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平成18年11月14日交渉

平成18年度賃金・労働条件要求書等に対する交渉の概要
 
○日時  平成18年11月14日(火)14時00分~17時15分
○場所  執行部控室(議会2階)
○出席者 知事部局:伊澤職員課長、広瀬給与管理室長、萬井副主幹、沖村主事
県職労:片山執行委員長、山中書記長、櫻井書記次長
現企労:有本執行委員長、谷本副執行委員長、上田書記長  外17名
 
<概要>
組合:本日は、確定交渉の要求項目の中でも重点を置くテーマを中心に交渉していきたい。
 
【初任給改善、査定昇給】
組合:査定昇給の運用については、本来、別途交渉すべきであるが、初任給改善と関連する事項であるので、本交渉の中で議論していきたい。
 
県:査定昇給制度の導入については、本年度、既に導入されているところであるが、具体的な運用について、10月20日に提案させていただいたところである。平成19年1月1日の実施を前に早急に運用方法を詰めなければならないことは共通認識である。
 具体的に平成19年1月1日の運用にあたっては、管理職は一定の運用を、非管理職は特定事由に該当する場合に限った運用で、評価による査定は見合わせたいと考えている。ただし、若年層の給与水準の課題があることを踏まえ、初任給改善とセット的な議論が必要と考え、若年層の運用を提案したところである。本提案に対する組合の意見をお聞きしたい。
 
 
組合:若年層の給与水準を改善させるためには、初任給を上げるのが合理的であるというのが労使の共通認識だったはずだが、人事委員会は初任給引上げを考えていないとだけの回答であった。初任給がどうなるのかの提案がなければ組合として考えることはできない。現在の見通しをもう少しお聞かせいただきたい。
 
県:若年層の給与水準については、問題意識があるからこそ、昨年から引き続き話をしてきたところであり、人事委員会に対して民間給与実態調査における民間の水準を踏まえての対応を要望してきたところである。その中で、本年度の勧告で触れられなかったのは、人事委員会としては初任給基準の引上げの段になっていないと判断されたものと理解している。そのため、初任給基準の改善については引き続き人事委員会に求めていくが、まずは査定昇給の運用の中で対応できる部分について対応したいと考えている。
  
組合:従来、若年層にあった特別昇給分を加味すると、初任給に10号給は上乗せしないと改善しないと考えている。
 昨年までの制度において、特昇を若年層に集中的に措置していたにもかかわらず、水準は低かった。昨年度のわたり廃止により、今後は任用前提だが、係長級昇格年齢が2年程度遅れ、特昇も廃止することから、昨年度、若年層に対する改善を約束してきたはずだ。制度的に給与水準が下がることが現実である現状で、その部分の改善を査定昇給でどのように埋めるのか分からない。
 昨年の交渉では、国家公務員1.種を除いたところでの水準との均衡ということで一定の整理をしたところである。もともと国公ラスでは若年層は国よりも低かった。標準者を5号給として5年間措置するというなら、なぜそうなったのか、またそれでどう改善できるのか示してほしい。

県:民調の結果で、学歴によって多少の差異はあるが、県職員の方が初任給が低いことは事実であり、数値として低いことは認識している。ただし、若年層の給与水準が何と比較して低いかは議論しなくてはならない。民間の給与水準との比較は、人事委員会が調査結果を持っており、それに基づき検討されるものであると考えている。現在は5年間と考えているが、何年間措置するのが妥当なのかは、人事委員会がそれを踏まえ検討し、設計される部分でもある。民間の実態を踏まえながら、国の水準との均衡を図っていくことは昨年整理したとおりであるが、国の査定昇給の運用にも不確定要素が多く、慎重な議論が必要だ。ただし、具体的なシュミレーションをしたわけではないが、若年層について5号給を標準とすれば、理論的には国の運用を上回ることは理解して欲しい。
 
組合:査定昇給で、初任給の改善を全て埋めることができないことは理解できる。ただし、あるべき水準を想定して、それに応じた査定昇給を設計していくのが妥当なのではないのか。初任給基準を人事委員会は上げないと言っているが、平成19年1月に向けて、人事委員会に対して是正を求める考えはないのか。
 
県:今回の提案も来年の1月1日までには初任給が上がらないことを前提に設計している。基準を変える権限を持っているのは人事委員会であるが、県としても課題認識を持っており、引き続き人事委員会にはお願いしていく。
 
組合:若年層の標準者を査定昇給で1号給上積みするのは、5年間の措置ということだが、初任給基準を改正することと、別の考え方と理解してよいのか。つまり、仮に4月1日に初任給基準が8号給上がったとしても、5年間は査定昇給の1号給上積みは残るのか。
 
県:今回の措置と初任給改善はセット論的に考えている。若年層の改善として一時的に補填的機能として1号給上積みを設計しているが、初任給基準が上がればその措置も不要ということもあり得る。
 初任層の賃金に対し、能力反映で差がつかない期間は5年程度と回答する民間企業が3割であるという民間の調査結果からしても、5年間というのは、初任層の特性上、査定で差をつけない期間として妥当であると考えている。
 
