鳥取県の夏大根産地として知られる若桜町と八頭町にまたがる広留野(ひろどめの)。

標高800メートルで収穫される特産品「広留野大根」は、コクのある辛さと甘さがほどよく調和した味わいが特長だ。
漬物や煮物はもちろん、地元の人は「おろしただけでもよその夏大根と勝負できる」といい、自慢の味に胸を張る。
夏大根は8月上旬から出荷が始まっており、今が旬。
佃(つくだ)煮(に)は家庭の食卓にのぼるシンプルな料理で、素材が持つ味と食感が好まれる。
「広留野大根でつくる佃煮は特においしい」と話すのは、食文化の発信拠点として地元特産品づくりに取り組む「若桜味工房」(同町若桜)のスタッフ、青木弥生さん。
事前に切った大根を塩で一晩水気を減らし、出来上がった後、数時間置いて味をしみ込ませることも大切。
「調理時間は短いけれど、所要時間は半日かかる」と、おいしく仕上げる秘けつを紹介してくれた。
食感が損なわれるので煮すぎには注意。
完成した佃煮は漬物とは違うカリカリとした歯応えで、“主役”を引き立たせるショウガ、梅と相まってご飯がすすむ。
冷蔵庫で1カ月、冷凍なら1年保存可能。
煮汁は魚の煮付けとしても活用できるという。
青木さんは「簡単に出来るので、多くの方に旬の素材を堪能してもらいたい」と呼び掛けていた。