知事定例記者会見(2007年11月8日)

平成19年11月8日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

1 日程等について 

●知事

 皆さん、おはようございます。今日から立冬ということで寒さも厳しくなってまいりますが、私も元気でこの冬を乗り切っていきたいと思います。

 まず、私のほうからは、昨日上京いたしまして、全国知事会の地方分権推進委員会の中の地方税の小委員会のほうに出席させていただくなど、いろいろと活動をして帰ってまいったところであります。若干、報告を申し上げなければならないかなと思いますのは、やはり今のちょうどこの時期が、例の法人2税の都道府県間の偏在税制を解消する配分見直しというような案が出されたことなどについて、かなり重要な局面に今来ているのではないかというように思いました。

 その中で、私のほうの関心事はかねて申し上げておりますが、やはりこの時期には、小手先で法人2税だけをいじるということよりも、本来地方の税体系として目指すべき方向性をきちんと打ち出しながら対応していただきたいという、そういう思いであります。すなわち、地方消費税と法人2税との交換ということを基軸にして検討してはどうかと思っております。

 それから、あともう一つのポイントといたしましては、こうした交換とか、あるいは法人2税でやるという国の方針が出るかもしれませんけれども、いずれにしてもこれは地方団体間の税源偏在是正の問題でありまして、これを契機として、交付税という国と地方との間のいわば割り勘関係を正すようなことまでやってはいけないと思います。地方交付税の削減につながるというようなことは断じて許されないだろうというように考えております。

 したがいまして、昨日私はその[全国]知事会のほうの地方税[制]小委員会のほうに出席させていただき、発言をさせていただきました。今の地方税[制]小委員会は、法人2税の見直しの動きに合わせた緊急アピールを出そうとしております。私のほうから強く主張いたしましたのは、これまで三位一体改革以後、大幅な地方交付税の削減に地方団体全体が遭遇をしている。ですから、これを復元するということを本来我々は目指すべきだということを申し上げました。

 そのために、今回たとえ法人2税あるいは地方消費税との交換といったような税源偏在の是正がなされるとしても、これを理由とした交付税の削減ということではなくて、むしろ交付税の確保、その復元までも求めていく、そういう決意で臨むべきだと。緊急アピールとしてはそれを盛り込んでいただきたいということを強く主張いたしました。昨日の知事会の地方税[制]小委員会では、私のほうの提案をそのまま入れていただきまして、緊急アピールの中に盛り込んでもらう方向が出たというふうに解釈しております。したがいまして、[全国]知事会としてもこの方向で向かっていただけるというように期待をいたしております。

 同じ日に増田総務大臣とも面談をさせていただき、私どもが5県の知事で申し上げた毒まんじゅう発言でございますが、あれの真意というのは、法人2税の偏在是正を理由に地方交付税に手を付けるというようなことで、三位一体改革のときのようなだまし討ちにはもう遭いませんということですよと。地方交付税をぜひ今回は減らすというようなことに結末としてならないようにしていただきたいということを、強く申し入れをさせていただきました。

 こうした税財政の関係で昨日いろいろと歩かせていただいたのと併せまして、昨日は、道路の問題だとか、あるいは鉄道の問題などで国のほうに呼び掛けをさせていただいたところであります。鳥取県版地方6団体としても、国会議員と懇談の機会を持ちました。道路特定財源については、私どもの鳥取県版地方6団体のスタンスとしては、もし一般財源化するような財源があるのであれば、私どものように高速道路の整備が遅れたところなどにきちんと充当することをまず考えるべきだという主張をさせていただいております。

 県選出の国会議員の間で若干ここは議論になりましたけれども、それは、民主党の選出の川上議員も、その場で私のほうから道路特定財源というものを堅持するということをこの場で明言してほしいと申し上げましたら、それは「もちろんそうだ」というようなお答えもありまして、この点について県内の国会議員は立場を一にしているかなというふうに受け止めました。

 それから、ちょっと話は変わりまして、来週上海のほうにまいりまして、中国との新しいパイプづくり、経済交流をこれから本格化させていきたいと思っております。上海では、自治体としてはあまり例はないかもしれませんが、総領事のご協力を得まして、総領事と共催でのレセプション、鳥取県の産品のお披露目パーティーをさせていただくことといたしておりますし、鳥取県からの食品業者と向こうのバイヤーたちとの商談会を行ったり、それから、上海と境港の貿易航路を促進させようという思いから、その上海、境港の貿易航路について現地で話し合う、そうした機会を持とうと考えております。

