警察柔道試合及び審判要領の制定について(例規通達)

警察柔道試合及び審判要領の制定について(例規通達)

平成22年8月23日
鳥教例規第1号
改正 平成23年鳥教例規第3号

 鳥取県警察における柔道の試合及び審判を適正に行うため、別添のとおり警察柔道試合及び審判要領を制定し、平成22年9月1日から施行することとしたので、運用上留意されたい。

別添
   警察柔道試合及び審判要領
1 目的
  この要領は、警察において行う柔道の試合及び審判について必要な事項を定めることを目的とする。
2 試合場の基準
 (1) 試合場の面積及び構造は、原則として、次によるものとする。
    ア 試合場は、場内と場外に区分する。
    イ 場内の面積は、会場の広さや試合者の技量により、約81平方メートル(約9メートル四方、50畳)、約65.6平方メートル(約8.1メートル四方、40.5畳)又は約
      51.8平方メートル(約7.2メートル四方、32畳)のいずれかとする。
    ウ 場内の外周に約2.7メートルの幅で畳を敷きつめる。
    エ 場内及び場外の区別を明らかにするため、その境界線の内側に、約0.9メートル幅で赤色の畳を敷きつめる。
    オ  立礼の位置は、場内の中心部からそれぞれ約1.8メートル離れたところとし、正面(本部席等)に向かって右側に赤色、左側に白色のテープ(幅10センチメートル、長さ50センチメートル)を貼って示す。
    カ 畳表は、ビニール製その他のもので代用することができる。
    キ 試合場は、適宜の高い台の上に設けることができる。
  (2) 2以上の隣接した試合場を設置する場合は、原則として、約3.6メートルの場外共用部分を必要とする。
3 服装
 (1) 試合者は、柔道衣を着用し、原則として赤色又は白色の紐を帯の上に締めるものとする。
  (2) 柔道衣は、次の基準に合ったものでなければならない。
    ア 上衣の身丈は、帯を締めたとき、臀部を覆う程度のものであること。
    イ 上衣の袖の長さは、最長、手首の関節までとし、最短、手首の関節から5センチメートル短いものとする。上衣の袖の空きは、袖全長にわたって袖と腕(包帯等を含む。)との間が10センチメートルから15センチメートルあること。上衣の胸幅は、胸郭の最下部で少なくとも20センチメートル以上重なっているものであること。
    ウ 下穿の長さは、最長、足首の関節までとし、最短、足首の関節から5センチメートル短いものとする。下穿の空きは、全長にわたって脚(包帯等を含む。)との間が10センチメートルから15センチメートルあること。
    エ 帯は、上衣のはだけるのを防ぐため、適度の締め方で結び、その結び目から両端まで20センチメートル程度の余裕のある長さのものであること。
 (3) 女子は、上衣の下に白色の半袖、丸首シャツ(類似したレオタードを含む。)を着用し、黒帯は帯の両面の長軸中央に約5分の1幅の白線の入ったものであること。
  (4) 試合者は、試合中に服装が乱れないよう特に注意しなければならない。
  (5) 主審は、試合中に、試合者が(2)及び(3)の規定に違反していると認めるときは、当該試合者を「反則負け」とするものとする。この場合において、「反則負け」となった試合者は、その後の一連の試合には出場できないものとする。
4 危害防止
 (1) 試合者は、爪を短く切り、衛生状態を良好に保ち、相手に危害を及ぼすことのないようにしなければならない。
  (2) 試合者が長髪の場合は、自己及び相手の動作の妨げにならないように束ねなければならない。
  (3) 主審は、試合中に、試合者が(1)の規定に違反していると認めるときは、当該試合者を「反則負け」とするものとする。この場合において、「反則負け」となった試合者は、その後の一連の試合には出場できないものとする。
5  審判長
  (1) 試合の運営の適正を図るため、審判長を置くものとする。
  (2) 審判長は、この要領が遵守されているか否かを常に注意し、要領に違反すると認められる事情が発生したとき、その他試合の運営に支障を生じさせるおそれがあると認めるときは、必要な措置を講じなければならない。
