令和3年度議員全員協議会議事録

令和4年3月24日会議録(確定版)

開催概要、資料はこちらです

出席者
(35名)

委員

市谷 知子        尾崎 薫
銀杏 泰利        坂野 経三郎
島谷 龍司        常田 賢二
中島 規夫        浜崎 晋一
濵辺 義孝        福浜 隆宏
藤縄 喜和        山口 雅志
内田 隆嗣        斉木 正一
澤  紀男        西村 弥子
野坂 道明        浜田 妙子
松田  正        森  雅幹
山川 智帆        興治 英夫
川部  洋        由田  隆
浜田 一哉        安田 由毅
広谷 直樹        西川 憲雄
福田 俊史        伊藤  保
語堂 正範        藤井 一博
鹿島  功        福間 裕隆
内田 博長

欠席者
(なし)



説明のため出席した者  平井知事、亀井副知事、西尾総務部長、水中危機管理局長、

            中西福祉保健部長、池上生活環境部長

職務のため出席した事務局職員  寺口事務局長


開会       午後1時00分

休憩       午後3時23分

再開       午後3時35分

閉会       午後4時07分

会議録署名議員  斉木議員  伊藤議員

司会       内田(博)議長

協議事項     別紙協議事項のとおり


会議の概要

 

午後1時00分 開会

 

◎内田(博)議長

 ただいまから議員全員協議会を開会いたします。

 まず、会議録署名議員に斉木正一議員、伊藤保議員を指名いたします。

 本日の議員全員協議会の議題は、島根原子力発電所2号機に係る事前報告に対する回答についてであります。

 平成2511月に中国電力株式会社から鳥取県知事に対して、島根原子力発電所2号機の再稼働に必要な新規制基準適合性審査申請に係る事前報告があり、同年12月に各種条件を付した上で最終的な意見を留保する旨の回答をしているところであります。昨年9月15日に島根原子力発電所2号機が新規制基準適合性審査に正式合格し、このたび米子市及び境港市から再稼働に対する意見が出そろったことを受けて、本日、知事から再稼働への意見を含め、中国電力への最終的な回答について説明を受けたいと思います。

 なお、執行部の説明に当たっては、自席で着座にて、マスク着用のまま発言していただきますようにお願いいたします。

 それでは、知事に説明を求めます。

 

●平井知事

 皆様、こんにちは。本日は、内田議長をはじめ皆様のお時間をいただきまして、御説明、御協議を申し上げたいということを提案させていただきました。これまで大変な御審議をこの議会でも賜りましたこと、まずもって御礼を申し上げたいと思います。

 今日、議題にさせていただきますのは、原子力発電所島根第2号炉のことでございます。これにつきましては、今、議長から簡単に御説明いただきましたが、平成2511月に中国電力から新規制基準の適合性、安全対策について報告がありました。安全協定の中身として、私たちはそれに対して意見を述べることができる。その意見を述べるということが、事実上、立地でやっている事前了解権の行使、これと等しいものだと私たちは考えているわけです。その意見につきましては、平成25年に、条件付でもう一回審査を受けてからやって来いと、こういうことにしてあったわけであります。昨年9月、そういう意味で中国電力から改めて意見をいただきたいという内容の文書が来たわけでありまして、今日はそれに対する回答ということになります。

 まどろっこしくて分かりにくいのかもしれませんが、これがどこの原発サイトでも行われ、島根県あるいは松江市などもそうでありますが、全部同じような安全対策の協議でございまして、いわゆる再稼働に向けた判断と世情言われるものになります。ただ、今日、皆様に後ほど詳しい状況、御説明を担当局長からさせていただきますが、事前報告に対する回答についてということでペーパーをつけさせていただきました。この中国電力への回答はそういう意味で、規制基準に係る安全対策について条件を付して了解をしようというもので、誠意ある対応を求める、安全を第一義とすると、そうしたことを骨子にして回答しようとするものでございます。そこに、米子市は議会と協議をしながら18日に取りまとめをされました。また、22日には境港市が同様の取りまとめをされました。そこにある考え方をベースにして、今日ここに用意をさせていただきました。

 さらにこの議会で、今議会中あるいは以前からもいろいろと御意見をいただいています。考えてみれば、平成25年に2号炉について最初の事前報告があって以来、この協議は事実上、県議会を舞台にして行われていまして、様々な意見の中で、今言うべきことも精査をした上で、ここに中国電力への回答あるいは国に対する申入れの中身として入れさせていただいたものであります。

 私たちは、周辺地域です。立地とは違って、直接の利益が明確にあるとは言い難いところがあります。ですから、皆様もそうでしょうし、私もそうですが、これについては慎重に、安全を第一義として厳しい目線で見ていく、これが私たちの基本姿勢だと思っております。言わば積極的にこれについて一種の了解を与えようという類いのものではなくて、慎重に一歩一歩、原子力発電所の安全を確認しながら進めていくものであります。

 今回、いわゆる再稼働同意ということが見出しに躍るわけでありますが、私はこれが最後の瞬間だと思っていません。これからが始まりだと考えるべきだと思っています。したがいまして、ちょっと変わったつくり方をこの文書の中でもさせていただいているわけです。今回は、新規制基準への適合性審査の結果に基づくものでありますが、今後、設置変更許可とはまた別に、工事計画の認可などいろんな手続が出てきます。そのたびに我々に報告をさせようと思います。そして、私たちはそれを見て、最初に今日我々としても真摯にかけさせていただきますが、私ども執行部で見た限り、専門家の顧問団の皆様の御意見を聞いて慎重に今日の時に至っていますので、御信頼いただきたいと思います。

 ただ、一定程度の安全性が確保されていると認められるとしても、今後、手続上ずれてくることがないわけではない。したがいまして、今後も目を皿のようにして私たちはこれに向き合う必要があるだろうと。今後も意見を述べた場合は、それに誠実に向き合ってほしいということも入れさせていただく、そういう意味で今日は最終ゴールではない。恐らく中国電力は私たちに最終ゴールを求めているかもしれませんが、私たちは今日がスタートだと考えるべきだと思っています。それが県民の皆様を守る、地域を守る、私たちのあるべき姿だと思っています。そういう意味で、他の周辺地域や立地地域とはスタンスの違うお話を今日はさせていただいていると思いますが、その辺に理由があるということをお考えいただきたいと思います。

 ですから、回答の文書の中で、私は事務方とここは意見が合わなかったのですが、再稼働を了解するという表現は入れなかったということです。つまり、今回の安全対策については了解しますと。そこがやはり正直なところだし、本来の照会も向こうから来た意見を求める、その部分もその部分として書いてありますので、この返答で十分ではないかと思っております。

 そういう意味で今日は出発点となる日であります。ただ、ここに至るまで、安全顧問の皆様方には多分20回以上集まりを開いていただいていると思いますし、最近でも3月15日と18日、それぞれの顧問の皆様に、議場で皆様がおっしゃった御意見や御質問をそのままぶつけて回答を求めております。そういうものを経た上での判断をさせていただきたい。皆様の御賛同をいただきたいと思います。

 それで、具体的な中身としては、先ほど申しましたように、今後も工事計画認可などいろんな手続の段階で報告をいただくということを盛り込む。さらにはバックフィットといいますが、新しい安全上の課題が出てきたら、それに合わせることの担保を取っておく。また、長いこと、この島根2号機は稼働していません。そういう意味で、それが十分に安全に動かされるように組織あるいは人員の能力向上をしっかり担保していただく必要もあるだろうと。さらには、武力攻撃の話とか。また、境港市が非常に注目されている汚染水対策については、一定の対策が取られていると、私も専門の顧問の先生からお伺いさせていただきました。ですから一定のものはあるのでしょうけれども、今後どう事情が変わるか分かりませんので、このことはぜひ境港市の御意見を入れて要求として出しておくべきだろうと。それから、協定書を重んじて信頼回復、必要な対策を中電でしっかりやってもらいたい。さらには前回、全員協議会でも御報告を申し上げましたが、やはり費用負担についても今後永続的な、恒久的な制度として協定を持つ必要があるだろうということです。

 これとあわせまして、国に対しても申入れをしようということであります。中国電力からこうした意見を求める報告が来ておりますが、国からも私たちへの働きかけがありました。そういうこともあって、どうしてもやはり担保を取る意味で、国に対してもしっかり申すべきだと。これは米子市長、境港市長もそういうお考えでありました。そういう意味で、今申し上げましたような安全対策がしっかりと実行されるように、それを国に対してもこの際、申し入れる必要があると思いますし、中長期的には再生可能エネルギーなど、できるだけリスクの低い、そうしたエネルギー源に国全体でシフトしていくべきだろうと思います。そういう対策を今後も進めていただくとか、それから核燃料廃棄物の問題であるとか、また、特に今、武力攻撃があった場合には、しっかりと国で防御体制を取っていただくとか、外交でそれに対処していただくとか、そうしたことも当然、必要だろうと思います。

 こうした様々な観点のもの、この議場で出た御意見も含めて、国への申入れ事項として別途、3番でつけさせていただいたところであります。

 詳細につきましては、局長の水中から御説明を申し上げたいと思います。

 

◎内田(博)議長

 続いて、詳細説明を求めます。

 

●水中危機管理局長兼原子力安全対策監

 詳細の説明をさせていただきます。最初に別冊の資料の1ページを御覧ください。島根原発について、これまでの経緯を説明させていただきます。

 島根原発の2号機につきましては、福島第一原発事故の平成24年1月27日に運転を停止し、その後、国で新規制基準ができました。それで、全ての原発は新規制基準を通さないといけないということになりまして、新規制基準に申請して今日に至っているところです。

 1ページの下段にございますように、2号機は福島原発と同じような沸騰水型と言われる原発で、平成元年2月に運転を開始して33年を経過しており、現在、新規制基準に合格し定期検査中でございます。

 4ページをお願いいたします。これまでの経緯でございます。中国電力は、平成251121日、これは9ページを見ていただいてよろしいでしょうか、安全協定に基づきまして、県と市に島根2号機の新規制基準適合性申請に係る事前報告ということで、これは立地自治体の事前了解と同じですが、県に事前に報告して意見をもらって、それについて誠意を持って対応するということで、申請に当たり、9ページの書類を県と市に提出してきたことでございます。

 次に17ページを御覧いただいてよろしいでしょうか。県では、この回答といたしまして、事前報告の可否に関しては最終的な意見を留保して、その最終的な意見については原子力規制委員会及び中国電力株式会社から審査結果の説明を受けて、県議会、県原子力防災専門家会議、米子市、境港市に意見を聞いた上で提出するということで留保しておりまして、今回、合格したので回答するようになったということです。その際に、2番から7番、立地自治体と同等に対応することとか、汚染水対策とか、地震をきちんと見てくださいとか、そういうことを留保とともに条件としてつけたところでございます。

 4ページにお戻りください。県と市のその後の対応でございます。令和3年9月15日に中国電力から審査合格の報告がございました。

18ページを開いてもらってよろしいでしょうか。中国電力からは、新規制基準に合格した、いわゆる原子炉設置変更許可をいただきましたと。このたびの原子炉設置変更許可に際して、改めて御意見を承りたいのでよろしくお願いしますということで、現在まで留保していた県と市の意見をくださいということで、この18ページの文書が出てきたわけでございます。

 また4ページにお戻りください。県と市につきましては、こちらを受けまして 以下の対応を行っております。まず、昨年9月15日に原子力安全対策プロジェクトチーム会議を開きまして、知事と米子市長、境港市長で今後の対応について確認いたしました。中国電力に対しては、審査結果を住民、議会、自治体へ説明するようにと、それから安全協定を改定するようにと。再稼働判断については住民及び原子力顧問の意見をよく聞いて、議会とも協議して、県、市が緊密に連携を取り対応していくということを確認し合ったわけでございます。

 19ページを御覧ください。次の日、9月16日には、これまで国からは立地自治体にしかこういう文書は来なかったのですが、今回、周辺自治体には全国で初めて、資源エネルギー庁長官から知事にこのような文書が来ました。内容は、島根原発2号機について、新規制基準に合格したので、再稼働に求められる安全性が確認されたと。したがって、国としてはエネルギー基本計画に基づいて島根原発2号機の再稼働を進めていきたいと。こうした国の対応について、御理解と御協力を賜るようにお願い申し上げますという文書が来ました。

 20ページ以降は、経産大臣が出している方針でございます。これを資源エネルギー庁長官から直接知事にオンラインで説明があったというところでございます。

 5ページにお戻りください。これを受けて、知事と米子市長、境港市長は、昨年10月6日に現地の視察も行いました。それから、1つ目のプロセスとして、原子力安全顧問による確認ということで、県では専門的知見からクロスチェックを行っております。これは、国で新規制基準を通ったのでよしとするのではなくて、県としてもきちんと専門家に見ていただいてクロスチェックを行っていこうというものでございます。多様な分野から顧問になっていただいております。32ページを御覧ください。現在、17名の顧問の方で、環境モニタリングから放射線影響評価、原子炉工学、放射性廃棄物、地震、地下水・地盤対策、原子力防災について、原子力関係の大学が鳥取にはないということで、全国の大学の先生に顧問となっていただいております。ただ、地震に関しては、鳥取大学の香川先生と、それから鳥取県西部地震でもお世話になっております西田先生に参加していただいている。それから汚染水対策については、鳥取大学の河野先生にお世話になっていると。このようなメンバーの方にクロスチェックをしていただきました。

