配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律等の運用上の留意事項について(例規通達)

平成26年3月7日
鳥生企例規第13号
改正 平成28年鳥生企例規第25号、平成29年鳥生企例規第12号、令和2年鳥務例規第3号

対号 平成20年1月8日付け鳥生企例規第1号 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の施行に伴う適正な対応について(例規通達)
 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号。以下「法」という。)の解釈及び運用については、対号例規通達により実施してきたところであるが、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第72号)の施行に伴い、法の解釈及び運用上の留意事項を下記のとおり定め、平成26年3月10日から施行することとしたので、運用上誤りのないようにされたい。
 なお、対号例規通達は、平成26年3月9日限り廃止する。
第1 基本的な考え方
 配偶者からの暴力等事案を含む、恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案の特徴は、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが大きいことに加えて、加害者の被害者に対する執着心や支配意識が非常に強いところにある。したがって、この種事案への対応に当たっては、例えば、事案の危険性・切迫性を判断して検挙措置等による加害行為の防止を積極的に検討するとともに、被害者、その親族等(以下「被害者等」という。)を速やかに安全な場所へ避難させるなど、被害者等の安全確保を最優先に考えて対応すること。
第2 定義(法第1条関係)
1 配偶者
 配偶者とは、婚姻の届出をした夫婦(いわゆる法律婚の夫婦)の一方から見た相手方をいう。法における「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。
2 配偶者からの暴力
 「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。「身体に対する暴力」とは、身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいい、「これ(身体に対する暴力)に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」とは、身体に対する暴力に当たらない、いわゆる精神的暴力又は性的暴力をいう。
 「配偶者からの暴力」には、配偶者からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が離婚をした(又はその婚姻が取り消された)場合に、離婚後も引き続き元配偶者から受ける身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を含む。
 この「離婚」には、事実婚の者が事実上離婚したと同様の事情に入ることを含む。
3 生活の本拠を共にする交際をする関係にある相手からの暴力への準用
 法の規定は、法第28条の2の規定において、生活の本拠を共にする交際をする関係にある相手からの暴力及び当該暴力を受けた者について準用するとされており、「配偶者からの暴力」は「第28条の2に規定する関係にある相手からの暴力」と、「配偶者」は「第28条の2に規定する関係にある相手」と読み替えることとされている(第14参照)。
第3 警察官による被害の防止(法第8条関係)
 本条では、警察官が配偶者からの暴力を認めたときは、警察法(昭和29年法律第162号)、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)その他の法令に基づき、暴力の制止、被害者の保護等被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるよう努めることが規定されている。これは警察官として適切な措置を講じることを確認する趣旨と解される。
 なお、本条及び法第8条の2の規定における「配偶者からの暴力」は、法第6条第1項の規定により、配偶者又は配偶者であった者からの身体に対する暴力に限られている。これは、精神的暴力や性的暴力は犯罪に該当しない行為を幅広く含むものであるため、警察がこれに実効ある措置を執ることは困難であり、他方、警察による配偶者間の問題に対する過度の関与となり、その職務の範囲を超えるおそれがあると考えられたためである。
 措置に当たっては、検挙、防犯指導、関係機関・団体等の紹介、相手方への指導警告その他の事案に応じた適切な措置を講ずること。
第4 警察本部長等の援助(法第8条の2関係)
1 趣旨
 警察本部長又は警察署長(以下「警察本部長等」という。)は、配偶者からの暴力(身体に対する暴力に限る。)を受けている者から、被害を自ら防止するための援助を受けたい旨の申出があり、その申出を相当と認めるときは、配偶者からの暴力による被害を自ら防止するための警察本部長等による援助に関する規則(平成16年国家公安委員会規則第18号。以下「規則」という。)で定めるところにより、被害の発生を防止するために必要な援助を行うこととされている。
 これは、配偶者からの暴力が夫婦や家庭内の問題であることから、被害者から援助の申出があり、かつ、当該申出が配偶者からの暴力を防止するために相当と認められるときに限り、必要な援助を行うこととしたものであり、この場合には、警察に援助を行う義務があることが示されている。