6  審判委員
  (1) 試合を行うときは、各試合場に審判委員を置くものとする。
  (2) 審判委員は、審判長を補佐するものとし、その任務は次のとおりとする。
    ア 次の場合は、試合を中断して審判員に確認しなければならない。
   (ア) 審判員の判断に疑義があるとき。
   (イ) 返し技やすかし技等で明確な指示がないとき。
   (ウ) 得点表示板、時計等の確認や訂正をするとき。
   (エ) 審判員に対して助言すべきことがあったとき。
   (オ) その他、審判委員が必要と認めたとき。
    イ 審判員の投技の評価の高低については、言及しない。
    ウ 審判員から意見を求められた場合は、助言しなければならない。
    エ 審判員の最終決定を尊重しなければならない。
  (3) 審判委員については、審判員が兼務できるものとする。
7  審判員
  (1) 勝負の判定等を行うために、審判員を置く。
  (2) 審判員は、主審1名及び副審2名で構成するものとする。ただし、試合の規模等により、主審1名及び副審1名とし、又は主審1名のみとすることができる。
8 主審の任務等
  (1) 主審は、原則として場内にあって、試合の進行、技の効果の判定、罰則の付与及び勝負の判定をつかさどるものとし、判定等については、宣告及び動作により示すものとする。(別表1「試合の進行、技の効果の判定及び勝負の判定」及び別表2「罰則の付与」参照)
  (2) 主審は、11(3)に規定する記録係による得点表示板の表示が、宣告どおりに行われているか否かを確認しなければならない。
9 副審の任務等
 (1) 副審は、主審を補佐するものとし、判定等については動作により示すものとする。(別表3「副審が行う動作」参照)
  (2) 副審は、試合の見やすい場外の適当な場所に位置するものとする。この場合において、副審が2名のときは、場外の対角線の延長上に位置するものとする。
  (3) 副審は、勝負を見極めるため、適宜移動することができる。
  (4) 副審は、11(3)に規定する記録係による得点表示板の表示が宣告どおりに行われているか否かを確認し、訂正するときは主審にその旨を告げなければならない。
 (5) 試合者が、試合開始後、試合場の外へ出ることを認められたときは、副審の1名(試合者が女子の場合は、あらかじめ指名された女子の係員)は、当該試合者に付き添うものとする。
10  時計係
  (1) 試合時間等を計時させるため、時計係を置く。
  (2) 時計係は、原則として主任1名及び係員2名で構成するものとする。
  (3) 時計係は、原則として主審と向かい合った場所に位置し、この規則の定めるところに従って、試合時間、「抑え込み」時間を計時するとともに、試合時間及び「抑え込み」時間の終了をベル等によって審判員に知らせるものとする。
  (4) 時計係は、「抑え込み」時間について、その都度、適宜な方法によって審判員に知らせるものとする。
11  記録係
  (1) 試合の進行等の記録及び得点表示板の表示を行わせるため、記録係を置く。
  (2) 記録係は、原則として主任1名及び係員2名で構成するものとする。
  (3) 記録係は、原則として主審と向かい合った場所に位置し、試合記録用紙に必要な記録を行うとともに、主審が26(1)の規定による「技あり」の宣告、27(1)の規定による「有効」の宣告又は20(1)の規定による「指導」の罰則を付与したときは、その都度、その内容を得点表示板に表示するものとする。
  (4) 記録係は、試合者の一方が軽微な違反を犯して「指導」の罰則を与えられたときは、その旨を得点表示板に表示するとともに、2回目以降の「指導」の罰則については、その累積によって、相当する技の効果として他方に表示するものとする。
12  試合
  (1) 試合は、一本勝負とし、場内で行うものとする。
  (2) 試合時間内に「一本」又はこれに相当する判定により勝負が決まらなかったときは、29に規定する「優勢勝ち」の判定により勝敗を決する。
