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平成18年11月16日交渉

平成18年度賃金・労働条件要求書等に対する交渉の概要
 
○日時  平成18年11月16日(木)14時30分~17時50分
○場所  第12会議室(議会棟3階)
○出席者 知事部局:伊澤職員課長、広瀬給与管理室長、萬井室長補佐、三田主事
県職労:片山執行委員長、山中書記長、櫻井書記次長
現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長  外11名
 
<概要>
【非常勤職員の処遇改善】
組合: 前回の交渉において、忌引き休暇の取得について、社会的常識の範疇として、有給で取得できるようにならないのか要望したが、検討した結果はどうか。
 
:   現在行っている職務の分析により整理された業務に対し、社会全般から見て適切な視点からみた処遇、勤務時間、労働条件が検討されるべきであることは前回、お話ししたとおりである。これは、非常勤職員に限った話でもなく、広く一般職員にも通じることであるが、民間事情も踏まえつつ、必要以上に不利にならないよう、逆に優遇されすぎないよう検討されなければならないものと考えている。そういった観点で検討した結果、通勤手当は現在手当を支給されている職員については、現在の勤務実態に応じ、一般職員の例による支給となるよう、実現に向け関係部署に対し働きかけていく。また、有給休暇の取得については、現行の取扱いは、労基法どおりに6か月間勤務した後に付与されているが、これを勤務開始から取得できるよう制度改正していきたい。忌引き休暇については、現行は無給で一般職員と同じ日数を取得できるが、民間の実態も調査しながら、有給か無給なのかも含め、個々の職務整理の中で、何が適切な処遇なのか、他の特別休暇と一体の整理を行っていきたい。
    
組合: 従前、定数管理の整理では回らない部分の業務を、便宜的に非常勤職員を配置してきた面があった。賃金改善についても、部分的には改善された職種もあったが、今回の見直し検討では、部分的なマイナス部分はあったとしても、全体的には改善しようとしていると理解していいのか。
    
:   確かに、多種多様な勤務形態の非常勤職員や臨時的任用職員を、十分な整理も行わず、便宜的に配置してきたのも事実である。また、現在行っている類型化の中で、業務内容も職務や職責が一般職員と等しいと考えられるものについては、正職員との均衡、さらには制度化されている短時間勤務職員との均衡も含めて検討されなければならないであろう。また、補助的、軽作業の色彩の強いものについては、民間の業務や処遇を参考としながらの整理が必要となるだろう。
    
組合: 議会でも、民間では働く意欲さえあれば継続的に働ける、また多少ではあるが昇給があるなど、民間に比べ県の非正規雇用の雇用条件が劣っているのではないかとの質問が出された。これに対し、知事も問題として認識があるとの答弁があり、放置できない状況になったと思う。非常勤職員の中には専門職的な能力の高い職種や経験がものをいう職場もあり、正職員をサポートし、補っている職員もいる。業務の整理だけでは区分できないところもあることを十分に認識し、分析・調査して欲しい。
    
:   個別の実態の把握のためにも意見、情報等があれば教えて欲しい。また、雇用条件については、業務内容を記載する標準様式を各職場に配布して、採用前に明示することを徹底するよう改善していきたい。
 
組合: 忌引き休暇は、日本的に慣行が一般化している現状で、常勤的な非常勤職員について、正職員と同様になぜ認められないのか。全体の見直しには影響しないだろうから、すぐにでも改善したらどうか。
 
:   月17日又は週30時間の非常勤職員がイコール正職員と同様の職務、職責とは考えられない部分もある。全体の職務の分析を行う中で、忌引きを含め特別休暇について、どのような日数をどのような形で付与していくのがいいのか考えていきたいということである。民間では忌引き休暇が有給化されているのは限られている。一般的に短時間勤務労働者にまで拡大しているところが民間企業にどれくらいあるのか、付与することに対し、県民のコンセンサスが得られるのか考えると、現段階において説明できないものである。
 
組合: 忌引きの取得状況を調査しているのか。実際、取得状況は少ないであろうし、コスト的に影響が少ないのではないか。
 
:   コスト的な影響が大きいか少ないかではなく、制度的にどうあるべきかで検討すべきものである。現在のところ、前倒しの導入はできない。
 
組合: 確定交渉の継続した課題として、非常勤職員と話し合う機会を持っていただきたい。
 
:   議論する場を持つことは否定しないが、確定交渉の中で整理を行うということにはならないだろう。
 
【初任給基準の改善、査定昇給】
組合: 若年層の賃金改善が必要だということは共通認識であるが、現在の提案では何が改善されるのかが理解できない。県としてどのように改善しようとしているのか具体的に示して欲しい。
 
:   人事委員会の調査した民間の給与実態調査からも初任給に乖離があることは事実であろう。具体的には、事務・技術の学歴別の数値として、県と民間とでは、大卒で10号、短大卒で5から6号、高卒で4から5号という数値が、初任給としてスタート時点で差がある。前回、組合からも具体的に8号給は改善が必要という数字が出たりもしたが、民調の結果からもスタート時点として乖離はあることは事実であるし、そこを埋めるように考えていきたい。ただし、本年の勧告で人事委員会としては初任給改善の必要性には言及しなかったことから、平成19年1月1日の初任給改善はないものと考えており、査定昇給の趣旨を逸脱しない範囲において若年層の特性に応じた査定昇給制度の設計を提案したところである。若年層の標準者を5号給とすることで5年間程度措置する運用により埋められない相差は初任給改善として必要であるから、4月の改正も念頭に置きながら人事委員会へは継続して要請していきたいと考えている。
 