2 援助の主体
 配偶者からの暴力事案についての援助を行う場合は、援助を受けたい旨の申出に基づくものとし、他の警察本部長等が援助を行うことがより適切であるときは、申出者の同意を得て、援助の実施を確実に引き継ぐこと。
 援助の申出以前に申出者からの相談等に対応したことのある警察本部又は警察署がある場合には、申出者が再度事情を説明しなくても済むよう、援助の申出を受けた警察本部又は警察署は、相談等に対応したことのある警察本部又は警察署から記録を取り寄せて事案の概要を把握した上で、援助を実施すること。また、援助の申出を受けた警察本部又は警察署が被害者に対し継続的な対応を行うことが困難な事情がある場合には、被害者の同意を得て、援助の実施を適切な警察本部又は警察署に引き継ぐこと。
3 援助の対象
 援助の対象は、身体に対する暴力に限られているところであるが、生命等に対する脅迫を受けた被害者についても保護命令を申し立てることができること(法第10条第1項)を踏まえ、生命等に対する脅迫を受けた者についても、この者から被害を自ら防止するための援助を受けたい旨の申出があり、その申出を相当と認めるときは、身体に対する暴力を受けている者に準じて、被害の発生を防止するために必要な援助を行うこと。
 一方、配偶者暴力相談支援センターの役割や保護命令制度の教示、一般的な防犯指導、防犯機器の教示又は貸出しなど警察として必要と認められる者に対し当然行うべき措置は、被害者からの申出を待って行うべきものではないので、法第8条の2の規定によらずに行うことができる。
4 援助の申出の相当性の判断
 法第8条の2の規定による援助は、その申出の内容が相当と認められるときに行うものであるから、相談時に聴取する場合は格別、相談を経ずに直接申出があった場合には、申出者から、配偶者からどのような暴力を受けているか、及び受けたい援助の内容は何かについて、援助申出書の提出を求める前に具体的に聴取しておく必要がある。
 なお、次のような場合は、援助を相当と認めるときに該当しない。したがって、例えば、「離婚の仲介をしてほしい」、「子どもの親権を自分に渡すように加害者を説得してほしい」、「加害者が親権を行使して子どもと面接する場所として警察施設を利用させてほしい」といった申出は、援助が相当とは認められない。
(1) 申出人が配偶者からの暴力を受けていると認められないとき。
(2) 申出に係る援助の内容が、規則で定めるものでないとき。
(3) 援助を受けようとする目的が配偶者からの暴力による被害を自ら防止するためのものでないとき。
5 援助申出書の提出(規則第2条関係)
 被害者から援助の申出があり、その申出に基づき援助を行うことが相当であると認めるときは、援助を実施することとなるが、被害者の申出内容等を確認し、その意思に基づくものであることを明らかにするために、援助申出書の提出を求めること。この場合において、被害の状況や援助を受けたい理由については、申出を相当と認めるか否かを判断する前に事前に聴取等をすることとなるので、援助申出書には記載を要しないものとされている。
6 援助の内容
(1) 被害を自ら防止するための措置の教示(規則第1条第1号関係)
 「避難その他の措置の教示」とは、被害防止のための具体的な措置を教示するものであり、その内容としては、事案の内容に応じて、次のようなものが考えられる。
 なお、これらの措置の教示は、口頭で行うだけでなく、リーフレット等の資料をあらかじめ作成しておき、それを交付して行うことが望ましい。
ア 避難をする際に、親族、友人、支援者、運送業者等を通じて避難先の場所が加害者に分かることのないようにしておくこと。
イ 避難している場合には、所在を知らせる者を必要最少限にするとともに、知らせた者に対しては加害者からの所在の問合せに応じないように依頼しておくこと。
ウ 子どもを連れて避難している場合には、学校等を通じて被害者の避難先が分かることのないようにしておくこと。
エ 刑事事件化に備えて、暴力があった日時、状況等の記録や診断書をとっておくこと。
オ ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号。以下「ストーカー規制法」という。)による法的措置を執る場合に備え、電話、電子メールの着信履歴やその内容を保管するなど、つきまとい等の状況を記録すること。
(2) 住所等を知られないようにするための措置(規則第1条第2号関係)
 「住所又は居所を知られないようにする」ための措置とは、住民基本台帳事務における支援措置の実施のための手続と、被害者に対する加害者からの行方不明者に係る届出(以下「行方不明者届」という。)がされた場合に加害者に被害者の住所又は居所を知らせないことが該当する。
ア 住民基本台帳事務における支援措置への対応
 加害者が住民票や戸籍の附票から被害者の転居先を追跡することを防止するため、住民基本台帳事務における支援措置の対象となると認められる事案の被害者に対しては、支援措置制度について教示し、当該被害者が支援措置を希望した場合は援助申出書の提出を求め、市区町村の窓口へ赴き、住民基本台帳事務における支援措置申出書(以下「支援措置申出書」という。)を提出するよう促し、その後当該市区町村から送付された支援措置申出書に意見を付して返送するなど、支援措置の実施のために必要な手続を速やかに行うこと。
イ 開示請求への対応
