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産業廃棄物最終処分場整備に係る補助金支出等の住民監査請求(棄却・一部却下)

 平成27年4月17日(金)に山(やま)根(ね)一(かず)典(のり)氏ほか8名から、地方自治法(以下「法」という。)第242条の規定に基づく鳥取県職員措置請求書(以下「請求書」という。)が、鳥取県監査委員に提出され、これに基づき、監査した結果の概要は次のとおりです。
 なお、監査結果は、本日(6月10日)請求人に通知するとともに、鳥取県公報により公表します。
 また、この監査結果については、とりネット(鳥取県監査委員のホームページ http://www.pref.tottori.lg.jp/kansa/)に掲載します。
  

監査の概要

第1 請求の要旨

1 請求人の主張

(1) 県は、公益財団法人鳥取県環境管理事業センター(以下「センター」という。)を通じて環境プラント工業株式会社(以下「環境プラント工業」という。)に対し、平成24年度財団法人鳥取県環境管理事業センター産業廃棄物最終処分場整備推進補助金(以下「推進補助金」という。)3,500万円を補助(補助金額の確定は、平成26年5月8日)しているが、補助事業の成果品である生活環境影響調査書は未完成であり、事業が完了していないにも関わらず、県が補助金額の確定を行い補助金を支払ったことは不当である。
(2) 県は、推進補助金の補助率を2/3と決定しているにも関わらず、追加調査として、平成25年4月8日付けでセンターが株式会社シーイーシー(以下「シーイーシー」という。)と契約を行った地下水流向等調査業務委託契約について、補助率100%の平成25年度公益財団法人鳥取県環境管理事業センター運営費補助金(以下「運営費補助金」という。)により1,100.4万円を支払ったことは不当である。
(3) 環境プラント工業がシーイーシーに委託して作成した生活環境影響調査書は不完全であり、契約不履行である。また、センター及び環境プラント工業は、その生活環境影響調査書(案)による自治会説明、住民説明を行い、それぞれの関係者に参加費用を支弁させるなどの損害を与えた。

2 措置請求

 鳥取県知事及び生活環境部長に対し、以下のための必要な措置をとることを勧告するよう請求する。
 センターに対して、推進補助金及び運営費補助金のうち不当に支出した補助金相当額を返還することを求める。
 環境プラント工業とシーイーシーに対して、シーイーシーの業務委託契約の不履行による損害賠償を求めること及び不完全な生活環境影響調査書(案)により自治会説明、住民説明を行ったことについても、それぞれの関係者に対し相応の損害賠償の処置を要求すべきことを求める。

第2 請求の受理

 監査委員は、上記請求の要旨のうち、1(1)について、請求人は財務会計上の公金支出の不当性を主張しており、また、本件請求のあった日は、県が推進補助金の補助金額を確定した日(平成26年5月8日)から1年を経過していないことから、法第242条に規定する請求の要件を具備しているものと認め、平成27年4月22日に受理した。

第3 請求人の証拠の提出及び陳述の機会

 請求人に対して、法第242条第6項の規定に基づき、平成27年5月14日に証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、新たな証拠の提出及び請求人のうち4名からの陳述があった。

第4 請求人からの質問等への回答について

 請求書等には、地元住民の専門家から提出された生活環境影響調査書(案)に対する99項目の質問及びコメントが添付されており、センター及び環境プラント工業はこれへの回答に努めており、これらについて、請求人が納得しているものもあるが、未だ納得の得られていないものも見受けられる。
 また、その後の質問等に対して、センターは、平成27年4月1日付けで回答を行っているが、請求人は、この回答に対し納得していない旨のコメント等を行っている資料を新たな証拠として陳述時に提出している。

第5 監査の実施

1 監査対象事項

 本件請求書及び陳述の要旨から、本件の監査対象事項について、「推進補助金の支出が、法第242条第1項に規定する違法若しくは不当な公金の支出にあたるかどうか。」とし、監査委員は、推進補助金について、鳥取県補助金等交付規則及び当該補助金交付要綱等を基に支出されたものであるので、それらを基準として適否を判断することとした。