 また5ページにお戻りください。このような会議につきましては、顧問会議として25年以降ずっと行いまして、7年9か月にわたって先生に見ていただきまして、顧問会議は12回、ワーキンググループとして11回、それから現地視察を3回やっていただいているところでございます。昨年1017日には現地視察を行い、中国電力が実施している汚染水対策を含む各種安全対策について実際に確認していただき、中国電力からの説明も受けました。それから、昨年11月8日には、国から原子力防災、規制庁から検査結果、資源エネルギー庁からエネルギー政策について聞き取りを行って確認しております。それらを受けまして、中国電力の自主的対策も含め、島根原発2号炉の安全確保に必要な対策が講じられているとの意見を1117日に顧問から県にいただいたところでございます。

 6ページをおめくりください。その中で、安全確保に必要な対策が講じられていることを確認したと顧問から承ったところでございます。今年、3月18日には、これまでの住民説明会、原子力安全対策合同会議、それから県議会での今回の代表質問、一般質問の御議論、市議会の御議論も踏まえ、改めて論点となるところを顧問の先生に説明いただいたところでございます。職員でも10月7日から5回ほど、中国電力から聞き取るとともに、3月15日には先生にも参加いただきまして、県議会でいただいた基準地震動あるいは電源対策、人材育成についても確認しました。

 次に、住民への説明です。これにつきましては審査結果をはじめ原子力防災の取組やエネルギー政策などの情報提供を行ってきました。県と市が主催で住民説明会を開催するとともに、中国電力にも住民に説明するように申し入れました。

 県・市主催の住民説明会につきましては、7ページを御覧ください。原子力規制庁、内閣府、資源エネルギー庁、中国電力等からそれぞれ審査結果、原子力防災の取組、エネルギー政策、島根原発の概要、必要性等について説明を受けました。ここに書いてありますように5回やっております。それから、中国電力にも説明するように申し入れておりましたので、中国電力は昨年1015日と1018日の2回説明しました。それから、米子市と境港市の原子力発電所環境安全対策協議会、これはそれぞれの市の各種の団体から委員を出していただいて島根原発等の環境モニタリングあるいは島根原発の安全性を確認する協議会でございますが、昨年1018日と1028日に委員の方々に視察いただきました。それから、合同会議といたしまして11月8日、これは県と米子市、境港市の先ほどの協議会が合同で開く会議でございますが、ここでも国、中国電力から先ほどの住民説明会と同じような説明を委員に聞いていただきました。それから、1122日には、安全顧問からの安全性に関する意見も聞いていただきました。

 今年2月上旬には、委員の方にアンケートを実施いたしました。これについては、既にお配りしているものですが、93ページに入れております。委員の方々からは、93ページからずっと続きますように、多様な意見をいただいております。例えば、島根原発2号機の審査結果については、合格は妥当であり安全性は確保されているとか、次のページをおめくりいただくと、合格は原発の安全性を保障しないとか、非常に多様な意見をいただいております。自後、それらの意見を全てフルでここに掲載させていただいております。

 8ページに戻っていただいてよろしいでしょうか。そのような中、2月15日は、米子市と境港市の安全対策協議会を開催いたしまして、米子市と境港市は、このアンケート結果を報告いたしますとともに、さらに委員から追加の意見をお聞きしております。2月16日は、県と市の合同会議ということで、米子市長と境港市長からその安全対策協議会でどのような意見があったということをお聞きして情報共有を図ったところでございます。

 これが経緯でございまして、次に、本編といいますか、配付資料を御覧ください。島根原発2号機に係る事前報告に対する回答という資料でございます。後ろから3ページになりますが、1つが、米子市長からの安全対策に対する意見ということで、このようなペーパーを頂いております。内容につきましては、米子市は3月18日に、住民の意見、専門家の意見、それから市議会との御議論を経て、このように判断されて、県に報告いただきました。ちょっと読ませていただきますと、事前報告のあった件について、下記の条件を付して了解することとし、島根原発2号機の再稼働については、安全を第一とすることを前提に同意しますということで、中国電力に対する条件、それから国に対する申入れということでいただいております。内容については後ほど説明させていただきます。

 次のページが境港市からの回答でございます。境港市は、同じように3月22日に市議会との御議論をして判断していただきまして、米子市と同じく、島根原子力発電所2号機の再稼働については、安全を第一に同意しますという意見をいただいております。同じように中国電力と国への申入れということで書いてあります。特異点といたしましては、境港市の場合は、中国電力には汚染水対策を実施すること。それから、国への申入れについては、境港市の6番、7番、8番、9番にありますように、周辺地域の声が反映される仕組みとか、汚染水対策、それから使用済燃料の再処分、再生可能エネルギーの件について申し入れしてくださいといただいたところです。

 それでは、1ページといいますか、中国電力への回答及び国への申入れを御覧ください。このような米子市と境港市の御意見を踏まえ、県では、案といたしまして、平成251121日で報告のあった原子炉等規制法の改正に伴い新たに施行された規制基準に係る安全対策については、安全を第一義として下記の条件を前提として了解するものであり、貴社の誠意ある対応を強く求めるという回答案を作成しております。それではどのような条件かといいますと、それは2番に書いております。

 冒頭、知事からもございましたように、我々これがスタートですので、これをもって終わりでないということで、(1)は、顧問の先生からも、市からも、議会からもございました、新規制基準の適合をもって終わりではなく、ゼロリスクを追求し続けること。このためには常に最新の知見、いわゆるバックフィットをして、自主的にも安全性向上の取組を進め、最先端の対策を取ることと、万が一事故が発生した場合には、責任を持って完全かつ十分な賠償を行うこと。(2)は、今回、設置変更許可でこのような判断をしているところでございますが、今後、法令の手続といたしましては、工事計画認可、それから保安規定の認可がございます。それらに真摯に対応して、その状況を適宜、鳥取県と米子市と境港市に報告して、県民にも分かりやすく説明し、この際、もし何かあれば本県より意見を提出すること。その場合は誠意を持って対応することを、特に(1)、(2)で付け加えております。

 その他、県からは、これは、やはり車と一緒でずっと止めておくと、機械というものは故障が起きる可能性があるということで、長期にわたる停止後の再稼働、10年ぐらいになりますので、これを動かすときは格段の緊張感を持って安全を第一義として取り組むこと。また、必要な安全性を確保するため、組織的、人的能力の向上に向けと。幾ら機械化あるいはコンピューター化が進んでも、最終的には人間ですので、ここも特に入れさせていただいたところです。

4番については、中国電力に対しても武力攻撃に対する対応、特に緊急を要する場合は国からの命令を待たずに直ちに運転を停止することを申し入れています。

 5番については、これは境港市からもありましたが、境港市は水産業のまちでございますので、万全な汚染水対策、先生にも確認していただいておりますが、引き続ききちんとやっていただきたいという意味で書いております。

6番は、安全を第一義として、安全文化の醸成、失われた信頼回復、それから必要な対策の実施状況について適切に情報提供を行うこと。

7番として、今後、原子力防災対策については、誠意を持って協力を行うこと。それぞれの責務ということで、原子力発電所の外の防災対策については、法令上、自治体がやらなければならないのですが、それについても中国電力がしっかり連携して協力するようにということで、先般、恒久的、永続的な財源のお話もございましたが、それらを含めて契約として協定を締結することを求めたいと思います。

 おめくりください。国への申入れです。これについては、原発の法令上の権限は全て国にあるので、国にもしっかり申し入れることが大事だろうということで、申入れ事項として列挙しております。(1)としましては、安全確保について今後行われる工事計画認可等について厳格な審査を行い、あわせて、安全性で新たな知見、いわゆるバックフィットがあったときは、速やかに新規制基準に反映させて見直すこと。その内容について県民に分かりやすく説明し、厳格な審査を行うこと。

 2つ目としては、島根原発2号炉の再稼働について、政府を挙げて必ず安全が確保されるように厳しく指導監督すること。安全の確保について、政府が責任を持って行うこと。万が一事故が発生した場合は、全責任を持って賠償すること。

 3つ目に、中国電力が行う汚染水対策を適切に実施させること。

 4つ目は、使用済燃料。これについては本来、事業者がやるべきことでありますが、国が前面に立って責任を持って対処してほしい。

 5つ目は、再生可能エネルギーでございます。主力電源化、導入を効果的に進めて、可能な限り原発依存度の低減に向けた対策を講じること。

 6つ目は、鳥取県と米子市、境港市における安全対策、原子力災害時の避難対策について、政府内の調整を図り、現在、吉岡(温泉)インターの下りたところ、今後は西部、日野郡にもつくりますが、原子力防災支援基地の早期整備をはじめ、原子力防災対策に必要な財源を確保・措置すること。

 7番目は、原子力防災の体制の確立について、避難計画の実効性をさらに深化させるため、島根地域原子力防災協議会などを通じて、引き続き国が責任持って取り組むこと。

 8つ目は、今後、再稼働を進める際に、周辺地域の声が確実に反映される法的な仕組みが現在ございませんので、きちんと法的な仕組みをつくっていただきたい。同意を求める範囲、周辺自治体の位置づけを明確にすること。それから、立地自治体のみならず、周辺自治体も同じように原子力防災対策を行わなければならないので、その制度と実情にある以上、周辺自治体のこういう現実に見合うような相応の財政的配慮の制度化。

 9つ目に、島根原子力発電所の事故時の避難については、島根県からの避難者も弓ヶ浜半島を通過する計画となっており、境水道大橋あるいは江島大橋を通過して弓ヶ浜半島を避難経路として使います。そういう特殊性、それから弓ヶ浜半島は避難経路が内浜と外浜に限られるという特性もございますので、円滑な避難を行うためには米子-境港間の高規格道路が必要であり、早期に整備を行うこと。

それから、原発への攻撃について、これについてはもう有事でございますが、これへの対処、十分な安全対策、原子力防災対策に係る関係法令の検証、それからその内容については県民に分かりやすく説明するとともに、やはり有事ですので、外交等を通じて毅然として対処して抑止を図っていただきたい。あわせて、原子力発電所への武力攻撃については、自衛隊による対処も含めて万全を期していただきたい。また、原子力発電所への武力攻撃が懸念されるような事態には、国民保護法によって原子力規制委員会が原子力事業者に運転停止を命ずることができますので、必要な場合はきちんと運転停止を命じるとともに、緊急を要する場合は事業者自らが直ちに運転停止できるように指導を行っていただきたい。それから、住民の避難については国民保護法に基づく国民保護措置になり、自治体は法定受託事務で避難を行うことになります。このような有事の事態におきましては、政府で責任を持って体制構築と現場支援を行うことを申し入れたいということでございます。

 以上で詳細な説明を終わらせていただきます。

 

◎内田(博)議長

 それでは、質疑に入ります。議員の皆様には中央のスタンドマイクへ移動の上、マスク着用のまま御発言をいただくようにお願いをいたします。

 なお、円滑な議事進行のため、重複を避け、簡潔に質問していただくようにお願いをいたします。

 ただいまの説明に対して御意見、御質問等があればよろしくお願いいたします。

 

○浜田(一)議員

 県議会自由民主党の浜田でございます。中電への回答の位置づけと島根原発2号機の安全性につきまして、改めて知事に伺いたいと思います。

 本日採択されました中海・宍道湖・大山ブロック経済協議会からの陳情理由にあったように、我が国は、化石燃料のほぼ全量を輸入に頼り、今まさにウクライナ情勢により原油や天然ガスなどエネルギー価格が高騰しており、今後、電力料金に反映されれば、県民の暮らしや企業の製造原価の上昇に直結することが懸念されています。さらに、今月16日の福島県沖を震源とする地震で一部の火力発電所が停止している上、気温低下で暖房用の電力需要が急増、経産省は21日に東電、22日は東北電管内で電力需給逼迫警報を発令し、節電を呼びかけておられます。再生可能エネルギーだけでは電気が足りないということが明白になったと思います。

 こうしたエネルギー安全保障の観点と、カーボンニュートラルの両立のためには、原子力を含めたエネルギーのベストミックスが不可欠であると考えます。よって、安全を第一義として、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し、原子力発電所の再稼働を進めるという国の方針に従い、島根原子力発電所2号機の再稼働も認めるべきであり、知事の先ほどの御説明にもありました考え方、御意見に賛同するものであります。

 その上で、2点確認をさせてください。まず、このたびの回答では、中国電力に対しては、平成2511月の島根原発2号機の新規制基準適合性審査申請に係る事前報告への回答として、条件を前提として安全対策を了解すると回答されています。これは、島根原発2号機の再稼働に必要な新規制基準に適合させるための安全対策について、安全協定第6条第2項に基づき、条件付で了解するという意見を述べられているものと理解しています。安全協定上、原発の再稼働に関する手続は定められていませんので、こうした回答になるのだろうとは思いますが、この回答をもって中国電力は、島根原発2号機の再稼働を鳥取県が容認したと受け止めればよいのかどうなのか、その回答の位置づけについて知事にお尋ねします。あわせて、再稼働に関する安全協定上の取扱いは、立地自治体も同様であることから、立地自治体である島根県が回答する場合も同様の内容となるのか、分かる範囲で教えていただければと思います。

 そして2点目ですが、米子市及び境港市の安全対策協議会委員のアンケートを見ますと、いまだ原発の安全性に対して不安を抱いている御意見がありました。県では、原子力規制委員会による審査状況について、原子力安全顧問に随時確認をいただいていたと思いますけれども、福島第一原発事故の教訓を踏まえてどのような点を重点的に確認し、島根原発2号機の安全性確保に必要な対策が講じられていると判断されたのか、お尋ねいたします。

 

◎内田(博)議長

 答弁を求めます。

 