 支援措置申出書に限らず、法第8条の2の規定に基づく援助申出書、ストーカー規制法第7条第1項の規定に基づく援助申出書、相談記録簿等の住民基本台帳事務に関する文書について開示請求がなされた場合、当該文書の存在を回答すれば当該警察署管轄区域内に被害者等が居住することが推定され、加害者からの追跡を受けるおそれがあることから、当該文書の存否自体を回答しないこと。
ウ 行方不明者届への対応
 被害者からの援助の申出がされた際に、加害者から被害者に係る行方不明者届がされていない場合には、援助の申出を受けた警察本部又は警察署は、加害者の住所地を管轄する警察署、被害者の現在の所在地を管轄する警察署及び被害者の実家等加害者に所在を知られた最後の所在地であると被害者が思料する地を管轄する警察署に対して、援助の申出を受けていることを通知すること。その後、加害者が行方不明者届をしようとした場合において、被害者の生命及び身体の安全を確認しているときには、当該被害者は行方不明者発見活動に関する規則(平成21年国家公安委員会規則第13号。以下「行方不明者発見活動規則」という。)第2条第1項に規定する行方不明者に該当しないことから、行方不明者届を受理することはできない旨を加害者に対して説明し、以後、加害者からの当該被害者に係る行方不明者届を受理しないこととなる。
 被害者からの援助の申出がされた際に、既に加害者から被害者に係る行方不明者届を受理している場合には、当該行方不明者届についての登録及び手配を解除し、以後、加害者から当該被害者に係る行方不明者届を受理しないこと。 また、これらの措置について、加害者から説明を求められた場合には、行方不明者発見活動規則に規定する行方不明者に被害者が該当しない旨を説明すること。
 なお、加害者が被害者の追跡のために、被害者が同居している子に係る行方不明者届を出していることが判明したなどの場合も、同様の対応を行うこと。
エ 行方不明者を発見等した際の措置
 行方不明者発見活動規則第26条第2項の規定に基づき、発見した行方不明者が配偶者からの暴力を受けていた際は、当該行方不明者の同意がある場合を除き、届出人に対して通知をしないとされていることから、行方不明者を発見した場合は意思確認の上、適切な対応を行うこと。
(3) 被害防止交渉を円滑に行うための措置(規則第1条第3号関係)
 「被害防止交渉」とは、暴力を止めるよう加害者に誓約を求める交渉をいい、離婚や離婚に伴う子どもの親権等に関する話合いはこれに含まれない。
 警察が配偶者からの暴力事案に係る被害者の被害防止交渉を支援することとしたのは、特に同居中など交渉によって改善が期待できるような場合がみられることから、そのような場合に話合いを希望する被害者が安全な環境で交渉に臨むことができるようにするためのものである。
 被害防止交渉の支援については、配偶者暴力相談支援センターが行うことも想定されるが、警察による加害者の暴力抑止効果を期待して被害者が援助の申出を行っている場合には、暴力の防止の観点から警察が被害防止交渉の援助を行うものである。
 なお、被害防止交渉で合意した結果を加害者が遵守しないことも考えられることから、被害防止交渉に係る援助を行うときには、被害者に対して「再度被害が発生した場合には、直ちに警察に連絡すること」を教示するとともに、加害者に対して「身体に対する暴力は配偶者間であっても犯罪であること」をよく理解させておくこと。
ア 被害防止交渉に関する事項についての助言(規則第1条第3号イ関係)
 加害者と被害防止交渉を行おうとしている被害者に対して、助言を行うものである。助言の具体的な内容としては、次のようなものが考えられる。
(ア) 被害防止交渉を行う際には、第三者を立ち会わせること。
(イ) 被害防止交渉中に暴力的な言動があった場合には、直ちに当該交渉を中止すること。
(ウ) 被害防止交渉に当たっては、感情的にならず、伝えるべきことを簡潔に伝えること。
イ 加害者に対する必要な事項の連絡(規則第1条第3号ロ関係)
 加害者と被害防止交渉を行おうとしている被害者に代わって、被害防止交渉を行うために必要な事項を連絡することである。
 加害者に被害者の所在を秘匿する必要がある場合には、援助の申出を受けた警察本部又は警察署において直接加害者に連絡することにより、被害者の住所又は居所を加害者に推知されることのないようにすること。したがって、例えば加害者の住所地を管轄する警察本部又は警察署を通じて連絡を行うなどすること。
 具体的に加害者に対し連絡すべき必要な事項の内容としては、次のようなものが考えられる。
(ア) 被害者が被害防止交渉を行うことを求めていること。
(イ) 被害者の希望する交渉の日時、場所等
(ウ) 加害者からの連絡は、被害者に代わって警察が受けること。
(エ) 被害防止交渉時には、被害者に対して暴力的な言動を行わないこと。
ウ 警察施設の利用(規則第1条第3号ハ関係)
 被害防止交渉に当たって加害者が暴力を行った場合に、直ちに警察が対応することが可能であることから、被害者がこれにより安心できるようにするため、被害防止交渉を行う場所として警察署の会議室等の警察施設を提供し、利用させることである。この場合において、申出人が信頼できる第三者を同伴させて当該第三者を被害防止交渉に立ち会わせるものとすること。
(4) その他適当と認める援助(規則第1条第4号関係)
 被害者からの申出を相当と認めるときに行う援助は、規則第1条第1号から第3号までに掲げるもの以外にも、適当と認められる援助もあり得ると考えられることから設けられたものである。
7 留意事項