2 監査対象機関

 生活環境部循環型社会推進課(以下「循環型社会推進課」という。)

3 関係人

 センター及び環境プラント工業

4 監査実施期間

 平成27年4月22日から同年6月2日まで

5 監査の執行者

 監査委員 岡本 康宏(おかもとやすひろ)
 監査委員 伊木 隆司(いぎたかし)
   監査委員 湯口 夏史(ゆぐちなつみ)
 監査委員 浜田 妙子(はまだたえこ)(H27.4.22~H27.4.29)
 監査委員 安田 優子(やすだゆうこ)(      〃     )
   監査委員 上村 忠史(うえむらただふみ)(H27.5.8~ )
 監査委員  森 雅幹(もりまさき)(   〃     )
 ※浜田委員及び安田委員は受理審査までの執行であり、最終判断には関与していない。

第6 本件請求に係る監査の結果

1 監査対象機関から確認した事実 (抜粋)
(1) 推進補助金の交付内容について

 推進補助金交付要綱第3条では、「産業廃棄物最終処分場の実施設計・生活環境影響調査等を実施する環境プラント工業に対して当該間接補助事業に要する経費について間接補助金を交付するセンターに対し、予算の範囲内で本補助金を交付する」としている。
【推進補助金に係る交付等の流れ】
 ※省略

(2) 補助事業の完了検査及び補助金額の確定について

 完了検査及び補助金額の確定の状況は、次のとおりである。

平成26年4月4日 センターが環境プラント工業に対する完了検査を実施
 (循環型社会推進課職員が立会い)
 補助事業の交付申請等の手続、請求及び支出の状況並びに成果品を確認。成果品のうち、生活環境影響調査書については、内容が国(環境省)及び県の生活環境影響調査に関する指針に沿って調査が行われたもので、調査すべき項目が記載された内容の報告書であることをセンターと県が確認。

平成26年4月25日 県がセンターに対する完了検査を実施
 証拠書類等の確認、及び環境プラント工業から提出を受けている成果品の複写の内容を確認。

平成26年5月8日 県からセンターへ補助金額の確定通知

平成26年5月9日 センターから環境プラント工業へ補助金額の確定通知

(3) 生活環境影響調査書(案)の検証について

 センターは、生活環境影響調査の妥当性等を確認するため、有識者3名(鳥取環境大学 岡崎誠教授、福岡大学大学院 樋口壯太郎教授、岡山大学大学院 西垣誠教授)に内容の検証を依頼し、平成25年11月に各氏から概ね妥当との意見を得た。
 センターは検証結果について、速やかに県に検証結果の写しを送付して報告しており、県はその内容を確認している。

2 監査対象機関の見解(循環型社会推進課)
(1) 推進補助金の交付目的等について

 推進補助金の交付目的は、処分場整備に向けた手続に必要な実施設計・生活環境影響調査等をセンターを通じた補助で作成支援するものであり、具体的には、条例に基づいて県に提出する事業計画書の作成に必要な実施設計及び添付が義務づけられている生活環境影響調査書を作成する事業に対して補助するものである。

(2) 補助事業の完了等について

    当該補助事業は、県自らが発注した業務や建設工事の補助事業とは異なり、成果品の詳細な検査(技術的な検証)まで求められるものではない。このため、最低限、生活環境影響調査としての外形的な要件(国・県の指針に定める項目及び妥当とされる手法)への合致が確認できれば、補助金支出は可能と考えている。
 ただし、本件に関しては、外形的な要件のほか、予測条件や予測結果を含めた一通りの内容確認を通じて、処分場整備の手続書類になり得るものであることを確認した上で補助事業の完了を認めている。
 なお、外形的な要件を具備した成果品であれば、条例手続の事業計画書提出までに或いは提出後に多少の修正、加筆等を行ったとしても、補助事業上は成果品として取り扱うことに問題はないものと考えている。
 また、センターにおいて生活環境影響調査の妥当性等を確認するため、有識者3名(鳥取環境大学 岡崎誠教授、福岡大学大学院 樋口壯太郎教授、岡山大学大学院 西垣誠教授)に検証を依頼し、平成25年11月に各氏からは概ね妥当との意見をいただいている。

