障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律の施行を踏まえた障害者虐待事案への適切な対応について(例規通達)

平成24年9月21日
鳥生企例規第10号他

  障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号。以下「法」という。)が平成23年6月24日に公布され、平成24年10月1日に施行されることとなった。
  障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立及び社会参加にとって障害者に対する虐待を防止することが極めて重要であることに鑑み、障害者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって障害者の権利利益の擁護に資することを目的として法が制定されたことを踏まえ、下記のとおり留意事項を定め、平成24年10月1日から施行することとしたので、各所属長にあっては、適切な対応に努められたい。
                                      記
第1 認知時における適切な対応
 1  市町村への通報(法第7条、第16条、第22条関係)
    法第7条においては、養護者による障害者虐待(18歳未満の障害者について行われるものを除く。)を受けたと思われる障害者を発見した者は速やかにこれを市町村に通報しなければならないこととされ、法第16条においては、障害者福祉施設従業者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は速やかにこれを市町村に通報しなければならないこととされ、法第22条においては、使用者(障害者を雇用する事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする者をいう。以下同じ。)による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は速やかにこれを市町村又は都道府県に通報しなければならないこととされた。したがって、各所属において、警察安全相談、障害者を被害者とする事案等の捜査、急訴事案や保護の取扱い等各種警察活動に際し、障害者虐待事案を認知した場合には、(2)に定める要領により速やかに市町村に通報すること。
   なお、使用者による障害者虐待事案については、通報先は市町村又は都道府県とされている(法第22条)ところであるが、障害者虐待事案の対応状況に関する情報の管理や関係機関との連携の円滑化の観点から、警察が認知した障害者虐待事案については、虐待行為者の種別を問わず、市町村に通報することとする。
 (1)  通報対象となる事案
    原則として、警察が認知した障害者虐待事案のうち、児童虐待事案又は高齢者虐待事案に該当しないもの全てが通報の対象(以下「通報対象」という。)となる(被害者が18歳未満である事案については児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)に基づく通告を、65歳以上である事案については高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)に基づく通報を行うこととなる。)。
       なお、次のような場合にも通報対象となるので、留意すること。
   ア 被害者が法に規定する障害者に該当するかどうか判断できない場合
     法に規定する障害者とは、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条第1号に規定する障害者(身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。)とされている。しかしながら、警察において「継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある」かどうかの判断をすることは困難であるため、被害者の外見や言動、関係者からの聴取内容等から、警察官が障害者であると判断した場合には、通報対象とすること。
     なお、被害者が自身を障害者であると認識していなくても差し支えない。
   イ 虐待行為があったことの明確な裏付けができない場合
     通報は、障害者虐待を受けたと思われる障害者について行うものであるので、虐待行為を裏付ける具体的な証拠がない場合であっても、関係者の申出内容等から判断して、障害者虐待が行われた可能性があると判断できる事案であれば、通報対象とすること。
     なお、障害の特性から、被害者が自分のされていることが虐待であることが認識できない場合があるので、被害者からの事情聴取結果だけで虐待を受けていないと判断しないこと。
   ウ 加害者が養護者、障害者福祉施設従事者等又は使用者に該当するか判明しない場合
     加害者を特定していても、当該加害者が養護者、障害者福祉施設従事者等又は使用者に該当するかどうかの判断が困難な場合があり得る。このようなときは、該当する可能性があると判断できれば、障害者虐待事案の早期発見・早期対応の観点から、通報対象とすること。
   エ 障害に起因する被害妄想が疑われる場合
     障害者虐待を受けている旨の申出が障害者からなされた場合は、精神的な障害に起因する被害妄想が疑われるときであっても、市町村において福祉的な観点から必要な対応を行う場合もあるため、通報対象とすること。
