デジタルカメラで撮影した写真の活用要領の制定について(一般通達)

デジタルカメラで撮影した写真の活用要領の制定について(一般通達)

平成27年3月17日
鳥鑑発第125号、鳥情管発第88号、鳥生企発第287号、鳥刑企発第71号、鳥交企発第64号、鳥備一発第35号

犯罪捜査に従事する警察職員が職務上デジタルカメラで撮影した写真の捜査書類への活用については、これまで、「デジタルカメラで撮影した写真の活用要領について(一般通達)」(平成25年7月31日付け鳥鑑発第401号外共発)により実施してきたところであるが、この度、画像ファイル媒体の取扱い等について見直すこととし、新たに別添「デジタルカメラで撮影した写真の活用要領」を定め、平成27年4月1日から実施することとしたので、運用上誤りのないようにされたい。
別添
デジタルカメラで撮影した写真の活用要領
第1 目的
この要領は、犯罪捜査に従事する警察職員が職務上デジタルカメラで撮影した画像情報の電磁的記録(以下「画像ファイル」という。)を印画した写真を、フィルムカメラで撮影した写真と同様に立証上不可欠なものとして捜査書類に用いる場合における画像ファイルやその記録に使用する専用の外部記録媒体(以下「画像ファイル媒体」という。)の取扱い等について具体的な事項を定め、作成された画像ファイルが一切編集、加工及び消去されないまま記録、保管されていることを担保することにより、デジタルカメラを犯罪捜査に活用することを目的とする。
第2 用語の定義
この要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1 原画像ファイル
当該写真の真正(撮影した対象の客観的な状況を機械的に記録したものであり、何ら恣意的な改変等が加えられていないこと。)を疑われることのないように、必要な措置を講じて、撮影により記録されたまま一切編集、加工及び消去されていない画像ファイルをいう。
2 書ききり型撮影媒体
原画像ファイルを記録し、保管するための画像ファイル媒体で、構造上、記録した原画像ファイルの編集、加工及び消去が不可能な未撮影のものをいう。
3 原本媒体
撮影により、書ききり型撮影媒体に原画像ファイルを記録したものをいう。
第3 画像ファイルの原本性の確保
画像ファイルを印画した写真を証拠として捜査書類に貼付する場合には、次のとおり必要な措置を講じて、原画像ファイルを確保しておかなければならない。
1 デジタルカメラに挿入して使用する画像ファイル媒体は、書ききり型撮影媒体を使用すること。
2 撮影により書ききり型撮影媒体に原画像ファイルを記録した後は、これを原本媒体として取り扱うこと。
なお、原本媒体の作成過程においては、編集、加工及び消去の可能性を排除する必要があることから、原画像ファイルの暗号化を行わないものとする。
第4 画像ファイル媒体の管理
1 適正管理
画像ファイル媒体は、滅失、毀損、変質、混合又は散逸することのないよう、定められた方法により、適切かつ組織的に管理し、個人でこれらを保管してはならない。
なお、画像ファイル媒体には専用のものを使用することとし、その他の目的で利用する外部記録媒体と明確に区別して管理しなければならない。
2 管理体制の確立
画像ファイル媒体の管理責任者等を次のとおり設置し、管理体制を確立するものとする。
(1) 管理責任者
ア 画像ファイル媒体を総括的に管理する者として、警察本部事件担当課(本部執行隊を含む。)、刑事部鑑識課及び刑事部科学捜査研究所(以下「事件担当課等」という。)並びに警察署に管理責任者を置く。
イ 管理責任者には、事件担当課等の長及び警察署長をもって充てる。
(2) 取扱責任者
ア 管理責任者を補佐し、画像ファイル媒体を管理する者として、事件担当課等及び警察署に取扱責任者を置く。
イ 取扱責任者には、事件担当課等及び警察署の事件捜査を担当する課の捜査幹部(警部相当職(事実上課長としての職務を担当している警部補の階級にある者を含む。)以上の者とする。)をもって充てる。
なお、執務時間外においては、当直長を取扱責任者に充てるものとする。
(3) 取扱補助者
ア 取扱責任者の命を受け、画像ファイル媒体の管理を補助する者として、警察本部事件担当課等及び警察署の事件捜査を担当する課(執務時間外においては当直)に取扱補助者を置く。