●平井知事

 浜田一哉議員の御質問にお答えを申し上げます。

 まず、今回の回答が再稼働判断なのかということ。先ほど分かりにくい説明で恐縮でしたが、いわゆる世間で言う再稼働判断と見出しがつくものだと思います。ただ、厳密にいこうと考えております。議員もおっしゃいましたとおり、もともと協定の6条で、向こうが求めてくるのは設置変更許可と言われるものであります。実は、このタイミングしか地元に協議をすることはないと協定には定められています。ですから、このタイミングをもって回答するのが一番重みもあるし、正式なものであると。そういう意味では、いわゆる再稼働についての同意を求めてきているタイミングでお答えをすることになります。ただ、先ほど申しましたように、これで再稼働の扉を一気に全開していいのだろうか。特に我々は周辺でありますので、やはり一歩一歩確認をしながら、今後も中国電力とコミュニケーションを取っていく。それを住民の皆さんも含めて節目、節目で納得しながら進めていくプロセスが必要ではないか。それを条件づけとして、今回は入れさせていただいているわけです。ですから、ちょっと特殊なやり方を考えていると御理解をいただけたらと思います。

 島根県が果たしてどういう回答をされるかは、私どももはかりかねるところでございますが、一般論として申し上げれば、了解を求めますと来まして、了解しましたと返す、その協定上の中身はうちと同じように設置変更許可と言われるような今回の安全対策のところでございます。ただ、これ以外に手続がないのも事実ですし、これを認めることで、実質はその後の手続が全部流れていく仕掛けになっていますので、そういう意味で再稼働という言葉が使われるかもしれません。そこは分かりません。ただ、もし今日御了解を皆様で得られるのであれば、我々は島根県にも意見を求められているので返さなければいけませんが、その際に、そういう段階の節目節目で意見を求めることの重要性は島根にも説明してまいりたいと思いますし、島根県でも考えていただけるように話合いをする必要があると思います。ただ、いずれにせよ、我々は単独で中国電力に回答できますので、その中では採用させていただきたいと思います。

 安全性の審査については、詳細、局長の水中からお答えを申し上げたいと思いますが、例えば地震のことが地元で大変議論になりました。宍道断層があります。この宍道断層の存在とかその長さについては、境港の市議会でもそうだと思いますが、私どもも随分繰り返し議論したものです。これについては結局39キロというかなり長い形で、今回、審査がなされたところであります。鳥取大学名誉教授の西田先生がおっしゃっていましたが、その両端のところの調査をしっかりやっていて、ここはやはり通過していないと。そうすると、その間で考えればよいとおっしゃっていました。そうしますと、それで820ガルという基準地震動になります。そういうことを先生方も検証していただいて、クロスチェックを規制委員会の結果に対してなされました。我々もそれを伺ってみて、納得できる内容だったと思います。

 そのほかにも、例えば福島原発のときには津波の問題がありました。津波に対する高さも、この規制委員会の審査中に基準になる高さが11メートル以上引き上げられておりますし、また、防波壁についても、耐震性のあるものに入れ替えられたり、当初の中国電力の想定とは違ったものになっています。それから、原子炉のつくり込みにつきましても、例えばフィルターベントの話であるとか、それから万が一冷やす機能が止まったときの水の供給とか、電力の供給とか、そうしたことも審査を経ておられますが、これもクロスチェックをしています。詳細は局長からお話しします。

 

●水中危機管理局長兼原子力安全対策監

 それでは、原子力安全顧問の確認について補足の答弁をさせていただきます。

 原子力安全顧問には、先ほど申しましたように、いろいろな分野から御確認いただいてクロスチェックしております。その内容については、例えば別冊の36ページを見ていただけませんでしょうか。主な確認項目として、地震、津波とか審査のほぼ全ての分野について見ていただきました。その方法といたしましては、規制委員会の審査が終わりましたら中国電力を呼んで説明を受けてヒアリングして、実際に資料を見せていただいて、そこで、逐次その場で確認していくという方法、それから、それらについてさらに現地に行って実際見るという方法を使いまして、この36ページにある主な項目を見ていただきました。特に宍道断層については、非常に長い期間審査されましたので、例えば鳥取沖西部断層と連動するかしないかとか、そういうところは西田先生、香川先生という専門の先生にきちんと確認していただいたところでございます。

 さらに37ページ以降、これは概要になります。顧問の方にずっと審査を見ていただいて、それぞれの審査項目についてもう一回確認していただいたのをまとめたものでございます。例えば、46ページからは基準地震動、地震とか断層とかの確認でございます。原子力安全顧問による確認は、47ページにありますように、それぞれ先生が視点を設けられまして、その視点について異常がないかということで、例えば原子力安全顧問により確認と書いておりますが、このようなことをどんどんどんどん確認していただいて、全ての審査項目を先生に確認していただいたと。人材育成とか、審査項目以外のことについても確認していただいたところでございます。

 

○安田議員

 県議会自由民主党、安田由毅でございます。

 まず、第6次エネルギー基本計画においては、我が国としては安全を最優先し、経済的に自立し脱炭素化した再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減するとされています。一方、ロシアによるウクライナ侵攻後、エネルギー価格の高騰が続く中、経済団体や国会議員の中で原発の早期再稼働を求める声が高まっております。いずれにせよ、現時点では太陽光発電や風力発電など、主な再生可能エネルギーは気象条件に左右される不安定な電源であること、また、化石燃料の大部分を輸入に頼らざるを得ない状況を考慮すると、安全性の確保を大前提に、優れた安定供給性と効率性を有している原子力発電を重要なベースロード電源として引き続き活用することが必要だと私は考えております。こうした中、UPZに係る米子市及び境港市から再稼働に同意する判断が示されたわけです。私もその中に住む一人であります。そして、両市が再稼働に同意する条件についても、このたびの回答に附帯条件として網羅する形で盛り込まれていますので、広域自治体である県として、地元自治体の判断を尊重し、条件付で了解する知事の意見に賛意を表したいと思います。

 その上で、お尋ねいたします。我々、UPZに居を構える者としては、やはり万が一、放射能漏えいといった事故が発生した場合に、安全に避難できるのか不安が残る、これは紛れもないことでございます。そういった観点から、避難計画の実効性の確保は重要だと考えています。つきましては、避難計画については、島根地域の緊急時対応として、昨年9月に総理を議長とする原子力防災会議で了承されていますが、鳥取県原子力安全顧問の御協力をいただくなど、避難計画の実効性について今後さらなる磨き上げが必要だと思いますが、知事の所見を伺います。

 また、万が一、原発事故により避難が必要となった場合、避難計画においては、島根県から約9万人、境港市、米子市の約7万人、合わせて最大約16万人の住民が弓浜半島を通って避難することが想定されています。私たち境港市民にとって、美保関、そして島根半島、八束町、島根県側の住民は古来よりつながりも深く、県境が定まるはるか前から共に重なりながら生きてきています。この圏域の避難をより円滑に行うためには、今回の案に記載されていますが、境港市から意見として出ている、現在凍結されている米子-境港間の高規格道路の実現が必要であります。そのために、我が県だけで働きかけるのではなく、立地自治体である島根県及び松江市、そして事業主体の中国電力の御協力をいただき、国土交通省と連携して避難路の補完としての整備を急ぐこと、それが行政、そして政治ができる最善の道と考えますが、知事の所見を伺います。

 

●平井知事

 安田議員からお尋ねをいただきました。まず、避難計画についてお話がございました。これにつきましては、筑波大学の梅本先生という専門の先生に私どもの顧問会議に入っていただいております。このたび18日に先生から重ねて、この避難計画についての評価をいただきました。この議場でも今回、議会に出ていただくことも踏まえての御発言があったということで御理解いただければと思います。詳細は水中からお話を申し上げますけれども、評価をいただいたと思います。それから、御指摘がございましたが、政府の協議会におきましても、これは内閣が絡んだ認定をもらっているということももちろんありますし、年々避難計画に基づく避難訓練をやってバージョンアップを図っていることなどが御評価の対象になったと思います。

 ただ、これからも訓練を積み重ねながら、さらにその避難計画のレベルアップを図っていくこと、そういう安全対策は重要という御認識だったと思います。したがいまして、今後とも両市と協力をしながら、避難計画のバージョンアップを図ってまいりたいと思います。

 もう1点の避難路について、平成18年に米子-境港間の道路、これは事実上やらないことになりました。米子-米子北という、本来であれば市直轄でやるところ、こうした計画が全部凍結をされましたが、その後、県議会でも安田議員をはじめ、数重ねての議論がございまして、今、国と折衝をしているところでございます。今回、境港市長、市議会の御意向を受けてこの回答の中に明確に記入をさせていただくことで、今後の弾みになると考えております。立地の協力もということでありますが、これは八の字道路、431号線の延長を見ていただきますと、宍道湖・中海圏域の両方にまたいで八の字を描く道路の一部でございます。したがいまして、これは国交省、それから両県一緒になって検討する中で、この道路の必要性を議論してまいりました。今後も電源地域と協力をしながら実現を図ってまいりたいと思います。

 

●水中危機管理局長兼原子力安全対策監

 避難計画の実効性について補足の答弁をさせていただきます。

 鳥取県の避難計画につきましては、島根地域の緊急時対応として、この緊急時対応と申しますのは、鳥取県、島根県、各市の避難計画、それから各省庁の対応を取りまとめたものを申しておりますが、その島根地域の緊急時対応が、原子力基本法に基づいて設置され、内閣総理大臣が議長でございます国の原子力防災会議で具体的かつ合理的なものとして了承されたものでございます。その中で、万が一の原子力災害時には国を挙げて対応すること、それから不測の事態が発生した場合には、自衛隊、警察、消防、海上保安庁等による実働組織による支援が実施されることも確認されているところでございます。

 それで、原子力安全顧問、これは3月18日に県議会の御議論等を踏まえて開催したものでございますが、その中で原子力防災の専門家である先生からは、この島根地域の緊急時対応が原子力防災会議で了承されていると。顧問としては、この避難計画は一定の実効性があると評価していただいております。万が一の原子力災害発生時には国を挙げて対応すること、それからさっき言いました自衛隊等の支援があることをもって、一定の実効性があると。ただ、先生は、つくって終わりではないと、これをいかに磨き上げていくかということで、引き続き実効性を確保していくことが大事というコメントをいただいております。このため、避難計画の見直しや、原子力災害に住民が的確に行動できるよう、計画内容の周知、それから原子力防災に係る取組を継続して行っていくことが必要であると。他の先生からは、多くの住民の方も参加できるように、そのような訓練をやっていくことが必要だという意見もいただいております。避難計画の実効性向上のため、今後、訓練の実施、新たな知見、そして住民の方が的確に行動できるよう計画内容を周知していって、実効性向上に引き続き努めていきたいと。我々は、避難計画の整備に完璧や終わりはないと。今後も訓練を通じて、米子市、境港市、そして関係自治体と一体となって継続的に避難計画の充実・強化に努めていきたいと考えております。

 

○山川議員

 無所属の山川です。3項目質問させていただきたいと思います。

 まず、再稼働判断については、知事はスケジュール感がないとおっしゃられましたが、裏腹に、2月定例会の会期中に一気に手続が進みました。これをスケジュール感はないと言われても、そう受け取ることができないのが一般的な感覚ではないでしょうか。まして改定される安全協定の正式な調印式も行われていません。

 中国電力は、事前了解権、立地自治体、周辺自治体を同等とする文書を提出されるということですが、この新文書を誰か見た方はおられますか。知事は見られましたか。水中局長、見られましたか。議員の中で見た人はいますか。マスコミの中で見たことがある人はいますか。肝腎要の文書を見ていないのに、なぜ再稼働のジャッジができるのですか。こんな無責任な話ありますか。議員、マスコミでさえ見ていないのであれば、なおさら県民の皆さんに、果たしてその改定内容が具体的にどのように担保されるのか、明るみに出ないうちに知事は再稼働に同意してもいいと判断されるのでしょうか。それでは、県民の、特にUPZ圏内の米子・境港両市民の納得は得られません。

 そして、変更設置許可の審査以外にも、まだ保安検査、工事計画、工事方法の検査も残っている段階で再稼働に同意するというのは、無責任な話ではありませんか。いかがでしょうか。まず、1点目の項目の質問ですけれども、なぜこんなに再稼働判断を急ぐのでしょうか。現状、安全協定は改定されていません。調印式は済んでいません。やはり自ら事前了解権と同等となる文書を見て、安全性の担保を確認した上でないと、再稼働という重い重い判断はできません。安全協定の調印式が終わり、事前了解権と同等となる文書を確認した後に、再稼働判断をすべきだと考えます。

 そして、2点目の項目です。米子市長は3月9日の市議会の会派別質問で、島根原発2号機のプルサーマル発電について、中電からMOX燃料を使用するとの話は聞いていない。今回述べる2号機についての意見は、MOX燃料の使用を想定したものではないとしています。プルサーマルは2号機の審査に織り込み済みで議論をすることはないとする県のスタンスと違いますが、大丈夫でしょうか。こんな大事なことが誤解で済みますか。境、米子、鳥取県の三者が共同して中国電力に声明を出されると思いますが、異なる見解はあり得るのでしょうか。

 そして、そもそもプルサーマル発電がどういうものかについて、30キロ圏内の住民はほとんど説明されていないのが実情です。松江市や島根県はプルサーマル発電をするに当たって事前了解の手続を既にしていて、住民説明会もしています。住民に対する説明が圧倒的に足りていない状況ですが、いかがでしょうか。

 3点目です。国際情勢を踏まえた中でのこの再稼働の判断なのでしょうか。ロシアが原発を攻撃、占拠され、その中で鳥取県は国際情勢を踏まえた中での非常に重たい重たい判断をされるわけです。ただ、原発について、新規制基準でテロ対応がされているから大丈夫だと言われますが、果たしてそうなのでしょうか。確かに原子炉等規制法において、意図的な航空機衝突などのテロリズムに備えて、それを事業者に要求していることは確かです。しかし、中国電力の説明によると、有事の際、放射性物質をホースで放流でたたきつけるという極めて原始的なやり方です。3月11日の参議院災害対策特別委員会において、原子力規制委員長の更田委員長の質問のやり取りですが、原子力施設において武力攻撃は想定していないとされています。攻撃対策については、放射性物質を全て地中深く埋める以外、なかなか考えることは難しいとおっしゃられています。

