平成18年度会議録・活動報告

平成18年7月19日(水)~21日(金)

総務警察常任委員会 県外調査の概要報告

1 調査日時
  平成18年7月19日(水)~21日(金)
2 調査箇所
 【7月19日(水)】
  ・滋賀県庁

 【7月20日(木)】
  ・岐阜県消防学校
  ・かかみがはら航空宇宙科学博物館
  ・岐阜県庁
  ・鳥取県名古屋事務所

 【7月21日(金)】
  ・トヨタ自動車(元町工場、トヨタ会館) 
 
3 調査委員
  斉木委員長、藤井委員、中尾委員、長岡委員、山田委員、尾崎委員
 
4 随行者
  鳥取県議会事務局議事調査課  主幹 岸田康正、副主幹 山根貴徳
 
 今回の視察では、滋賀県、岐阜県を中心に、主要な行政課題について調査活動を行った。期間中、大雨洪水警報が発令され、被害発生が想定されるなど各県とも大変あわただしい中、調査に支障がないよう格別な御配慮、御協力いただき感謝に堪えないものであった。


滋賀県庁での調査



滋賀県庁での調査



 滋賀県では、「グリーン入札制度」「未利用県有地の売却促進策」について調査を行った。
 「グリーン入札制度」は、県内の事業者の環境保全活動の促進を図ることを目的に、環境負荷の低減に積極的に取り組む事業者(環境配慮事業者)から、優先的に物品等の調達を行う制度で、滋賀県と京都府が合同で取り組んでいるものである。今回の調査では、出納部局におけるこれまでのグリーン購入制度の取組み状況、さらに入札制度実施の経緯やその内容について調査した。
 平成13年4月1日に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)が施行され、各自治体では建設資材等に着目した公共工事や役務を含む分野において毎年度の調達方針の作成とこれに基づく調達の推進が進められているところである。
 本県でも、これまで『環境にやさしい県庁率先行動計画』及び『ISO14001』で、グリーン購入の取組みを実施してきているところである。
 また、本県では、県内の中小企業等の環境配慮活動への取組みを容易にするため、県が一定の基準を設け、環境配慮活動を認定・公表する独自の制度として、鳥取県版環境管理システム(愛称『TEAS(テス)』)を創設し、多くの県民の方々に取組んでいただいているところでもある。
 今回の調査では、本県と滋賀県での環境配慮活動の取組みを比較することができるとともに、出納部局における中小企業等への環境配慮活動への取組み支援、また環境部局との連携状況等について、その手法や内容を学ぶことができ、本県での環境配慮活動のさらなる推進を検討する上で大いに参考となった。

 「未利用県有地の売却促進策」は、滋賀県において財政危機を回避するためのプログラムに基づいて3年計画で取り組んでいる歳入確保対策の一環である。
 未利用県有地の活用や売却等の取組みはどの自治体でも取り組んでいるところであるが、歳入確保に向けて年次計画を公表し、取組体制、窓口を整備し、積極的に取組む手法は大いに参考となった。
 今後、他の県でも取組みを始めている未利用財産の証券化等の手法の検討と併せて、引き続き有効な利用地活用、売却促進策について調査していきたい。


岐阜県庁での調査



広域防災センターの状況調査

 岐阜県では、「消防学校」「育児退職者の復職制度」「新地震防災行動計画」について調査を行った。
 「消防学校」では、その教育訓練内容とともに、女性隊員への対応状況、広域防災拠点としての整備状況について調査した。本県でも、消防学校の機能強化、広域防災拠点としての整備について現在検討が進められているところであり、滋賀県での広域防災センターの活用状況、防災資機材の備蓄状況について調査できたことは大いに参考となった。

 「育児退職者の復職制度」は、全国初の自治体における育児退職者の復職制度であり、その創設経緯や内容について調査した。現在、全ての自治体では構造改革プラン等により職員の削減、人件費の削減に取り組んでいるところである。
 公務員の復職制度については、次世代育成対策の一環として始められたものであるが、職員の年齢構成への影響や、県民の公務員に対する厳しい目がある中での創設は相当の決断がいったものと推察された。
 本県でも、平成15年制定の「次世代育成支援対策法」に基づき、鳥取県特定事業者行動計画「子ども・子育て応援プラン」を策定し、職員向けに様々な子育て支援対策に取組んでいるところである。この応援プランの柱は、育児休業を取得しやすい職場環境づくりや男性の育児休業・休暇の取得促進等である。
 本県における育児のための退職者に対する復職制度については、今後、次世代育成支援対策として、育児休業の取得状況や応援プランの取組み状況、効果などを検証していく中で検討されるべきテーマと考えられ、その先進県である岐阜県の取組み状況を確認できたことは大いに参考となった。
 「新地震防災行動計画」は、防災に対する県民意識を踏まえて、全国初の県民に対する数値目標を導入した計画である。
 今回は、県民意識調査の内容やその結果を踏まえた計画策定について調査した。 予防、応急、災害復旧の三分野について、155の施策体系を盛り込み、その中に県民を対象として政策目標、数値目標を掲げている。計画の効果的な推進、普及啓発は、今後の課題とされ、市町村の理解、地域住民への啓発に力を入れていくことが説明された。
 地域防災力の強化や自助・共助の取組強化は、地域防災計画上重要な柱であり、県民に対する数値目標の導入による啓発手法は、今後の県民の防災意識の向上に向けた取組みの一つとして参考となった。
 

トヨタ自動車

 調査最終日には、トヨタ自動車における「カイゼン」をはじめとするトヨタ生産方式の手法を調査した。
 当日は、トヨタ自動車のリコール問題により、国土交通省から業務改善の指示を受けるなど、大変お忙しい中、池渕相談役(鳥取県出身)の御配慮により、相談役との意見交換を初め、トヨタ会館、元町工場の視察など懇切丁寧な対応に感謝申上げたい。
 今回、2006年度3月期連結決算で売上高21兆円を達成し、名実ともに日本を代表するリーディングカンパニーとなったトヨタ自動車を訪問し、各種ITS先端技術や実証実験について、また「カンバン」や「カイゼン」といった言葉に代表される「トヨタ生産方式」の基本概念、さらには燃料電池車の開発や環境問題への対応など、時代のキーワードをできるだけ詰め込んで、同社の強さを様々な角度から視察させて頂いた。
 特に、組立工場である元町工場の視察は、トヨタ生産方式の概念を実際の生産ラインで実践している様子を目の前で見ることができ、感銘を受けたところである。 こうしたトヨタ生産方式は、岩手県庁や郵政公社でも導入されており、生産現場だけでなく、人事や事務、経営全般に関しても通用する、普遍的な人材育成システムの一つと認識しているが、こうした取組みにもかかわらず、安全性、品質管理の面で、国の改善指導を受けたことは、改めて大規模組織における情報管理の難しさを実感したところでもあった。

 その他、今回の調査では、名古屋事務所の活動状況や防災ヘリ等を初めとする航空技術に関する博物館視察等、所管する様々な分野の調査を実施した。
全ての調査事項にわたって、各委員から積極的な発言、質問が繰り返され、調査時間が足らないと感じるほど充実したものとなり、大変有意義であった。

 今回調査したこれらの施策、取組については、今後の委員会活動の参考としていきたい。

 

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