 それから、JA西部につきましてですけれども、私どもでかねて、このたびの信用共済事業などの不祥事案につきまして、私どもなりの調査を進めてまいりました。その調査の私どもの現在の総括といたしましては、例えばけん制関係といいますか、中でのチェック・アンド・バランス、チェック機能ですね、あるいは監査の在り方だとか法令順守の仕組みについて、私どもとしてはこれまでのJA西部の取り組みは不十分ではないかと思っております。

 したがいまして、本日JA西部に対しまして弁明の機会の付与の通知をさせていただきたいと思っております。その弁明を拝見した上で、行政処分も視野に入れる、すなわち、今日から行政処分に向けた最終的な手続きを進めることとさせていただきたいと思っております。

 あと、このたび被災者の生活再建支援法の改正について与野党の協議がまとまったことを、私は大変歓迎いたしております。これについては、鳥取県が、西部地震を教訓として、かねてから住宅再建に対する助成を地域としてもやっていこう、本来は国がやるべきだという主張をさせていただいておりました。

 そんな関係で、このたび、7月だったと思いますが、菅総務大臣が来られましたときに、私のほうから、中越沖地震の直後だったもので、この生活再建支援に住宅が含まれていないこと、それから、その生活再建支援を受けるための要件ですら、所得要件とか年齢要件とか、非常に使いづらいものがあるなどを指摘させていただき、改正を要望させていただきました。今回そうしたことがそのまま盛り込まれたようなかたちで与野党協議がまとまったことに、私は大変感謝を申し上げたいと思います。

 私どもは独自に、県と市町村とでこの被災者の住宅再建支援のための基金をこれまでずっと作ってまいりました。私どもの基金は半壊だとか一部損壊なども対象に入っていますので、必ずしも今回与野党でまとまったものと違います。与野党のほうは全壊が対象ということでありますし、若干、その市町村で10戸以上全壊だとか、要件も付いておりますので、私どもとは若干違う面もありますけれども、ただ、思想的には大きく重なっておると思います。

 ですから、今回の与野党協議に基づく被災者生活再建支援法が成立をすれば、私はその市町村と早速この点について協議をして、私どもの制度も見直しを図るべきかなというふうに考えております。昨日その旨を担当部局のほうに指示をさせていただきました。私のほうからは以上です。


○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)

 では、各社、どうぞ。



2 北東アジア地域国際交流・協力地方政府サミットの成果について 

○中国新聞 土井誠一 記者

 先週の北東アジアサミットなんですけれども、あらためてあの成果というか、意義を聞かせていただければと思うんですが。


●知事

 北東アジア[地域国際交流・協力地方政府]サミットで、この日本海を挟んだ地域がやはり同じ環境問題を考えていることがよく理解できたと思います。共通理解として、黄砂の飛来という環境問題ですとか、あるいは水質とか海洋資源の問題など、共通理解を得られたことは大きな成果だったと思います。これから、取りあえず鳥取県が窓口となってやりたいと思いますが、その調査研究などから、一緒にできることに取り掛かっていくこととしておりまして、それを早速進めたいと思います。

 併せて、環境と交流という交流のほうにつきましても2つ大きな成果があったと思いますが、1つは経済交流など、実質のある交流に我々は踏み出していこうという共通理解が得られたと、この点でも思っております。私どもとしては、航路だとか、米子-ソウル便の利用促進だとか、それについて他地域の協力を得られたと思っておりまして、これを私どもは活用させていただきたいと思います。先方は先方でこのそれぞれの経済交流からのベネフィットを受けることになりますので、Win-Win(ウィン・ウィン)の関係での国際交流ができつつあるかなと思っております。

 あともう一つは、これは番外編でありますけれども、北東アジア[地域国際交流・協力地方政府]サミットの機会に江原道とかモンゴル中央県との友好交流について深めることができただろうと思っておりまして、この点も成果だったかなと思います。