 ロシアや北朝鮮は隣国です。原発が稼働しているときに攻撃対象になるのと、稼働していないときになるのでは、破壊力、ダメージは大きく異なります。これは、政府においても武力の攻撃を考え、どれぐらい被害があるのか既に研究されています。研究レポートがあります。国際ルールにおいては、平和目的の原子力施設を攻撃対象としないというルールがありますが、このルールが戦時下においては守られていません。再度、国を通じて国際社会に求める必要があります。そして、我が国においては、原子力施設の武力攻撃を想定していません。想定外とせず、想定内の安全対策を求めるべきだと思います。

 3月22日、境港市と米子市の2号機の再稼働の安全対策に対する意見として、2号機の再稼働については安全を第一に同意しますとあります。しかし、国や中国電力に対して申入れ、要望だったり、多々の宿題が出ている、これは事実です。先ほど申しました武力攻撃、核のごみの問題、周辺自治体の声を反映する仕組み、同意を求める範囲、要は事前了解権だと思います。これらの宿題を県は取り入れ、附帯条件としてつくられましたが、この宿題は多岐にわたります。そしていずれも簡単なことではありません。いずれも重要なことであって、安全を担保するための根幹に関わるものです。賛成と言われたり、反対と言われたり、今、署名活動を行われたり、署名活動を行われなかったり、不安に思われたり疑問に思われている方がたくさんおられます。いろんな方の声を聞かれたと思います。でも、誰しもがやはり安全が第一だと思っています。そして、誰しも戦争があってはならないと思っています。しかし、このような今の国際情勢の中で、安全を担保するためには何ができて、何をしないといけないのでしょうか。

 そこで、繰り返しになりますが、事前了解権と同等となる文書、これを見ずして再稼働判断、この重い重い判断が今ここで求められていいものでしょうか。そして、事前了解権となる文書を誰も見ずに無責任にジャッジした場合、誰が責任を取るのでしょうか。同調圧力に屈せず、慎重に住民の安全を担保するという、自らの目で見て正しく判断されるよう求め、知事の回答を待ち、質問を終わります。

 

◎内田(博)議長

 答弁を求めます。

 

●平井知事

 山川議員からの御質問にお答え申し上げます。

 まず、再稼働判断についてのスケジュール感がないと申し上げていたのは、皆さんも議事録を読み返していただければお分かりだと思いますけれども、両市の判断、それから専門家の御見解、そして県議会の御意見を踏まえて判断すべきものであると申し上げ続けてまいりました。しかるに、これまでその両市も判断をされました。そして専門家も御見解を示されました。そこに至るまで、ワーキングだとか、あるいは本チャンの委員会を含めて30回、非常に多くの回数、皆さんで時間を割いていただいて、議論をしていただいています。今日、この説明の中に、資料にも網羅的につけさせていただいているわけであります。

 また、住民の皆様の意見を聞く、そういう意味での安対協と言われます環境安全対策協議会、こういうものも両市で開催をされ、全てそうした意見もアンケートでまとめられてきているわけであります。言わばそういう意味で、議論は出尽くしている状態になっていますし、私が申し上げていた、特に我々は広域団体でありますから、地元の両市の考え方を基本にして判断すべきだと申し上げてまいりました。これが出そろったわけであり、専門家の御意見等々も踏まえれば、ここは議会に諮るべきだと。ここで諮らないのは、私は不誠実だと思います。したがいまして、今日この議会、閉会後ではございましたけれども、全員協議会での御協議をお願い申し上げたということであります。

 それで、事前了解権がなければ判断してはいけないということは誰も言っていない。前回の全員協議会は山川議員も出ていたはずです。そこで4つのポイントがあって、ほかの燃料輸送の問題、それから措置要求権の問題、立入調査の問題、そういうものは全て満たされたと。それとあわせて、事前報告というものと事前了解というものの差が、言葉の差はあるけれども、これは同じように運用したらいいではないかと。これが議会での御議論の主流の話だったと思います。ですから、ここにおられる皆さんは、実質的には事前了解と同等のものがあるだろうと。ただ、その担保を取る必要があるので、それは文章化したものを出しなさい、そういうことが宿題でありましたから、私も中国電力と交渉しまして、実際に副社長からそうした文書を出すということで明言もあったわけであります。

 そういう意味で、前の全員協議会のときに、この改定協議については了とされたわけでありますから、それでこの問題については一旦決着をしたわけです。したがいまして、次に再稼働判断に進むというようなプロセスになったわけです。過去の議事録を全部読み返していただいて結構ですけれども、それと寸分たがわない、そういうことであって、今、山川議員がおっしゃっているのは、ちょっと――だと思います。事前了解権がなければ判断してはいけないという議論を、この議場ではやっていないです。したがいまして、我々は、この安全協定を結んだということは、契約上の当事者になっているわけです。意見を求められているわけですから、意見を返す、言わば責務もあるわけでありますし、それをいたずらに引き延ばすこと、これはやはり私企業である中国電力に対する一つのエチケットということもあると思います。材料がそろって、その判断の時期がやってきたということで、私としてはちゅうちょなくこの場に諮らせていただいたものであります。

 ただ、誤解なきように申し上げれば、先ほど申し上げたように、これで一気に決着して全部終わりというつもりはないわけです。今日が一つの出発点であって、これを機に、今度は新しい中国電力とのパートナーシップ、新しい関係をつくなりがら、本当の意味の安全を我々は追求していくと。そういう立場に立ちたいということであります。

 MOX燃料につきましては、私は米子市の答弁は承知しておりませんが、我々はMOX燃料についての協議は受けておりません。したがいまして、今日、この場で御議論されるときに、その判断は不要だと思います。頭から消していただいたほうがいいと思います。そうでないと相手の術中にはまるだけです。交渉というのはそういうものです。MOX燃料の議論を向こうは持ち出していないわけですから、それが出てきたときに私たちは改めて議論をすればいいと思います。

 ロシアのことについて、安全対策というお話がありました。詳細については局長の水中からお話を申し上げたいと思いますが、これについて、更田委員長のお話の内容というのは私も拝見をさせていただきましたし、新聞記事等でも拝見をさせていただきました。一つのテロ対策の仕組みが実は新規制基準の中に入っているわけですね。それによって一定程度の安全確保というのは図られていると。恐らく、福島原発事故前と後では、その辺は大分違う状況になっています。

 今回のチェルノブイリに入り込んだあの状況、あるいはほかの原発サイトも含めて、一種のテロに等しいようなやり方であって、そういうものに対する一応の対策というのは様々な形で取られていると、更田さんはおっしゃっておられました。ただ、そこにIAEA憲章に反する、あるいはジュネーブ条約に反するような形で原発に対する攻撃がなされるというのは、やはり想定されていない。世界中どこもそうだと思います。したがいまして、それについては課題はあるのだろうと、こういうお話だと思います。

 戦争になったら、今、連日報道されているように、どこが戦場になるか分かりません。それはこの議場にミサイルが落ちてくるかも分からない。あるいは、ショッピングセンターかも分からない。どこも守らなければいけないわけです。そういう中で、原子力発電所というのは、そのうちの一つなのだろうと思いますが、我々としては、やはりこの原発についてはトッププライオリティーで防御すべきだということは、意思表明しておいたほうがいいのではないか。そういう意味で、今回のこの条件づけの中に入れさせていただいたということであります。

 

●水中危機管理局長兼原子力安全対策監

 原発の攻撃について補足の答弁をさせていただきます。

 今回のロシアによるチェルノブイリ原発を含めた原発への攻撃については、明確な国際法違反です。具体的には、ジュネーブ条約という戦争をするときのルールというのか、そういうのがありまして、そのジュネーブ条約におきましては、文民への攻撃とか病院への攻撃とか、いろんなことが禁止されていると。その中の一つに、例えば攻撃すると被害が大きくなるものということで、原子力発電所、堤防、大きなダム、そういうものは攻撃を禁止されていて、ロシアについては明確にその国際法、ジュネーブ条約に違反したであろうということで、我々としては、これは有事であると。ロシアにはそのような国際法の遵守を求めていくべきだと思っています。

 その上で、もし仮に攻撃があった場合ということになりますが、日本の場合は平素におきましては、重要防護施設として原発を含めまして日本各地の施設が警備対象、警護対象となっておりまして、平時には警察、それから有事においては自衛隊が守ると。その場合、自衛隊におきましては、敵の攻撃がございましたら、ミサイルの防衛ということで、例えば海上自衛隊のイージス艦から、あるいは陸上から地対空ミサイル等で撃ち落とすと。ただ、原子力発電所の規制については、先ほど知事からもございましたように、世界の原発については戦争に対する基準、規制要求というものが設けられておりません。それは、例えばいろんな公共施設についても同じで、戦争に耐え得るような施設は設けられていないところでございます。

 ただし、さっき山川議員が言われましたように、更田委員長からは、私も発言を確認させていただきましたが、一定程度の持ちこたえる能力はあるということで、それはどういうことかといいますと、原子力発電所については、福島原発の新規制基準におきまして大型航空機による衝突、いわゆる9・11テロでWTCビルに航空機が突っ込んだ事例があって、諸外国では福島事故前から規制基準が取り入れられておりましたが、日本ではテロ対策基準、大型航空機の意図的な衝突が規制基準に入ったと。具体的にどういうことかといいますと、航空機が原発に衝突した場合についても大きな被害を出さないように、例えば中央制御室あるいは重要な施設についてはダブルで設ける特定重大事故等対処施設ということで、フィルターベントとかポンプとか中央制御室とか、さらにもう一個設けなさいという基準になっております。

 その上、航空機等が衝突して仮に放射性物質が放出されても、さっき山川議員からありましたように、放射性物質を水でたたき落とすと。少しでも被害が少なくなるように、放水砲という空中に出た放射性物質をたたき落とす施設がございます。ということで、一定程度の効果はあると聞いております。それから、IAEAの見解でも一定程度の効果があると。原子炉格納容器については、厳重な鉄の塊といいますか、何十センチもあるような塊の中に原子炉燃料が入っている。その周りは2メートルぐらいある鉄筋コンクリートで固められているので、相当程度の爆薬がないと被害が出ないだろうというIAEAのコメントもございました。

 

◎内田(博)議長

 山川議員、皆さん方、たくさんの御意見いただきたいと思いますので、ここで止めておいていただきたいと思います。

 再度皆様にお願いいたします。円滑なる議事進行のために重複を避け、簡潔に質問していただくようにお願いをいたします。

 

○澤議員

 公明党の澤です。島根原発2号機の再稼働について公明党県議団として意見と併せて申し上げたいと思います。

 まず、中国電力との安全協定に、この立入調査権と原子炉運転停止を含む措置要求権が入りまして、立地自治体とほぼ同等の権利を得ることができた、これは高く評価をします。その上で、平成251121日付の原子炉等規制法の改正に伴い、新たに施行された規制基準に関わる安全対策について、安全を第一義として条件を付して了解する県の判断についても、公明党議員団として了とするところでございます。私どもの議員団、団長も議会で質問をいたしましたけれども、いわゆる4つの条件を満たせば2号機の稼働を認めることとしたい、こういう観点から、1つ目の国の原子力規制委員会がこの安全性を認めると。それから、2つ目の県独自の調査と研究並びに県原子力安全顧問会議でこれを認めると。そして3点目に必要な避難計画が策定をされている。そして4点目が、米子市、境港市の同意が得られると。以上のことが満たされていることから公明党の議員団としましては、再稼働を了としたいと。

 その上で、今日は詳細な説明がございまして、新しい文言が出てきました。1つは、今回が出発だと、全く同意するところでございます。その上でいわゆるバックフィットという言葉が出てまいりました。これは新しい、いろんな知見が出てきたときに改めてやるということで、そこのところについて顧問会議との整合性といいますか、どう進めていくのかということをしっかりともう一度聞かせていただきたいと思います。

 

●平井知事

 澤議員からの御質問にお答え申し上げます。

 バックフィットというのは、今後新しい知見が出てくると、やはり原子力発電所の安全性の担保についてはこうしたほうがいいのではないかと。仮に、例えば今回のロシアの件のようなことがあったりして、そこで得られた知見があって、こういうさらなる強靱化を図りましょうということがあるかもしれません。そのときは、やはりちゅうちょなくその新しい基準を適用して、さらなる安全性を高める担保を我々としても取りたいと思います。そういう意味でバックフィットにつきましても、今回、国に対して規制基準のこと、それから中国電力に対してそれへの対応のことを入れさせていただくことで、先ほど議員からお話がありましたが、今回までに両市の同意であるとか、それから安全性の確認であるとか、いろんなことがございましたけれども、それに上乗せする条件づけも含めて、我々としては突きつけていきたいということであります。

 確かに我々、書き方が変わっていまして、単純に再稼働に同意するというよりは、こういう条件を今後きちんと達成していかなければいけませんよという申入れのような回答になっているものですから、そうしたバックフィットということも入れさせていただいていると御理解いただきたいと思います。

 

○坂野議員

 会派民主の坂野です。知事の先ほどのお考え、私は基本的に賛同したいと思います。ただ、ウクライナで原発が攻撃を受けました。私は島根原発でも武力攻撃があるということを想定すべきだ、その上で自衛隊による原発防衛体制整備は急務だと考えております。

 ここからが質問です。国への申入れ事項、10番目、この項目は極めて重要だと私は考えております。しかし、この項目を実際に実行しようと思えば、自衛隊法の改正やその他もろもろの改正が国で必要になってくると考えております。国に要望してそれで終わりにはならんと私は思うのです。しっかりとこれが国で実行されることが必要だと考えております。この10番目の申入れ事項、出して終わりではなくて、これがいかに実行されるのか、その見通し、あるいはこれを必ず実現するのだという知事の心構え、お気持ちをお聞かせいただきたいと思います。