  (3) 試合時間内に勝負が決まらず、かつ、「優勢勝ち」の判定によっても勝敗を決することができない場合は、30の規定により「引き分け」とする。ただし、必ず勝敗を決する必要がある場合は、延長戦を行う。
  (4) 主審は、次のいずれかに該当する場合は、試合を終了するものとする。
    ア 試合者の一方が「一本」を取得したとき。
    イ 試合者の一方が2度目の「技あり」を取得したとき。
    ウ 「総合勝ち」のとき。
    エ 「棄権勝ち」のとき。
    オ 「反則負け」のとき。
    カ  「引き分け」のとき。
    キ  試合時間が経過したとき。
    ク  延長戦を行った場合で、勝敗が決したとき。
13  試合時間等
  (1) 試合時間は、3分から10分までの間において、あらかじめ定めた時間とする。
  (2) 一時中止(22の規定による「待て」の宣告から「始め」の宣告までの時間をいう。)及び一時中断(23の規定による「そのまま」の宣告から「よし」の宣告までの時間をいう。)は、試合時間から除くものとする。
14  試合の開始及び終了
    試合は、主審の「始め」の宣告により開始し、「それまで」の宣告により終了するものとする。
15  試合の技
  (1) 試合は、立ち勝負から始め、投技及び固技で勝負を決めるものとする。
  (2) 投技とは、手技、腰技、足技、真捨身技及び横捨身技(関節技又は当身技を利用した投技を除く。以下同じ。)をいう。
  (3) 固技とは、次の抑込技、絞技及び関節技をいう。
    ア 抑込技とは、相手を大体仰向けにし、自分は相手の上でおおむね向かい合った形になって、束縛を受けず、一定時間起き上がることができないように制して抑える技をいう。
    イ  絞技とは、手、腕、脚又は襟等を利用して、相手の頸部を絞めて制する技をいう。
    ウ  関節技とは、手、腕、脚等で相手の肘関節を捻り、又は逆に伸ばし、若しくは曲げるなどして制する技をいう。
16  場外に係る技の効果
  (1) 試合者の双方が場外に出た場合に施された技は、無効とする。
  (2) 試合者の一方が場内、他方が場外で立ち姿勢で組み合った場合において、場内にいる試合者が技を施し、技の効果が認められた瞬間まで場内にいたときは、その技は認められる。
  (3) 場内にいる試合者の施した投技に応じて、場外にいる試合者が返技又は捨身技を施し、技の効果が認められたときは、双方が場外であってもその技は認められる。
  (4) 「抑え込み」の場合において、どちらかの試合者の身体の一部でも場内に触れている限り、場内にとどまっていると同等にみなすが、空中に浮いたときは、技の効果は認められなくなったものとする。
17  試合時間終了時の技の効果
  (1) 試合時間終了の合図と同時に施された投技は、認められるものとする。
  (2) 試合時間終了の合図と同時に抑込技による技の効果を認めた場合は、その結末がつくまで試合時間を延長するものとする。
  (3) 試合時間終了の合図の後に施された技は、主審が試合の終了を宣告しない場合においても、認められないものとする。
18  寝技に移ることができる場合
    試合者は、次のいずれかに該当する場合は、立ち勝負から寝技に移ることができる。この場合において、主審は、技が継続しないと判断したときは、試合を一時中止させることができる。
  (1) 投技を施して相当の効果があり、引き続き寝技に転じて攻めるとき。
  (2) 投技を施そうとして倒れたとき、又は倒れかかるのを利用して他方が攻めるとき。
  (3) 立ち姿勢のまま絞技又は関節技を施して相当の効果があり、引き続き寝技に転じて攻めるとき。
  (4) 投技とは認め難いが、巧みに相手を倒し、引き続き寝技に転じて攻めるとき。
  (5) (1)から(4)までのほか、一方が倒れたとき、又は倒れかかるのを利用して他方が攻めるとき。
19  禁止事項と罰則