組合:初任給の水準が妥当かどうかを考えて、足らない部分があれば査定昇給で上積みし、初任給基準が改善されればその部分を減じていくのが妥当な考え方ではないのか。
 
県:単純に初任給基準の足りない部分を査定昇給制度で代用することは、制度の趣旨に照らして説明のできるものでなければならないので、できない。
 基本的に、民間との初任給の格差は、まずは初任給改善で措置されるべきものであり、初任給改善がなされない現状で、若年層の給与水準を改善するためのひとつの方策として、査定昇給制度の枠組みの中で、具体的に何が可能なのか設計したものである。すべてを査定昇給制度の中で解消しようとすることはできない。
 今回の提案においても、高齢層職員について、標準の昇給号数を2分の1に圧縮することを鑑みれば、若年層の標準号給をいくらにすべきかという議論ができるだろう。
 
組合:組合としては、最低でも8年間の措置は必要だと考えている。
 初任給が1月1日に改善されないことを前提に設計されているということで、組合としても再度検討が必要である。事務的な折衝により、問題点を整理し、共通認識に立てる部分とそうでない部分を整理した上で、再度、議論しよう。
    
 
【非常勤職員の処遇改善】
組合:非常勤職員の賃金のあり方を根本的に見直し、できるものから見直すということであったが、目指している具体的な将来像を示してほしい。
 
県:前回の交渉においてもお話ししたが、現在の非常勤職員は、地方公務員法上の特別職として整理されているが、実際の業務実態においては、一般職員が行っている業務を非常勤職員で担っている部分もあり、まずは、その現状分析から行ってみたいということである。その整理ができた段階で、やっていただく業務に対してどういう対価が妥当なのかを整理、検討していくこととなる。
 
組合:議会における質問の中で、知事からも「賃金も含めて、非正規職員の雇用に問題があると認識しているので、見直しを検討する」との答弁があったが、具体的にはいつから改善されるのか。
 
県:現在、現状を調査しているところであるが、多様な勤務形態があり分析に時間がかかっている。本年度後半から来年度の前半になるだろう。それまでは改善可能なものについては対応するが、どうしても総合的に業務整理を行った上で、一定の区分ごとに、全体を通した体系的な整理が必要となる部分もある。
 
組合:全体の整理がつくまではフリーズ、現状のままということか。

県:特別な資格等人材確保の問題により賃金改善が必要なものなど、予算要求の段階で改善できるものは対応していく。現段階においても問題点が明らかなものについては、財政当局に対しても情報提供は行っている。

組合:後でいいから、職種ごとの報酬の一覧をいただきたい。
 体系的な整理が必要なのは理解できるが、すぐに対応できるものもあるのではないか。具体的には、通勤手当と休暇の問題である。また、被服について、最初に採用されたときにもらったきり、貸与されないと聞いている。早急な対応を求めるが、どう考えているのか。
 
県:予算の範囲内という制約もあるという前提で、全体の整理を進める中で、できるものからやっていきたい。
 
組合:通勤手当については、一般職と差をつけるなという単純な話である。昨年から採用所属に考慮すると回答しているが、手当額の上限により、個人負担を強いている問題は残ったままである。早急な対応を求める。
 
県:人事配置の見直しでカバーできていない実態があることは認識しているが、予算措置が必要であり、関係部局と協議し、可能な限り努力していきたい。
 
組合:最低でも来年4月までにはやってもらいたい。
 
県:前向きに考えている。
 
組合:次に休暇の話であるが、これは予算とは関係ない話なので、すぐにでも改善できるのではないか。今は6か月経過しないと年休が付与されないが、臨職と同じように採用当初から付与されるように、制度を改めてほしい。
 
県:予算の問題がまったくゼロというわけではないが、できるだけ早く対応するよう前向きに考えたい。
 
組合:現在の業務の整理がつかなくても、日本的な慣行としての忌引き休暇ぐらいは、有給で取得できるようにならないのか。親や親戚が亡くなっても休めないというのはいかがなものか。年休に問題意識を持っているのは分かったが、特別休暇も4月までに整理するつもりなのか。
 
県:忌引き休暇は、現在でも、無給であるが一般職と同様の日数で措置されている。今のところ前向きに考えているのは年休の運用と通勤手当の上限撤廃である。特別休暇については全体整理の中で検討していきたい。
 
