鳥取県警察大規模災害対応業務継続計画の制定について(例規通達)

鳥取県警察大規模災害対応業務継続計画の制定について(例規通達)

平成24年6月28日
鳥務例規第13号外共発

改正 令和元年11月1日鳥務例規第7号、令和2年鳥務例規第5号

 昨年、東日本大震災が発生し、警察施設に多大な被害が発生するなど、警察がその業務を継続する上で反省・教訓とすべき事項が見られたことを踏まえ、今後、発生が危惧される大規模災害に係る業務継続性の確保に関する再点検を行い、この度、別添「鳥取県警察大規模災害対応業務継続計画」を新たに制定し、平成24年7月1日から施行することとしたので、運用上誤りのないようにするとともに、各警察署長にあっては本計画を参考とし、早期に各警察署の実情に応じた業務継続計画を策定されたい。
 なお、情報通信部長にあっては協力をお願いする。

別添
   鳥取県警察大規模災害対応業務継続計画
第1 総則
 1 総則
 (1) 目的
    この計画は、鳥取県内で大規模災害が発生した場合において、鳥取県公安委員会(以下「公安委員会」という。)及び鳥取県警察が各種の業務阻害要因に適切に対処しつつ、優先的に継続する業務及び治安の確保に必要な業務を的確に継続していくために必要な事項を定めることを目的とする。
 (2) 実施方針等
    この計画の実施に当たっては、警察本部の各部門及び各警察署が相互に連携し、大規模災害発生時における治安の確保に万全を期するとともに、知事部局等関係機関と積極的に連携し、業務を推進する。また、業務の実施状況等については、時期を逸することなく公安委員会に報告し、所要の指導等を受けるとともに、公安委員会を的確に補佐し、その権限に属する事務の迅速かつ適切な実施に努める。
 (3) 公表・周知
    この計画は、大規模災害発生時における警察業務に対する県民の理解を得るため、鳥取県警察ホームページにより公表する。
 (4) 教育・訓練
    職員に対しては、この計画について周知徹底し、大規模災害発生時を想定した定期的な教育・訓練を行う。
 (5) 点検・改善
    鳥取県警察災害警備計画(「鳥取県警察災害警備計画の制定について(例規通達)」(平成24年6月28日付け鳥備二例規第3号)別添をいう。以下「災害警備計画」という。)等が改正された場合のほか、この計画の問題点が明らかになった場合には、必要に応じて修正を行う。
 2 想定する大規模災害
   この計画において想定する大規模災害は、災害警備計画第1の2に定めるものをいう。
   なお、大規模災害の発生によりライフラインが途絶した場合の業務継続性を確保する必要があることから、警察本部庁舎等の機能が喪失した場合も想定すること。
第2 平素の措置
 1 実施体制
 (1) 体制
   ア 警察本部(警察学校を含む。) の各所属(以下「本部所属」という。) に業務継続実施責任者を置き、当該所属の長をもって充てる。業務継続実施責任者は、大規模災害発生時において、非常時優先業務(2(1)に定めるものをいう。以下同じ。)に人員を配分し、的確な業務継続を図る。
   イ 本部所属に業務継続実施副責任者を置き、当該所属の次席、副隊長又は副校長の職にある者( 本部所属の長があらかじめ指定する課長補佐の職にある者を含む。)をもって充てる。業務継続実施副責任者は、業務継続実施責任者を補佐し、業務継続実施責任者に事故があるときは、その業務を代行する。
 (2) 知事部局等関係機関との連携
    業務継続実施責任者は、大規模災害発生時において、警察庁及び中国四国管区警察局(以下「警察庁等」という。)との連絡及び調整を図るとともに、警察署において実施される大規模災害対応業務等に関し、必要な指示、指導等を行い、警察署の業務継続を支援する。また、知事部局等関係機関との連携を強化し、必要な業務を推進する。
 2 業務の分類
   業務継続実施責任者は、大規模災害の発生に備え、所掌する業務をあらかじめ次の区分により分類する。
   なお、業務継続実施責任者は、大規模災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、非常時優先業務の実施に必要な人員・物的資源を確保するため、その他の通常業務は、積極的に休止し、又は非常時優先業務に影響を及ぼさない範囲で実施する。
 (1) 非常時優先業務
   ア 災害応急対策業務
     災害応急対策業務は、災害警備計画で定める業務のうち、次に掲げるものとする。
   (ア) 災害警備本部等の設置
   (イ) 職員の招集、職員等の安否確認
   (ウ) 警察庁等との連絡体制の確立
   (エ) 被災地警察署の支援
   (オ) 警察施設の被害調査、応急修理
   (カ) 被留置者の避難措置、留置管理対策
   (キ) 広域交通規制、緊急交通路・う回路の確保
   (ク) 被災地における生活安全対策
   (ケ) 行方不明者情報の収集・整理等
   (コ) 検視、医療機関との連絡調整
   (サ) 通信の確保、応急復旧
   (シ) その他災害応急対策業務として必要と認める業務
  イ 要継続業務
    要継続業務は、通信指令、犯罪の捜査・鑑識、警衛・警護、重要防護施設の警戒、留置管理業務等個人の生命、身体及び財産並びに公共の安全と秩序の維持に必要な業務であって、電力・通信等のライフライン及び公共交通機関の途絶、職員及びその家族の被災等人員・物的資源に制約がある状況下においても、災害応急対策業務と並行して継続する必要性の高い通常業務及び対応の長期化を考慮し、組織の維持に必要最低限求められるものとする。
 (2) その他の通常業務
    その他の通常業務は、非常時優先業務以外の業務とする。
 (3) 非常時優先業務及び人員計画