 

●平井知事

 坂野議員からの御質問にお答え申し上げます。

 基本的な考え方として御賛同いただいたという趣旨は、多分、今日が出発点だということも含めてだと思います。実は私も坂野議員と思いは一緒でございまして、こういう防衛の問題というのは、確かに一朝一夕で解決はできないだろうと。だから今日、丸ごと百点満点オーケーというよりは、こういうことをやはりクリアしていかなければいけないという意思表示を私たちはやっていかなければいけないと思います。

 自衛隊法の問題は確かにあると思うのですが、現状でも有事の際には重点的な防衛対象施設として原子力発電所は定められています。御案内のように多重防御の考え方で、イージス艦とPAC3で上層と低層で撃ち落とす、あるいは上陸に備えて部隊を配備する、この辺は有事の際の想定として訓練上も恐らく自衛隊もされているだろうと思います。そういう意味で、我々として今回の事態は本当はないはずのことなのです。IAEA憲章とか、ジュネーブ条約にあからさまに違反することを、そうした能力のある国がやるのは異常事態でありまして、本来はないはずです。ただ、現に起きている現実があります。ですから、これは我々も相応の危機感を持って、地方として国に要求すべきだと思います。

 今議会中でも、この議論は重ねてございました。今、隣県の島根県の丸山知事と協議をさせていただいていますけれども、知事会として、彼が特別委員長もしている原子力安全の関係から、場合によっては平井も出かけていくことになると思いますが、政府にこうした要求を突きつけていくことを考えています。その後、実際にどう具体化していくかは、多分、時間が多少かかると思いますが、政府もそれを考えざるを得ない、今、非常に重たい課題を背負っていると私どもは見ておりまして、この課題の解決に、地元の安全を守るために一緒になってやっていかなければいけないだろうと思います。そういう意味で、安全性をきちんと考える視点で今日から一歩ずつ歩んでいく、こういう立場の中に防衛の問題もぜひ考えていくべきだろうと考えております。

 

○福間議員

 会派民主の福間でございます。平成241012日の県議会の決議、立地自治体並みの改定を求める決議を受け止めて、中国電力と約10年近くにわたって改定協議を進めてこられた。そして、2月22日の全員協議会で中電の改定案が示され、御説明がございました。この内容について、皆さん方も異口同音におっしゃっておりましたけれども、私は高く評価したいと思っています。

 これから実は質問になるわけですが、一言で申し上げて、ちょっと急ぎ過ぎではないかという気がしているのです。2月22日の全員協議会で、改定案の内容の説明を受けました。今日は3月24日であります。今日がスタート時点だということも一方でおっしゃっていますけれども、再稼働に向けて大きく動いていくことは間違いないと思っています。

 私は、ここで忘れてはならないのは、平井県政という執行部側と、私ども議会という位置づけの中で、いわゆる政治的な駆け引きで行われてきていると思うのです。主人公は誰か。知事がよく安全性追求を第一義とするとおっしゃっています。誰の安全かというのは、県民の安全であるはずなのです。執行部と議会とのやり取りも重要だと思いますけれども、基本的にはやはり県民の安全をどう確保するか、県民にどう理解を得る努力をするかが非常に大事だろうと思っているのです。

 先ほど山川議員からもお話がありました。今日、説明になっている内容を県民の皆さんに、いつ、どういう方法で説明されようとしていらっしゃるのかお伺いしたいのです。今までの説明を伺っていますと、経過の中で、いろんなところで都度都度説明したとおっしゃっていますけれども、全員協議会で提示された中電の改定案以降の内容について、あるいは今日以降の県の方向づけについて、県民の皆さんに分かりやすく丁寧に説明していく。今後5年も10年もずっと続くわけですから、ルール化したものが必要ではないだろうか、これが1点です。

 もう1点は、中国電力への回答、国への申入れ10項目、これは申入れという格好になっていますが、この履行はどうなるのでしょうか。例えば、国への申入れで、5番に、可能な限り原発依存度の低減に向けて対策を講じることとあります。ところが、国の方針は、基本的には原子力を軸にしたエネルギー政策を立ててきている。真っ向から対立するのではないだろうかと、私は心配もいたします。先ほど坂野議員からも御質問がありましたけれども、履行状況をどう把握して、そのことで県民の皆さんにどう理解を得ようとしていらっしゃるのか、そこら辺が極めて見えづらい。要望事項としてはあるのですけれども、こういう内容が条件となりながら、今回の中国電力への回答になってくるわけですから、私は担保が取れなければ、再稼働は考えられないのではないかと言いたいのです。そこら辺を県民の皆さんを含めて、我々に対しても、もうちょっと丁寧に御説明をいただきたい。以上、2点であります。

 

●平井知事

 福間県議から質問をいただきました。全協の2月22日から一月ということであります。そこの期間は一月ですが、大方平成25年から8年ですかね、ずっと議論も続けてきているわけです。その間、先ほど水中も申し上げましたけれども、議員の皆さんから、住民に説明が必要ではないかという声を受けて中国電力にも要求して、中国電力も説明会をやったり、また、安対協という今までなかった組織を鳥取県の中でもつくったり、そして様々なコミュニケーションを取り、いろんな御説明の機会もつくってまいったところであります。その一つの集大成として、米子市、境港市、両市において結論が出たということです。私どもは広域団体でありますので、米子・境港の両市が結論に至った、すなわちそれはいろんな議論を尽くした上でまとまってきたということ、それを重く受け止めて、こうして県としての回答案、両市のものを一つ深く包むような形で用意して回答すべきだろうということでございます。そのように御理解いただければよいのかなと思っております。

 議員のおっしゃることに賛同する面も当然あるのですけれども、今日で終わりではないと。これはちょっとほかと違うところかもしれません。やはり我々は誰あろう県民のことを思って、この場にいるわけです。正直申し上げて、政治的決定というのはある瞬間できてしまうかもしれない。それは、今日なのか、あるいは1年前なのか、1年後なのか、あるかもしれませんけれども、それで全部の責任を我々は負い切れるであろうか。ある段階で、やはり手続というもの、プロセスというものを動かしながら、随時安全性を高めていく、担保を取っていく努力をやっていかなければいけないのではないかと思います。

 安全協定の改定作業もそうでした。非常に難しい作業でしたけれども、それを県議会の皆様の応援を得ながら、あそこまでたどり着くことができたわけであります。ああいうことを、この原子力発電所2号炉についても我々は順次やっていかなければいけないのではないかと思います。そういう意味で、今後も中国電力に物も申しておりますけれども、いろいろとこの原子力発電所について、特に避難というフェーズのことなど、しっかりと理解を得ていく。今後プロセスが前に進み始めるということであれば、それに対応して、きちんと手続を踏んでまいりたいとお約束申し上げたいと思います。

 国への申入れ事項と、中電のものとあります。これはペーパーをまとめてしまったので恐縮ですが、この中国電力の附帯条件は、私はクリアしてもらわないと撤回し得るという趣旨でつけてあります。ですから、これについては絶対条件と思っています。ただ、残念ながら国と地方との関係からいきますと、国は、あちらはあちらで国会もあって、独立した存在であります。しかもこの件については契約関係がない。もちろん、向こうは法律をつくって我々にかせをはめてくる権限のある立場でございます。ですから、国へのところについては、これが100%すぐに成就するかどうかというのは、確かに見通せないところだろうと思います。

 ただ、福間県議も組合活動なども過去されて分かっておられると思うのですけれども、物を言うにはタイミングがあります。今、我々は前に進む意味で扉を開けますよと。それは小さな扉かもしれませんけれども、この瞬間でないと相手は本気で聞いてくれないということがあります。ですから今、我々としては、ぜひ国として実現してもらいたいことについて、ここに入れているわけです。先ほどの御質問にもございましたが、例えば道路の問題、これを出来上がるまで全部待っているのかということですが、ただ、今言わなければ本気で聞いてくれないというものがあります。したがいまして、私どもとしては、この申入れ事項については、国は今これが100%できなければ一歩も前に進まないという条件闘争をやってもあまり勝算はないのではないかと思っております。そういう意味で、この中国電力の条件と国の申入れ事項は、若干ニュアンスが違うものが入っていることを御理解いただきたいと思います。

 

○森議員

 それでは、私もまず感想から伝えたいと思います。先ほど、福間議員からもありましたが、率直に言って、何を急いでいるのかというのが率直な気持ちです。

 昨年9月15日に合格して、向こうも私企業なのでエチケットとしてという発言もありました。一方で、柏崎刈羽原発は20171227日に合格しています。もう既に5年目に入っている状況にあります。しかし、新潟県は独自の検証を行いながら、まだ態度を表明していません。それが県民を守ることだという前提でやっています。

 ここで改めて、知事のこれまでの発言の中で、県民の安全が第一だということがずっと言われてきました。そういった上では、先ほどから議論になっている福間議員の発言あるいは坂野議員の発言、こういったことが実現されて、初めて県民の安全が確保されるのではないか、私はそう思うのです。そうすると、先ほど知事の発言の中では、なかなか国は、国会もあり、いろんな意味で時間がかかるものが多いのだと、そういうお話です。

 今日の資料の中に、米子市長、境港市長の文書を見ても、国への要望が入っています。これは、いわゆる再稼働はいいよと判断したのは米子市長、境港市長、鳥取県知事の3人ですけれども、県民、市民に対して、判断したのは自分だけれども、あとは国へこれだけ要望しているから、国がこれをやってくれないと駄目だよと言っているからねというところが透けて見えます。いわゆる責任転嫁ではないかと私は思います。要するに、国が再稼働の判断を結局するのではなくて、地元自治体や、言い方はちょっと、私もこの地元の米子、境港だけではないと思っていますので、この安全協定からいくと、この2つと鳥取県なわけですけれども、結局判断する上で、誰に対して責任を持っているのかというと、県民や市民に対して責任を持っているのです。そのためには、国に対してこれをやってもらわなければいけないとすれば、国がやることが確実になった上で、初めて判断ができるのではないかなと私は思うのです。その辺り、知事の所見を伺います。

 そして、ちょっと附帯条件の件で質問します。今日、バックフィットの話もありました。常に最新の知見を反映し、自主的に安全性向上の取組を進め、最先端の対策を取ること、ここにありますね。これすごくいい話、大事なことです。これは東電も現場はすごい津波が来るという知見を得て、もっと高い防波壁を造らなければいけない、こういったことがあったのです。だけれども、経営者は、経営上、それはできないという判断をしてあの事故が起きました。もしこういった知見ができたときに、経営上の判断をするのか、安全上の判断をするのか、そのことを中国電力に対して、どっちが優先なのかということをやはり条件として入れる必要があるのではないかと私は思います。

 その後、万が一事故が発生した場合には、責任を持って完全かつ十分な賠償を行うこととなっています。今の法律体系からいくと、原発の事業者が全責任を負って賠償することになっています。国は、東京電力に対して資本注入したり、あるいは貸付けをしたりしてこの賠償を払わせているのです。ところが、いろいろな紛争を解決させるために損害賠償紛争解決センターというやつがあります。いわゆる和解をどんどん進めていこうという形で訴訟にならないようにしていますけれども、現在、東京電力は、この和解を拒否して、どんどんどんどん訴訟にしてくださいとやっています。これはすごいことです。中国電力も、これをやるのではないかと思うのです。電力会社の存続のためには、こんな和解はできません。全部訴訟してください、賠償はしますけれども、訴訟してください、こんなことでは私は賠償などはできないと思うのです。そういった意味で、この話はどう整理するのか教えてください。

 屋内退避とか避難計画、一応できてはいるのですけれども、これが本当にそこに住んでいる人たちが安心して、これだったら避難できるな、あるいは安心して屋内退避できるなという形になっていないのではないか。議会の答弁の中では、例えば屋内退避の食料については、実行組織、自衛隊、警察、そういったところが食料を届けますという話ですけれども、国に聞くと、まず自治体が食料を届けて、それができなかったら自衛隊が出ていくという話になっています。その辺りがずれているのです。実際にそうだとすると、今回、議会で消防団の話も出ましたけれども、自治体の中では、消防組織や市の職員、消防団や警察の皆さん、そういった人たちに食料などを届けさせることになるのかどうか。そういう話は職員には全然伝わっていない。そういうことが全然できていないのではないか、そういうことが全部解決できていて、こういうことでできますよということがあって、初めて判断ができるのではないかと私は思うのですけれども、併せて知事に答弁を求めます。

 

●平井知事

 森議員からのお尋ねがございました。まず、県民の安全とか、県民に対する責任というお話がありました。それについては繰り返しになりますけれども、私は、視座としては、県民の安全を第一に考えていかなければならない。それがこの原発の問題だと思います。そのために、どうやれば実効的にそれを確保できるのか、実現できるのかということを考えていかなければいけません。そういう意味で、今回、中国電力に対する附帯条件を出したり、それから国に対する申入れを行うべきだと考えております。

 国に対する申入れにつきましては、先ほどの道路の問題も含めていろんなものが入っておりますので、これが100%すぐにできるかどうかということよりも、どちらかというと戦術的に今回言っていくべきだというものが入っています。ただ、中には重要なこともございまして、例えばバックフィットのことなども、国への要望の中に入っていますけれども、こういう重要な点については、ぜひ実現してもらいたいという働きかけはきちんと強めてやっていかなければいけないものだと思います。そういうことをこれから一歩一歩安全性を高めていく努力の中で私たちはやっていくべきだろうと思います。そういう意味で、このたびのこの申入れ案というものを考えたということです。