 配偶者からの暴力が行われた場合において、加害者がその被害者に対して、ストーカー規制法第7条に規定するストーカー行為等を行った場合には、同条の規定に基づく援助が可能であることに留意すること(第15参照)。また、第1を踏まえ、被害者等に危害が加えられる危険性、切迫性等に応じて、被害者による自主的な被害防止措置を助ける措置以外の援助措置についても積極的に講じること。
第5 関係機関との連携協力(法第9条関係)
1 実態把握及び連携体制の構築
 本条では、関係機関が被害者の保護に当たって相互に連携を図りながら協力するよう努めることが規定されている。
 市町村の設置する施設についても配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすよう努めるものとされていること(法第3条第2項)、就業の促進、住宅の確保、援護等に関する制度の利用等について、情報の提供、助言、関係機関との連絡調整等が配偶者暴力相談支援センターの業務として明記されていること(法第3条第3項)及び福祉事務所は生活保護法(昭和25年法律第144号)、児童福祉法(昭和22年法律第164号)、母子及び寡婦福祉法(昭和39年法律第129号)その他の法令の定めるところにより被害者の自立を支援するために必要な措置を講ずるよう努めるものとされていること(法第8条の3)から、管内のこれらの関係行政機関の実態を把握し、連携体制を構築すること。
2 適切な機関への円滑な引継ぎ
 配偶者からの暴力に含まれる身体に対する暴力に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動の被害に係る相談については、配偶者暴力相談支援センターで対応することが適当である(法第3条第3項第1号及び第2号)ことから、被害者からの事情聴取や調査の結果、身体に対する暴力が行われていないことが判明した場合には、配偶者暴力相談支援センターへ円滑に引き継ぐこと。また、被害者から支援を受けたい旨の申出を受けた場合において、その内容が住宅の確保、就労のあっせん等警察以外の機関で対応することが適切であると認められるときは、配偶者暴力相談支援センターや福祉事務所等他の適切な機関等に円滑に引き継ぐこと。
 他方、退去命令が発せられた加害者から退去先についての相談を受けた場合には、福祉事務所等と連携し円滑に引き継ぐこと。
 なお、このような関係機関に引継ぎを行う場合には、相談者等に対し、単に当該機関等の名称及び連絡先を教示するだけでなく、当該機関等に連絡して担当者名を確認し、当該担当者に面接させるなどにより、相談者等を確実に引き継ぐこと。
第6 苦情の適切かつ迅速な処理(法第9条の2関係)
 関係機関は、被害者の保護に係る職員の職務の執行に関して被害者から苦情の申出を受けたときは、適切かつ迅速にこれを処理するよう努めることとされている。
 警察の職務執行に対する苦情については、「鳥取県公安委員会に申し出られた苦情の取扱いに関する規則の解釈及び運用について(例規通達)」(平成18年7月28日付け鳥総例規第3号)において定める解釈及び運用により適切に処理すること。
第7 配偶者からの暴力に関する相談等の記録及び保管
1 相談等の記録
 保護命令に関する規定が適正かつ円滑に施行されるためには、警察職員に対し被害者が相談等を求めた際の状況及びこれに対して執られた措置の内容を、適切に記録し保管しておく必要がある。
 被害者から相談等を受けた場合には、法第14条第2項の規定に基づき、裁判所の求めに応じて提出する書面として記載する配偶者からの暴力相談等対応票(様式第1号。以下「対応票」という。)及び対応票に記載する事項以外の部内処理のために必要な事項を記載する配偶者からの暴力相談等記録票(部内処理用)(様式第2号。以下「記録票」という。)を作成すること。
 なお、対応票及び記録票(以下「対応票等」という。)の保存期間については、相談処理簿の保存期間に準ずるものとし、配偶者からの暴力相談等対応票索引(様式第3号)を付して一括保管すること。
2 受理及び記録の担当の在り方
 配偶者からの暴力に関する相談等(110番通報を除く。以下同じ。)については、その内容や相談等に至る経緯等から見て明らかに刑罰法令に抵触せず違法性が認められない場合、危険性・切迫性が認められない場合等を除き、原則として生活安全部門の担当者と刑事部門の捜査員が共同で聴取を行うこと。また、警察署において相談等により配偶者からの暴力事案等を認知した場合は、警察署長及び「人身安全関連事案に対処するための体制の確立について(例規通達)」(平成26年1月30日付け鳥生企例規第1号外共発)1(1)の本部対処体制に速報すること。
 相談等を受けた部署においては、責任を持って対応票等を作成すること。ただし、警察署において、生活安全(刑事)課以外の相談窓口が配偶者からの暴力に関して相談等を受けた場合には、生活安全(刑事)課からの助言を受けるなど、適切な記録化に配意すること。
 なお、配偶者からの暴力に関する110番通報を受理した場合、当該受理者は対応票を作成せず、緊急の事案であって現場臨場が必要なものについては現場臨場した部署において対応票を作成するものとし、その他の事案については相談窓口の電話番号を教示したりするなど、適切な対応を図ること。
3 対応票等の作成を要する場合
 警察職員は、申立人になり得る者とその配偶者間に関する問題について、その者から相談等を求められたと認められる場合は、全事案について対応票等の書面を作成すること。
 「相談等を求められたと認められる場合」には、被害届又は告訴・告発を受理した場合が含まれることがあると解されるため、これらの場合には対応票等を作成しなければならない。
4 記録の時期