○日本海新聞 小谷和之 記者

 それに関連してなんですけども、江原道との、キム知事との会談で、キム知事と平井知事の間では、交流再開に向けてその話し合いの方向を、話し合っていく方向も確認されたということなんですが、キム知事は、やっと今、8合目ぐらいまで大体再開に向けてきていると。残りの2合目を鳥取県側でどうやって埋めていくのか、何が必要になってくるのかという部分と、あと、その会談の中で知事は、11月にも訪韓して最終的な決断をというような考えを持っておられるようなんですけど、その見通しなりについてお願いします。


●知事

 私は、要は信頼関係が壊れたというのが今回の友好関係中断の原因だと思います。信頼関係を作り直すことが必要なんだろうと思います。そういう意味で、いろいろと我々としてできることを考えていこうというのが、8合目から上へ登る手順だと思っております。

 一つは、このたび、これは全くプライベートで、私費で皆さん行くんですけども、私どもの副知事など江原道と縁のある人たち、向こうで職員として働いていたとか、そうしたメンバーであちらの大きなキムチの祭典にお伺いをしようということにしておりまして、この機会に、これはそういう意味で非公式とも言えるし、半分公式的かもしれませんが、あちらの行政副知事と会ってほしいということを副知事に申し上げております。

 その際に、このたびの北東アジア[地域国際交流・協力地方政府]サミットでお互いに、話し合いで、皆さんもおられましたけども、あの二国間協議でお互いに確認し合ったことを、文書化といいますか、お手紙にしまして、お礼状といいますか、キム知事へのメッセージを伝えていただきたいと思っております。それがきっかけになるかどうかはまだ分かりません。そういうミッションを託したいなと思っています。

 [県]議会のほうも鉄永議長が代表者会議を招集されて、その代表者会議でもこの方向性、北東アジア[地域国際交流・協力地方政府]サミットにおける、[鉄永]議長もキム・ジンソン知事と会談されておりますので、その成果に基づいた今後の展開について話し合われて。早速にも代表団を出そうかという方向なんだと思います。これもそういう意味で、道議会と県議会との関係回復につながっていけばなあと思います。

 ただ、私は11月に実は会いたいなと、訪韓の機会も作れないかなと思っておりました。その時にキム・ジンソン知事と面談できないかなという思いを持っていたんですが、キム・ジンソン知事は外遊の予定が入っておりまして、ちょっと日程の調整が11月中はできそうもありません。ですから、11月の段階でお互い韓国でお会いするというのは、これはスケジュール上の問題として、できないかなと思っています。

 ただ、できるだけ早く私は、お互いの熱したところが冷めやらぬうちに、鉄を熱いうちにうつということですね。早目にキム・ジンソン知事のほうでも、あちら側での合意を得る努力をぜひにしていただきたいなという気持ちです。私どももそのサポートをしていきたいと思います。

 あと、赤碕町のほうも、私どもの北東アジア[地域国際交流・協力地方政府]サミットのレセプションをした時に、町長も来ておりまして、町長とはかねて、私も話をしておったこともあったのかもしれませんし、彼自身のインジェ郡とかウルチン郡との交流の思いもあったんだと思います。キム・ジンソン知事と、その場で赤碕の町長も話をされてます。あ、ごめんなさい、琴浦町。琴浦町の田中町長さん。

 そういう意味で、琴浦町としても、これから事態の収拾に向けて、決まってしまったことは、決まってしまったこととして、ただ友好交流についてできることは、可能な限りやっていこうと。そういう何らかの解決策を彼らも模索するんではないかと思います。そうしたことも交流再開に向けての材料になってくるかなと思っております。


○日本海新聞 小谷和之 記者

 キム知事は、いわゆる領土問題にからんで、知事であるとか議員であるとかが、キム知事の言葉で言えば、否定的な発言をしないというのが前提になるというメッセージを送っておられるんですけど。それを踏まえて県議会のほうも、竹島議員連盟はもう解散しましたよというのを、文書で残すかたちで、それを親書としてキム知事に送るようなんですけども。そういった約束手形というわけではないんでしょうけども、県側にも何かそれを求めているんではないかなという感じがするんですけども。


●知事

 ですからこの間の二国間協議の時に、キム知事と私のほうで話をしました。私もかねて議会でも言っていることでありますけども、領土問題というのは本来、国と国との間できちんと解決をしていく必要がある問題ですと。地方団体の間で国境の確定はできませんので、これは地方団体間の議論ではないだろうと。国同士で話し合いをすべき課題であると。