   オ 配偶者からの暴力事案に該当する場合
     虐待行為が障害者の配偶者から行われた場合は、障害者虐待事案であるとともに、配偶者からの暴力事案にも該当する。このような事案については、障害者虐待事案として市町村に通報するとともに、配偶者からの暴力相談等対応票を作成するなどして配偶者からの暴力事案としての対応も行うこと。
     なお、被害を受けた障害者の保護が必要な場合に、市町村又は配偶者暴力相談支援センターのいずれかに引き継ぐかは、障害の程度等を踏まえて、事案に応じて判断すること。
  (2) 通報要領
    警察署において障害者虐待事案を認知した場合は、生活安全(刑事)課長を経由して署長に速報し、報告を受けた署長は、市町村に通報するものとする。通報先部署名、電話番号等は、あらかじめ市町村に確認しておくこととするが、特に、休日・夜間において確実に連絡がとれるよう、市町村に申し入れておくこと。通報は、原則として障害者虐待事案通報票(様式第1号)により行うものとし、急を要する場合には、電話により行うこと。障害者虐待事案通報票は、別添「障害者虐待事案通報票の記載に当たっての留意事項」を参照して記載することとするが、通報時点では詳細が判明していない事項については、「不詳」と記載すれば足りるので、調査に時間を要することにより通報が遅れることのないようにすること。
    なお、警察本部において障害者虐待事案を認知した場合は、生活安全部生活安全企画課長(以下「生活安全企画課長」という。)を経由して、速やかに当該事案を管轄する警察署の署長に報告すること。
 (3) 通報後の措置状況の把握
    通報した事案については、市町村に措置結果を連絡するよう依頼しておくこと。なお、通報後1か月を経過しても市町村から措置結果の連絡がないときには、市町村に対して状況を確認すること。
 2 通報以外の措置
   障害者虐待事案については、市町村に通報するほか、当該事案を主管する警察本部の所属と事件化の可否及び要否、事案の緊急性・重大性を迅速に検討すること。あわせて、取り扱うべき事案については、関係機関の告発等を待つことなく、可能な限り速やかに、暴行、傷害、保護責任者遺棄、殺人未遂等あらゆる罪名を適用し、関係者の事情聴取、取調べ、対象家屋の捜索、被疑者の逮捕等の必要な捜査を積極的に行い、捜査を契機として、障害者の死亡等事態が深刻化する前に障害者を救出保護すること。また、刑罰法令に抵触しない場合であっても、事案に応じて加害者へ指導・警告するなど、必要な措置を講ずること。
   なお、市町村への通報及び必要な措置を講じた場合は、生活安全企画課長を経由して報告すること。
第2 警察署長に対する援助依頼への対応(法第12条関係)
 1 制度の趣旨
   法第12条第1項においては、市町村長は、障害者の住所又は居所への立入り調査に際し、必要があると認めるときは警察署長の援助を求めることができることが規定されている。警察署長の行う援助とは、市町村長による職務執行が円滑に実施できるようにする目的で、警察が、警察法(昭和29年法律第162号)、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)等の法律により与えられている任務と権限に基づいて行う措置である。したがって、警察官は、市町村長の権限行使の補助者ではなく、調査業務そのものの補助を行うことは適当ではない。
 2 援助の手続
   警察署長は、援助に当たっては、緊急の場合を除き、市町村長から障害者虐待事案に係る援助依頼書(様式第2号)の提出を求めた上で、速やかに市町村長と事前協議を行い、対応の方法、役割分担等を検討した上で、事案に応じた適切な援助に努めること。事前協議の窓口は、生活安全(刑事)課とするが、実際の援助を行う要員については、必要に応じて他課にも協力を求めること。
 3 援助の要件
   警察署長が援助を行うこととされているのは、障害者の生命又は身体の安全を確保するため必要と認めるとき(法第12条第3項)であるので、援助の依頼(以下「援助依頼」という。)があった場合には、市町村が行う法第9条第1項に規定する事実確認等のための措置等の状況を確認し、その内容によって援助を行うか否かを判断すること。
   なお、援助依頼を受理したが、援助を行わない場合には、その理由や経緯等を記録しておくこと。
第3 その他
 1 関係部門間の連携
   障害者虐待事案への対応に当たっては、生活安全部門、刑事部門、地域部門、被害者支援部門等関係部門間で連携を密にすること。
 2 関係機関等との連携
   市町村を始め、県の関係部局(以下「県」という。)、障害者団体等関係機関、民間団体、民生委員等との連携を強化し、被害者の立場に立った的確な措置が講じられるようにすること。
   なお、市町村及び県においては、障害者団体等関係機関、民間団体等との連携協力体制の整備をしなければならないこととされているので、市町村及び県から警察に対して連絡会議等への参加依頼がなされた場合には、積極的に応じること。
 3 指導、教養の徹底
   警察における障害者虐待事案に対する適切な対応を推進するため、法の内容、障害の特性等について、集合教養、随時の教養、巡回教養等あらゆる機会を活用して職員に広く指導、教養を行うこと。

別添及び様式 省略

  

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000