    非常時優先業務の運用に当たっては、大規模災害発生時に執務可能な人員を考慮し、非常時優先業務の中でも優先順位を付して業務継続を図る。また、業務継続実施責任者は、業務の分類を踏まえ、あらかじめ大規模災害の発生に際し、この計画が有効に機能するよう所属及び係単位で必要となる人員を把握するとともに、非常時優先業務に配分できる人員を把握し、人員計画を作成する。
 (4) 職務代行者の選定
    被災等により幹部が欠けた場合に備え、あらかじめ職務代行者を定める。
 3 備蓄・情報通信の確保等
 (1) 備蓄等
    業務継続実施責任者は、大規模災害発生時に物資が不足することに備え、非常時優先業務の実施に必要な食料、飲料水、燃料、電池、事務用物資等を3日程度支給できるよう適切な備蓄・管理を図る。
 (2) 情報通信の確保
    平素から災害に強い警察通信施設の整備・維持管理及び応急用通信資機材の確保等に努めるとともに、大規模災害発生時においては、災害警備に必要な通信を確保し、警察通信施設の機能に障害が生じた場合には、重要度・優先度に応じた機能の回復を図るものとする。また、情報システムを適切に運用するため、バックアップサーバの整備を進める等障害復旧のための対処体制を確立する。
 (3) 電源の確保
    電源供給の停止に備え、十分な期間の発電が可能となるよう燃料を備蓄して非常用電源を確保するとともに、非常用電源コンセントの位置を明確にする。
 4 職場における被害軽減対策
 (1) 業務継続実施責任者の任務
    業務継続実施責任者は、大規模災害発生時における職員の負傷等の被害をできる限り防止するため、職員に対する教養を実施するほか、職場環境の整備を指示する。
 (2) じゅう器転倒防止等職場環境の整備
    業務継続実施責任者は、地震の発生に備え、執務室内のキャビネット、ロッカー、テレビ、プリンタ等の転倒及び落下を防止するための措置を執る。また、資料等の散逸防止を図るため、キャビネット、ロッカー等の施錠に努める。
 5 代替施設の整備
 (1) 代替施設
    地震に伴う火災の発生等により、警察本部庁舎等が使用不能となった場合の機能移転先となるバックアップ施設や当該施設までの移動手段の多重化を図る。
 (2) 備蓄・情報通信の確保等
    機能移転先となるバックアップ施設について、平素から備蓄食料等の確保や通信施設の整備、情報システムの機能の確保、電源の確保等の整備を進める。
第3 大規模災害発生時の措置
 1 安否確認
 (1) 職員等の安否確認
    業務継続実施責任者は、大規模災害発生時において、職員及びその家族の安否を確認する。
 (2) 安否確認の方策
    職員は、大規模災害発生時において、その家族の安否を確認し、自身及び家族の安否について、業務継続実施責任者に報告する。
    業務継続実施責任者は、職員及びその家族の安否に関する情報を集約し、災害警備計画に定める災害警備本部等に報告する。
    大規模災害発生後は、電話による通話が困難になる可能性が高いことから、安否の確認及びその報告は、携帯電話の電子メールや災害伝言ダイヤル等を活用するなど、職員の安否の確認手段の複線化を図る。
 2 業務継続のための執務体制の確立
 (1) 招集等
    職員(会計年度任用職員及び臨時的任用職員を除く。以下この項において同じ。)は、執務時間の内外を問わず、県内における震度5強以上の地震の発生又は津波警報の発表を認知したときは非常参集する。ただし、交通の途絶その他の理由により自所属に参集できないときは、最寄りの警察署(交番、駐在所を含む。)に参集し、その旨を所属長に報告するとともに、自所属への参集が可能になるまでの間、当該警察署の署長の指揮下に入る。
 (2) 参集上の留意事項
    地震、津波等により家族の被災又は近隣からの救助要請等切迫した状況に遭遇した職員は、速やかに応急救護措置を講じた後、非常参集し、非常時優先業務を実施する。
 3 執務体制
 (1) 業務継続計画の実施等
    県内又は県外において大規模災害が発生し、災害警備計画に定める非常災害警備本部、特別災害警備本部又は災害支援本部が設置された場合には、この計画に基づき、速やかに第2の2(3)により作成した人員計画に定める体制等に移行する。
    業務継続実施責任者は、職員や警察施設の被災状況、被害の進展に応じ、この計画に基づき人員体制等を変更する。その際、業務継続実施責任者は、業務遂行上生じた問題等について情報を集約し、所属において、又は関係所属と必要な調整を行う。
 (2) 指揮命令系統の明確化
    法令等により権限と責任を付与された者が、被災等により参集が困難となった場合には、鳥取県警察の処務に関する訓令(昭和49年鳥取県警察本部訓令第5号)第10条の規定に基づき代決を行う。
 4 業務継続のための執務環境の整備
 (1) 庁舎機能の確保等
    警察本部庁舎等が損壊する等した場合には、入庁者に対し避難誘導等の措置を執るとともに、各種業務を継続するために必要な庁舎内施設の利用制限を行う。また、一般来訪者の入庁を制限する。
 (2) 負傷者への対応
    平素から応急救護に必要な救護用品を確保するとともに、他県からの物流を始めとする緊急支援体制を確立する。また、応急救護措置の対応ができる医療機関の把握に努める。
第4 警察本部機能の移転
  警察本部長(以下「本部長」という。)は、警察本部庁舎の安全が確保されていない場合等当該庁舎を使用することが適当でないと認める場合は、災害警備本部等を速やかに代替施設に指定し、警察本部の機能を移転する。
第5 通常体制への復帰
  本部長は、事態の推移に応じ、通常体制への復帰を決定する。

  

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