 我々はむしろ、江原道と鳥取県との日韓交流は、かつて日韓交流のお手本のように言われたことが失われているのは、大変に残念であると申し上げて、そうした地域と地域、人と人とが理解をし合う交流の重要性というものを、キム知事に理解をしてもらいたいと申し上げたわけであります。キム知事もそれに基本的に同意をされたと、私は思っております。

 ですから、今回メッセージの中でも、キム知事のほうには、こうした領土問題については国と国との間で解決されるべき課題であると。そういう趣旨は、当然ながらこの間の会談を総括するものとして、盛り込んだメッセージとして持っていってもらおうと思っております。


○日本海新聞 小谷和之 記者

 藤井副知事に。


●知事

 藤井副知事に、はい。多分[県]議会側で用意されているものと、多分トーンは一緒だと思います、今のお話では。どうしても言葉の問題があるもんですから、ちょっと書き付けを作っておかないといけないかなと思っております。




3 民主党小沢党首の辞意表明の撤回について 

○山陰中央新報 今若靖男 記者

 小沢党首、小沢代表のことなんですけど。辞意表明をされて、それを撤回した一連の今回の報道については、知事はどうご覧になってますか。


●知事

 私も県政を預かる責任者の立場にありますんで。私は小沢党首の取った行動とか、福田総理が取られた行動。それぞれに理解できるとこは、正直あります。もし政策を国民のために実現していこうと思えば、妥協というものは、民主主義で多数派を形成して、そして政策実現、すなわち法案成立だとか予算成立に持っていくためには、必要なことであります。

 ですから、それを合理的にやるために、政権全体の問題として、一種の政権交代といいますか、政権の組み替えを大連立という形で行うというのは、当然私は、あの参議院選挙の後の結果を見れば、選択肢に入れなければならないことだと思います。

 議会の時も申し上げましたが、いろんな政権交代の在り方というものはあるものでして。政党同士が離合集散しながら、政権を作る連立のやり方とか、あるいは選挙で相手党を負かして多数派を取ってやる政権交代、いろんな形態があるだろうと。その一つの選択肢で、連立ということも選択の視野に入れなければ、今々当面の政策課題が解決できないということであったでありましょうから。そのことについて、お互いに両党の党首が話し合ったこと自体は、私は真っ当なことだと思いますし、責任者として当然そういう行動を取られるだろうなという理解はしております。

 ただ、ちょっと違和感といいますか、ちょっと分かりにくいのは、選挙の時に政権交代を、まずは第1段階として参議院で多数派を取り、第2段階で衆議院で多数派を取って、政権交代をやろうというように、小沢党首は全国を遊説して歩かれたわけです。そのことに対する投票行動が多くの国民にあったと思います。

 この国民の意思というものと、小沢党首の今回の動きとが、もちろん責任者として取らなければならない、考慮しなければならない選択肢であり、協議に応じるということは、私は重要なことだと思いますし、それ自体は支持したいと思いますが。ただその際に、連立ということについて、まずご自身で心証を持たれて役員会のほうに諮られて、トップダウンの方式でいったことが、多くの国民の期待とは違うもの、反するものだったというように思いますので、その点は分かりにくいことであったかなというように思います。

 これからいろいろと政策についての個別の協議など、私は充分与野党でやっていただいて、今回の被災者生活再建支援法のように、合意を得るべきものは断固として胸襟を開いた話し合いでやっていただきたいと思います。それが政党としての与党、野党を問わない責任だろうと思いますので、それについてはぜひお願いをしたいと思いますが。連立ということを組むんであれば、もう少し長い時間をかけて、じっくりと国民の理解を得ながらやる姿勢が今回の民主党さんには必要だったかなと思っております。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 今の勢力で連立を組んだ場合、自民と民主、公明入ったとしたら、これ95%ぐらいの率に。いわゆる与党がほとんどで、大政翼賛とか言われてますけど。そういう状況が生じることの弊害もいろんなことが出てくるかと思いますが。ちょっと今、知事お話しされた、大連立は選択肢の一つとして、これはやっぱり是であると。国民のために政策を通すならそれもありだというスタンスというお話。