 バックフィットについて、先ほどお話になったのは、経営か安全かという場合に、安全を優先しろということをここに明記しろという趣旨ですか。それであれば、異論はございませんので、安全を重視してバックフィットを進めるべきだということを入れろということですか。

 

○森議員

 そういう意味なのかどうかということを聞きたい。

 

●平井知事

 もちろんそういう意味です。だから、まさに福島原発のときに、津波が押し寄せてくることは分かっていても放っておいたということをやるなよという意味で書いてあります。

 賠償については、当然ながら、法律上も賠償する責任がありますし、安全協定の上でもございます。今回こうしてきちんと書くことによりまして、明確化しようというものであります。もし万が一の被害があったときは、その被害にあった住民の立場に立った処理を我々は求めていく決意でありますし、これはある意味必須条件的に考えていただきたいと思っております。

 あと、屋内退避についてお話がございました。これにつきましては、水中から詳細をお話し申し上げたいと思います。

 

●水中危機管理局長兼原子力安全対策監

 屋内退避について補足の答弁をさせていただきます。

 現在、国の原子力災害対策指針におきましては、UPZはまず屋内退避をすると。これは国際的にも認められた、科学的に証明された方法と聞いております。日本もUPZは放射性物質の放出前にまず屋内退避をすると。その上で、屋内退避をするに当たっては、これは原子力防災ハンドブックにも書いておりますが、自然災害では3日から7日の食料を常に自宅に置いておいてくださいと伝えております。原子力防災ハンドブックでも、少なくとも3日間は食料を置いてくださいと書いております。その上で、さらに、もし万が一緊急時モニタリングなどをして、屋内退避が解除される場合、あるいは放射性物質が、例えば雨が降って地面に落ちたので避難しなければならないという場合があって、例えば仮に3日間以上になって、食料がなくなることもあるのではないかということで計画しておりまして、先ほどありました消防団あるいは市の職員が、議員がお聞きになったとおり、不測の事態には実働組織がやってくれるということは確認されております。消防団の方につきましても、毎年このような放射線の研修をさせていただいておりますので、引き続き市の方を含めて、しっかり研修していきたいと思います。

 

◎内田(博)議長

 ほかに。

 

○松田議員

 米子市選出の松田でございます。知事は今日がスタートということで、事実上、同意の賛意を示されたということでございますが、私、今後の見通しについて2点伺いたいと思っております。私は、エネルギー安全保障の観点から、新規制基準に適合した島根原発2号機の再稼働については同意するものでありまして、知事の意見にも賛同したいと思っております。午前中に採択されました経済界からの陳情にありますように、もともとコロナ禍による原油高傾向により、県民の生活や企業の生産活動に影響が出ておりましたが、ロシアのウクライナ侵攻によりまして原油高騰に拍車がかかり、その影響は甚大なものとなりつつあります。こうした状況を考えますと、エネルギー安全保障の観点から、安全性の確保を前提とした上で、島根原発2号機の早期再稼働が求められていると私は考えております。

 2号機は、昨年9月に新規制基準に適合したとして正式合格したところであり、引き続き法定の手続が残されていると思いますが、島根県も含め、地元自治体が同意した後、実際の再稼働までどれくらいのスケジュール感を想定されておられるのか、お尋ねします。

 また、今後各種手続について、中国電力から報告を受けた場合、議会に対しても適宜御報告いただけるのか、これを2点伺います。

 

●平井知事

 松田議員からのお尋ねにお答え申し上げます。

 まず、スケジュール感がどうかということ、それから今後の手続について議会への報告はどうかということですが、今回、条件の中にも入れさせていただいております。今後は工事計画認可とか、設計とか、いろんな手続があります。そのときに、我々としては報告してくださいとあえてここでして、今後その都度議会にもフィードバックをさせていただくと、それがまた県民の皆様へのお知らせにもなりましょうし、適宜必要があればまた説明する機会等々も県民の皆様に対して持っていくということです。つまり一歩一歩進んでいこうではないかということでございます。

 それで、今後どのぐらいの時間がかかるかは正直分かりませんが、ただ、かなり残された手続がありますので、通常ベースですと、まだ1年やそこらは実際に再稼働云々というところまではいかないのではないかなと思います。これは今後の手続がどう進むかによって不確定な部分があると御理解いただきたいと思います。

 

○浜田(妙)議員

 御苦労さまでございます。ゆうべは、今日この時間を持つために徹夜をなさった職員の皆さんも数人いらしたと伺っております。御苦労をおかけしているなということを改めて感じております。

 私は、これまでリスク管理とは、最悪の状況を想定して、そして最高のレベルを目指して、あらゆる角度から備えをすることと考えてきました。私も何を急ぐの、その言葉をやはり思い浮かべてしまいました。とりわけ原子力発電は核燃料を扱うものですから、その扱いを間違えるととてつもないほどの被害と困難、そして不安を私たちにもたらします。それは、これまでのスリーマイル島、チェルノブイリ、福島原発、その上、今回のウクライナへのロシアの攻撃などから、もう痛いほど思い知らされていると思います。その分、今回の島根原発への注目度はとても高くて、私の周辺も皆様が平和利用と言われながら拭い切れない不安を持っていらっしゃいました。

 今回の中国電力への回答の中身が、まず、ゼロリスクを求める。基本は県民との信頼関係とうたってあることに好感を持たせていただきました。ただ、ゼロリスクを求めるならば、県民の命と生活保障に向き合わねばならない国、県、市町村、そして高度な専門性を問われる中国電力は、それぞれが協力して避難計画を当然の責務として全県民を対象に、見えるように位置づけ、実行されねばならないと思います。そして、先ほど避難計画の質問もありましたけれども、しっかりその情報を一人一人に届くようにしていただきたい。そこが高く計画されていることが、全県民の皆さんの安心と信頼を私たちが勝ち得ることにつながっていくかと考えています。

 そこで、以前この議場でも議論をさせていただきましたけれども、情報が届いていないところ、特に社会的に弱い立場に置かれている人たちへの配慮は、当事者が自分たちに光が当たっていると実感できるほどのレベルでなければならないと私は思っています。しかし、現実は、知事も過去の私の質問に対して、これから進めていくとおっしゃっておりました。まだまだ歩みは緩やかで、のろいと言っていいかもしれません。何はさておき、こうした方々の避難計画こそ、早急に速やかに取りかかるべきで、一番先にしなければならないことではないかと私は思っています。強者の論理を優先していると言われないよう、信頼を勝ち得るときではないかなと思っています。このまま再稼働に歩みを進めるのではなく、これが最後ではないのだと、扉を開けたところ、出発点と言っていただきました。この言葉を私は信頼したいと思います。再稼働には触れていただいておりません。知事の言葉から慎重に臨んでいただいていることを実感させていただきました。くどいようですけれども、全てが万端整っているかどうか、特に弱い立場の人の避難計画等やり残したことがあり、後々悔やまれることがないように、事を急ぐことがないように、慎重に慎重に、ぜひ臨んでいただきたいと思いますが、知事にお伺いして、質問とさせていただきます。

 

●平井知事

 浜田妙子議員から御質問いただきました。胸にしみるような、そういう思いが伝わってまいりました。

 リスク管理でこれまでもいろいろな議論をさせていただきました。多分リスク管理にはいろいろなイマジネーションを働かせて、それで実際に足らざるところを一つ一つ補いながら、全体を目指していくものだと思います。あと、あわせて、私自身も痛感しておりますが、災害対策でもどうしても試行錯誤はあると思うのです。一歩ずつ進みながら、そこで足らざるところ、指摘されたところを直していくことで、本当の意味の安心がやってくる。ずっと止まっているだけだと実は前に進まないものだというのも、私はリスク管理の一つの実際ではないかと思っております。そういう意味で、議員からもお話がありましたが、今は扉を開けたところ、これから一歩ずつ慎重に、安全を獲得できるように、実務的にやっていく考え方でございます。

 そういう中で避難計画について、多分御案内のように、高齢者施設などは個別計画も策定が進んできております。恐らくそういう、例えば住民の把握がまだ難しい人という意味かなと思いますが、その辺はやはりいろいろとアウトリーチも働かせながら情報を届けるという、そういう努力が恐らく追加的に必要になるのではないかと思います。それにつきましては、一歩ずつこれから進んでいく中で、両市の協力がないと難しいと思いますが、両市の協力も得ながら、避難計画などの情報が届かない方々へのアプローチというものをしっかり詰めさせていただきたいと思います。例えば、今、鳥取県では、アプリを作りまして、このアプリを搭載していただければ、どんな方でも情報にアクセスできるようになっております。こうしたものの周知徹底とか、それから、個別のいろんな御事情を抱えていて避難しにくいというような方がいらっしゃるという趣旨だと思いますので、その辺は個別の避難計画に結びつけていかなければならないと思います。今後その辺しっかりとしたフォローアップを考えてまいります。(発言する者あり)

 

◎内田(博)議長

 皆さんに申し上げます。議事進行のために重複を避け、簡潔に質問していただくようにお願いします。(「休憩入りますか」と呼ぶ者あり)

 もう1問やって入ります。

 

○市谷議員

 日本共産党の市谷知子です。

 ちょっとまず冒頭、私の立場も言わせていただきたいと思います。陳情の討論のときにも言いましたけれども、新規制基準に合格しても安全ではないと規制庁が言う。それから避難計画の実効性についても、決して担保された状況ではないと思います。安全協定についても、先ほど山川議員も言われましたけれども、その権限が確立された状態かといえば、まだその文書の回答いただいておりません。とてもではないですけれども、安全性の確保ができた状況とは認識できないので、再稼働に進むことはもちろん、今日、設置変更許可の了解というお返事をすることはできないと思っております。

 あわせて、自民党さんから、原発は電力の安定供給になるのだということを言われて、福島の原発事故があって、その後、また地震があって電力が足りないとかいろいろありますけれども、結局、こういう一たび事故が起きたら、大きな災害が長く続く、大きなダメージになる原発に依存してきたから、その代替がつくれない状態になって、今、電力不足に陥ることになっていると思うのです。それからテロだとか、戦争の関係もそうですけれども、この原発があることがいかに危険なのかということを示していると思いますので、安定供給なのだろうかと、私はそうは思わないということは言っておきたいと思います。

 それで、今日、知事が言われるのは、設置変更許可の了解の返事をしたいというお話だったと思いますが、今日、設置変更許可の了解をしたら、中国電力は設置変更許可の了解と受け止めるのでしょうか。中国電力は再稼働の了解という受け止めになるのではないかと思うのですけれども、その辺は中国電力に確認してあるのでしょうか。一足飛びに行かないと、入り口だと言われるのですけれども、これは中国電力と認識が一致しないと、幾ら知事がそう言ったって、もう再稼働の了解だと中電に受け止められたら、もうそれで終わりだと思うのですけれども、その辺はどうでしょうか。

 ほかの方も言われましたけれども、中国電力に対して、この了解のための前提条件ということで幾つか書いてある、その前提条件がどうなのかということが分からないのです。私はその前提条件にしている部分を確認できないのに、今日どうぞと返事をすることにはならないと思うのですけれども、その点、知事いかがでしょうか。

 あと、今後の手続ですね、工事計画認可など法令上の手続の状況を中電から報告を受けて、県が意見を出した場合は誠意を持って対応することという条件をつけていますけれども、これらの手続で鳥取県は安全協定上の事前了解権が認められているのでしょうか。これは安全協定上の対象外だと、前、知事は言われて、ただ、これを今回条件につけているのですけれども、中国電力はこれをそう扱うのでしょうか。安全協定上は対象外だと向こうは思っていると思うのですけれども、その点はどうでしょうか。

 安全協定の事前了解権について、これは議場でも質問して、これまでどおり立地自治体と同様に対応させていただくという文書を得ることを確認していると言われました。3月10日に中国電力とも文書をもらうよう確認しておられますけれども、山川議員の言われたように、私はまだその文書をもらっていない、見ていないのです。もらってからにしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 次は、さっき浜田議員がおっしゃいましたけれども、「ゼロリスクを追及し続けること」ということが書いてありますが、私が議場で質問したときに、県は回答で、原発がある限りゼロリスクはございませんと言われました。では、中国電力は追求したらゼロリスクになると何で言えるのでしょうか。そこも確認させてください。

 事故が発生した場合、責任を持って完全かつ十分な補償をすること、これも条件につけています。これは先ほど森議員も言われましたけれども、住民が求めた賠償を全て中国電力が認めるということでしょうか。賠償の打切り、これは絶対やらないことになっているのでしょうか。これも確認させてください。

 次に、武力攻撃に対する最新の知見を安全対策に反映することと書いてありますけれども、まだ見たこともない武力攻撃への最新の知見が反映されるということを、今日どうやって私たちは確認したらいいんでしょうか。それはもともとないわけですから。だけれども、これを了解の条件にしているわけですね。今回、この武力攻撃への最新の知見が反映されるということを、今どこに、どうして私たちは確認したらいいんでしょうか。それも教えてください。

 あと、万全な汚染水対策の実施とは、絶対に汚染水を海洋放出しないということでしょうか。これは議場でも私は聞かせていただいたのですけれども、水中さんが薄めて海に流しますと言われて、何か囲いを造るって話が後で出てきました。万全な汚染水対策というのは、絶対に汚染水を海洋放出しないということなのですか。

 あと、テロ対策の問題です。これも今回議場で言いました。テロ対策しなさいということで、国から重要文書をもらって、中国電力はそれをシュレッダーにかけて捨てていました。報告していませんでした。だから、規制庁からは、約束が守れていない中国電力は保安規定以前の問題です、もう信用していませんということを規制庁が言っておられます。私はこれを規制庁から聞きました。この問題について、テロ対策の重要文書を勝手に捨ててしまうと……。

 

◎内田(博)議長

 申し上げます。簡潔にお願いします。

 