  (1) 禁止事項は、軽微な違反と重大な違反に分類し、軽微な違反を犯した試合者には「指導」が、重大な違反を犯した試合者には直接「反則負け」の罰則が与えられる。
  (2) 軽微な違反とは、次に掲げる行為をいう。
    ア  積極的戦意に欠け、約25秒以上継続して何の攻撃動作も起こさないこと。
    イ  勝負を決しようとしないため、約5秒以上故意に相手と取り組まないこと。
    ウ  攻撃しているような印象を与えるが、明らかに相手を投げる意志のない偽装的な攻撃を行うこと。
    エ  立ち勝負において、組んだ後、極端な防御姿勢を約5秒以上継続すること。
    オ  立ち勝負において、攻撃をしないで、約5秒以上継続して「標準的」組み方以外の組み方をすること。
    カ  相手の袖口又は下穿の裾口に指を差し入れること。
    キ  立ち勝負において、防御のために相手の袖口を約5秒以上継続して握り続けること、又は捻り絞って握ること。
    ク  親指と四指の間で相手の袖口を握ること。
    ケ  相手の袖口を折り返して握ること。
    コ 立ち勝負において、勝負を避けるために、相手と片手又は両手の指を組み合わす姿勢を約5秒以上継続すること。
    サ  故意に自分の服装を乱し、又は主審の許可を得ないで帯や下穿の紐をほどいたり、締め直したりすること。
    シ  帯の端又は上衣の裾を相手に巻きつけること。ただし、半巻きの状態であるときは、この限りでない。
    ス  自己又は相手の柔道衣を口にくわえること。
    セ  相手の顔面に、直接手若しくは腕又は足若しくは脚をかけること。
    ソ  18の規定によることなく、相手を寝技に引き込むこと。
    タ  柔道衣の上衣の裾若しくは帯を使用し、又は直接指で絞技を施すこと。
    チ  両足を交差し、両脚を伸ばすことにより、相手の胴(胴絞)、頸、頭を脚で挟んで絞めること。
    ツ  相手の帯若しくは襟に、足又は脚をかけること。
    テ  相手の握りを解くために、相手の指を逆にとること。
    ト  相手の握りを切るために、相手の手若しくは腕を膝若しくは足で蹴ること、又は技を施すことなく、相手の足や脚を蹴ること。
    ナ  立ち勝負、寝技のいずれにおいても、場外に出ること。
  ニ 立ち勝負において、組むことなく、いきなり相手の帯から上の部分(帯を含む。)に抱きついて技を施すことを繰り返すこと。
  (3) 重大な違反とは、次に掲げる行為をいう。
    ア  相手が払腰等の技を施したとき、相手の支え脚を内側から刈ること。
    イ 肘関節以外の関節を捻り、又は逆に伸ばし、若しくは曲げるなどして制すること。
    ウ  特に頸や脊椎など、相手を傷つけたり危害を及ぼしたり、あるいは柔道精神に反するような行為をすること。
    エ  背を畳につけている相手を引き上げ、これを畳に突き落とすこと。
    オ  主審の指示に従わないこと。
    カ  試合中に無意味な発声をし、又は相手や審判員の人格を無視するような発言を行うこと。
    キ  試合者の一方が後から絡みついたとき、他方がこれを制しながら故意に同体となって後方に倒れること。
    ク  腕挫腋固等を施しながら、畳の上に直接倒れること。
    ケ  河津掛又は蟹挟を試みること。
    コ  硬い物質又は金属の物質を身につけていること。
    サ  内股、払腰等の技を施しながら、身体を前方へ低く曲げ、頭から畳に飛び込むように投げの動作をすること、あるいは、立ち姿勢又は膝をついた姿勢から、肩車等の技を施しながら、まっすぐ後方に倒れること。
    シ  立ち姿勢から、直接、片手若しくは両手又は片腕若しくは両腕を使用して、相手の帯より下の部分を攻撃し、又は防御すること。
20  罰則の付与等
  (1) 主審は、試合者が19に規定する禁止事項を犯したときは、「指導」又は「反則負け」の罰則を付与しなければならない。
  (2) 罰則は、「指導」又は「反則負け」と宣告するとともに付与するものとし、原則として一方に付与するものとする。ただし、双方が同時に禁止事項を犯したときは、双方それぞれに付与するものとする。