●知事

 それはドイツがそうですからね。それは大連立というのは、あり得ると思います。大政翼賛という場合は、それは行政権が引っ張って自分のための議会を形成した戦前の経験に基づくものでありまして、今の状態で、例えばドイツが大政翼賛的かというと、私はそうは思いません。民主的に選ばれた政党同士がお互いの政策を実現するために、手を取り合う必要があったということでありますから、私はそれ自体は否定はいたしません。

 ただ、今申し上げましたが、今回民主党さんが選挙の前から、まず第1段階で参議院を取り、第2段階で衆議院を取るんだと。そうして政権交代を実現するんだと。これがスローガンでありましたんで。このスローガンに共感して投票行動をとった国民は裏切られた思いだろうと思います。ですから大連立自体は、それはあり得ないことではないと思いますし、責任ある立場の人がそのことについて、自分でしかできないと思い詰めて、協議をされることは、私はそれほどおかしなことではないと思います。

 ただ、それを実現しようと思ったら、やはり長いある程度の時間をかけて、国民的な議論を経て、そして民主党としてのかじを切っていくという手順が、本来必要だったと思うんですが、そこが性急に過ぎたんじゃないかなと思っております。そういう意味で、国民の期待を裏切る展開だったと思っております。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 知事はかねがね、今のねじれ国会の状況では、与党、野党との話し合いが重要であるというようなお考えを示しておられますけども。今回の党首会談の在り方として、これは認められるものなのか、あるいは知事からご覧になって、どこかおかしな面があったとか。ご覧になられていかがですか。


●知事

 私も、その協議の内容がどういうものだったかというのはちょっと分かりません。あれ自体はお二人で話し合ったことでありますので。その内容も真偽がよく分からないんで。言った、言わないっていうような話もありますんでね。それは分かりません。ただ、与野党協議は、特に連立の時代になってきた場合、仮に与野党が大連立を組むというようなことになった場合は、国会での議論と併せて、政党間の協議の公開度を増さなければいけなくなってくると思います。ですからそこは、政党として規律が必要だろうと思っております。



4 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例について 

○読売新聞 北島夏記 記者

 人権救済条例のことで。意見書の提出から1週間ほどたちましたけれども、一歩踏み込んで知事のご見解を伺いたいのですが。今後条例づくり、それから施策の樹立、このどちらかの方策が必要だということなんですが。それがどういった体制で進めていくか。それからちょっと先ですけれど、救済条例を仮に作るとしたら、永山会長がおっしゃるには、人員を増やしたり専門家のチームを置いたりとか、それからその道に詳しい専門のアドバイザーを置くなりといった施策が必要なんでしょうが。これでどの程度、例えば人員を増やさなければいけないのか、新しいチームを作らなければいけないのか。そういった条例づくり、それから条例が仮にできた後の、体制をどう考えるかという点を、ちょっと一歩踏み込んでお願いできませんでしょうか。


●知事

 私はこれは順々と広範な議論をやりながら考えていくものだとイメージをいたしております。ですから、ちょっと事務方のほうに言っておりますのは、今度議会が開かれて、例えば常任委員会とか、そうした場もあるはずです。そういうところで、今回の人権救済条例の検討委員会のその答申の中身について議員のほうに説明をして、そこで皆さんの意見を聞くだとか。また、これから何が当面できるか。取りあえずやらなければならないことなどを整理するところから始めるのかなと思ってます。

 ある程度、そういう予算的なことで措置できることもあると思いますし、相談窓口の設置など、充実等、人員の体制とかカウンセリング機能の充実とかいうことも検討を始めなければならないかなと思っております。その過程で当初予算編成までに、来年度以降どういう体制にするかなどを考えてみたいと思ってまして、今はそういう検討の範囲内になりますので、現在の人権救済条例の検討委員会の事務局を持っていた人権局の対応でよろしいかなと思っております。


○読売新聞 北島夏記 記者

 直接の担当は人権推進課でされるということでしたが、それを踏まえた上でお伺いしているのですが、知事の構想としてというのはありませんか、来年度以降で。予算編成を伴うと思うのですが。