 対応票は、相談等を受けた際、又は被害届等の受理後速やかに作成し、保管すること。
 数回にわたり相談等を受けた場合においては、それぞれの日時、場所等の情報が必要となるため、それぞれについて対応票を作成すること。
5 記録に関する留意事項
 被害者から相談等を受けて記録する際には、現場臨場により相談等を受けた場合でも、警察署等の適切な施設で行い、また、外から見えない相談室等で話を聞くなど、相談者の安全の確保及びプライバシー保護に十分に配慮して対応すること。
 なお、保護命令に係る裁判において、加害者は対応票を閲覧することが可能であるので、被害者等の安全確保に配意した適切な記載に努めること。
第8 裁判所への書面の提出(法第14条第2項関係)
1 趣旨
 保護命令の要件を判断するに当たり、被害者が申立書に配偶者暴力相談支援センター又は警察に対し、相談又は援助若しくは保護を求めた事実を記載した場合には、裁判所は配偶者暴力相談支援センターや警察における相談又は援助若しくは保護の状況について書面の提出を求めることが規定されている。
2 裁判所からの書面提出要求への回答等を担当する窓口
 相談又は援助若しくは保護の記録は、第7のとおり各取扱い部署において作成、管理し、裁判所から書面提出要求がされた場合には、速やかに当該部署において回答すること。
3 留意事項
 警察署が法第14条第2項の規定に基づき裁判所から書面の提出を求められた場合には、速やかに、生活安全部少年・人身安全対策課(以下「少年・人身安全対策課」という。)に連絡するなど、少年・人身安全対策課において対応票の記載内容、提出状況等について把握できるよう所要の措置を執ること。
第9 保護命令の通知(法第15条第3項関係)
1 援助の主体
 地方裁判所が保護命令を発したときは、その旨及び保護命令の内容を申立人の住所又は居所を管轄する警察本部長に対して通知することが規定されている。これは、法執行機関である警察が、発令主体である裁判所から保護命令を発した旨等について通知を受けておくことが法執行のために必要であることから規定されたものと解される。
2 保護命令の通知を受けた後の対応について
(1) 警察本部長及び申立人の住所等を管轄する警察署長の執るべき措置
ア 警察本部長の執るべき措置
(ア) 法第15条第3項の規定に基づく通知を受けた場合の措置
 警察本部長は、地方裁判所から法第15条第3項の規定に基づく通知を受けたときは、速やかに申立人と連絡を取り、申立人の住居、勤務先その他その通常所在する場所を把握し、当該場所を管轄する警察署長(以下「関係署長」という。)に対し、保護命令が発せられた旨及びその内容を連絡すること。
 なお、申立人の居所が他の都道府県の区域にあることが判明した場合にあっては、警察本部長は、申立人の居所を管轄する警察本部長にその後の措置を引き継ぎ、その旨を同項の規定に基づく通知を行った地方裁判所に対し、連絡すること。
(イ) 保護命令の効力の発生を確認した場合の措置
 警察本部長は、地方裁判所から保護命令の効力の発生について通知を受けるなどして保護命令の効力の発生を確認したときは、速やかに、関係署長に対し、その旨及び保護命令の効力が生じた日時を連絡すること。
(ウ) その他の保護命令に係る通知を受けた場合の措置
 警察本部長は、地方裁判所から法第15条第3項の規定に基づく通知及び保護命令の効力の発生についての通知以外の保護命令に係る通知を受けたときは、速やかに、関係署長に対し、その内容を連絡すること。
(エ) 保護命令に係る情報の確認体制の整備
 警察本部長は、警察官が保護命令違反事件の捜査のため保護命令の効力その他の保護命令に係る情報を迅速に確認することができるよう、当該情報を収集及び整理するとともに、警察本部の当直勤務員に必要な事項を周知徹底するなどして常時対応できる体制を整えること。
(オ) 留意事項
 保護命令の内容に法令違反がある場合は、民事訴訟法(平成8年法律第109号)第122条及び第256条の規定に基づき、裁判所は言渡し後1週間以内に限り、変更の判決をすることができるとされていることから、法令違反があると認めたときは直ちに裁判所に内容を確認するとともに、申立人に対して裁判所に内容を確認するよう助言すること。また、保護命令の内容に誤記その他これらに類する明白な誤りがあった場合は、同法第257条の規定に基づき、裁判所が申立て又は職権でいつでも更正決定をすることができることから、明白な誤りがあると認めたときは速やかに裁判所に内容を確認すること。
イ 申立人の住所等を管轄する警察署長の執るべき措置
 申立人の住所(居所がある場合にあっては居所)を管轄する警察署長は、申立人の意向を確認した上で申立人方(婦人保護施設等に保護されている場合にあっては、当該施設)を訪問させるなどして、次の事項を教示するものとする。
(ア) 配偶者暴力相談支援センターの利用に関する事項
(イ) 緊急時の警察に対する通報に関する事項
(ウ) 配偶者からの暴力に係る防犯上の留意事項
(2) 申立人の住居、勤務先その他その通常所在する場所が他の都道府県の区域に及ぶ場合の保護命令に係る通知の内容の連絡について
 申立人の住居、勤務先その他その通常所在する場所が他の都道府県の区域に及ぶ場合における警察本部長から関係署長に対する保護命令に係る通知の内容の連絡は、警察本部長が他の都道府県の区域を管轄する警察本部長を経由して行うものとする。
(3) 警察本部長及び関係署長の留意事項
ア 事案に応じた適切な措置
