議員提出議案第1号

鳥取県地球温暖化対策条例

 この議案を別紙のとおり提出する。

  平成21年3月19日

地球温暖化対策調査特別委員会

委員長 初田 勲

鳥取県地球温暖化対策条例

目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 総合的・計画的な地球温暖化対策の推進(第5条―第7条)
第3章 事業活動における温室効果ガスの排出の抑制等(第8条―第11条)
第4章 自動車等の使用に係る温室効果ガスの排出の抑制等(第12条―第16条)
第5章 電気機器等の使用等に係る温室効果ガスの排出の抑制等(第17条・第18条)
第6章 建築物に係る温室効果ガスの排出の抑制等(第19条―第21条)
第7章 雑則(第22条・第23条)
附則

   第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、地球温暖化が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものであり、大気中の温室効果ガスの濃度を適切な水準に安定化させ地球温暖化を防止することが人類共通の課題であり、すべての者が自主的かつ積極的にこの課題に取り組むことが重要であることにかんがみ、鳥取県環境の保全及び創造に関する基本条例(平成8年鳥取県条例第19号)の基本理念にのっとり、地球温暖化対策に関し、県、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、市町村との連携及び協力を図りつつ、社会経済活動その他の活動による温室効果ガスの排出の抑制等を促進するための措置を講ずることにより、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに県民の福祉に貢献することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において使用する用語の意義は、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号。以下「法」という。)で使用する用語の例による。

(県の責務)

第3条 県は、県内における事業活動及び生活行動(以下「事業活動等」という。)が地球温暖化に影響を及ぼしていることを踏まえ、事業者及び県民が温室効果ガスの排出の抑制等に関して行う自主的な活動を促進するため、教育・学習活動の支援、広報啓発その他必要な措置を講ずるとともに、事業者及び県民に対し温室効果ガスの排出の抑制等に関する指導を行うなど、本県の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の抑制等のための施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
2 県は、自らの事務及び事業における温室効果ガスの排出の抑制等のため、率先して次条第2項各号に掲げる事項の実施その他必要な措置を講ずるものとする。

(事業者及び県民の責務)
第4条 事業者及び県民は、事業活動等が地球温暖化に影響を及ぼしていることを認識し、その在り方を見直し、事業活動等における温室効果ガスの排出の抑制等のための取組(他の者の温室効果ガスの排出の抑制等に寄与するための取組を含む。)を自主的に行うよう努めるとともに、県が実施する温室効果ガスの排出の抑制等のための施策に協力するものとする。
2 事業者及び県民は、温室効果ガスの排出の抑制等のため、第3章から第6章までに定めるところによるほか、その事業活動等において、次に掲げる事項を実践するよう努めるものとする。
(1)  廃棄物の発生を抑制するとともに、その再使用、再生利用その他廃棄物を削減するために必要な対策を推進すること。
(2)  太陽光その他の再生が可能なエネルギー(以下「再生可能エネルギー」という。)を積極的に利用すること。
(3)  森林の適切な管理、保全及び整備(以下「森林保全」という。)並びに県産材(県内の森林で伐採された原木を県内で加工した木材をいう。)その他の森林資源の利用の推進を図ること。
(4)  物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける際には、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号)第2条第1項に規定する環境物品等を利用すること。

   第2章 総合的・計画的な地球温暖化対策の推進

(対策計画の策定等)
第5条 知事は、本県の自然的社会的条件に応じた法第20条第2項に規定する施策並びに県の事務及び事業に関する法第20条の3第1項に規定する措置に関する計画(以下「対策計画」という。)を策定するものとする。
2 対策計画は、次に掲げる事項並びに法第20条の3第2項各号及び第3項各号に掲げる事項について定めるものとする。
(1)  県内における温室効果ガス総排出量及び温室効果ガスの吸収量に関する目標
(2)  前号の目標を達成するために実施する施策に関する事項
(3)  その他本県における地球温暖化対策の推進に必要な事項
3 知事は、地球温暖化の防止に係る技術水準の向上及び社会経済情勢の変化を踏まえて必要があると認めるときは、対策計画を変更するものとする。
4 知事は、対策計画の策定及び規則で定める変更に当たっては、法第20条の3第4項及び第6項から第9項までに定めるところによるほか、あらかじめ鳥取県環境審議会の意見を聴くものとする。
5 知事は、毎年1回、対策計画に基づく措置及び施策の実施の状況(温室効果ガス総排出量を含む。)を公表するものとする。

