平成26年度農林水産商工常任委員会の開催概要

所管事項に係る県外調査(7月24日~25日)

 

1 調査箇所
     平成26年7月24日(木)
    ・北海道庁(北海道札幌市)
    ・(株)十勝野フロマージュ(北海道河西郡中札内村)

     平成26年7月25日(金)
    ・帯広畜産大学(北海道帯広市)
    ・池田町ブドウ・ブドウ酒研究所(北海道中川郡池田町)

2 調査委員
   興治委員長、内田(隆)副委員長、小谷委員、前田委員、銀杏委員、浜崎委員、市谷委員、砂場委員(8名)

3 随行者
   議会事務局調査課 若松課長補佐、西村主事

4 調査結果

 今回は、フード特区と食クラスター活動などの食の戦略展開、実学重視の人材育成及び自治体と町民が一体となった自治体経営をテーマに調査を行った。
 北海道庁では、フード特区と食クラスター活動について調査を行った。
 北海道は食料の生産やバイオ研究に強みがあるものの、加工品の生産が弱いという背景があった。特保制度ではハードルとコストが高いため、体力はなくても健康食品の研究を行っている中小企業にメリット(付加価値の見える化)を与えられるよう、道独自の認証制度を導入した。これにより、認定された商品のうち売上額が2~3倍に伸びる商品も出てくるなど、効果が出てきている。また、フード特区機構を中心として産学官金が連携して、事業者からの相談や提案への対応、研究開発の支援を実施し、加工品の生産額や輸出額の増加に努めている。今後は、現在認定を受けている機能性素材は数種類しかないため、素材の拡大を課題としている。
 一方、フード特区事業は地域を限定しているのに対し、道全体の食の総合産業化を目指している食クラスター活動においては、昨年度から実施している「フード塾」によるマーケティング戦略や地域でのネットワークの構築を身につけていただく人材育成事業に力を入れるとともに、会員企業から提案された事業をブラッシュアップして売上につなげていき、企業の底上げを図っている。
 景気の持ち直しの動きが強まっている本県において、更なる加速や活性化を図るため、本県の人材育成事業「とっとり産業人材育成支援ネットワーク」にもっと力を入れる必要があると考える。

 道内4社が連携して食クラスター制度を活用し、商品開発を行った(株)十勝野フロマージュでは、アイスクリーム輸出促進協議会を通じ、物産展や大手物流企業を利用した東南アジア諸国への輸出拡大などを進めている。しかし、都市圏への販売拠点としたいアンテナショップでは、道全土から商品が集まるため、出品したくてもできない状況であり、十勝に限定したアンテナショップをオープンさせた方がよいと思慮されていた。これは、道庁の担当者が都内の流通業者から聞いた「北海道ブランドは分かっているが、広すぎる。函館や上富良野といった地名を出した方がよいのでは」というアドバイスに繋がっていると感じた。
 また、「道の起業家奨励事業1千万円を利用したので起業できたが、現在は5百万円に減額されており、これでは起業できない」という言葉が印象的であった。
 本県においても同様な補助事業「起業創業チャレンジ総合支援事業」があるが、上限は同じ5百万円であり、県内の個人事業主等がより利用しやすくするため、制度の拡充を視野に入れてはどうかと考える。

 帯広畜産大学では、大手企業と共同研究・開発をすることで、企業は学術的な裏付けを得られて新商品の開発ができるとともに、大学は実学を通じた人材育成が図られ、企業への人材供給ができるなど、双方にとってメリットのある関係を築いている。
 また、今後は国際水準の食品マネジメントシステムであるFSSC22000の取得企業が増加することから、FSSC22000の構築、維持・管理に必要な有資格者の人材育成に取り組まれようとしている。

 全国初の自治体経営ワイナリーである池田町ブドウ・ブドウ酒研究所では、1956年に指定された財政再建団体から脱却するために農業振興策の充実を考えられ、その中でも山ブドウの栽培に着目し、ワイン酒造を始められた。寒さに負けないブドウの品種改良や販売手法に苦心されていたが、国や道の助成を一切受けずに単独でのワインづくりを成し遂げられ、これまで企業会計から一般会計へ総額で約25億円繰り出されており、池田町のまちづくりに生かされている。

 

 

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