平成28年度鳥取県山陰海岸ジオパーク調査研究支援補助金事業報告

【鳥取県山陰海岸ジオパーク調査研究支援事業】

鳥取県内のジオパーク活動の活性化及び持続可能な地域社会の形成に資することを目的に、県内の山陰海岸ジオパークエリアを含む地域で実施される調査研究活動に助成したものです。

【対象となる研究】

鳥取県の山陰海岸ジオパークエリア※を含む地域の調査研究で、次のいずれかに該当するもの。
(1)地形・地質に関するもの。
(2)地形地質以外の自然、環境に関するもの(ただし、地形・地質等との関わりを必ず議論すること)
(3)歴史、民俗、文化に関するもの(ただし、地形・地質等の自然環境との関わりを必ず議論すること)
(4)ジオツーリズム、地域づくり、地域経済の活性化に資するもの
※鳥取市(一部を除く)及び岩美町全域(山陰海岸ジオパークエリアについては、山陰海岸ジオパークのホームページを参照ください)


平成28年度 鳥取県山陰海岸ジオパーク調査研究支援事業研究報告一覧
 代表者の所属・職・氏名          調査研究の名称
 鳥取大学 地域学部 地域環境学科・講師
        菅森 義晃
鳥取県東部のいわゆる鮮新世火山岩類の年代学的・層序学的再検討
 鳥取大学大学院修士課程地域学研究科
   小玉 芳敬
 鳥取県東部・中部における砂浜海岸の流砂系を探る
 兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科・准教授
   先山 徹
 山陰海岸ジオパークにおける花崗岩類の帯磁率変化
 鳥取大学農学部・准教授
   齊藤  忠臣
 鳥取砂丘における湧水・オアシスの発生消滅メカニズムと地下水・地下構造の解明

<調査研究の名称>

鳥取県東部のいわゆる鮮新世火山岩類の年代学的・層序学的再検討


<報告者>

菅森 義晃

鳥取大学 地域学部 地域環境学科・講師
     農学部 生命環境農学科・講師


<研究報告>

衣笠山地域の地質は古第三紀の珪長質火山岩および火山砕屑岩を主体とする高路層(仮称),高路層に貫入する古第三紀の吉岡花崗岩類,中新世の安山岩質溶岩および火山砕屑岩からなる鳥取層群八頭層河原火砕岩層および鮮新世とされる安山岩溶岩からなる下砂見層(仮称)で構成される(図1).調査の結果,高路層の地質構造が明らかとなった.また,K-Ar年代測定を行い,衣笠山地域に分布する安山岩溶岩が鳥取層群に帰属することが明らかとなった.さらに,鳥取県東部に広域的に分布する玄武岩(図2)の年代測定を行った.その結果,従来の層序関係と矛盾した結果が得られた.このことは年代測定を行った岩石の帰属の再検討や周辺の火山岩を主体とする地層の層序学的再検討の必要性を示している.
<調査研究の名称>

鳥取県東部・中部における砂浜海岸の流砂系を探る

<報告者>

小玉 芳敬
岩淵 博之
宮脇 隼輔

鳥取大学地形研究グループ

<研究報告> 

 鳥取砂丘海岸では,6測線(図3)における沿岸砂州の縦断面測量ならびに底質の採取・粒度分析を実施した。その結果,経年変化を示すouter bar2段と,汀線から200m以内に存在する季節~週変化を示すinner barの存在が明らかになった(図4)。4段の沿岸砂州の断面積を解析した結果,outer barは東に向かう程,その規模が大きくなり,沖側のものが400m2前後と大規模であった(図5)。いっぽうinner barは,70 m2以下と小規模で,東西変化も認められなかった。底質の粒径は,多くの箇所で細砂(0.25mm以細)であり,河口から3km程ので沖合200mまでの範囲に中砂(0.25~0.5mm)が分布し,海浜の粒度分布と調和的であった(図6)。
 気高海岸では5測線における沿岸砂州の調査を実施した(図7)。その結果,沿岸砂州の形態は3タイプ(大規模緩傾斜・中規模急傾斜・小規模緩傾斜)に分類できることが明らかになった(図8)。海浜と底質の粒度分布は,海浜では西ほど細粒化傾向を示したのに対して,浅海底(line2~4)では西ほど粗粒化傾向を示した(図9)。この原因は今後に残された課題である。








 
<調査研究の名称>

山陰海岸ジオパークにおける花崗岩類の帯磁率変化

<報告者>

先山 徹

兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科・准教授

<研究報告> 

 これらについて岩石記載と帯磁率を測定した結果(第2図)、岩体ごとに異なる岩相や帯磁率を有することが明らかになった。これらを中国山地のものと比較すると、湯村・田井・久斗川花崗岩体は山陰帯に一般的な古第三紀初期(約7000万年前~6000万年前)の花崗岩類。浦富花崗岩体は著しく低い帯磁率と白色のカリ長石の存在から、鳥取県の用瀬花崗岩や兵庫県の和田山花崗岩と同様、白亜紀末(約8000万年前)の山陽帯花崗岩の延長である可能性が高い。一方、吉岡花崗岩体及び久松山花崗岩体は古第三紀中期(約4000万年~3000万年前)のものである可能性がある。その分布から、この時期の活動は山陰海岸ジオパークのテーマである日本海拡大の前駆的なものであると推察される。
 
<調査研究の名称>

鳥取砂丘における湧水・オアシスの発生消滅メカニズムと地下水・地下構造の解明

<報告者>

齊藤 忠臣

鳥取大学農学部 准教授

<研究報告> 

 鳥取砂丘には1年中ほぼ枯れることなく湧き出る湧水と,その湧水が流れ込み年間で発生・消滅を繰り返すオアシスがあり,観光客の目を楽しませると共に砂丘の自然景観を形成する因子として貴重な役割を担っている.本調査研究では,(1)オアシスおよびその周辺でのオアシス水位・地下水位調査,(2)湧水点及びその上流域における広域地下水分布・地下構造調査,(3)水の安定同位体分析による湧水の涵養源調査を通じて,湧水・オアシスの発生消滅メカニズムと地下水動態・地下構造を明らかにすることを目的として実施した.水位観測の結果からは,オアシスの発生消滅に砂丘の地下水の季節変動が大きく関与していることがわかった.また,地中レーダー探査の結果から,砂丘広域の地下水・地下構造の3次元分布が明らかとなり,例えば地下水には尾根(図のZの位置)があり,砂丘内の限られた範囲に降った雨・雪がオアシス形成に関与することがわかった.安定同位体比分析の結果からは,砂丘の湧水は,当月の降水のみに依存するわけではなく,上流側に溜まった過去の降水と混じり合い,時間をかけて流れてくることが示唆された.
  

最後に本ページの担当課    鳥取県生活環境部山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館
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