3 監査の結果
(1) 監査委員の判断

 推進補助金の交付目的の達成の判断に当たって、請求人が指摘している生活環境影響調査書(成果品)について、循環型社会推進課の見解では、県自ら発注した業務ではないことから、外形的な要件(国・県の指針に定める項目及び妥当とされる手法)の合致が確認できれば事業として完了し、成果品の詳細な検査(技術的な検証)まで求められるものではないとのことであるが、補助金交付要綱上、間接補助事業の実施内容として生活環境影響調査の実施が明記されており、その成果品についても、検査において内容的に一定のレベルが担保されていることの確認は求められるものと考える。
 したがって、交付目的の達成の判断に当たっては、成果品について内容的に一定のレベルが担保されていることについての確認行為は必要である。
 本補助事業について、県は、センターが行った環境プラント工業に対する完了検査に立ち会い、生活環境影響調査が国及び県の指針に定める方法に基づき実施され、成果品である生活環境影響調査書に必要な項目が記載されていることを確認した。また、センターが提出した実績報告書の審査を実地で行い、証拠書類等の確認、及び環境プラント工業からセンターへ提出された成果品(複写)の内容を確認している。
 さらに、完了検査に先立ち、県は、センターが実施した3名の専門家による検証の結果、いずれも概ね妥当との見解を得ていることから、成果品が一定のレベルに達しているとの判断を行っている。
 請求人は、推進補助金の支出について、成果品(生活環境影響調査書)が不完全なまま補助金の額の確定を行ったことから、違法若しくは不当な公金の支出であると主張を述べているが、上記のとおり、県は、推進補助金の補助金額を確定するに当たって、補助金交付規則及び補助金交付要綱上求められている必要な検査及び確認を行っているものと認められ、違法若しくは不当な支出とは言えない。

(2) 本件請求に対する結論

ア 監査の結果、「措置請求された推進補助金の支出が、法第242条第1項に規定する違法若しくは不当な公金の支出にあたるとして補助金の返還を求める」ことに ついては、上記のとおりであり、理由がないものと認め、棄却とする。
イ 「センターが追加調査として実施した地下水流向等調査業務委託契約を、補助率10/10の運営費補助金により支出を行ったことは不当であり、補助金の返還を求める」ことについては、推進補助金とは別に10割補助の運営費補助金が予算議決を経て執行されており、これを違法若しくは不当であることを証する書面の提出がなかったため住民監査請求の要件を満たしておらず、却下とする。
ウ 「環境プラント工業がシーイーシーに委託して作成した生活環境影響調査書は不完全で、契約不履行である。また、その生活環境影響調査書(案)により自治会説明、住民説明を行い、それぞれの関係者に参加費用を支弁させるなどの損害を与えたので費用弁償等の損害賠償を求める」ことについては、措置請求が県職員による財務会計上の行為ではなく、また、県に損害が生じているものでもないため、住民監査請求の要件を満たしておらず、却下とする。

(3) 意見
 監査の結果は上記のとおりであるが、監査委員としての意見を次のとおり付記する。

 県が条例に基づく事業計画書の提出に当たって生活環境影響調査書の添付を求めているのは、事業者に対して地域住民への配慮を求めるという趣旨であると思われる。
 県は、センター及び環境プラント工業の実施した条例手続を行う前の調査結果等についての住民説明会に同席するとともに、住民のコメントに対する回答の指導、さらには追加でセンターが実施した地下水の三次元浸透流解析や大地震解析等の調査も支援するなど、地域住民の理解を得るための取組を進めてきたところである。
 現在のところ、請求人から提示されている処分場設置に係る99項目をはじめとする質疑・コメント等については、センター等から回答を行い、解消に努めているところではあるが、全てに納得が得られているという状況ではない。
 上記結論のとおり、推進補助金の支出については、違法性若しくは不当性は認められないが、県は、センター等に対し、引き続き住民の理解を得るための取組を進められるよう働きかけられたい。

  

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