 保護命令が発せられる場合は、申立人が更なる配偶者からの暴力によりその生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きい状態にあるということに十分に留意し、連絡担当者が、保護命令に係る情報について関係都道府県警察の連絡担当者に周知するとともに、事案に応じて必要な措置を講ずること。
イ 相互の連携
 連絡担当者は、申立人の生活実態に変化が見られた場合や保護命令の相手方に特異言動が認められる場合等に、関係都道府県警察の連絡担当者と相互に必要な連携をとること。
第10 子への接近禁止命令に伴う適切な措置(法第10条第3項関係)
1 裁判所からの通知を受けた後の対応
 子への接近禁止命令が発せられた旨の通知を受けた場合においては、第9の2(1)に準じて、適切な措置を講じること。
2 子への接近禁止命令違反事件の捜査に当たっての留意事項
 子への接近禁止命令が発せられている場合に、いわゆる面接交渉権が認められているときは、保護命令違反の成否に影響を及ぼすおそれがあるので、離婚した被害者の子への接近禁止命令の捜査を行うに当たっては、当該子に係る面接交渉権が加害者に認められているか否かを確認し、捜査の適正を期すること。
3 児童虐待防止のための措置
 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条第4号の規定において、「児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと」は、児童虐待に当たることが明確にされている。また、同法第6条第1項の規定において、「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない」とされている。
 このため、配偶者からの暴力に係る相談等に対応した場合で被害者に子がいるときには、少年警察部門と緊密な連携を図ること。
第11 配偶者暴力相談支援センターへの保護命令通知に伴う適切な措置(法第15条第4項)
 被害者の安全確保については、配偶者暴力相談支援センターが被害者に対して助言をしたり、警察等と連携して被害発生の防止に努めたりするなど、配偶者暴力相談支援センターが果たす役割は大変重要であるところ、被害者の危険は保護命令発令直後に高まるおそれがあり、このような危険に対処するためには、配偶者暴力相談支援センターが保護命令の発令を迅速に知る必要性が高いことから、地方裁判所から配偶者暴力相談支援センターへの通知の規定が設けられている。
 このような趣旨を踏まえ、警察本部長が保護命令について裁判所から通知を受けた場合には、配偶者暴力相談支援センターに対する通知が行われているか否かを確認の上、通知が行われている場合には、当該配偶者暴力相談支援センターと十分な連携を図り、適切な役割分担の下に、被害者の安全の確保を図ること。
第12 保護命令違反事件の捜査
 保護命令違反事件の捜査に当たっては、保護命令の内容及びその効力の有無について、少年・人身安全対策課(当直体制時においては当直)に照会するなどにより確認した上で、適切に対応すること。
 なお、法第15条第3項の規定に基づく通知を受けた場合であって、保護命令の効力が生じたことについて地方裁判所から通知を受けていないときは、当該保護命令を発した地方裁判所に照会すること。また、法第10条第1項第1号に規定する「被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近」を保護命令の相手方がはいかいしている場合であれば、申立人がその場に居合わせなくとも違反が成立することに留意すること。
第13 被害者への配慮等(法第23条関係)
1 職務関係者への教養
 本条では、警察職員を含む職務関係者が被害者の心身の状況等に十分な配慮をすべきこと、配偶者からの暴力の特性等に関する理解を深めるために必要な研修、啓発を行うことが規定されている。
 配偶者からの暴力が犯罪であるという意識が加害者にほとんどなく、被害者が精神的に無力になる、加害者の態度や言動 、加害者への被害者の想い等から被害者の心情が揺れ動くなどという配偶者からの暴力事案の特性等を、全警察職員に理解させ、被害者の立場に立った適切な措置を講ずることができるよう、研修を一層充実させていくこと。
2 情報提供
 配偶者からの暴力に係る相談等を受けた場合には、意思決定を支援するための手続に基づき、被害者の置かれている状況に応じて、刑事手続、保護命令制度、配偶者暴力相談支援センターにおける一時保護、警察本部長等による援助など被害者が要望すれば活用し得る制度について、分かりやすく図示した資料等を用いて、それぞれの要件とその効果等を確実に教示し、その上で被害者の要望を聴取すること。また、自衛手段、証拠確保のため必要な事項等の教示も併せて行うこと。
3 心情等への配慮
 従来から、女性被害者に対してはその要望等に応じて女性警察職員が相談対応したり、被害者と加害者が遭遇しないような相談の実施等について配慮しているところであり、被害者の心情等をより理解した対策を推進すること。また、法第23条第1項の規定において、被害者の国籍、障害の有無等を問わずその人権を尊重することとされている趣旨を踏まえ、適切に対応すること。
4 秘密の保持
 配偶者からの暴力事案の加害者は、被害者に強い執着心と支配意識を抱いていることが多いことから、事案対応を通じて知り得た被害者等の個人情報については、加害者の知るところとならないよう配意するなど、取扱いに十分留意すること。
第14 準用規定(法第28条の2関係)
1 趣旨
