各県立学校における旅費申請手続きに係る教育行政監察結果について

1 監察のテーマ・趣旨

 県立学校においては、教職員の出張命令及び旅費の支払い手続きを新旅費システムを用いて行っている。
 この新旅費システムは、旅費支給等に係る手続きをペーパーレスで行うものであり、基本的に教育委員会事務局で使われているものと同一のものであるが、学校現場においては、この新旅費システムによる手続きに加えて、紙による手続きも並行して行っている事例もあるのが現状である。
 そこで、当該手続きの現状を確認し、業務改善につなげていくことを目的として行政監察を行った。 

2 監察実施概要

(1)対象機関

 全県立学校31校(高等学校24校、特別支援学校7校)を対象とした。

(2)調査方法

 各学校について調査票による調査を行うとともに、必要に応じて聞取り調査等を行った。

(3)調査期間

 平成20年5月~9月

3 監察結果

(1)旅費申請の手続きの現状

 県立学校においては、平成15年度に電子申請システムである新旅費システムが導入され、以後旅行命令・旅費申請等の手続きは当該システムを用いて行うこととされている。
 しかしながら、今回調査を行ったところ、平成20年5月現在における、各校から報告のあった旅費申請手続きの状況は以下の表のとおりであり、相当数の学校で旅費支給等に係る手続きにおいて、旅行伺等の紙による手続きが残存している。

(単位:校)

 

高等学校

特別支援学校

合計

各自が新旅費システムによる手続きのみ行っている

12

17

各自が新旅費システムによる手続きに併せて紙による手続きも行っている

10

11

各自が紙による手続きを行い、新旅費システムには事務職員等が代理入力を行っている

その他


 ※その他の2校については、いずれも紙による手続きが一部行われている。

 また、旅費申請手続きに係る各学校の主な意見は別添資料のとおりであるが、特に多かったものは、新旅費システムにおける承認経路、旅行命令簿の表示方法等、教職員の勤務管理等を行いやすくすることを求めるものであった。

(2)課題

 上記のように、ペーパーレスで行うべく導入されたシステムがあるにもかかわらず紙による手続きを行っている学校が14校(約45%)も存在しており、システム導入の本来の趣旨が達成できるよう改善が必要である。
 なお、これらの学校の多くが、新旅費システムでは承認経路に入れることのできない教頭(現行のシステムでは、承認者に教頭は1名しか登録できないため、教頭が複数配置されている学校においては、承認経路に入らない教頭が生じる。)による勤務状況の管理ができないことや教務担当者による授業管理ができなくなることを理由に挙げている。すなわち、管理職である教頭は、教職員が出席する会議等の内容を確認し、出張あるいは職務専念義務免除等の扱いを決定するなどの服務管理を行う必要があり、授業の管理を行う教務担当者は、不在となる教職員の担当している授業の手当をする必要があるところ、当該システムのみではこれが十分にできないということである。

(3)旅費申請手続きを新旅費システムのみで行う場合の勤務管理等の現状

 一方で、旅費申請手続きを新旅費システムのみで行っている学校は17校あるが、この場合の勤務管理等の状況は以下のとおりであった。

  • 出張の根拠となる依頼文書等について、教頭が確認を行う。
  • 出張のため自習にする必要がある場合には、そのための手続きを別途行う。
  • 勤務管理等に必要な情報は、各自が学事システムに入力を行う。

    など。

     なお、上記調査において、これらの勤務管理に必要な別個の手続きを紙で行っていることをもって、紙による手続きも行っていると回答した学校もあると考えられ、必ずしも旅費申請に係る手続きをシステムに重複して紙で行っているものではないものも含まれていると推測される。

    • 4 勧告・提言

       調査のの結果把握できた現状を踏まえ、以下の勧告及び提言を行う。

      ◎勧告
       旅費申請手続きにおいて、紙による手続きが残存している学校においては、旅費システムによる手続きのみに改めること。


       新旅費システムはペーパーレス化を図るために導入されたものであり、紙による手続きを並存させることは当該システム導入の趣旨を没却するものである。
       紙による旅費申請手続きは、勤務管理等のために必要であるとする学校もあるが、このような学校においては、旅費申請、休暇申請、授業管理等の関係について混乱が生じている面もあるのではないかと思われる。
       すなわち、以下の図に示すとおり、これらはそれぞれ一定の相関関係はあるものの、一致するものではない。
       したがって、旅費申請手続きを使って職員の勤務管理等を行わなければならないものではないし、そのこと自体に無理がある。
       そこで、職員の勤務管理等については、別途簡便な制度を用意すべきであり、その手法の検討にあたっては、旅費申請手続きを旅費システムのみで行っている学校の取組みが参考となると思われる。

      システムイメージ


       

      ◎提言
       高等学校課においては、新旅費システムに係る各学校の意見の採用の要否について検討されたい。

       各学校からは、別添資料のとおり多くの意見が出されているが、その中には検討に値するものも多く存在する。
       ついては、高等学校課は、当該意見について、上記勧告の趣旨を踏まえて、要否を検討した上で、システムを管理する集中業務課と必要な協議をされたい。
        

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