イ  取扱補助者は、取扱責任者が指定する者をもって充てる。
3 保管設備
画像ファイル媒体の保管設備については、施錠機能がある保管庫等とする。
第5 書ききり型撮影媒体及び原本媒体の保管及び確認
1 書ききり型撮影媒体の保管
取扱責任者は、書ききり型撮影媒体に事件担当課等又は警察署の事件捜査を担当する課(係)、年号及び一連番号を付し、書ききり型撮影媒体及び原本媒体保管管理簿(様式第1号)に記載し、保管設備に保管しなければならない。
なお、撮影により書ききり型撮影媒体に原画像ファイルを記録した後は、これを原本媒体として取り扱うものとする。
2 原本媒体の保管
取扱責任者は、原本媒体を保管設備に保管しなければならない。
なお、原本媒体は、捜査継続中であるなど頻繁な利用が見込まれる段階を経て、当面の利用が見込まれない段階へと移行することが考えられる。よって、それぞれの段階に応じた取扱い及び保管を行う必要がある。
(1) 頻繁な利用が見込まれる段階(利用原本媒体)
取扱責任者は、原本媒体と書ききり型撮影媒体とを明確に区別し、書ききり型撮影媒体及び原本媒体保管管理簿に記載し、保管設備に保管するものとする。
(2) 当面の利用が見込まれない段階(保管原本媒体)
取扱責任者は、当面の利用が見込まれない原本媒体については、(1)により保管している原本媒体と明確に区別した上、年別、月別等に分類、整理し、封印を施すなどして書ききり型撮影媒体及び原本媒体保管管理簿に記載し、保管設備に保管しなければならない。
3 書ききり型撮影媒体及び原本媒体の確認
(1) 取扱責任者は、書ききり型撮影媒体及び原本媒体の所在を月1回以上確認し、その結果を書ききり型撮影媒体及び原本媒体確認簿(様式第2号)に記録した上で、管理責任者に同簿冊の確認を受けるものとする。
(2)  管理責任者は、定期に原本媒体の所在を確認するものとする。
第6 書ききり型撮影媒体及び原本媒体の利用
1 書ききり型撮影媒体の利用
(1) 撮影により原画像ファイルを記録するため、書ききり型撮影媒体を利用しようとする者は、書ききり型撮影媒体利用簿(様式第3号)に所定の事項を記載し、その都度、取扱責任者に利用申請を行なってその承認を受けるものとする。
(2) 取扱責任者は、書ききり型撮影媒体利用簿の記載内容を確認の上、書ききり型撮影媒体を利用させるものとする。
(3) 書ききり型撮影媒体を利用する者は、当該書ききり型撮影媒体の亡失及び盗難の防止に係る必要な措置を講じなければならない。
(4) 取扱責任者が不在の場合には、取扱補助者に書ききり型撮影媒体の利用申請を行ってその承認を受け、書ききり型撮影媒体を利用することができるものとする。
(5) 撮影により原画像ファイルを記録する際の留意事項
ア 撮影に際して、デジタルカメラの日時、撮影感度、色温度等を正確に設定しておかなければならない。
イ デジタルカメラで撮影した画像は、適正に撮影されているか否かを撮影直後に液晶画面等で確認できることから、その場で画像を確認し、必要に応じて再撮影するなどの措置を講じなければならない。
ウ 次に掲げる事件については、原則として1枚の書ききり型撮影媒体に複数の事件を記録しないものとする。
(ア) 重要事件
(イ) 警察本部事件担当主管課長及び警察署長が必要と認める事件
エ 書ききり型撮影媒体に原画像ファイルを記録したときは、原画像ファイル記録簿(様式第4号)に所定の事項を記載するものとする。
2 原本媒体の利用
(1) 庁舎内での利用
ア 原本媒体に記録された原画像ファイルを庁舎内で利用しようとする者は、原本媒体庁舎内利用簿(様式第5号)に所定の事項を記載し、その都度、当該原本媒体を保管する取扱責任者に利用申請を行ってその承認を受けるものとする。
イ 取扱責任者は、原本媒体庁舎内利用簿の記載内容を確認の上、原本媒体を利用させるものとする。                
(2) 庁舎外への持ち出し
原本媒体の庁舎外への持ち出しは、禁止する。ただし、取扱責任者が業務上やむを得ないことを確認した場合は、この限りでない。
なお、原本媒体を庁舎外へ持ち出す場合は、次に掲げるところによる。
ア 原本媒体を庁舎外へ持ち出そうとする者は、原本媒体庁舎外持出簿(様式第6号)に所定の事項を記載し、その都度、取扱責任者の承認を受けるものとする。
