む。)
 (3) その他事案の内容、被害者等の置かれた状況等を考慮し、署長が医療機関の診察を必要と認めるもの
4 支出対象者の認定
 (1) 警察署の事件捜査を担当する課長(以下「事件担当課長」という。)は、3に定める支出対象犯罪を認知した場合において、支出を適当と認めるときは、犯罪被害者公費認定申請書(様式第1号。以下「申請書」という。)により署長に上申するものとする。
 (2) 報告を受けた署長は、医療機関の診察等が必要と判断した場合は、医療費等の支出を認定するとともに、申請書の写しを捜査第一課長に送付するものとする。
5 支出手続
 (1) 署長は、支出対象者の認定を行った場合は、警察署会計課長に、速やかに支出手続を行わせるものとする。
 (2) 事件担当課長は、医療費等を支出することとなる医療機関の関係者に対して事前に本制度について説明するものとする。
 (3) 医療費等の支払は、原則として医療機関からの請求書(様式第2号。(3)及び(4)において「署長が指定する請求書」という。)により請求を受け、医療機関の指定し金融機関への口座振込により行うものとする。なお、当該医療機関は、署長が指定する請求書によらない書式で請求することができる。

 (4)被害者が既に医療費等を支払っていた場合は、被害者から医療機関が発行した領収書及び被害者等が作成した署長が指定する請求書(様式第2号)により請求を受け、被害者が指定した金融機関へ口座振込により行うものとする。この場合において、被害者が支払った医療費等に、支出対象経費以外の経費が含まれているときは、当該経費を除いた額を請求させるものとする。

 (5) 被害者の親権者又は後見人(以下「親権者等」という。)が医療費等を負担した場合においては、当該親権者等の指定した金融機関への口座振込により行うものとする。
6 支出の範囲
 (1) 支出対象経費については、保険診療による自己負担額にする。ただし、性犯罪被害者が保険診療による診察を望まないときは、性犯罪被害者が受けた診察の医療費等の自己負担額とする。

 (2)被害者の診断書料及び初診料は、一人につき1通(1回)分とする。ただし、負傷の部位により複数の医療機関で診察を要した場合は、それぞれの医療機関ごとに支出するものとする。
 (3) 性犯罪被害者の初回処置料及び性感染症検査費用は、一人につき1回分とする。ただし、負傷の部位により複数の医療機関で診察を要した場合は、それぞれの医療機関ごとに支出するものとする。

 (4) 性犯罪被害者の性感染症検査費用は、それぞれの検査について潜伏期間等を考慮して被害から一定の期間を置いて行う必要があることから、医師が必要と認めた検査に要する費用を支出するものとする。
 (5) 人工妊娠中絶費用の取扱いについては特段の慎重を期し、事前に捜査第一課長及び警務部広報県民課長と協議するものとする。
7 支出しないことができる場合
  次に掲げる場合には、費用を支出しないことができる。
  ア 被害者に虚偽申告の疑いがあるとき。
  イ 被害者が、支出の請求をしなかったとき。
  ウ その他支出することが社会通念上適切でないと認めるとき。
8 運用上の留意事項
 (1) 医療費等(性感染症検査費用を除く。)は、初回診察時の1回のみ支出が可能なことから、被害者に対して、本制度の趣旨を説明し、後日、紛議が生じないよう十分配意すること。
 (2) 被害者の心情等に配意して不用意な言動により、精神的被害等の二次的被害を与えることのないように対応すること。
 (3) 医療機関を受診する性犯罪被害者には、当該被害者が希望する性別の被害者支援担当者等を付き添わせるなど、性犯罪被害者の心情に配意したきめ細かな対応を図ること。

   (4) 性犯罪被害者が性感染症検査を希望する場合(初診時を除く。)、事件担当課長は、性犯罪被害者に対し、必ず事前に連絡するよう依頼するとともに、通常の診察時間内に受信するよう教示しておくこと。

   (5) 被害者が未成年の場合は、原則として保護者に対して本制度の趣旨等を説明した上で、支出手続を行うこと。 
 (6) 支出額については、消費税及び地方消費税を含む金額とすること。

様式 省略

  

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