被害少年に対する継続的支援の実施要領について(例規通達)

被害少年に対する継続的支援の実施要領について(例規通達)

平成9年8月28日
鳥生企例規第9号
鳥務例規第6号
鳥捜一例規第6号
  改正 平成11年鳥務例規第4号、14年鳥生企例規第19号、15年鳥務例規第3号
 少年警察活動規則(平成14年国家公安委員会規則第20号。以下「規則」という。)第14条に規定する継続的な支援(以下「継続的支援」という。)については、対象となる被害少年の精神的打撃の程度、加害行為及び被害の内容、年齢、性別、生活及び家族の状況等を総合的に勘案した活動が必要なことから、次により組織的な実施に努められたい。
                      記
1 対象となる被害少年の範囲
  継続的支援の対象となる被害少年とは、規則第2条第7号に定める少年で、その範囲は、被害少年のうち、少年の健全育成のため特に必要と認められる被害少年とするものとする。
2 継続的支援を必要とする被害少年の指定及び解除
 (1) 警察署長(以下「署長」という。)は、前記1に定める継続的支援の必要を認めた場合は、警察本部少年課長と協議し、当該少年及び保護者の同意を得て被害少年として指定し、支援計画を樹立するとともに実施担当者を選任すること。
 (2) 前項の被害少年について、その指定を解除する場合の基準を、支援計画の中で相互の話合いにより設定したいわゆる「被害回復目標」を終了したときとし、この場合、署長は、当該少年及び保護者との話し合いにより指定を解除すること。
3 継続的支援の実施要領
 (1) 支援体制
    継続的支援は、被害少年の指定に係る警察署において、その署長の管理の下に行うものとする。ただし、遠隔地に居住する被害少年について、地域等と一体となった継続的支援が必要と認められる場合等で、他の警察署における継続的支援が適当と認めるときは、署長は被害少年と保護者の同意を得た上、居住地を所轄する署長と協議して、継続的支援を引き継ぐ等必要な措置をとるものとする。
    また、被害少年の居住地が他の都道府県警察の警察署管内である場合には、警察本部少年課長を経由し、当該都道府県警察本部少年警察部門と協議して、継続的支援の引継ぎ等必要な措置をとるも
のとする。
 (2) 支援計画
    署長は、個々の被害少年に係る継続的支援につき、被害少年の精神的打撃の程度、加害行為及び被害の内容、年齢、性別、生活の状況及び家族の状況等を総合的に勘案して、その開始及び終了の時期、被害少年の立ち直り目標等を定めたいわゆる「被害回復目標」等の実施計画、実施担当者その他必
要な事項を定めるものとする。この場合において、署長は必要に応じ、被害者カウンセラーその他の部
外専門家の意見を聴くものとする。
 (3) 実施担当者の選任
   ア 署長は、継続的支援を行う実施担当者について少年警察補導員、女性警察官等被害少年対策を担当する警察職員のうちから適任者を選任するものとする。
   イ 少年警察補導員が配置されていない警察署にあっては、少年警察補導員のブロック運用制度の活用に配意するものとする。この場合、少年警察補導員が配置されている所属の長と連携を図り選任するものとする。
 (4) 報告
    実施担当者は、継続的支援を行っている被害少年のカウンセリングの実施結果等を記録化し、その都度、被害少年を指定した署長に報告するものとする。
4 継続的支援実施上の配意事項
 (1) 心構え
    継続的支援は、被害少年と加害少年の利害は相反するということを念頭に置いた上、被害少年の精神的な打撃の軽減等により少年の健全育成を図るものであり、少年に対する特別の配慮が必要であることを自覚し、いやしくも、非行少年の補導における少年に対する取扱いと同様であるかのような考えは、厳に慎むこと。
 (2) 信頼関係の構築
    被害少年及びその保護者等のニーズを把握し、常に被害少年の立場に立って考え、行動することにより、被害少年等との信頼関係を構築した上、継続的支援を実施すること。
 (3) 面接上の配意
    面接は、よき理解者として手を差し伸べ、被害少年の怒りや恐怖、苦悩等に対し、「聴く耳」を提供することが基本であり、被害少年の話を、まずはそのまま受け止めて、いやしくも、被害事実を明らかにするための事情聴取を行っていると思われるような言動は、厳に慎むこと。
    また、常に被害少年の立場を考慮して、不用意な言動によりその心情を更に傷つけることのないように、細心の配意をすること。
 (4) 個別事情への配意
    被害少年に係る犯罪被害等は、純粋な犯罪被害、被害少年自身の不良行為の原因となった犯罪被害等多様であることを認識し、その個別の事情に応じた継続的支援を実施すること。
    また、精神的打撃の程度によっては、被害少年に係る犯罪被害等には全く触れず、信頼関係の構築のみに努めることが有効な場合もあることに配意すること。
 (5) 実施担当者への理解
    継続的支援は、短期的に成果を得ることは困難で、かつ、専門的知識・技能を必要とする活動であり、実施担当者の精神的な負担等が大きいことを十分に理解するとともに、実施担当者の活動を組織として支援できるように配意すること。
 (6) 関係機関・団体との連携
    児童相談所、医療機関等とのネットワークの構築に努め、専門家の知識・技能を結集した継続的支援を行うことができるように配意すること。
 (7) 教養の実施
    実施担当者等継続的支援に関わる警察職員の専門的な知識・技能の向上を図るために、学校教養、職場教養及び研修会を計画的に開催するとともに、部外の研修会等への積極的参加等に配意すること。
  

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