平成28年度 鳥取県立厚生病院 病院指標

【定義】
　2016年度の退院患者様の人数について10歳刻みの年齢階級別に集計を行いました。年齢は入院時点の満年齢です。

【特徴】
　当院は鳥取県中部保健医療圏の中核病院として、地域密着型で新生児から100歳を超える超高齢の方まで、幅広い年齢層の入院患者様を受け入れています。また、厚生労働省の指定する「地域がん診療連携拠点病院」として、５大がんは勿論のこと、稀少がんについても自施設での診断・治療、大学病院等との連携により地域のがん診療の均てん化の役割を担っております。
年代別の主な疾患は、30歳代は周産期に関する疾患、40～80歳代は消化器系疾患の比率が高く、胃がん、大腸がん、肝がん、胆石や胆嚢炎といった疾患に対する手術療法が中心となっています。80歳以上の年齢層では、脳梗塞、肺炎・誤嚥性肺炎、心不全、慢性硬膜下血腫や股関節大腿近位骨折、腰椎圧迫骨折といった疾患が多くなっています。

【消化器内科】
　当院では、胃がん、大腸がん、肝がんについて毎週、消化器内科、消化器外科、放射線科でのカンファレンスを行ない、治療方針を共有しています。早期がんについての内視鏡治療も積極的に行なっています。また、手術については消化器外科と連携し治療しています。進行したがんについての化学療法も行なっています。

【肺癌：胸部外科】
　当院の胸部外科での肺癌手術は、胸腔鏡下手術を原則としています。平成元年より平成２７年までに８５９例の肺癌切除手術を施行しています。（図１）。手術症例の全体の５年生存率は６３．９％です。病期別では１Ａ期（３７９例）：８５．９％、１Ｂ期（１７６例）：７１．６％、２Ａ期（８４例）５３．３％、２Ｂ期（６２例）：５１．２％、３Ａ期（８４例）：２５．９％、３Ｂ期＋４Ｂ期：１１％です。また、平成１７年から平成２７年までの１０年間の肺癌手術成績をみると５年生存率は７５．４％と上昇しております。（図２）。さまざまな理由で手術を受けることができなかった患者様の５年生存率は４．４％でした。やはり早期発見早期手術が肺癌を治すのには必要です。
コメント内「図１」「図２」へのリンク（別ウインドウが開きます。）

【乳癌：胸部外科】
　年間４０～５０例の乳癌手術を行なっています。乳癌治療は放射線治療＋薬物療法＋手術療法の３つが必須です。これらの設備が整い、スタッフの充足している施設での治療が必要です。また近年はＲＩを利用したセンチネルリンパ節生検が通常の手術となり当科でも行なってリンパ節転移の有無の精度が向上しています。過去１０年間に４１１例の乳癌手術を行なっています。病期０期～２期までの乳癌の発見・診断・治療することが治癒向上に重要と考えています。
病期０期：３９例、１期：１７０例、２期：１６７例、３期：２６例、４期：９例（平成１７年～平成２７年の症例数）

【消化器外科】
当院では胃がん・大腸がんに対する治療を積極的に行っています。ステージⅢ・Ⅳの症例も多くみられますが、化学療法を積極的に行っています。

　当院の市中肺炎入院を重症度別にみると、重症度が上がるほど平均年齢は高くなり、平均在院日数も延びる傾向があります。

急性期脳梗塞の患者さんの治療、薬剤調整、リハビリテーションなどを行っています。

【内科】
（１）ＤＩＣ
　当科では当医療圏の中核病院として重症感染症などの重篤な疾患に対する機会が多く、ＤＩＣ合併症例は多いと考えられます。
（２）敗血症
　ＤＩＣと同様の理由で、重症感染症、合併症を多くもつ患者さんに対応することが多く、敗血症症例を診療する機会は多いと考えられます。

【消化器内科】
　急性胆管炎などで重症化すると敗血症や播種性血管内凝固症候群を併発することがあります。このような場合にも消化器内科内でカンファレンスなどを行いながら治療を行っています。

【外科】
「180040：手術・処置等の合併症」
　造設や近隣の医療機関で行われている維持透析の患者様の透析シャント閉塞や透析シャント感染といったシャントトラブルでの紹介患者さんへの対応が多くなっております。