議員提出議案第1号

鳥取県がん対策推進条例

 この議案を別紙のとおり提出する。
平成22年6月23日 


  • 藤井 省三
  • 福本 竜平
  • 浜崎 晋一
  • 内田 博長
  • 前田 八壽彦
  • 斉木 正一
  • 鉄永 幸紀
  • 山根 英明
  • 廣江 弌
  • 村田 実
  • 山口 享
  • 伊藤 美都夫
  • 石村 祐輔
  • 初田 勲
  • 野田 修
  • 上村 忠史
  • 福間 裕隆
  • 興治 英夫
  • 山田 幸夫
  • 森岡 俊夫
  • 浜田 妙子
  • 伊藤 保
  • 松田 一三
  • 前田 宏
  • 安田 優子
  • 藤縄 喜和
  • 横山 隆義
  • 稲田 寿久
  • 銀杏 泰利
  • 澤 紀男
  • 市谷 知子
  • 錦織 陽子
  • 尾崎 薫
  •  

鳥取県がん対策推進条例

(目的)
第1条 この条例は、がんが県民の疾病による死亡の最大の原因となっている等、県民の健康及び生命にとって重大な問題となっている現状にかんがみ、がん対策基本法(平成18年法律第98号)の趣旨にのっとり、がんの予防及び早期発見を推進するための体制の整備を図ることによりがんに罹(り)患し、又はがんが重症化する者を減少させ、及び県民が質の高いがん医療を受けられることにより安心して療養生活を過ごすことができるよう、がん対策の基本となる事項等を定め、がん対策を総合的に推進することを目的とする。
(県の責務)
第2条 県は、第8条から第14条までに定めるがん対策に関し、国、他の地方公共団体、医療機関その他の関係機関、がん患者等(がん患者、その家族等をいう。以下同じ。)により構成される団体その他の関係団体及び民間企業との連携を図りつつ、本県の地域の特性に応じた施策を策定し、実施するものとする。
(市町村の責務)
第3条 市町村は、その住民が積極的にがん検診を受けることができるよう必要な施策の実施に努めるものとする。
(保健医療従事者の責務)
第4条 がんの予防及びがん医療(科学的な知見に基づく適切ながんに係る医療をいう。以下同じ。)に従事する者は、県又は市町村が実施するがん対策に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(県民の責務)
第5条 県民は、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんの罹(り)患の直接的又は間接的な要因の排除のための正しい知識を持ち、常にがんの予防に細心の注意を払うとともに、積極的にがん検診を受けるよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、従業員ががんを予防し、又は早期に発見することができ、本人又はその家族ががん患者となった場合であっても働きながら治療し、療養し、又は看護することができる環境の整備に努めるものとする。
2 事業者は、県又は市町村が実施するがん対策に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(財政上の措置)
第7条 県は、がん対策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(がんの予防及び早期発見の推進)
第8条 県は、がんの予防及び早期発見に資するため、次に掲げる施策を講ずるものとする。
(1) 喫煙、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響に関する啓発及び知識の普及
(2) がん検診受診率向上のための施策
(3) 性別による特有のがん及びがんの発生しやすい年齢を考慮したがん予防に関する正しい知識の普及
(4) がん検診に携わる医療従事者の資質の向上を図るための研修の機会の確保
(5) 事業所におけるがんの予防及び早期発見のための取組の支援
(6) 高い予防効果が見込まれる予防接種の普及
(7) 禁煙に取り組もうとする者への支援及び分煙、喫煙の制限等による受動喫煙防止対策の推進
(8) 前各号に掲げるもののほか、県内におけるがんの予防及び早期発見のために必要な施策
(がん医療に関する情報の収集及び提供)
第9条 県は、がん医療に関する情報を収集し、がん対策に関する施策に反映させるものとする。
2 県は、がん診療連携拠点病院(厚生労働省が定める指針に基づき厚生労働大臣が指定する病院をいう。以下同じ。)その他の医療機関が県民に対して行うがん医療に関する情報の提供の充実のために必要な施策を講ずるものとする。
(専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成及び確保)
第10条 県は、手術、放射線療法、化学療法その他のがん医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成及び確保を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
(がん医療の水準の向上)
第11条 県は、がん患者がその居住する地域にかかわらず等しくそのがんの状態に応じてがん医療を受けることができるようにするとともに、県民に質の高いがん医療を提供するため、次に掲げる施策を講ずるものとする。
(1) がん診療連携拠点病院の整備及び機能の強化の促進
(2) がん診療連携拠点病院相互間及びがん診療連携拠点病院とその他の医療機関等との連携及び協力の推進
(3) 県内の医療機関と県外の医療機関との高度専門分野における連携及び協力の推進
(4) 前3号に掲げるもののほか、県内におけるがん医療向上のために必要な施策
(がん登録の推進)
第12条 県は、がん医療の向上に資するため、がん登録(がん患者の罹(り)患、転帰その他の状況等を把握し、分析するための制度をいう。以下同じ。)の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 前項の施策を講ずるにあたっては、がん登録等により収集された情報がその利用目的の達成に必要な範囲を超えて用いられることがないようにする等がん患者に係る個人情報の保護が適切に講じられるようにしなければならない。
(緩和ケアの充実)
第13条 県は、緩和ケア(がん患者の身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安の軽減等を目的とする医療、看護及びその他の行為をいう。以下同じ。)の充実を図るため、次に掲げる施策を講ずるものとする。
(1) 緩和ケアに関する専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成
(2) 治療の初期の段階から緩和ケアを受けることができる体制づくりの支援
(3) 在宅で適切な緩和ケアを受けることができる体制づくりの支援
(4) 緩和ケアに関する関係機関及び関係団体との連携の強化
(5) 前各号に掲げるもののほか、県内における緩和ケアの充実のために必要な施策 
(がん患者等への支援)
第14条 県は、がん患者の療養生活の質の維持向上及びがん患者等の精神的な又は社会生活上の不安その他の負担の軽減に資するため、次に掲げる施策を講ずるものとする。
(1) がん患者等に対する相談体制の充実
(2) がん患者等により構成される県内の民間団体が行うがん患者の療養生活及びその家族の生活に対する活動の支援
(3) 前2号に掲げるもののほか、がん患者の療養生活の質の維持向上及びがん患者等の精神的な又は社会生活上の不安その他の負担軽減のために必要な施策
(県民運動)
第15条 県は、がん対策に関する県民の理解及び関心を深めるため、広報活動その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、がん患者又はがん患者であった者が、がんに罹(り)患し、又は罹(り)患していたことを理由として、いかなる不利益な取扱いも受けることのない社会の実現に向けての気運が醸成されるよう、普及啓発その他必要な施策を講ずるものとする。

附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(検討)
2 知事は、この条例の施行後3年を経過したときは、条例の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。

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