世界に誇る鳥取の至宝・鳥取砂丘をみんなで守り育てる

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風紋:「砂のさざ波」ともいわれ、風速5~6mの風が乾いた砂丘を吹き抜けるときにできます。

撮影:太田憲治さん 風紋:「砂のさざ波」ともいわれ、風速5~6mの風が乾いた砂丘を吹き抜けるときにできます。

鳥取砂丘に魅せられて
 早朝、広大な砂丘の中で、カメラを構えるのは、砂丘の近くでペンション・喫茶「すまいる」を経営する太田憲治(おおたけんじ)さん。ファインダーの中には、朝日が照らしだす神秘的な砂丘の風景が広がります―
 若い頃、全国各地を旅した中で最も印象的だったという鳥取砂丘。その魅力の虜となった太田さんは、23年前にIターンし、仕事の合間を見ては、足繁く砂丘に通いつめます。そして、得意のカメラで四季折々の砂丘の表情や砂丘に息づく草花の美しい瞬間を捉えてきました。
 「ホームページなどで写真を見て、遠くから泊まりに来てくれる客も多いです」と、宿泊客にお薦めの撮影スポットを案内する太田さん。「無限の楽しみかたができる砂丘に何度でも来て欲しい」と呼びかけながら、これからも、美しい鳥取砂丘を撮り続けます。
太田さん

「撮影には、足跡が無く、太陽が昇らない早朝がお勧め」と話す太田さん
鳥取砂丘中心部マップ
砂廉(されん) 砂廉(されん):砂粒が砂丘の急斜面を滑り落ち、その形が遠くから見ると、簾(すだれ)のように見えるためこの名がついています。 砂柱(さちゅう) 砂柱(さちゅう):強い雨風による侵食作用で生じる小地形。嵐の翌日に海に近い場所で発生することが多い。

ボランティアが支える鳥取砂丘
 「草むしりで汗をかいた後、日本海から吹く風を浴びると爽快(そうかい)ですよ」と笑うのは、除草などボランティア活動に積極的に参加している市谷年弘(いちたにとしひろ)(鳥取市)さんです。
 砂丘では、除草や清掃、景観を阻害(そがい)する高木の伐採、砂丘イリュージョンなどボランティア活動が盛んに行われており、砂丘の魅力を支える重要な役割を担っています。
 およそ20年前、鳥取砂丘は「死に(ひん)している」とまでいわれました。河川や港湾の整備などにより、砂の供給が減少し、海岸線の侵食が進行。さらに保安林整備などの影響で砂の動きは止まり、雑草の生息範囲が広がっていたのです。
さわやかな朝の空気の中で行われた除草作業
さわやかな朝の空気の中で行われた除草作業。昨年は、7月から9月の25日間で、延べ3,309人のボランティアが、約45ヘクタールを除草しました。
砂浜海岸の保全を目的に県が進める事業
※砂浜海岸の保全を目的に県が進める事業。河口・港湾のしゅんせつ土砂を侵食傾向にある砂浜海岸に投入・養浜し、海岸線の保全を行っています(写真は砂丘沖に土砂を投入している様子)。
 このような中、「砂が動く砂丘の復元」を目指して除草活動がスタート。当初は機械の力に頼らざるを得ませんでしたが、徐々に人力での除草も可能になり、ボランティアによる除草活動が年々活発化していきました。ボランティアに参加する理由を「同じ達成感を多くの仲間と共有できること」と語る市谷さん。一人ひとりの小さな力が集まることで生み出される、大きな成果に喜びを感じています。
 全国に先駆けて、砂丘沖で行われているサンドリサイクル事業(※)など、大規模な取り組みが進められる一方で、こうしたボランティアの皆さんの地道な活動が大きな力となり、鳥取砂丘は輝きを取り戻しつつあります。


砂丘に足を踏み入れる~さまざまな砂丘の魅力
 東西16キロメートル、南北2.4キロメートルもの広大な砂丘にはさまざまな魅力が隠されています。
 数十万年もの長い歴史の中で形づくられた砂丘は、「スリバチ」と呼ばれる巨大な凹地に代表されるように、非常に起伏に富んだ地形です。そして、砂の表情も季節や気候に応じて常に変化しており、強い風と砂が織りなす造形は、時に豪快に、時におだやかに、私たちの目を楽しませてくれます。
 また、一般的に砂丘といえば、不毛の地と連想しがちですが、鳥取砂丘には、特殊な環境に適応した、さまざまな植物が自生しており、中には可憐な花を咲かせるものもあります。
 皆さんも砂丘に一歩足を踏み入れることで、今まで気付かなかった魅力や楽しみ方が見つかるかもしれません。
砂丘に群落を形成するハマヒルガオ 最も深いところで40mにもなる「追後(おいご)すりばち」