 近年、交際相手からの暴力が社会的に問題となっており、被害者等が殺害される事件も発生しているところであるが、特に生活の本拠を共にしている場合の被害者については、従前の制度による救済に制約があり、迅速な救済を図るのが難しいという実状に鑑み、生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。)をする関係にある相手(以下「生活の本拠を共にする交際相手」という。)からの暴力及び当該暴力を受けた者について、新たに法による保護の対象とすることとされたものである。
2 準用規定とその範囲
 「配偶者」と「生活の本拠を共にする交際相手」とは、婚姻意思の有無及び婚姻届の有無という点で被害者と加害者との関係性の程度が異なるため、「生活の本拠を共にする交際相手からの暴力」を法上「配偶者からの暴力」と同一のものと位置付けることは困難であるものの、「外部からの発見・介入が困難であり、かつ、継続的になりやすい」ことが認められ、ストーカー規制法や刑法(明治40年法律第45号)による救済が困難であり、配偶者からの暴力の被害者と同様の救済の必要が認められることから、準用という形で法の対象とされたものと解される。しかし、準用する条項の範囲は限定されておらず、生活の本拠を共にする交際相手であることによる条項の読替えが行われており、法に定められる施策については実質的に全て適用されることと同じ効果が生ずることとされている。そのため、第1から第13までの施策に関しても、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力及び当該暴力を受けた者に全て当てはまるため、適切に対応されたい。
3 定義
(1) 生活の本拠を共にする
 生活の本拠を共にする場合とは、被害者と加害者が生活のよりどころとしている主たる住居を共にする場合を意味するものと考えられる。
 なお、「生活の本拠」という概念自体は、民法(明治29年法律第89号)や改正前の法の保護命令に係る規定においても用いられている概念であり、人の生活の中心である場所をいうなどと解されている。
 生活の本拠の所在については、住民票上の住所によって形式的、画一的に定まるものではなく、実質的に生活をしている場所と認められる場所をいい、共同生活の実態により外形的、客観的に判断されるべきものと考えられるが、補充的に意思的要素も考慮されることもあると考えられる。したがって、同居期間の単純な長短のみで生活の本拠を共にするかが決まるものではなく、また、生計が同一であるかどうかという点も、生活の本拠を共にするかどうかの判断に当たっての主たる要素とは考えられないものと解される。
(2) 婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないもの
 生活の本拠を共にする交際という概念は幅広く、例えば、次に掲げるようなものが入り得るため、このような共同生活を対象から除外するために、「婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く」こととされた。具体的に婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいるか否かについては、事実婚において一般的に見られる客観的な共同生活の実態の有無を参考にして判断することとなると考えられる。
ア 専ら交友関係に基づく共同生活(ルームシェアなど)
イ 福祉上、教育上、就業上等の理由による共同生活(グループホーム、学生寮、社員寮等)
ウ 専ら血縁関係・親族関係に基づく共同生活
(3) 生活の本拠を共にする交際相手
 法第1条第3項において、「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むと規定されている。いわゆる法律婚と事実婚については、「婚姻意思」「共同生活」「届出」のうち、「届出」がないものが事実婚として一般的に整理されている。
 生活の本拠を共にする交際相手については、さらに「婚姻意思」も認められない、「共同生活」のみを送っている場合が想定されている。したがって、共同生活を送っているが「婚姻意思」が想定されないために「事実婚」として整理できないようなケースが、法による保護の対象となるものと解される。
(4) かつて生活の本拠を共にしていた交際相手について
 法第1条第1項の規定のとおり、配偶者から身体に対する暴力等を受けた後に離婚等をし、引き続き当該配偶者であった者から身体に対する暴力等を受けた場合についても適用対象とされていることから、生活の本拠を共にする交際相手から身体に対する暴力等を受けた後に生活の本拠を共にする関係を解消し、引き続き当該関係にあった者から身体に対する暴力等を受けた場合についても、同様に適用対象とすることとされている。
4 留意事項
(1) 被害発生防止措置等の対象
 第3のとおり、法第8条及び第8条の2の規定の対象は配偶者又は配偶者であった者からの身体に対する暴力に限られているところ、法第28条の2の規定によりこれらの規定を準用する場合においても、その対象は身体に対する暴力に限られる。すなわち、警察官による被害の防止及び警察本部長等の援助の対象となるのは、生活の本拠を共にする交際相手からの身体に対する暴力又は当該関係にあった者から引き続き受ける身体に対する暴力である。
(2) 配偶者からの暴力等に係る相談の対応