  (3) 罰則の付与は、次に定めるところによるものとする。
    ア  主審は、「指導」又は「反則負け」の罰則を付与するときは、試合を一時中止させ、双方を試合開始の位置に戻して立たせたままで行う。ただし、寝技の場合に、不利と判断される試合者が禁止事項を犯したときは、「そのまま」と宣告して試合を一時中断し、罰則を付与した後、「総合勝ち」又は「反則負け」となる場合を除き、「よし」と宣告して試合を継続させる。
    イ  主審は、罰則を付与するときは、違反の内容を原則として別表2に定める動作で示し、動作で表現できないものについては、違反の内容を簡明に告げるものとする。
    ウ  試合者の一方が19(2)ソの禁止事項を犯し、他方が引き続き寝技に転じて攻めるときは、(1)の規定にかかわらず、試合を継続させたまま、引き込んだ方に「指導」と宣告して罰則を付与する。
  (4) 軽微な違反による2回目以降の「指導」の罰則の付与は、その累積回数により自動的に相手の得点に反映することとし、前の罰則による得点は取り消され、次に高い得点が直ちに記録される。ただし、4回目の「指導」の罰則を受けた試合者は、「反則負け」となる。
  (5) 直接「反則負け」の罰則を受けた試合者は、19(3)サ又はシに該当する場合を除き、その後の一連の試合には出場できないものとする。
 (6) 4回目となる軽微な違反の判定、重大な違反の判定及び延長戦における勝敗を決定する軽微な違反の判定は、審判員の合議によるものとする。
  (7) 試合終了の宣告等の後に試合者が重大な違反を犯した場合で、主審が試合の結果を宣告していないときは、主審は当該試合者に対して直接「反則負け」の罰則を与えることができる。
21  抗議の禁止
    審判員の判定は絶対であって、これに抗議することは許されない。
22  試合の一時中止
  (1) 主審は、試合者が次のいずれかに該当する場合は、「待て」と宣告して試合を一時中止させ、双方を試合開始の位置に戻すものとする。
    ア  試合者双方が場外に出たとき。
    イ  試合者の一方又は双方が禁止事項を犯したとき。
    ウ  試合者の一方又は双方が負傷又は発病したとき。
    エ  試合者の一方又は双方に服装の乱れを直させるとき。
    オ  寝技において、明らかに進展がないとき。
    カ  試合者の一方が、他方を背負いながら寝技から立ち姿勢ないしは半立ち姿勢に移ったとき。
    キ 試合者の一方が、立ち姿勢をとっている場合又は寝技から立ち姿勢に移る場合において、畳に背をつけている相手を畳から引き上げたとき。
    ク 試合者の一方が、立ち姿勢から関節技又は絞技を施した場合において、技の効果が直ちに、かつ、明瞭に認められないとき。
    ケ 16(4)の規定による寝技の効果が認められなくなったとき。
    コ  アからケまでのほかに、主審が必要と認めたとき。
    サ  審判委員が試合の一時中止を要求したとき。
  (2) 試合を再開するときは、主審は「始め」と宣告するものとする。
23  試合の一時中断
  (1) 主審は、試合者双方の状態をそのままにして試合を一時中断する必要があると認めたときは、「そのまま」と宣告して、試合を一時中断するものとする。
  (2) 試合を継続させるときは、主審は「よし」と宣告するものとする。
  (3) 試合の一時中断は、寝技においてのみ適用されるものとする。
24  「抑え込み」の判定
  (1) 主審は、試合者の一方が抑込技により他方を制したと認めたときは、「抑え込み」と宣告しなければならない。
  (2) (1)の宣告を行った後に技の効果が認められなくなったときは、直ちに「解けた」と宣告しなければならない。
25  「一本」の判定等
  (1) 「一本」の判定基準は、次に掲げるとおりとする。
    ア  投技については、技を施し、又は相手の技を外して、相当の勢い又は弾みで、おおむね仰向けに倒したとき(投げられた他方が頭と足で体を支え、背を畳につけない場合を含む。)。
