「疲れた時や落ち込んだ時、花は心をリセットしてくれるんです」。田村閑美さんは笑顔でこう話します。
24歳の時、ブランド子供服を扱う店を立ち上げた田村さん。一時は県内に3店舗を構えるほど順調でした。しかし、バブル崩壊後は経営不振に陥り、「死ぬ事も考えた」ほどつらい時期がありました。緑でいっぱいだった自宅の庭も手を掛ける余裕がなく荒れ放題になり、心身ともに疲弊して絶望のどん底に。ある日、ふと庭に目を向けると花の芽が出ているのを発見しました。
手入れをしていないはずの荒れ地に芽吹く花を見た瞬間「どんな状態でも自然に生きていけるんだ」と気付かされ、その場にひれ伏して泣きました。
「生きる力」を教えてくれた植物を扱う花屋として接客をするうちに、お客さまの中にも心を病んでいる人が多いと感じるように。現在は、花を活用して心を癒やすアドバイスをするフラワーセラピストの資格を取得し、お店でお客さまの話を聴いたり、フラワーセラピスト養成講座やアレンジメント講習会を開いたりと、花の持つパワーを伝える事で人々に安らぎを提供しています。
田村さんは、倉吉の事業所や企業で構成される倉吉異業種交流プラザの会長も務めています。同プラザでは二十世紀梨を使った洗顔せっけんや、湯梨浜町産つばき油と松江の由志園のボタンの花エキスを用いたねり香水など地元の植物を活用した商品開発に取り組み、地域活性に貢献しています。
さらに、倉吉の女性がもっと外に出て交流する機会をつくろうと不定期で女子会「倉女(くらじょ)会」を主宰しています。全国中小企業団体中央会の女性会員で構成する鳥取女性中央会の会長にも今年6月の総会で就任する予定だったりと、活動は多岐にわたります。
パワフルに活動する原動力は「自分が知っている、何かの励みになるような事(物)を繋げていけば、もっと素敵な展開が待っていると思うから」と話します。
田村さんは地域が盛り上がるには人が大事で、どんな場所でも人が元気なら変わっていくと考えています。そして地元を庭に、色々な種をまき花を咲かせています。
「思った時がチャンス。待っているよりも外に出よう。ないなら自分で作ればいいのだから」と、田村さんは活躍を望む女性を応援しています。
※掲載内容は平成27年3月現在のものです。