 配偶者からの暴力等を受けている旨の相談がされた場合は、当該暴力等が配偶者からの暴力又は生活の本拠を共にする交際相手からの暴力に該当するか否かについては、裁判所において、当該被害者の申立てによる保護命令の要件を判断する際に併せて判断されるため、警察における相談の段階では、配偶者からの暴力相談等として幅広く受理し、対応票を作成するとともに、法第8条の規定に基づく警察官による措置若しくは法第8条の2の規定に基づく警察本部長等による援助又はそれらに準じた被害発生防止のための措置を行うよう努めること。また、相談時には加害者と離婚している、同せい関係を解消しているなどの場合であっても、それ以前に当該加害者からの暴力を受け、引き続き当該加害者から身体に対する暴力を受けていると申し立てた場合には、対応票を作成すること。
(3) 住民基本台帳事務における支援措置
 配偶者からの暴力を受けた被害者については、第4の6(2)アのとおり、住所又は居所を知られないようにするための措置として住民基本台帳事務における支援措置の実施のための手続を行っているところであるが、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力を受けた被害者についても、法第1条第2項に規定する被害者に準ずる者として支援措置に係る手続を行うこと。
(4) 経過措置
 保護命令の申立てについては、法の改正前に生活の本拠を共にする交際相手から身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫がされていた場合であっても、法の改正後は法第28条の2の規定に基づき保護命令の申立てをすることができることとされているため、相談に訪れた被害者に対し適切に教示すること。
第15 ストーカー規制法の活用
 配偶者からの暴力的事案についても、加害者の行為の態様によってはストーカー規制法の適用が可能である場合があるため、積極的な活用に努めること。
(1) 被害者の保護のための活用
ア 相談受理時におけるストーカー規制法の活用への配意
 ストーカー規制法に基づく警告、禁止命令等の措置やストーカー規制法違反による検挙は、配偶者間であっても適用可能であることに留意し、配偶者からの暴力事案の相談等を受けた際には、別居中である場合はもとより、同居中であっても別居する意思が明らかであるなどの場合には、被害者に対して、加害者からつきまとい等の行為がある場合にはストーカー規制法の適用が可能な場合がある旨及びつきまとい等の被害についての記録をとっておくことなど被害者が講ずべき措置について教示すること。
イ 保護命令の対象者に対するストーカー規制法の活用
 法に基づく保護命令が発せられている場合であっても、加害者が電話をかける、電子メール等を送信する、乱暴な言動を行っているなどストーカー規制法第2条第1項に規定するつきまとい等に該当する行為がある場合には、ストーカー規制法の適用についても積極的に検討すること。また、地方裁判所から保護命令が発せられた旨の通知を受けた後、保護命令の申立人に防犯上の留意事項等の教示を実施する際には、あわせて、加害者からつきまとい等の行為がある場合にはストーカー規制法の適用が可能な場合がある旨及びつきまとい等の被害についての記録をとっておくことなど被害者が講ずべき措置について教示すること。
 なお、ストーカー規制法の適用に当たり、被害者の現在の所在や旧姓・新姓等を秘匿する必要がある場合には、警告書、禁止命令書等の記載により当該情報が加害者の知るところとならないよう、警告や禁止命令等を受ける加害者においても、また、事後的、客観的にも、何についての警告や禁止命令等であるかが明確となるようつきまとい等の行為が特定されるように留意しつつ、加害者が認識している被害者固有の情報を記載することにより特定するなど、個人情報の保護に配意すること。
(2) 被害者の親族等の保護のための活用
 配偶者からの暴力事案において、特に被害者が別居、離婚等を求めていたり、保護命令が発せられていたりする場合には、被害者の相談相手となっている親族、弁護士、関係施設の職員、勤務先の上司・同僚、友人等(以下「親族等関係者」という。)に対し、被害者の所在を探すなどのため、加害者が危害を加え、若しくは脅迫し、又は一時保護施設の周辺をはいかいしたり、執ように電話をかけるなどの行為により、親族等関係者に多大な不安を与えることがあり得る。
 これを防止し、親族等関係者の生命、身体等の保護を徹底するとともに、これらの者の不安を除去するため、次の点に配意すること。
ア 親族等関係者への事情聴取の実施
 被害者から親族等関係者に対する暴行、傷害や脅迫、つきまとい等の行為があるとの相談等があった場合は、当該被害者の了解を得た上で、親族等関係者からの事情聴取を実施するよう努めること。
イ ストーカー規制法に基づく措置の活用
 アにより、又は親族等関係者自身から、つきまとい等について相談等があった場合には、当該親族等関係者に対し防犯指導等必要な措置を講ずるとともに、ストーカー規制法の適用を積極的に検討すること。
 なお、被害者が親族等関係者と同居していたり、施設において一時保護を受けているような場合には、被害者を申出人としてストーカー規制法の適用を行うことで間接的に親族等関係者の保護が図られる場合もあり得るが、被害者の負担を軽減する観点とも合わせ、親族等関係者を被害者の密接関係者(ストーカー規制法第2条第1項各号列記以外の部分に規定する者をいう。)としてストーカー規制法を適用し、直接親族等関係者に係る保護措置を講ずることにも配意すること。この場合において、親族等関係者の氏名、住所、連絡先等を加害者が知らないときは、(1)イと同様に、警告書、禁止命令書等の記載によりこれらの事項が加害者の知るところとならないよう、個人情報の保護に配意すること。

様式 省略
  

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