○市谷議員

 では、それについて、知事は御確認していただいたのか聞かせてください。

 ちょっと国に……。

 

◎内田(博)議長

 重複は避けてください。

 

○市谷議員

 次は国に対してのものです。国に対しての要望事項の(4)、使用済核燃料の最終処分は、国が責任を持って確実に対処することと書いてありますけれども、再稼働すれば使用済核燃料は増え続けていきます。使用済核燃料はプールで保存し続けなければなりません、六ヶ所村のプールというのは99%埋まっています、それから全国各地のプール、96%埋まっています。島根原発のプールはどれぐらい埋まっているのでしょうか。何年もつのでしょうか。これをどうするのでしょうか。

 また、使用済核燃料を減らすためには、再処理して再利用する核燃料サイクルが必要です。その使用済核燃料を再処理する六ヶ所村の再処理工場は、2020年度上半期に稼働するという話だったのですけれども、これはめどが立っているのでしょうか。めどが立っていない場合はどうするのでしょうか。

 再処理をしますと、プルトニウムが出てまいります。核兵器の原料になるから、国はエネルギー基本計画の中で減容化すると言っていますが、既に日本は国内外で47トン、核弾頭6,000発分のプルトニウムを持っております。それどうやって減らすのか、使わないといけません。使うためには、プルトニウムとウランを混ぜてMOX燃料を作る工場、2024年度上半期には稼働だと言っていたのですけれども、これはどうなったのでしょうか。どうするのでしょうか。それから、高レベル放射性廃棄物の処分方法、処分地は決まっているのでしょうか。

 最後に、この使用済核燃料は安全になるまでに10万年、高レベル放射性廃棄物は、貯蔵が30年から50年必要で、安全な状態になるのにガラス固化体で8,000年かかると言われています。誰がこれを管理するのでしょうか。教えてください。

 以上です。

 

●平井知事

 たくさん質問がありまして、後半は追い切れないので、水中からお答えを申し上げたいと思います。

 まず、文案につきまして何点か細かい点がございましたが、まず中国電力の見方として、再稼働何でもオーケーだよと取らないかということですが、それは、だから、先ほど冒頭私が申し上げました、2の(2)というのを実はかませてありまして、これは議員もたしか質問でも言っていたと思いますが、今後いろいろな手続がありますと、そのときに我々としては聞かせていただきましょうということを入れているわけであります。これを見たら意味は分かると思います。ですから、そういう意味で意思の疎通というのは当然図られると思いますし、そもそも向こうが照会してきた文書が、この原子炉等規制法の改正に伴い新たに施行された規制基準に係る安全対策というタイトルの文書でありますので、再稼働についてというタイトルの文書ではないのです。ですから、通常のお手紙のやり取りとしては、別にそごはないのではないかと思っております。

 ここのページに書いてあります2の附帯条件というものが今確認できないではないかとおっしゃいますが、これは今後の、将来の話をここに書いてあるわけです。今までのところは、原子力安全顧問にもお聞きをしまして、今審査の対象となった新規制基準との関係のところについては、うちが追加した汚染水対策も含めて一旦全部整理をして、検証していただいているということであります。ただ、ここに書いてあるのは、今後出てくる課題がありますので、それについては、我々は目を光らせますよと。当然これができなかったら、そこで話が違うではないかと言って、前提条件が違うということを言える状態にしようという知恵なわけであります。

 (2)の誠意を持って対応というのは、これはまさに誠意を持って対応していただくということなのですが、残念ながら、これはどこの県でもそうですけれども、安全協定自体は、この設置変更許可のところにフォーカスしてやり取りする仕組みになっています。だから、向こうは、そこはどうだということは言うかもしれませんが、ただ、附帯条件としてつけることで、あちらもこれに従わざるを得なくなると仕掛けを考えたところであります。

 3月10日、何でしたか……(発言する者あり)これはまた水中からにしましょう。

 ゼロリスクって言っていたのは、これは字が間違っています。ゼロリスクは求めるということであります。2の(1)を読んでいただければ、ゼロリスクを追求し続けること、日本語を見ていただければと思いますが、ゼロリスクを追求し続ける、パスートするってことですね。ですから、これはゼロリスクを完成しなさいということではないわけです。これはやはりリスク管理としては限界があります。したがいまして、ただ、我々としては、これは先ほども質問がありましたバックフィットみたいなこと、非常に重要なポイントだと我々は思っていまして、そういうことを経営判断以前の問題として追求し続けなさいという趣旨であります。

 以下、水中からお答え申し上げます。

 

●水中危機管理局長兼原子力安全対策監

 それでは、8項目ぐらい補足の答弁をさせていただきます。

 まず、事前了解で同様だという文書をもらっていないということでしたけれども、これについては、安全協定について、既に中国電力、鳥取県、境港、米子の四者で確認し、さらに文書を得るということも既に確認済みでございますので、あとは事務手続を進めていくだけということでもらっていないというところでございます。

 損害賠償の件につきましては、これは国の原子力の損害賠償制度がありますので、そこで賠償されていくものと認識しております。

 武力攻撃の知見につきましては、新たな知見が生まれたら速やかに反映してくださいという意味で書いているところでございます。

 汚染水対策ですが、これは福島の現状で、汚染水ができてしまってたまっている、それを福島では、ALPS処理水として薄めて海洋に放出するということで、島根原発の場合は、その汚染水が発生しないような対策を取っていると。さらに、もし発生して出た場合でも、洋上にシルトフェンスというものを出して、海洋に出ない対策をしっかり取っているという自主対策を取ってもらって、それを安全顧問に確認して、一定程度の効果があるという、一定程度というか、効果あるものと見ていただいております。

 テロ対策ということで、重要な文書をシュレッダーにしたと。これについては、原子力規制委員会の規制庁でも、現在検査で確認して、日々の検査でも確認してやっているところでございます。

 使用済燃料が何年もつかということですが、これについては、六ヶ所村の再処理施設が動かないと増えていかないということは事実でございますが、中国電力、島根原子力発電所については8年程度、7年から10年程度は入ると。さらに他の電力会社では、陸上で保管できるようにする方法と、いわゆる大きなコンクリートの塊の中に入れて、冷めた使用済燃料を一時的に保管する、さらには使用済燃料の間隔を狭くしてたくさん入るようにする対策を進めているとともに、六ヶ所村についても、2022年度上期ということですが、現在鋭意竣工に向けて進んでいると聞いております。

 プルトニウムにつきましては、議員のおっしゃるとおりの数量が国内あるいは海外にございますが、それらについては、プルトニウムの平和利用ということで、MOX燃料として使って減らしていこうと。日本でも例えば伊方原発とかで、MOX燃料を現在使っているところでございます。

 高レベル廃棄物については、現在、北海道の寿都町と……、2町村で地層処分に向けた文献調査が行われておりますので、その結果を見ていきたいと思います。

 ガラス固化体が10万年も耐えられるのかということなのですけれども、これにつきましては、地層処分というものが、国際的にも、科学的にも認められた方法ということで、既に外国でも始まりつつあるところもございますが、日本でもそれに向けた安全な地層処分の方法ということで進められているところでございます。国が前面に立って、NUMOという組織と一緒に進んでいるところでございます。

 

◎内田(博)議長

 暫時休憩いたします。再開は3時35分といたします。

 

午後3時23分 休憩

午後3時35分 再開

 

◎内田(博)議長

 再開いたします。

 

○伊藤議員

 会派民主の伊藤です。本日まで長年にわたる島根原発に係る対応に、境港市をはじめ米子市、鳥取県並びに中国電力等関係者の皆さんの御努力に敬意を表したいと思います。

 本会議の陳情では、境港市、鳥取県の意向が示されていないことから、研究留保を提案いたしました。本日、知事から境港市、米子市の意向を判断し、詳細に報告された回答を、私としては了として受け止めたいと思います。中国電力には誠意ある対応と徹底した安全対策を望みたいと思います。

 ところで、我が国では国策として原発を推進してまいりましたが、福島原発の事故以来、国の対応は十分でなく国民には大きな不安が広がっております。島根原発に当たっての議論でも国の姿はあまり見えず、地方の関係自治体と電力会社に最終判断を任せていることに私は大きな疑問を感じると同時に、この数年間、地方はこの問題で翻弄されてまいりました。原発を国策として推進するからには、原発に代わり得る電源がはっきりするまで、原発を国の管理下に置いて運営を電力会社に任せるなど、国が最終責任の全てを取るという姿勢が私は必要だろうと思います。このことを国に迫るべきと思いますが、知事の所見をお伺いします。

 

●平井知事

 伊藤議員から御評価いただきましてありがとうございました。これまで本当に長いこと、こうした第2号炉など向き合ってまいりましたけれども、本当に大変な作業と議論でございまして、深くそのお言葉を受け止めさせていただきました。

 ただ、私たちはこの県民のための安全、これを何とか実現しなければならない、その一心で議論を闘わせてきたわけであり、難しい交渉を進めてきたわけであります。今その入り口に立ったものとして、これから共にそうした安全をさらに高めていく、そういう道筋を歩み始めてまいりたいと思います。そういう意味で、今議員からお話がありました点は、実は非常に重要なポイントを持っていると思います。特に福島原発の事故を契機として、やはり一企業がどこまで責任を負えるかどうかというのはあると思いますし、また、技術の問題などもそうであります。国は査定側に立ちまして、規制委員会で見てやるという、そういう仕組みなわけでありますが、その辺は本来、その技術力を高めて国家的に管理するという仕組みも、比較法的にはあり得るのだろうと思います。

 今ヨーロッパも難しい局面になってきており、今回の戦争がきっかけとなりまして、実は今まで慎重な国に原子力発電所への回帰が見え始めました。いろいろと難しいあの状況の中ですら、原子力発電所を選択しようというところが出てきているわけです。だからこそ、安全をどう担保していくのかというのは、世界が抱える課題となりましたし、我が日本においても全く同様だと思います。そういう意味で、議員の御提案というのは非常に傾聴に値するものであり、今後も国側と、あるいは我々の仲間の知事同士でも議論をしてまいりたいと思います。

 せめてものということで、今回国への申入れ事項の(8)のところ。やはり我々周辺で安全性を非常に懸念するわけでありますけれども、そういう中で何の仕組みもない。今は避難計画をつくったり、原子力安全対策をやれということだけ書いてありまして、我々の実情がどう反映されるのか、まだその辺が見えないところであります。したがいまして、ここに何らかの法的な手段が必要でしょうと書いてあるわけです。その一つのバリエーションとしては、議員がおっしゃるように、国が全責任を持って、原子力発電所の運営、それから安全管理をやるような仕組み、そこに地元、UPZ圏内のところも一定程度意見を差し挟む、それに説明を受ける権限を持つ、そうしたことなどが整理されてしかるべきではないかと思います。今後の展開として、ぜひそうした視点も含めまして議論をしてまいりたいと思います。

 

○尾崎議員

 どうも尾崎薫です。本当にお疲れさまでございます。今日、お昼に挨拶に来られた執行部の方が、いや、寝ていないのですよとおっしゃって、非常に心配しました。浜田議員もおっしゃいましたけれども、本当にお疲れさまでございました。今日はゆっくりできるといいなと思っています。知事並びに執行部の皆様が新たな規制基準に係る安全対策に対して、ここまで高いレベルでまとめられたことを本当に高く評価したいと思いますし、感謝したいと思っています。

 その上で、今日国への申入れがついて、私は非常にすばらしい内容ばかりだと思ったわけです。プラスなかなか難しいことだとも思いました。そして一番びっくりしたのが、最初の回答のところに再稼働という言葉はありませんでした。どういう意図かと思っておりましたけれども、先ほどから答弁を聞いておりまして、入り口だと、再稼働ということは一言も言っていない、オーケーだとは言っていない、ただ、新聞紙上で躍るかもしれないと。どちらの判断にするか、私は非常に迷うところですけれども、私の考え方を簡潔に申し上げておきたいと思います。

 国の申入れ事項は本当に大事なことばかり。特に使用済みの核燃料の最終処分はなかなか解決しません。それから可能な限り原発依存の低減に向けた対策を取ること、そして今後の再稼働においては、周辺地域の声が確実に反映される法的な仕組みをつくること、特にこの3点、私は非常に重要だと思っています。なぜならば、今どこの市町村も、それから県も安全を第一義としてと言っています。とても大事なことだと思っています。それは今を生きる私たちにとって安全を第一義。ただ、私は将来世代の安全の第一義も大事だと思っているところです。ですから、この3点は非常に重要なことで、これができればオーケーになりそうだと思ったから、私は知事、よくやってくださいましたと言いたいのです。これは私の意見表明です。質問ではありませんけれども、知事は皆さんの意見を聞いて考えたいとおっしゃったので、そういう意見、思いを持っていることを表明しておきたいと思います。ありがとうございました。(発言する者あり)

 

◎内田(博)議長

 意見表明ですから、いいです。

 

○西村議員

 会派民主の西村弥子です。まず、知事並びに県の職員の皆様、関係各位の皆様、中国電力さんのこれまでの安全協定改定などのお取組に敬意を申し上げます。

 私は11年前、3・11、福島の原発事故のときに東京に住んでおりました。事故の後は計画停電もありました、経験しました。改めて電力というものの重要性と省エネルギーの生活の大事さというのを実感したのを強く覚えております。

 私もこの問題については大変悩みに悩んでおりまして、昨日も住民の方とお話をしました。やはりまだ不安があるのですけれども、もう今まで、ほかの議員さんが質問されました。重複している点がありましたので、私は1点申し上げたいと思います。