    イ  固技については、次のとおりとする。
      (ア) 技を施された者が、手若しくは足で相手若しくは自分の体若しくは畳を2度以上打って合図したとき、又は「参った」と発声したとき。
      (イ) 抑込技で、「抑え込み」の宣告があってから、抑え込まれた者がそれを外すことができないまま25秒を経過したとき。この場合において、一つの抑込技から他の抑込技に変化した場合であっても、完全に相手を制している間は、「抑え込み」は継続しているものとみなす。
      (ウ) 絞技及び関節技にあっては、技の効果が十分現れたとき。
    ウ  試合者の一方が2度目の「技あり」を取得したときは、「合わせて一本」とする。
  (2) 主審は、試合者の一方が施した技の効果を「一本」と認めたときは、直ちに「一本」、「それまで」と宣告してその試合をやめさせ、双方を試合開始の位置に戻し、勝者を指示しなければならない。
  (3) 主審は、試合者双方が互いに絞め合うなど、同時に「一本」の効果を認めたときは、これを相殺して、「同時一本」、「それまで」と宣告してその試合をやめさせ、双方を試合開始の位置に戻し、「引き分け」と宣告しなければならない。この場合において、勝者を決めなければならないときは、12の規定に定める延長戦を行うものとする。
26  「技あり」の判定等
  (1) 「技あり」の判定基準は、次に掲げるとおりとする。
    ア  投技については、その効果が「一本」とは認められないが、あと少しで「一本」と認められるような技であったとき。
    イ  巴投等を施した場合において、直ちに技の効果がなく、一度背を畳につけた姿勢から、なおもその動作を続け、それによって鮮やかに投げ、「一本」相当の効果が認められたとき。
    ウ 「抑え込み」で相手を制している時間が20秒以上25秒未満であったとき。
  (2) 主審は、試合者の一方が施した技の効果を「技あり」と認めたときは、直ちに「技あり」と宣告しなければならない。
  (3) 主審は、すでに「技あり」を取得している試合者が施した技の効果を「技あり」と認めたときは、「技あり」、「合わせて一本」、「それまで」と宣告してその試合をやめさせ、双方を試合開始の位置に戻し、勝者を指示しなければならない。
27  「有効」の判定等
  (1)  「有効」の判定基準は、次に掲げるとおりとする。
    ア 投技については、その効果が「技あり」とは認められないが、あと少しで「技あり」と認められるような技であったとき。
    イ 26(1)イの巴投等が、「技あり」相当の効果があったとき。
    ウ 「抑え込み」で相手を制している時間が15秒以上20秒未満であったとき。
  (2) 主審は、試合者の一方が施した技の効果を「有効」と認めたときは、直ちに「有効」と宣告しなければならない。
  (3) 「有効」は、2回以上宣告されても「技あり」に及ばないものとする。
28  副審の異見
  (1) 副審は、主審の宣告又は判定について異見があるときは、別表3に定める動作で示すものとし、動作が定められていないその他の異見については、その旨を申し出るものとする。
  (2) 技の評価や罰則について、主審及び副審の判定が異なるときは、次に掲げるとおりとする。
    ア  主審が、2名の副審より高い評価を宣告した場合は、副審2名のうちで高い方の評価を示した副審の評価に修正しなければならない。
    イ  主審が、2名の副審より低い評価を宣告した場合は、副審2名のうちで低い方の評価を示した副審の評価に修正しなければならない。
    ウ  主審の評価に対し、副審の一方がより高い評価を示し、他方がより低い評価を示した場合には、主審は自分の評価を維持しなければならない。
  (3)  審判員の判定がそれぞれ異なる場合で、必要があると認めたときは、合議して決定するものとする。ただし、副審が1名であるときは、主審は副審の意見を聞いて決定するものとする。
29  「優勢勝ち」の判定等
  (1) 「優勢勝ち」の判定基準は、次に掲げるとおりとする。