(教育・学習活動の支援)
第6条 県は、事業者及び県民が地球温暖化対策の必要性等について理解を深めることができるよう、職場、学校、地域、家庭その他の様々な場における地球温暖化の防止に関する教育・学習活動に対し、指導、助言、人材のあっ旋、情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。

(広報啓発)
第7条 県は、地球温暖化対策の必要性等について、事業者及び県民の理解を深めるため、各種の広報活動、啓発資料の作成及び配布その他必要な措置を講ずるものとする。

   第3章 事業活動における温室効果ガスの排出の抑制等

(特定事業者の取組計画)
第8条 事業活動に伴い多量の温室効果ガスの排出をする者として規則で定めるもの(以下「特定事業者」という。)は、規則で定めるところにより、事業活動に伴う温室効果ガスの排出の抑制等のための取組に関する計画(以下「取組計画」という。)を作成し、知事に提出しなければならない。
2 取組計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1)  当該事業活動に伴う温室効果ガス総排出量に関する目標
(2)  前号の目標を達成するために行う取組に関する事項
(3)  その他当該事業活動に伴う温室効果ガスの排出の抑制等に関し規則で定める事項
3 知事は、第1項の規定により取組計画が提出されたときは、速やかにその概要を公表するものとする。ただし、当該取組計画を提出した特定事業者(以下「計画事業者」という。)が公表を希望しない場合において、それが当該計画事業者の権利利益(法第21条の3第1項に規定する権利利益をいう。)が害されるおそれがあることその他正当な事由によるものであると認められるときは、この限りでない。
4 計画事業者は、取組計画について規則で定める変更をしたときは、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。
5 計画事業者は、規則で定めるところにより、毎年、取組計画の達成状況を知事に報告しなければならない。
6 第3項の規定は、第4項の規定による届出又は前項の規定による報告があったときについて準用する。

(特定事業者以外の取組計画)
第9条 特定事業者以外の事業者は、取組計画を作成し、知事に提出することができる。
2 知事は、前項の規定により取組計画が提出されたときは、速やかにその概要を公表するものとする。ただし、当該取組計画を提出した事業者が公表を希望しないときは、この限りでない。
3 前条第4項及び第5項の規定は、第1項の規定により取組計画を提出した事業者について準用する。この場合においては、前項の規定を準用する。

(寄与的取組)
第10条 他の者の温室効果ガスの排出の抑制等(再生可能エネルギーの利用、森林保全その他の規則で定める方法によるものに限る。)に寄与するための取組であって規則で定めるものを行う事業者は、取組計画の作成又はその達成状況の報告に当たり、当該寄与に係る温室効果ガスの排出削減量又は吸収量として規則で定めるところにより算定した量も自らの事業活動に伴う温室効果ガスの排出削減量とみなすことができる。

(取組の指導等)
第11条 知事は、第8条第1項若しくは第9条第1項の規定による提出又は第8条第4項若しくは第5項(これらの規定を第9条第3項において準用する場合を含む。)の規定による届出若しくは報告を受けた場合において、当該提出又は届出若しくは報告をした事業者が行う自らの事業活動に伴う温室効果ガスの排出の抑制等のための取組(前条に規定する取組を含む。)が十分でないと認めるときは、当該事業者に対し、当該取組の見直しその他必要な措置を講ずるよう指導するものとする。
2 知事は、特定事業者が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該特定事業者に対し、必要な措置を講じるよう勧告を行い、その旨を公表することができる。
(1)  第8条第1項の規定に違反して、取組計画を提出しないとき。
(2)  第8条第4項の規定に違反して、取組計画の変更の届出をしないとき。
(3)  第8条第5項の規定に違反して、取組計画の達成状況の報告をしないとき。
(4)  前項の規定による指導に従わないとき。
3 知事は、前項の規定による勧告を行おうとするときは、あらかじめ鳥取県環境審議会の意見を聴くものとする。この場合においては、その特定事業者に対し、鳥取県環境審議会において弁明する機会を付与する。