写真左/砂丘に群落を形成するハマヒルガオ。春には美しい花畑が広がります
写真中/最も深いところで40mにもなる「追後(おいご)すりばち」

写真右/神秘的な冬のオアシス池
神秘的な冬のオアシス池

春:「春の馬の背」

春:「春の馬の背」
夏:「駟馳山から昇る朝日」

夏:「駟馳山から昇る朝日」
秋:「らっきょうの花」

秋:「らっきょうの花」
冬:「鳥取砂丘イリュージョン」

冬:「鳥取砂丘イリュージョン」

落書きで台無しに
 「鳥取砂丘の雄大な自然景観を楽しみに来たのにこれでは台無し」。近年、砂丘の斜面に相次いで出現した巨大な落書きを前に、こんな気持ちを抱いた観光客は少なくありません。軽い気持ちで書いた落書きが、みんなの思い出を壊してしまいます。

みんなで大切に守り、利用し、未来に引き継ぐ
 砂丘利用者のマナー低下のほか、砂の供給の減少や草原化など、鳥取砂丘はさまざまな課題を抱えています。その一方で、除草や清掃活動など県民参加の取り組みが活発に行われており、特色ある産業・文化活動、学術研究の拠点となるなど、多面的な価値を有する鳥取砂丘は、県民にとってかけがえのない財産です。
 そこで、県では、昨年10月、「日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例」を制定。保全・再生を推進するための調査研究や利用者の自主的な取り組みの促進などの保護施策に加え、砂丘利用者に守っていただく最低限のルールも定めています。

百年後の鳥取砂丘に思いを馳はせて
 条例制定をきっかけに、砂丘の保全・再生や利活用の気運がさらに高まってきました。
 今年1月に発足した「鳥取砂丘再生会議」の西田(にしだ)良平(りょうへい)会長は、「鳥取砂丘をどのような姿で残すのか、多くの人と議論を交わしながら、地域全体で共有できる『百年後の鳥取砂丘のイメージ』を作り上げていきたい」と郷土の宝の行く末に思いを馳せます。同会議では、これまでさまざまな活動を行ってきた民間団体や地元住民、行政などが一体となって、鳥取砂丘の保全・再生と適切な利用に向けた取り組みを進めていくこととしています。
西田会長(写真中央)

「昔の姿に戻すだけの『再生』ではなく『創造』へと議論を進めたい」と鳥取砂丘再生会議の西田会長(写真中央)

「日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例」の概要

私たち県民共有の財産であり、世界に誇る地域の宝である鳥取砂丘を、利用者の皆さんとともに守り育てていくための条例を制定しました。4月1日から施行します。
1 砂丘利用者の責務
 (1)砂丘の保全と再生のための自主的な取り組み
 (2)節度ある利用 など
2 県が実施する保護施策
 (1)砂丘利用者への意識啓発
 (2)砂丘利用者が行う自主的な取り組みの促進
 (3)調査研究の実施
 (4)保護工事などの推進
3 禁止行為
 (1)落書き(表示面積が10平方メートルを超えるもの)
 (2)ゴルフボールの打ち放し、ロケット花火の発射など
 (3)缶、瓶、たばこの吸い殻、動物のふんなどの投棄
  ※禁止行為をした者、または中止などの指示、原状回復命令に従わない者は、5万円以下の過料が科せられます
「砂丘清掃に向かうボランティア」(撮影:松井功さん) 平成20年度鳥取県写真コンクール入賞作品
「砂丘清掃に向かうボランティア」
(撮影:松井功さん)