●知事

 これからちょっとまず議論をしてみてと思っています。12月の議会の後が2月議会ですから、12月議会で皆さんのお考えなども聞きながらと思っています。

 私としては単純な廃止ということではないんだろうというイメージを今持っています。考え方としては、人権救済の一般条例を作ろうとして、今回それが包括的にすぎるし、行政権の在り方によっては予見しがたい制裁に住民のかたが合う可能性がある。そういうことで条例の設定には、限界というか問題があるというのが率直な検討委員会の指摘だったと思うので、今の救済条例をそのままということは、私はいずれ廃止は免れないかなというように思いますが、廃止を単純にするということだけでもないんだろうと思うんです。

 では、今人権についての問題状況がいろいろと指摘される中で緊急性のあることについて予算でアプローチをされるとか、組織でアプローチをするとか、条例でアプローチをするとか、そこの整理をしていかなければならないと思います。前回の反省を踏まえれば、あまり拙速にならずにある程度時間をかけながら検討をしていくのかなと思っておりまして、時間がかかる理由は単純な廃止ではないということに基づくものです。



5 県財産の処分について 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 県財産の処分を検討されていて、早速崎津の住宅団地の処分をされていましたが、この段階で県財政にとってプラスになると判断された根拠についてお聞かせ願います。


●知事

 今、正直な話を言って地方税で今年法人関係などを総括すれば10億以上の歳入欠損が出るのではないかと思っておったり、交付税が三位一体改革以後地方団体の総意に反して絞られてきている。これが現実であります。私どもはそういう意味で現金が手元に枯渇しつつある状況になっています。これは我々の団体に限らないと思います。そういう意味で負の遺産の整理もあえてしなければならないことはあるだろうと思っております。

 崎津については、今、実は議会側に政調政審の場でご相談を始めさせていただいたところですが、このたび和牛全共が終わりまして和牛全共に伴って面的な整備をある程度しております。もちろん、住宅団地として完全なものかどうかというとそうでないかもしれませんが、少なくとも手入れはした状態になっていまして、近々消防関係の大会が開かれるのですが、その後は今の状態での空地になるということです。これをいつまでも抱えているのがいいのか、あるいは資産として現金化をすると。

 もちろん、簿価と時価とは随分差があります。これは崎津に限りませんが、かつて造成したところは皆そういう状況に多かれ少なかれなっております。だからと言って、私は検討すらしないのは不誠実であると思いますので、崎津のように今住宅団地として売ろうと思ったら売れる状態になったところは世の中に打ち出していくということで、現金化を図るほうが手元の財政状況を考えると取りあえずベターな選択肢ではないかと思っております。

 もう一つの選択肢はホールド、抱えておくという選択肢で、そのときにこれがもっと高い値段で売れるかどうかということになりますが、今ちょっとその見通しもないものですから、それだったら現金化をしていくというのも今の選択肢としては、手元の現金の状態からすると考えられるのではないかと思っております。同様のことは私はほかにもあるだろうと思っておりまして、遊休資産の検討処分については急ぐように部局のほうに申し上げております。

 もう一つ例示すれば、例えば鳥取港の辺りですね。鳥取港の辺りも空き地があります。あれをあのまま私どもがホールドしておく、持っておくと。それでいずれ値上がりするかということで資産になるかという考え方もありますが、私は鳥取港は内貿をやっていますので、国内の航路がありますから、あれで入港することもできますし、また水産の基地でもありますので、その販売とか加工だとかそうした展開も考えられる立地だと思っております。

 空き地で置いておくのであれば、むしろこれも現金化という考え方も含めて工業用地だとか商業用地とか、そうしたことで活用したほうが地域経済にとってもメリットがあるだろうと思います。こんな検討をそれぞれのところで始めてもらっているところであります。




6 県職員等に対する脅迫について 

○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者

 おとといなんですけれども、鳥取環境大学の学生が鳥取県庁を脅迫した疑いで逮捕されたのですが、それについて一言。


●知事

 非常に残念な事件であります。今回は私どもの採用に対する不満が高じて脅迫ということになったわけでありますが、実は今回[鳥取]西高の爆破予告の前から鳥取県庁に対する放火の予告とか、そういうものもございました。あるいは、ある特定の者に対する殺害をほのめかすような、そうした個人的に危害を加えるような脅迫もありました。そういう意味で、私どもは捜査当局とよく連絡を取り合いまして、これについて解決をしようとしていた矢先に、今回あろうことか罪のない高校生たちを恐怖に陥れるような爆破予告を行い、授業を妨害するという結果になったわけでありまして、誠に残念であります。