   第4章 自動車等の使用に係る温室効果ガスの排出の抑制等

(公共交通機関等の利用)
第12条 自動車等(道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車及び同条第3項に規定する原動機付自転車をいう。以下同じ。)を使用する者は、自動車等(公共交通機関として使用されるものを除く。次項において同じ。)の使用に代えて、公共交通機関、自転車その他の温室効果ガスの排出がより少ない交通手段を利用するよう努めるものとする。
2 自動車等を使用して通勤又は業務を行う従業員を雇用する事業者は、当該従業員に通勤又は業務における自動車等の使用を控えさせるため必要な取組を行うよう努めるものとする。

(駐停車中のエンジン停止)
第13条 自動車等を運転する者は、その駐車(自動車等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること、又は自動車等が停止し、かつ、当該自動車等の運転をする者がその自動車等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。以下同じ。)又は停車(自動車等が停止することで駐車以外のものをいう。以下同じ。)中は、信号機(道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第14号に規定する信号機をいう。)の表示する信号に従う場合、渋滞による場合その他規則で定める場合を除き、当該自動車等のエンジンを停止するものとする。
2 事業活動に自動車等を使用する事業者は、当該自動車等を運転する者に前項の規定を遵守させるため必要な取組を行うよう努めるものとする。
3 自動車等を駐車するための施設又は保管するための施設を設置し、又は管理する者は、当該施設を利用する者に対し、駐車中はそのエンジンを停止しなければならないことを看板の掲出その他の方法により周知するものとする。

(推進事業者等の認証)
第14条 知事は、事業活動に使用されている自動車等の駐車又は停車中におけるエンジンの停止について、規則で定めるところにより、その推進に積極的に取り組むと認められる事業者を、その者からの申請に基づき、駐停車時エンジン停止推進事業者として認証するものとする。この場合においては、当該事業者の氏名(事業者が団体である場合にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び当該取組を推進する事業所の所在地を公表する。
2 知事は、事業活動に使用されていない自動車等(事業活動に使用される自動車等が、事業活動以外に使用されている場合における当該自動車等を含む。)の駐車又は停車中におけるエンジンの停止について、規則で定めるところにより、その推進に積極的に取り組むと認められる者を、その者からの申請に基づき、駐停車時エンジン停止推進者として認証するものとする。

(適正な整備等)
第15条 自動車等を使用する者は、当該自動車等を適正に整備し、及び適切に運転して、温室効果ガスの排出を最少限にとどめるよう努めるものとする。
2 自動車等を使用する者は、温室効果ガスの排出量がより少ない自動車等の使用に努めるものとする。

(自動車販売時の説明)
第16条 自動車(過去に道路運送車両法第58条第1項に規定する自動車検査証の交付を受けていないものに限る。以下同じ。)の販売業を県内の店舗において営む者は、自動車を購入しようとする者に対し、当該自動車の温室効果ガスの排出量その他規則で定める事項を説明するものとする。

   第5章 電気機器等の使用等に係る温室効果ガスの排出の抑制等

(省エネルギー型機器の使用)
第17条 電気、ガスその他のエネルギー(エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和54年法律第49号)第2条第1項に規定するエネルギーをいう。以下同じ。)を消費する機械器具等(以下「電気機器等」という。)を使用する者は、エネルギーの消費量との対比における性能(以下「省エネルギー性能」という。)がより高いものを使用するよう努めるものとする。

(省エネルギー性能の説明)
第18条 電気機器等(県内において多数が使用され、かつ、その使用に際し相当量のエネルギーを消費するものとして規則で定めるものに限る。)の販売業を県内の店舗において営む者は、当該店舗に陳列した当該電気機器等の見やすい位置に、その省エネルギー性能に関する表示(規則で定めるものに限る。)を行い、当該電気機器等を購入しようとする者に対し、その省エネルギー性能について説明するものとする。