鳥取砂丘それぞれが胸に秘める思い
世界に役立つ研究を
バトユンさん
鳥取大学乾燥地研究センター留学生
バドユンさん
 3年前に、モンゴルから乾燥地研究センターに留学して、干ばつが植物に与える影響について研究しています。このセンターは、乾燥地研究の分野では、世界的に有名です。世界各国から優秀な研究者たちが集まり、乾燥地研究に関するデータや設備が整うなど、充実した環境で研究に打ち込めます。
 私の育ったモンゴルでは、飛砂や砂嵐が頻繁に起き、アレルギーや病気になる人が出るなど、砂漠化は身近で深刻な問題となっています。自分の研究を、モンゴルをはじめ世界の乾燥地で暮らす人々のために役立てたいですね。
 また、鳥取砂丘では、逆に除草活動が行われているのを知って驚きました。でも、ふるさとの美しい景観を将来の子どもたちに残したいという気持ちが伝わってきて、とても素晴らしいことだと感じています。
「世界トップレベルの環境で、より高度な研究ができることに感謝しています」とバトユンさん(右)

「世界トップレベルの環境で、より高度な研究ができることに感謝しています」とバトユンさん(右)

美しい砂丘をいつまでも
音田(おんだ)研二郎(けんじろう)さん
自然公園財団鳥取支部主任
音田さん
 皆さんに、砂丘を気持ちよく満喫してもらうため、清掃や自然ふれあい活動などを行っています。訪れたかたの「ウァー!」という感嘆の声を聞くと、思わず「ヤッター!」とうれしくなりますね。
 さらに、砂丘の魅力は壮大なパノラマだけではありません。二度とは見られない砂の表情や、懸命に生きる動植物など、足下に目を向けるだけでも砂丘の楽しみ方が広がってくると思います。
 また、地元の皆さんに、身近にある砂丘のすばらしさを再認識していただき、もっと関心を高めて欲しいですね。近年うれしいことに、除草などのボランティア活動が広がっており、すばらしい実績を上げています。これからも、砂丘を愛する地元の皆さんと一緒に、この美しい鳥取砂丘を守り、その魅力をたくさんの人に伝えていきたいですね。
「小さなうちから砂丘の魅力に触れてほしい」と地元の小学生たちに砂丘をガイドする音田さん

「小さなうちから砂丘の魅力に触れてほしい」と地元の小学生たちに砂丘をガイドする音田さん

世界に誇る観光地に
寺谷(てらたに)昌江(まさえ)さん
鳥取市観光協会専務理事
寺谷さん
 鳥取砂丘は、鳥取県はもちろん日本を代表する観光地。外国の日本を紹介するガイドブックでもTOTTORI SAND DUNESと紹介されており、海外から問い合わせもあります。さらに、砂丘周辺には、海や山、温泉など魅力的な観光素材がコンパクトにまとまっていて、リゾート地としての条件を兼ね備えています。今後は、海外への情報発信や近隣の観光地との連携などに力を入れ、より多くの観光客を呼び込みたいですね。
 また、鳥取砂丘では、パラグライダー、砂像、イリュージョンなど新しい楽しみ方が次々と誕生しています。これは、砂丘の持つ多面的な魅力が、さまざまな人のアイデアを掻かき立てるからではないでしょうか。
 鳥取砂丘は、一生に一度は必ず訪れて欲しい最高の遊び場。皆さんも理屈抜きに楽しい鳥取砂丘を見て、体感してください。
昨年開催の「鳥取砂丘砂の美術館」は多くの人が砂像の美を堪能しました。

昨年開催の「鳥取砂丘砂の美術館」は多くの人が砂像の美を堪能しました。4月には、「世界砂像フェスティバル(※)」が開催されます。
※4月18日から5月31日まで鳥取砂丘オアシス広場で開催

砂丘のガイド機能を強化
 県では、自然公園財団鳥取支部の協力を得て、4月1日から同支部の建物内に「鳥取県砂丘事務所」を開設します。事務所には鳥取砂丘レンジャーを配置し、鳥取砂丘の地質、地形、植生、歴史などに関する解説指導を行います。
 また、落書きなどの禁止行為を防ぎ、皆さんに砂丘を気持ちよく楽しんでいただくため、巡視活動も行っていくこととしています。
鳥取砂丘の保全と活用を考える集いを開催(入場無料) 3月21日 午後
鳥取市内にて
「日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例」の施行をきっかけに、地域の財産である鳥取砂丘の保全と活用について、講演やパネルディスカッションを行います。皆さんも、鳥取砂丘の価値と魅力を改めて考えてみませんか?
詳しくは、下の問合せ先におたずねください。

 問合せ先  県庁公園自然課 電話 0857-26-7209