 あえて申し上げます。中国電力のヒューマンエラー、これもやはり心配だという声があります。ヒューマンエラーはどうして起こるのか、当然この安全協定の中で、施設、そしてそのオペレーションの安全性というのは担保するようになっていると思いますが、この個々の社員のヒューマンエラーを防ぐ、もうこれは会社ぐるみで対策をしていただくしかないのですけれども、知事に1つお願いといいますか、私の意見を申し上げたいと思います。原発が再稼働することになって稼働した場合に、この中国電力への申入れの3番ですね、「長期にわたる停止後の再稼働となるものであり、格段の緊張感をもって安全を第一義として取り組むこと」と、「必要な安全性を確保するため、組織、人員体制、教育訓練、人材育成、技術継承といった組織的・人的能力の向上に向け不断の充実・強化を責任を持って行うこと」とあります。ここに、可能でしたら、ぜひ社員さんへの心身の健康状態への配慮も入れていただきたいと思うのです。もちろんこれは中国電力が責任を持って行うものでありまして、現在も健康診断や、そうしたフォローをしっかりと行っておられるということですが、10年稼働していない原子炉で働いておられます。実際にオペレーションをするということになると、大変なプレッシャーとストレスがかかると思います。県民、国民のライフラインを守るということで、その社員の皆様に大変な重責がかかってくると思われますので、ぜひこの3番にそうした社員の心身への健康状態の配慮を入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 以上で質問を終わります。

 

●平井知事

 ありがとうございます。西村議員からも御了解いただき、感謝を申し上げたいと思います。恐らくいろんな事情があって、今の御提案なのだと思いますが、その姿勢はよく分かります。したがいまして、こうしてはどうかと思います。(6)に我々が求める安全文化というものがありますが、「安全文化の醸成に取り組み」という言葉がございますけれども、その前提となるのは、それを扱う社員の心身の健康ではないかと思います。したがいまして、ここに「今後も社員の心身の健康管理も含め安全文化の醸成に取り組み」と、そういう案で向かってみてはどうかと思います。

 

○福浜議員

 時間も迫ってまいりましたので、簡潔に質問したいと思います。

 国への要望事項です。(5)に再生可能エネルギーの導入を効果的にというのがあります。今回の福島県沖の地震でも火力発電所の停止によって電源が非常に逼迫するという場面がありました。結局1つのものに頼るとこういうことになってしまうというケースだと思います。ちょうど天候も悪かった。日本は、今、太陽光発電にどんどんシフトしていて、ようやく風力とシフトチェンジが図られつつありますけれども、陸上でかなり反対運動が起きたりして、なかなか遅々と進んでない。つまり洋上風力も含めてトータル的に再生可能エネルギーを具体的にどういうプランで進めていくか、やはり国の方針が見えてきてしかるべきではないかと思っているところです。

 エネルギーというと、空気と同じように当たり前にあるものと思ってきましたが、今回のロシアの件、そして東北の件、北海道でもブラックアウトがありました。決してリスクなしには手にできないものだということを私たちは十分受け止めるべきだろうと。その上で安全を第一に考えて、リスクを限りなくゼロに近づけていく努力をこれからも続けていく。その前提において、パートナーシップという表現もお使いになりましたが、中国電力と共に安全な原子力発電を続けていく。その前提として、2号機を即再開、再稼働ではなくて、まずは2号炉の安全について了解をしました。それもしかも、条件付でという。先ほどからなぜそんなに拙速にという話もありますが、私は非常に県民の安心・安全を第一義に考えて、知事が慎重に歩を進めていらっしゃるということで、このたびの知事の方針は了としたいと思っております。

 その上で、先ほどの国への要望事項をぜひお願いしたいのが1点と、もう1点は、やはり今安全顧問の皆さん方、17名の方々にかなり御尽力いただいているのですが、やはり県職員の中に水中局長を上回るようなスペシャリストをどんどん育成していっていただきたい。それが境港や米子市の職員の方々とも情報交換をしながら、やはり原発に対して強い、それがひいては県民の安心・安全につながっていくと私は思っております。その部分、人材育成の件、2点をよろしくお願いしたいと思います。

 

●平井知事

 まず、再生可能エネルギーにつきましては、議会でも御議論いただきました。ぜひ政府にいわゆるエネルギーミックスと言われる、幾つかの電源を考えながら、それで分散させて、全体のポートフォリオを組み、安全性を図ることが重要だと思います。その辺しっかりと働きかけをしてまいりたいと思います。

 この職員のことでありますが、現在、実は本県はちょっと変わっているのですけれども、安全協定を結んでから、そうした専門職員を5名雇っています。工学系の大学院を出た方も3人おられます。水中局長も今でこそ偉そうなことを言っていますが、ここに来るまで10年かかっていますから、やはりそれ相当の教育というか、研修、鍛錬をしてこうなるわけでありまして、やはりなかなか大変です。福井県のようなところは、本当に国の役所を上回るぐらいの実力の持ち主をそろえている。本県も周辺ではありますけれども、及ばずながらそれをやろうと、今までも採用などを進めてきましたし、水中局長にも御奮闘いただいて、こうやって資質を高めていただいたところであります。私どももこれからさらに措置要求など、大変な権限をしょい込むことになるわけでありまして、人員の確保、研修、そして採用など、マンパワーの確保を進めてまいりたいと思います。

 

○野坂議員

 私は原子力規制委員会並びに本県の顧問会議が新規制基準に適合すると認め、さらには判断するに当たって、知事が極めて重要とされていたUPZにリーチする米子市及び境港市が再稼働を容認すると判断された以上、それらの判断を重く受け止め、県として、島根原発2号機の再稼働を認めるという知事の意見に賛同するものであります。

 その上で何点かお尋ねしたいと思います。初めに、今般のロシアによるウクライナ侵攻の中で、ロシア軍はジュネーブ条約で禁止されている原子力施設への攻撃を実行し、まずチェルノブイリ原発を占拠、続いて欧州最大規模のザポリージャ原発を攻撃、制圧しました。また、第2の都市ハリコフにある原子力研究施設を攻撃し、建屋の損傷などの被害が出ていますが、いずれも関連施設が対象で、原子炉本体に対する直接攻撃はしておらず、原発の破壊が軍事目的にないのではないかと、私はそのように推察しております。

 このたびの事態を受けて、原発に対する武力攻撃への対応は国会において議論され、同様に本県議会でも議論されておりますが、そもそも平時と有事の対応、全く違う次元のものであって、きちんと区別して議論すべきものだと私は考えております。仮に有事になった場合、核を含む生物化学兵器などの大量破壊兵器や、その輸送手段である弾道ミサイルの存在が、原発以上に大きな脅威となるのは明白であります。まして隣国にそれらを保有するロシア、中国、北朝鮮と向き合う我が国においてはなおさらであります。国会では、福井県警の原発専従部隊の横展開といったような議論もされておりますが、それはあくまで平時におけるテロ対策の強化であり、他国による武力攻撃といった事態に対しては、国の安全保障上の観点から対処されるべき問題だと考えております。

 以上の観点から、民間企業である中国電力に対して武力攻撃の対策を求めるのは、真に県民が求める議論にはなり得ないと考えますが、附帯条件の一つにある武力攻撃に対する最新の知見を安全対策に反映というのは、どのようなことを想定されておられるのか、知事にお尋ねします。

 一方、22日に起きた電力需給の逼迫で、政府による初の警報が出され、電力の安全供給が大きな課題となっております。しかしながら、原発の多くが停止している現状におきましては、主に老朽火力を含め火力発電がフル稼働して代替を担っておりますが、脱炭素に向けた国際的な動きの中で、COの排出量が比較的少ないLNGの需要が増加しており、価格も高止まり傾向にあります。そして今般ウクライナ侵攻が勃発して、ロシアがヨーロッパへの天然ガス供給を停止する可能性があると報道されております。今後国際的な需給逼迫がさらに進めば、国内におけるLNG確保が危うくなる可能性も現実のものとなってきたように感じています。資源の乏しい我が国においては、近年の混沌とした国際情勢の中で、いつエネルギーの安全保障が揺らぐか分からない状態であり、様々な状況の変化にも耐え得るエネルギー構造の確立が極めて重要だと考えております。そのような観点から、議論もありましたが、特定の電源に頼ることなく、火力、水力、再エネ、そして原子力を含めたエネルギーミックスが重要になるのは当然であり、とりわけ原子力は供給安定性、経済性、そして環境性にも優れた電源であり、その重要性はますます高まっております。

 世界に目を向けますと、アメリカでは、より安全性を高めた次世代新型炉の開発を進めており、フランスは、福島第一原発の事故を踏まえ、14基を閉鎖し、原発依存度を下げるとしておりましたが、これを撤回、2050年までに国内に原子炉6基を新規建設すると発表しております。さらに脱原発を宣言したドイツでさえも、昨今のウクライナ情勢の悪化を受け、エネルギーの安全保障の観点から、特定の国に依存することに危険感を表明しており、今後原発回帰へ政策転換する可能性も指摘されているところであります。言うまでもなくエネルギーの安定確保は、国の生命線であり、同時に国民の命の問題でもあります。このことは共産党の皆さんもぜひ理解をしていただきたいと思っております。中海・宍道湖・大山圏域の経済団体からの陳情趣旨にもありましたが、資源の乏しい我が国においては、脱炭素や国際情勢など、様々な要因により国民生活や経済生活に影響が出ないよう、エネルギーの安全保障に万全を期す必要があると考えます。

 以上の観点から、安全を前提に、原子力の早期再稼働は我々が取り得る極めて重要な選択肢だと考えますが、改めて知事の所見を伺います。

 先ほど来の質疑の中で、まだ議論が足りない、判断するのは時期尚早といった意見もありましたが、島根原発2号機の問題に関しては、平成2512月に中国電力からの新規制基準適合性審査の申請に係る事前報告に対して、最終的な意見は留保すると回答して以降、8年を超える間、審査状況を逐一常任委員会などで報告を受け、適宜全員協議会も開催し、本会議においても数多くの議論がされてきました。そして最終的な意見は、原子力規制委員会及び中国電力から説明を受けた後、県議会や米子市、境港市の意見を聞いた上で提出するとしており、このたび地元の米子市と境港市が判断をされたわけであります。さらに本日、まさにこの議場におきまして、中海・宍道湖・大山ブロック経済協議会からの早期再稼働を求める陳情が採択され、2号機の再稼働に対して県議会の判断が出されたわけであります。島根県側においても、松江市が2月に判断、安来市も昨日判断、出雲市、雲南市も議論の最中ですが、間もなく判断されると思います。島根県は、昨年12月、本県との覚書に基づき、本県の考えを伺いたいと依頼されておりまして、関係自治体の判断が出そろうのを待っている状態だと思います。このように、あらゆる条件が出そろった中で、8年以上にわたり議論してきた問題について、まだ議論が足りない、時期尚早というのは、苦渋の決断をされてきた立地自治体や関係自治体に対して極めて無責任だと言われても仕方ないと私は思います。

 本日、我が会派からは4人が意見を述べさせていただきましたが、我々県議会自由民主党を代表して発言しているものであり、これは県議会自由民主党の20名の総意でございます。このことを知事には重く受け止めていただきたいと思います。

 以上申し上げ、私の質問を終わります。

 

◎内田(博)議長

 答弁はいい。答弁されますか。

 

●平井知事

 有事のときの取扱いにつきましては、水中局長からお答えを申し上げたいと思います。今回そういう意味で、中国電力に全てやらせるのは無理だと判断し、国に対しまして、自衛隊による防御であるとか、外交上の対策であるとか、それから、また新しい考え方を、法令なども照らして考えていく必要がある等々提示させていただきたいということでございます。詳細は水中からお話を申し上げたいと思います。

 また、エネルギーミックスについてのお考えというのはまさにそのとおりだと思います。世界中が今この動乱の中で、大分物の見方が変わってきて、再生可能エネルギーに大分シフトしていたヨーロッパが急に福島原発事故当時からの流れとは逆行するようなコースを歩み始めています。我が国がどうするのかというのは、国のエネルギー政策の問題でありまして幅広い議論が必要だと思いますが、そういう意味で、我々周辺地域としてやるべきなのは、安全かどうかを確認しながら、一歩一歩そうした選択肢に向き合っていくことではないかと思います。安全を放棄するわけではなく両立を図れないか、それを実践の中で私たちはつくり上げていきたいと考えているところであります。

 自民党県議の20名の皆様の総意だというお話でありまして、お言葉のとおり、重く受け止めさせていただきたいと思います。

 

●水中危機管理局長兼原子力安全対策監

 それでは、私は原発に対する武力攻撃の最新の知見について補足の答弁をさせていただきます。

 武力攻撃につきましては、どういう攻撃がされるかというのはなかなか分からないところでございますが、中国電力としては、例えば規制要求で求められたものについて、武力攻撃ではなくてテロ攻撃で求められるものについてきちんと反映すること。それだけではなくて、例えばソフト面、ハード面でもいろいろあると思います。現在における武力攻撃については、陸上、海上、航空だけでなく、サイバー空間等もありますので、それらを含めて、例えばサイバー対処、あるいは、特殊部隊による攻撃だったら警備を強化する、入れないようにするとか、ハード面に加えまして、ソフト面も対処を検討していただいて、それらを安全対策に反映させていただくのがいいかと考えております。

 

◎内田(博)議長

 もう時間でございますので、御意見も出尽くしたと思われますので、以上で質疑を終わりたいと思いますが……(発言する者あり)

 本日の議論においては、もう少し時間をかけて取り組んでいくべきとの御意見もございました。全体的には、会派として了とする意見も含め、知事の回答方針に賛成の意見が多かったと思います。(「議事進行」と呼ぶ者あり)

 知事におかれましては、本日の議論を踏まえ、県の方針を決定していただきたいと思います。(「議事進行」と呼ぶ者あり)

 協議会ですので、議事進行はございません。

 以上で議員全員協議会を閉会いたします。

 

午後4時07分 閉会

 

 

 

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