イ 取扱責任者は、記載内容及び持ち出す原本媒体が必要最低限であることを確認の上、原本媒体の持ち出しを許可するものとする。
ウ 原本媒体を庁舎外へ持ち出す者は、当該原本媒体の亡失、盗難等の防止に係る必要な措置を講じなければならない。
(3) 印画作成
原本媒体に記録された原画像ファイルを基に印画を作成する場合には、パソコンを使用せず、原本媒体を挿入して印画を作成できる機器を使用し、印画作成管理簿(様式第7号)に所定の事項を記載する。      
3 書ききり型撮影媒体又は原本媒体の返却
(1) 書ききり型撮影媒体の返却
書ききり型撮影媒体に原画像ファイルを記録して原本媒体とし、その利用を終了した者は、書ききり型撮影媒体利用簿に所定の事項を記載し、これを速やかに取扱責任者に返却しなければならない。
なお、書ききり型撮影媒体に原画像ファイルを記録しないまま利用の必要がなくなった場合についても同様とする。
(2) 原本媒体の返却
原本媒体の利用を終了した者は、原本媒体庁舎内利用簿又は原本媒体庁舎外持出簿に所定の事項を記載し、これを速やかに取扱責任者に返却しなければならない。
(3) 返却を受けた書ききり型撮影媒体又は原本媒体の取扱い
書ききり型撮影媒体又は原本媒体の返却を受けた取扱責任者は、(1)又は(2)により記載された内容を確認の上、第4の1又は第4の2により取り扱うものとする。
4 執務時間外の取扱い
執務時間外に利用し、又は利用しようとする書ききり型撮影媒体及び原本媒体については、執務時間中における取扱責任者と、執務時間外における取扱責任者の間で、確実に引継ぎを行い、その組織的な管理に間隙を生じさせないようにすること。
当該引継ぎにあたっては、書ききり型撮影媒体引継簿(様式第8号)に所定の事項を記載すること。 
第7 関係簿冊による管理
1 書ききり型撮影媒体及び原本媒体の管理
書ききり型撮影媒体及び原本媒体の保管について、その保管状況を書ききり型撮影媒体及び原本媒体保管管理簿により明らかにして、原本媒体の保管期間終了後5年間保存しておくこと。
2  書ききり型撮影媒体及び原本媒体の確認
書ききり型撮影媒体及び原本媒体の利用、保管状況について、書ききり型撮影媒体及び原本媒体確認簿に数量等を記載して月1回以上確認を行い、5年間保存しておくこと。
3 書ききり型撮影媒体の利用状況
書ききり型撮影媒体の利用は、書ききり型撮影媒体利用簿に所定の事項を記載し、原本媒体の保管期間終了後5年間保存しておくこと。
4 原画像ファイルの記録
書ききり型撮影媒体への原画像ファイル記録状況は、原画像ファイル記録簿に所定の事項を記載し、原本媒体の保管終了後5年間保存しておくこと。
5 原本媒体の庁舎内での利用
原本媒体の庁舎内での利用は、原本媒体庁舎内利用簿に所定の事項を記載し、5年間保存しておくこと。
6 原本媒体の庁舎外への持ち出し
原本媒体の庁舎外への持ち出しは、原本媒体庁舎外持出簿に所定の事項を記載し、5年間保存しておくこと。
7 印画作成
印画作成について、原本媒体を挿入して印画をする機器ごとに印画作成管理簿を備え付け、所定の事項を記載し、5年間保存しておくこと。
8 書ききり型撮影媒体及び原本媒体の引継ぎ
執務時間外における書ききり型撮影媒体及び原本媒体の保管・管理にあたっては、書ききり型撮影媒体及び原本媒体引継簿に所定の事項を記載し、5年間保存しておくこと。
第8 原本媒体の保管期間
原本媒体の保管期間は、判決確定時又は公訴時効のある場合は完成時までとする。ただし、管理責任者が特に必要と認める場合は、当該期間を超えて保管することができるものとする。
第9 原本媒体の廃棄
原本媒体を廃棄する場合には、書ききり型撮影媒体及び原本媒体保管管理簿に所定の事項を記載し、管理責任者の承認を受け、裁断その他の方法により記録された原画像ファイルを復元できないよう措置しなければならない。
第10 デジタルカメラの取扱い
この要領において使用するデジタルカメラは、警察情報システムへの接続及び内蔵メモリへの情報の保存を行ってはならない。

様式 省略
  

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