弥生人たちは、卜骨(ぼっこつ)を用いた占いで神の意志を探ろうとしました。卜骨とは占いに使われた骨のことで、火のついた棒の先端をイノシシやシカの肩甲骨の表面に押し当てて点状に焼き、そこに生じた変色やひび割れを見て占います。青谷上寺地遺跡からは卜骨が大量に出土しており、その数は国内最多の二百二十七点に上ります。 卜骨が遺跡から出土するときは、通常単体でかつ廃棄された状態で見つかることが多いのですが、青谷上寺地遺跡には複数の卜骨が一ヶ所に規則的に置かれた状態で出土した事例があります。卜骨集積遺構と言い、日本で初めての発見です。イノシシの左右一対の肩甲骨を、関節の方向を逆向きにし、突起のない側の面同士を合わせてセットとし、これを三組列状に配置していました。 これと類似した置き方の卜骨集積遺構が、朝鮮半島南岸に位置する勒島(ぬくと)遺跡からも見つかっています。この遺跡では、シカの左右の肩甲骨を、関節の方向を同じ向きにして、突起のある側の面同士を合わせたセットを三組、一ヶ所に固めて置いていました。 このような卜骨の出土状況は、当時の占いの作法の一端を示すもので、焼いてひび割れを生じさせた後、卜骨をどのように扱っていたかを知ることができます。今日行われているトランプ占いでも、カードの切り方や置き方に決まりがあって、これに反すると正しい結果が得られないような気がします。きっと弥生人も同じ気持ちだったに違いありません。 日本海を隔てた二つの遺跡で、ほぼ同じような作法で占いが行われていたということは、物資だけではなく精神面でも、弥生時代に広域な交流があったことを示すものと言えるでしょう。 (鳥取県埋蔵文化財センター 北浦弘人) |