平成26年度議事録

平成26年5月26日~5月28日・所管事項に係る県外調査

1 調査箇所
     平成26年5月26日(月) 
    ・生活支援ロボット安全検証センター(つくば市)
    ・茨城畜産センター(石岡市)
     平成26年5月27日(火)
    ・いばらき量子ビーム研究センター(那珂郡東海村)
    ・(株)ファーマーズフォレスト(宇都宮市)
    ・栃木県庁、フードバレーとちぎ推進協議会(宇都宮市)
     平成26年5月28日(水)
    ・鬼怒中央飛山発電所(宇都宮市)

2 調査委員
   興治委員長、内田(隆)副委員長、小谷委員、前田委員、銀杏委員、浜崎委員、市谷委員、砂場委員(8名)

3 随行者
   議会事務局調査課 若松課長補佐、西村主事

4 調査結果

   今回は、医工連携、農畜産業振興策、素形材産業、フードバレー構想及び小水力発電を活用した農村振興施策をテーマに調査を行った。
   生活支援ロボット安全検証センターでは、国際安全規格ISO13482に対応した安全検証試験をワンストップで実施できる拠点として、ISO13482を活用した研究開発を行うとともに、経産省直轄のロボット介護事業に取り組んでいる。
  現在、認証を受けた事例は3例しかないが、今年、国補正予算で可決された「ロボット機器導入実施事業」を本県においても活用し、協定を締結したテムザックと鳥取大学付属病院との共同研究・開発の促進につながればと考える。
  ただ、副研究部門長が発言された「真に必要な介護ロボットが何かをきちんと検討することを企業に求めている」を踏まえた研究・開発が必要であるであろう。

 茨城県畜産センターでは、円安や主原料であるトウモロコシの国際価格の高騰による輸入飼料の高騰化に対応するため、飼料用米による配合飼料の代替給与技術を開発し、1日当たり40円/頭の飼料費削減が可能と試算した。
 また、堆肥の窒素、リン酸、カリを化学肥料に代替することや生産量日本一を誇るレンコンの残さを飼料に配合することで、配合飼料の摂取量を10kg低減させることができ、価格変動に依存しにくい乳生産を可能とされた。
 今後はTPP交渉の動向を注視しつつ、特に堆肥化処理施設の悪臭問題の解決を課題としている。

 いばらき量子ビーム研究センターでは、ニュートリノや中性子等の二次粒子の材料構造解析等による機器や新技術の開発に取り組んでいるJ-PARCの利用と周辺機器等開発の促進に取り組んでいる。
 しかし、企業にとって中性子の産業利用はなじみがないため、センターの開設前に「県内中性子利用連絡協議会」を発足し、勉強会や各種情報発信等を通じたPR活動、中性子分野への参入支援に苦心されたようだ。
 また、J-PARCにおいては、原子力発電所で発生する使用済核廃棄物を核変換処理することで、これまで数万年かかっていた地層処分を数百年に短縮かつ処分面積の削減につながる効果がある研究に取り組んでおられ、確立されれば、エネルギー需給施策の大きな発展につながるであろう。

 フードバレーとちぎ推進協議会において、県との橋渡しをしながらプロデュース事業を推進しているファーマーズフォレストでは、県産材や地域の生産者の素材を活用して商品開発し、「栃木県」という地域全体を売り込む商社として展開している。
 これは、地産であれば大量生産できないため利益率が低く、また大手流通に乗れないための対応策であり、この特徴的な取組は本県の参考となるであろう。
 ただ、フードバレーの母体が大きくなりすぎて動きにくくなっており、もっと実践的に繋いでいける取り組みを仕掛けられる素地になっていくといいという課題を述べられており、協議会の運営する行政と会員企業との密接な連携が必要だと感じた。

 他方、フードバレー推進協議会を運営する栃木県では、平成20年のリーマンショックによる製造出荷額の減少を契機に、景気に左右されない内需型産業である食産業の振興を図ろうと、「フードバレーとちぎ」の取組を平成22年度より始められた。
 現在は、これからの人口減少社会による国内消費量の推移を踏まえ、香港やシンガポール、上海の市場へ販路開拓を実施しているものの、県内の地域づくりや観光開発するに当たり、人材育成や後継者育成が課題だということであった。
 また、民有林皆伐事業については、昨年度、常任委員会が調査した「林業・林産業等のブランド戦略」の中で、川上の生産者から川下のハウスメーカーまでの垂直連携、皆伐事業の推進について提言されたことを受け、今年度から業種間連携や皆伐の補助率のかさ上げに取り組んでいる。
 始めに川中である県内有数の製材業者をトップランナーとして強化したことが功を奏し、川下も活気が出てきたものの、今後は川上を強化することが課題であるとともに、「よい事業なのに予算が少ない」という声を受け、今後の施策提案を踏まえた予算の増額対応を検討している。

 最後に、全国初となる小水力発電事業は電気自動車を介して農業施設に利用できないか、中山間地域の脚として使えないかというアイデアの下、スタート。
 しかし、蓄電施設の電池の問題、採算が取れる発電が可能な箇所の選定、用水路に流れる草やゴミに目詰まりしない除塵機の改良に大変苦心されたようだ。
 エネルギーの地産地消と中山間地の活性化という両面において、本県においても大変参考となった。

 

 

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