    ア  「技あり」又は3回の「指導」の罰則の付与があったことにより、優劣を認めたとき。
    イ  「有効」又は2回の「指導」の罰則の付与があったことにより、優劣を認めたとき。
    ウ  ア又はイのほか、試合態度、技の効果及び巧拙、罰則の有無等を総合的に比較して、僅少の差を認めたとき。
  (2) (1)の適用については、試合の性質により、あらかじめ定めるものとする。
  (3) (1)ウにより僅差の優劣の判定を行う場合は、赤色及び白色の旗を使用するものとし、判定の方法は、次に掲げるとおりとする。
    ア  副審が2名のときには、主審は、副審の判定に自己の判定を加え、多数決で「優勢勝ち」を決定する。
    イ  副審が1名のときには、主審は、副審の意見を聞いて「優勢勝ち」を決定する。
  (4) (3)の場合において、主審は、副審の判定に疑義があるときは、その見解を確かめることができる。
  (5) 主審は、勝負が決まらないで試合時間が終了したときは、「それまで」と宣告してその試合を終了させ、双方を試合開始の位置に戻し、優劣を認めたときは「優勢勝ち」を宣告して勝者を指示しなければならない。
30  「引き分け」の判定等
  (1) 試合時間内に勝負が決まらず、かつ、前条による「優勢勝ち」の判定ができないときは、「引き分け」とする。
  (2) 主審は、「それまで」と宣告してその試合を終了させ、双方を試合開始の位置に戻し、「引き分け」を宣告しなければならない。
31  「総合勝ち」
  (1) 次のいずれかに該当する場合は、「総合勝ち」とする。
    ア  試合者の一方が「技あり」を取得した後に、他方が軽微な違反を犯し、これに3回目の「指導」の罰則を付与されたとき。
    イ  試合者の一方が軽微な違反を犯して3回目の「指導」の罰則を付与された後に、他方が施した技の効果を「技あり」と認めたとき。
  (2) 宣告等は、次に掲げるとおりとする。
    ア  (1)アの場合は、双方を試合開始の位置に戻し、「指導」、「それまで」と宣告してその試合を終了させ、「総合勝ち」と宣告して勝者を指示しなければならない。
    イ  (1)イの場合は、「技あり」、「それまで」と宣告してその試合をやめさせ、双方を試合開始の位置に戻し、「総合勝ち」と宣告して勝者を指示しなければならない。
32  「不戦勝ち」等
  (1) 試合者の一方が試合開始前に棄権したときは、他方を「不戦勝ち」とする。
  (2) 試合者の一方が試合中に棄権したときは、他方を「棄権勝ち」とする。
  (3) 試合者の一方が「反則負け」となったときは、他方を「反則勝ち」とする。
  (4) 主審は、「不戦勝ち」、「棄権勝ち」又は「反則勝ち」により勝負を決定したときは、勝者を指示しなければならない。
  (5) (4)による「勝ち」は、25の「一本」を取得したと同等にみなすものとする。
  (6) 不戦により「負け」となった試合者は、その後の一連の試合には出場できないものとするが、20(4)による「反則負け」又は棄権により「負け」となった試合者は、その後の一連の試合には出場できるものとする。
33 宣告又は指示の訂正
    主審は、宣告又は指示を訂正するときは、審判員が試合場から退場するまでの間において行うものとする。
34  負傷等が発生した場合の措置
  (1) 試合中に負傷若しくは事故の発生又は発病により、試合を継続することができないなどの場合は、審判員による合議の上、次により、「勝ち」、「負け」又は「引き分け」のいずれかを決定するものとする。
    ア  負傷の場合は、次によるものとする。
      (ア) 負傷の原因が、試合者いずれの責任とも認められず、試合を継続することができないときは、負傷した者を棄権とし、他方を「棄権勝ち」とする。
      (イ) 負傷が軽微であって、試合継続が可能であると判断されるにもかかわらず、負傷した者が試合の継続を拒否したときは、これを棄権とし、他方を「棄権勝ち」とする。