組合:非常勤の被服については、貸与基準に基づいているのか。実態を教えてほしい。
 
県:今この場ではどのような実態になっているのか分からないので、関係部局に聞いてみたい。 
 
【通勤手当及び組合専従復職】
組合:人事委員会から提出のあった結果を基に共通の認識に基づく議論の可能性はあるのか。
 
県:県として人事委員会に対し、民間給与実態調査の付帯調査を要請した以上、その結果をもとに人事委員会も含め検討していくことを前提としている。
 
組合:使用者として駐車料金の措置の必要性を感じているのか。
 
県:調査結果における民間の実態からは必要性はないと考えている。
 
組合:調査結果からも、民間においては敷地提供を行っている。県が駐車料金の必要性がないというなら、駐車場を提供しろという要求に変更する。
 
県:調査結果を基に検討した結果、通勤手当で措置する必要はないと判断したのは、人事委員会においても同じ考えだと聞いている。確かに調査結果において敷地提供を行っている事業所があることは事実であるが、当該事業所における通勤手当の支給実態がどうであるかは不明である。駐車場を無償で提供するなら、通勤手当をそのまま措置することにはならないであろう。まずは、全体で整理してみないといけない。
 
組合:国とは異なる通勤手当制度を導入した時に、通勤手当の算定基礎も議論したはずだ。その後、2年前に公有財産の取扱いの見直しの中で、職員駐車場として利用する場合に駐車場代を徴収することとなった。民間の実態と比べてみた場合、駐車場提供が一般的だと考えているのか。
 
県:駐車場の提供なのか、通勤手当としての支給なのか、様々な選択肢がある。確かに通勤手当は実費を意識した設計ではあるが、完全な実費補填ではない。その中には民間における総合的な通勤に対する補填との均衡も考慮されるものである。
 
組合:組合としては、人事委員会からは今回の調査結果を基に今年度の勧告を出していないという説明を受けている。調査結果を受けて、労使で解決すべきだと考えているがどうか。
 
県:調査結果について、今後議論することは構わない。
 
組合:組合専従の復職時の取扱いについても、併せて今後議論することを確認しておく。
 
【人事委員会勧告の取扱い】
組合:勧告制度を否定しているのではない。ここ数年の勧告の中味に疑問を感じているだけである。昨年度、地域給の導入にあたっては、官民の較差が△1.6%であったのに、国準拠で△4.8%の給与水準の引き下げを行っておきながら、今年は民間準拠で、民間実態調査対象を100人規模の事業所から50人規模の事業所へ拡大させた。対象事業所規模を下げれば、賃金水準が下がるのは必然のことであり、賃金引き下げを目的としたものといわざるを得ない。社会の情勢がそんなに急激に変わったわけではない。釈然としない気持ちが強くて、納得がいかないが、人事委員会からも勧告に対する明快な説明がないままであり、県からは勧告尊重の主張では、どこに不満を言っていいのかわからない。
 
県:県に対して勧告に対する気持ちをぶつけられても仕方ない。言うまでもなく、勧告イコール実施ではない。勧告自体、任命権者と県議会議長に対して行われるものであり、任命権者として勧告を受けて、内容の理解を行った上で判断し、条例を提案するものである。
 公務員の給与は、国、他の地方公共団体、民間、生計費等を考慮することが法律で求められているところであり、勧告もその前提で出されている。結果として、従来は国準拠が中心的に強く求められていたが、今年度は従来より、より地域の民間状況を重く評価、反映しなければならないと人事委員会において判断され、県としても方向性はそのとおりだと考えたところである。
 
組合:いつから考え方は変わったのか。
 
県:徐々に変わってきたものであり、明確な時期は答えられない。ただし、世の中の流れの一つとしていうなら、労働者側の団体代表もメンバーとなっている総務省における研究会においても明確な方針転換が出されているところであるように、より加速度的な流れの中で方針転換がなされたものと考えている。
 
組合:民間給与実態調査対象を100人規模の事業所から50人規模の事業所へ拡大させた理由も明確に説明されていない。対象事業所規模を下げれば、賃金水準が下がるのは必然のことだと考えるが、県としてどう考えるのか。
 
県:統計的に考えれば、結果として賃金水準が下がる蓋然性が高いことは容易に想像ができる。より多くの民間の給与実態を反映するという方向において、対象事業所の拡大は、より広く同種同等の業務を行ってる民間労働者の実態の比較を求めての結果だと理解している。そういう方向性は間違っていないと考えている。
 
組合:民間の同種同等と言ったが、どの規模の事業所が限度だと考えているのか。
 
県:どの程度が妥当か検討するためには様々な考慮要素もあるだろうし、正解もない。方向性として、より幅広い民間賃金実態を反映させることが必要だと考えているところであり、具体的な調査、研究は人事委員会において一義的に判断されることが必要である。その考慮要素について、労使それぞれの立場で考え、投げかければいいと思うし、併せて議会で議論が進めればいいと思う。
 
組合:人事委員会勧告のどこがおかしいかをこの場で議論しても仕方ないことであり、どう取り扱うかを議論をしているのである。
 
県:議論することを否定はしないが、人事委員会勧告制度を前提とした議論でなければ意味がないものとなる。
 
組合:これ以上話をしても進展はなさそうである。今日はここまでとするが、今回のやり取りを踏まえ、次回組合員が納得できる説明について持ち帰って検討して欲しい。

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