組合: 全体の給与水準を設定してから初任給を考えるのは無理がある。最初に初任給のあるべき値を想定し、全体をみなければシミュレーションできない。我々は行政職において大卒初任給基準として1級38号が妥当だと考えているが、県はどう考えるのか。。
 
:   民間実態を踏まえれば、大卒基準の10号給上位の1級35号給となるだろうと考えている。
 
組合: 今回の措置は初任給が改善されるまでの緊急避難的措置と組合は理解しているが、若年層の標準者について5号給がいいのか6号給がいいのかの議論もある。県の提案している5年間5号給は感覚的な提案にしか聞こえない。これまで運用していた特別昇給を受けてきた者との格差があり、不遇・優遇がないようもっと適切、合理的な設計がいいのではないのか。
 
:   査定昇給の趣旨を踏み越えて、賃金改善を行う気はない。他の世代においては査定昇給を受けるような能力差が出てくるのに対し、能力開発期にあって勤務実績に昇給差をつけるほど差がつかない特性のある若年層に対する配慮として説明可能な範囲として制度設計し、提案したものである。
 
組合: できること、できないことの判断の違いがあることはここではっきりした。
 
:   査定昇給の期間も在職者調整の範囲も人事委員会の判断に委ねられる部分であるが、5号で5ないし6年程度と考えている。
 
組合: 仮に今後、初任給が4号給上積みされた場合には、10号給の格差があるのだから5年間5号給は削られないということでいいのか。
 
:   単純な引き算にはならないだろう。全体の水準を見ながら再度設計していくことになる。
 
組合: 若年層の範囲については、他の給料表の問題もあるので、持ち帰って検討する。
 
【人事委員会勧告】
組合: 組合には、ここ数年の人事委員会勧告に対し、納得のいかない想いが積もりに積もっている。使用者として、このような人事委員会勧告について、職員の士気ややる気の点でどのように考えるのかお聞かせいただきたい。
 
:   ここ数年給与の下降局面が続いていることについて、現実に生活への影響も考えられ、職員にとって喜ばしいことではないことは理解している。一方、公務員の給料は、県民の理解と支持が得られることが必要であり、その均衡バランスを取るのが人事委員会勧告であり、地方公務員法の求めるところである。地域経済が回復し、その結果が反映されればいいが、県内民間ではなお、厳しい状況が続いており、その結果を反映した人事委員会勧告は尊重すべきであり、職員の皆さんには是非、そこのところを理解して欲しい。
 
組合: 人事委員会の調査対象企業規模が100人から50人規模に変わったが、それについてどのように考えているのか。
 
:   規模が給与水準に影響があることは理解できる。ただし、規模が違うから職種として同一性が失われるとは考えていない。100人規模の会社の経理と50人規模の企業の経理に違いがあるかといえば、そうではないだろう。昭和30年代から100人規模の企業を調査してきたことについては、明確な分析があったわけではなく、政治的決着であったと理解している。以降40年近く見直しがなされなかったが、本来、その時代にあった民間給与のあり方を検討されるべきであったと考えている。今の情勢において、県民の納得性を得られるためにも、より広い民間の給与実態を反映させることは、間違った方向性ではないと思う。雇用者側、労働者側の意見を踏まえつつ、引き続き人事委員会において、十分議論すべきことだと思う。
 
組合:  認識としてはお聞きした。
 仮に人事委員会が500人規模の民間事業所が調査対象として妥当だという判断をすれば、それを尊重するのか。
 
:   その責任と見識に基づいて出されたものであるのなら尊重する。ただし、そのような企業がどれだけ民間企業の実態を調査したものといえるのかを考えれば、カバレッジ面からみても低いであろうから県民の納得性も低くなるだろう。そういった議論も踏まえ判断することになると思う。
 
組合:  使用者として、雇用責任についてどう考えるのか。
 
:   賃金だけでなく、安んじて働ける環境を整備することも使用者としての責任だと思っている。評価を柱とする人事制度の構築を考えているところだが、職員の声を聞き、機会を平等に与え、職員の働きをきちんと評価していく。それによって、評価に見合った処遇を行い、働き甲斐のある職場をつくっていきたい。
 
組合:  その思いは理解するが、賃金の下がるスピードと制度改善のスピ-ドが違うと感じていることは伝えておく。組合が調べたところ、県内の各市町村は一時金を現行どおりとする判断をしている。昨年の地域給の導入にあたっては、県内の国家公務員と県職員とは同一処遇であったが、今年は県が一時金を引き下げた場合、県内の各市町村や国家公務員と異なった水準となり、職員の士気が下がる。
 
:   市町村の状況は把握していない。市町村には人事委員会制度がないことも一つとしてあるが、これから各市町村の議会においても議論されることだと思う。
 
組合:  県内の実態が国準拠という状況になっても、人事委員会勧告を尊重するという立場に変わりはないのか。
 
:   変わらない。
 
組合:  県の態度が変わらないことを確認したので、そのことを前提に再度持ち帰って検討し、21日に回答したい。
 

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