    イ 試合者が、頭部若しくは背部(脊柱)に強烈な衝撃を受けたとき、又は主審が重大な負傷が発生したと判断したときは、主審は医師を呼ぶものとし、医師はできるだけ短時間に試合者の診察を行い、主審に試合が続行できるか否かを告げるものとする。この場合において、医師が試合続行不可能を告げたときは、相手を「棄権勝ち」とする。
  ウ  発病により試合を継続することができない場合は、発病した者を棄権とし、他方を「棄権勝ち」とする。
    エ  事故により試合を継続することができない場合は、原則として「引き分け」とする。                                                    
  (2) 試合の継続が可能と判断される負傷者が発生した場合の措置は、次のとおりとする。
    ア  負傷の原因が、相手の責任と認められるときに限り、医師による治療を受けることができる。
    イ  負傷の原因が、負傷した者の責任と認められるとき、又はいずれの責任とも認め難いときで、負傷した者が医師の診察を受けたときは、その者を棄権とし、他方を「棄権勝ち」とする。
    ウ  軽微な負傷のときは、主審の指示により、医師はこれを処置することができる。ただし、薬品類、新たな包帯、サポーター等を使ってはならない。
  (3)  医師は、主審の指示により試合場に入るものとし、診察等を行う場合は、主審は直近においてその状況を観察するものとし、副審は場外に位置したままで状況を監視するものとする。
35  得点
    勝者に点数を与える場合は、次によるものとする。
  (1) 10点が与えられる者は、次のとおりとする。
    ア 「一本勝ち」で勝った者
    イ 「反則勝ち」で勝った者
    ウ 「総合勝ち」で勝った者
    エ 「不戦勝ち」で勝った者
    オ 「棄権勝ち」で勝った者
  (2) 7点が与えられる者は、次のとおりとする。
    ア 「技あり」で勝った者
    イ 相手への3回の「指導」の罰則の付与で勝った者
  (3) 5点が与えられる者は、次のとおりとする。
    ア 「有効」で勝った者
    イ 相手への2回の「指導」の罰則の付与で勝った者
  (4) 1点が与えられる者は、延長戦において勝った者とする。
36  団体試合の勝負
  (1) 団体試合におけるチームの勝敗は、次の順序により「勝ち」のチームを決定するものとする。
    ア  勝者数の多いチーム
    イ  35の規定により勝者に与えられた得点の合計が多いチーム
  (2) (1)によりチームの勝敗を決めることができないときは、「引き分け」とする。ただし、勝敗を決める必要があるときは、それぞれのチームの代表者による代表戦を行い、勝った者の属するチームを「勝ち」とする。
  (3) 代表戦で、両チームの代表者が同時に「負け」となったときは、両チームを「負け」とする。この場合における両チームの順位は同位とする。
37  リーグ戦における順位
  (1) 個人試合のリーグ戦における順位は、次の順序により決定するものとする。
    ア  勝ち数の多い者
    イ  35の規定により勝者に与えられた得点の合計が多い者(同点者が2人いるときは、両者による試合の勝者とし、同点者が3人以上いるときは、抽選で勝った者とする。)
  (2) 団体試合のリーグ戦における順位は、次の順序により決定するものとする。
    ア 勝ち数の多いチーム
    イ  負け数の少ないチーム
    ウ  勝者数の多いチーム
    エ  35の規定により勝者に与えられた得点の合計が多いチーム
    オ  代表戦を行い、勝った者の属するチーム
38  その他の措置
  (1) この要領に定めるもののほか、試合及び審判に関する細部的事項は、別に定めることができる。
  (2) 試合中、この要領又はこの要領に基づき別に定めたところによっても処理できない事項については、審判員による合議の上、審判委員又は審判長に諮って措置するものとする。


別表 省略
  

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