   第6章 建築物に係る温室効果ガスの排出の抑制等

(特定建築主の環境配慮計画)
第19条 建築物の新築、増築、改築その他の行為(規則で定める規模又は内容のものに限る。以下「新築等」という。)をしようとする者(以下「特定建築主」という。)は、規則で定めるところにより、当該建築物における温室効果ガスの排出の抑制等に関する計画(以下「環境配慮計画」という。)を作成し、知事に提出しなければならない。
2 環境配慮計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1)  当該建築物の名称及び所在地
(2)  当該建築物の用途及び概要
(3)  当該建築物における温室効果ガスの排出の抑制等のため、当該建築物について行う措置
(4)  その他当該建築物に係る温室効果ガスの排出の抑制等のため把握しておく必要があるものとして規則で定める事項
3 知事は、第1項の規定により環境配慮計画が提出されたときは、速やかにその概要を公表するものとする。
4 第1項の規定により環境配慮計画を提出した特定建築主は、当該建築物の新築等が完了するまでの間に、環境配慮計画について規則で定める変更をするときは、規則で定めるところにより、知事に届け出るとともに、当該新築等が完了したときは、規則で定めるところにより、知事に報告しなければならない。
5 第3項の規定は、前項の規定による届出又は報告があったときについて準用する。

(特定建築主以外の環境配慮計画)
第20条 特定建築主以外の建築主は、環境配慮計画を作成し、知事に提出することができる。
2 知事は、前項の規定により環境配慮計画が提出されたときは、速やかにその概要を公表するものとする。ただし、当該環境配慮計画を提出した建築主が公表を希望しないときは、この限りでない。
3 前条第4項の規定は、第1項の規定により環境配慮計画を提出した建築主について準用する。この場合においては、前項の規定を準用する。

(環境配慮の指導等)
第21条 知事は、第19条第1項若しくは前条第1項の規定による提出又は第19条第4項(前条第3項において準用する場合を含む。)の規定による届出若しくは報告を受けた場合において、当該提出又は届出若しくは報告に係る建築物について行われる温室効果ガスの排出の抑制等のための措置が十分でないと認めるときは、その建築主に対し、当該措置の見直しその他必要な措置を講じるよう指導するものとする。
2 知事は、特定建築主が次の各号のいずれかに該当するときは、当該特定建築主に対し、必要な措置を講ずるよう勧告を行い、その旨を公表することができる。
(1)  第19条第1項の規定に違反して、環境配慮計画を提出しないとき。
(2)  第19条第4項の規定に違反して、環境配慮計画の変更の届出又は新築等の完了の報告をしないとき。
(3)  前項の規定による指導に従わないとき。
3 第11条第3項の規定は、前項の規定による勧告を行おうとするときについて準用する。この場合において、第11条第3項中「特定事業者」とあるのは「特定建築主」と読み替えるものとする。

   第7章 雑則

(報告又は資料の提出等)
第22条 知事は、第3章の規定の施行に必要な限度において、事業活動に伴い温室効果ガスを排出する者に対し、その事業活動の状況に関し報告させ、又は資料の提出を求めることができる。
2 知事は、第6章の規定の施行に必要な限度において、建築主に対し、その建築物の設計、施工若しくは維持保全に係る事項に関し報告させ、又は資料の提出を求めることができる。

(規則への委任)
第23条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

   附則
(施行期日)
1 この条例は、平成21年6月1日から施行する。ただし、第3章、第6章、第22条及び附則第3項の規定は、平成22年4月1日から施行する。
(エンジン停止条例の廃止)
2 鳥取県駐車時等エンジン停止の推進に関する条例(平成16年鳥取県条例第46号。以下「エンジン停止条例」という。)は、廃止する。
(適用)
3 第19条の規定は、平成22年4月1日以後にエネルギーの使用の合理化に関する法律第75条第1項の規定による届出が提出される新築等について適用する。
(エンジン停止条例の廃止に係る経過措置)
4 この条例の施行の際現にエンジン停止条例第8条第1項の規定による認証を受けている事業者は、当該認証に係る事業所について、第14条第1項の規定による認証を受けているものとみなす。
5 この条例の施行の際現にエンジン停止条例第8条第2項の規定による認証を受けている者は、第14条第2項の規定による認証を受けているものとみなす。
(検討)
6 知事は、この条例の目的を達成するため、地球温暖化の防止に係る技術水準の向上、社会経済情勢の変化等を勘案し、この条例の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとする。

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