 今回のようなことはぜひ無いように皆さんに意識を改めていただきたいなと思うのですが、私どものほうも今回採用の試験のやり方についてもし点検すべき点があれば点検しなければいけないかなという思いもあります。鳥取県の場合は、人事委員会が試験をしまして、そこで採用候補者の名簿を作ります。その名簿に基づいて、さらに任命権者のほうが面接をして採用、不採用という決定をすることになっておりまして、これは毎年のことでありますが、その段階で不採用もでます。

 ですから、それを言葉を変えて言えば一次試験、二次試験、三次試験というように試験が分かれているようなものなのですが、これが分かりにくくて何か最後の段階で逆恨みされるような、そういう誤解を招くような点があったのかもしれないなと思います。その点は、試験のやり方は私どもも人事委員会の試験と任命権者の試験といわば融合させるような形で実施をしたほうが、こうしたたぐいの誤解を生じないかなと、そういう気持ちも持ちます。ちょっと点検はしてみたいとは思いますが、いずれにせよ、今回のは全く個人的な問題でありまして、誠に遺憾なことだと思います。



7 全日空鳥取便・米子便の小型化について 

○山陰放送 入江直樹 記者

 全日空が鳥取空港と米子空港の機材の小型化を言いだしていらっしゃるみたいなのですが、それについてはどうこれから対応をしていかれるのでしょうか。


●知事

 これは実は先月末くらいから、いろいろと押し問答というかお互いのやりとりはしております、正直な話を申し上げれば。当初、全日空さんのほうは鳥取空港に乗り入れる東京便4便のうち3便について130数名の定数のボーイング737-700に転換をするというお話がありました。私どもはこれは非常にですね、4便のうち3便が現在160名強の定員から130名強になるのは絶対に受けられないと思いまして、この点について強く抗議を実はしております。鳥取商工会議所八村会頭さんとか、鉄永議長なんかにもご協力をいただきまして、申し入れをしました。

 向こうも、昨日私ども地方6団体ということでANAのほうに面談を申し入れさせていただきまして、最前からの強い抗議もあったものですから、先方のほうはだいぶん考え方はその時点よりは随分改めています。若干一部で今の検討過程が報道されている面もあるようですが、米子便と鳥取便と最終的に1便ずつ数カ月といっても短期的なものになるかもしれませんが、3カ月程度一時的に小型化する可能性があり、これは今でも、正直昨日も交渉しましたが、その可能性は消えてないと思います。

 先方の山元[全日空]社長と昨日ひざを割って話をさせていただきましたが、全日空としては原油の高騰もあって飛行計画全体を全国的に見直していると。中には運休をするという路線も出てきそうです。そういう中で、私どものほうは減便をするというのではなくて、一時的に機材を変えられないだろうかというのが、向こうの真意のようであります。

 我々としては、東京―米子便、鳥取便共に、東京からの搭乗率はだんだん伸びてきているし、むしろ大型化してもらいたい、さらに増便してもらいたいというのが、我々の気持ちだと。料金も下げてもらって使いやすいように割引を設定するとか、そういう必要があるんじゃないかというのが我々の気持ちだというふうに、これは重ねて申し上げております。

 先方は、ただ経営状況の問題もあってなかなか簡単に応じられる、少なくとも大型化などは難しいという話を盛んに言っておられました。山元[全日空]社長のほうから、我々へ再度の申し入れもありまして、例えば予約状況に応じて機材を柔軟に入れ替えるとかあるいは月次別に機材の在り方についても考えていくとか、ともかく今回は鳥取の利用客の皆さんに迷惑がかからないような、最小限の影響になるようなそういうことでぜひ考えていきたいというお話がありました。まだ、先方はこのことは検討過程だと思います。

 検討過程だと思いますが、我々は我々の思いを申し上げて、あちらのほうで最終的にダイヤ編成をどうするか、年末にかけてかと思いますが、考えをまとめてくるのではないかと思っております。ただ、今の交渉経過からしますと、影響は比較的小さい範囲にとどまる見通しがついてきているのではないかなと思いますが、当初は4便のうちの3便も定数を減らすという話でありましたので、それから比べるとだいぶ押し戻して来ているなという感触です。


○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)

 そのほかございませんでしょうか。ないようですので、以上で。


●知事

 ありがとうございました。


  

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