ポップコンテスト2017 奈都子さんへのインタビューの様子

奈津子さんと中学生達 
  

日時

平成29年12月12日(火)13時から14時

場所

米子市立図書館

インタビュアー(優秀賞受賞者)

図書 中学校 学年 名前
はてしない物語 鳥取市立西中学校 3 木村麗乃(きむら れの)
はてしない物語 米子市立福米中学校 3 西山友葉(にしやま ともは)
世界地図の下書き 琴浦町立赤碕中学校 3 田中かれん(たなか かれん)
トムは真夜中の庭で 琴浦町立赤碕中学校 3 米村向日葵(よねむら ひなた)

インタビューを受ける人(本の推薦者)

奈都子(なつこ)さん〔シンガーソングライター〕
  

奈都子さんに直撃インタビュー

※主な内容を抜粋してお伝えします。
※司会は県教育委員会職員

司会

 自分が作成したポップの工夫した点を教えてください。

米村さん

 この本(「トムは真夜中の庭で」)は「時」というのが主題だと思ったので、この時計に注目してほしいです。

田中さん

 この本(「世界地図の下書き」)は「願い飛ばし」ということが行動のきっかけとかになっていると思うので、その場面を描きました。その辺に注目してほしいです。

木村さん

 (「はてしない物語」の表紙を見て、)実際に本を作りました。中表紙も作りました。そこがポイントです。

西山さん

 私も「はてしない物語」を読みました。絵がすごく独特で特徴的で、自分には難しいと思ったので、もうちょっとみんなに親しみを持ってもらえるように絵を描きました。

司会

 奈都子さん、実際にポップを見られていかがですか?

奈都子さん

インタビューの様子 私がすごく好きで選んだ3冊なのですが、自分の好きな本を、若い皆さんが読んでくださる、それだけですごく感動しています。うれしいです。皆さんは、「自分が読んだおもしろさを誰かに伝えたい」という思いでポップを作ってくださったと思うんですよね。私が感じた感動を同じようにみんなが感じてくれて、それをまた誰かに伝える、これは感情のシェアですよね。そういうところにすごく喜びを感じています。
 今はデジタルでも描けるけど、色鉛筆や色紙を使って綺麗に描いたり、工作したり、全部みんなの手で作ったというのがすごいですね。時間をかけて作ってくれたと思います。ものすごくうれしいですね。これが本屋さんにあったらきっと本売れますよ。

司会

 このポップは1月以降、実際に書店にも置いていただく予定です。

奈都子さん

 それはぜひ見に行きたいです。

司会

 今日は奈都子さんに質問したいことを考えてきてくださっていると思いますがいかがですか?

木村さん

 「はてしない物語」の好きなところを教えてください。

奈都子さん

 これは私が子どもの頃、父親に買ってもらったものです。小学校低学年の頃だったと思います。それだけでも思い出深いものですが、その頃は読破できませんでした。この本はもともと洋書なので、小学校低学年の私には和訳の文章はとっつきにくくて。ちゃんと読破できたのは皆さんと同じくらいの歳になってからだったと思います。読破できたときは、すごくおもしろくて感動しました。これは一晩で読んだんですよ。読み終わったときには朝になっていて、夜明けと共にこの本を読み終わり、自分の部屋から夜が明けるのを見ました。その景色や感動が今も記憶に残っています。大人になってからも何度も何度も読み返しています。この本は、主人公が本の中の世界に飛び込んでいって、過ちを繰り返しながらも、最後は自分らしく生きていくという道を選ぶのですが、嫌なことがあってもこの本を読めば簡単に異世界に行けてしまう、信じられないような世界に旅に出られるから、現実の嫌なことも忘れられるし、自分自身と向き合って生きていく強さももらえるし、ちょっと落ち込むことがあるたびにこの本を読んでいます。ファンタジーが好きになるきっかけの一冊です。

西山さん

 シンガーソングライターになろうと思ったきっかけと、いつ頃そう思ったのか教えてください。

奈都子さん

 私が歌手として活動を始めたのはすごく遅くて、ちゃんとお仕事としてはじめたのは2009年、25歳のときです。それまで私は普通に就職していたのですが、仕事を辞めたのをきっかけに道に迷いました。皆さんにはまだわからないかもしれないけど、仕事を辞めるというのは社会人としては不安な要素で。そういう時に、当時の事務所の人に声をかけてもらったことが一番のきっかけでした。自分で曲と詞を書くことを始めた一番最初は、中学のときです。今は読めるものじゃないけど、中学生の頃が人生の中で一番詞を書いていた頃です。

田中さん

 本は奈都子さんにとってどういう存在ですか?

奈都子さん

 私は本を読むことが良いことだとは思わないんです。そんなことを思いながら読んでる人はいない。本が好きだから、楽しいから読んでいる、それだけです。ゲームが楽しい子もいるし、漫画を読むのが楽しい子もいるし、ユーチューブで動画を見ることが好きな子もいるし、全く同じ感覚で私も本を読むのが好きです。私にとっては究極の娯楽、一番楽しいことです。ご飯を食べたり寝たりするのと同じように。だから30年も読書の習慣が続いていると思います。

米村さん

 歌や歌詞を通して伝えたいことは何ですか?

奈都子さん

 難しいですね。曲それぞれでメッセージが違っていますが、それを聴いてくれてる人が聴いてる瞬間に安らげる時間をお届けしたいなと思っています。私が本を読んでいるときと同じような心の安らぎだったり楽しい気持ちだったり、そういうことを味わってほしいから歌っているという感じですかね。

司会

 今回中学生はこの厚い本の内容を、一枚のポップにまとめて、本の魅力をわかりやすく伝えてくださっています。すごく語彙力が必要な作業だと思います。奈都子さんは詞を書かれると思うのですが、詞を作るときも同じように、思いを言葉にするのはすごく語彙力が必要で難しいことだと思います。読書がそういうところに影響していることがありますか?インタビューの様子

奈都子さん

 詞を書くときも歌を作るときも、すべての底力は本です。それだけは明確に言えます。これまで本を何冊読んできたのか数えてないのでわからないですし、忘れている内容もありますが、すべて本が知層になっています。私の中の言葉の層になって蓄積されているのを感じます。それを感じる瞬間はやはり詞を書いているときや文章を書いているときです。また、仕事でコラムを書かせていただいたり、ラジオパーソナリティーをしているので自分で原稿を書いたりします。ブログを書くこともありますし、チラシを作るという仕事も時々します。その場、その媒体に応じた言葉を作らないといけない場面になったときに、語彙力を試されていると思います。そういう時に今まで読んだ本の知層がものすごく役に立っている。これが本を読んでいるのと読まないとの明確な違いになると思います。

田中さん

 中学2年生のときに授業で、教科書に出てくる物語のスピンオフ小説を書く授業がありました。周りの人は困っている人もいたけど、私は本を読んでいたおかげもあってすらすら悩まずにできました。そのときに本を読んでいてよかったなと思いました。

奈都子さん

 間違いなくそれは今まで読んできたものが知層になって出てきたものだよね。

司会

 このコンクールに応募しようとしたきっかけは何ですか?

西山さん

 2年生のときもポップを作ったのですが、同じ学年の子が賞に入っていて、悔しくなりました。負けず嫌いなところがあるので今年は頑張って作ってこの形になりました。
 去年は、「はてしない物語」を読んで作りました。その本を好きな気持ちがとても強かったのでいっぱい文字を描いて出したのですが、「こんなの見えないじゃん、誰も読めないじゃん」と後悔しました。その後悔を生かして、なるべく文章が少なくなるように、でも読んでもらいたいなという思いを込めて書きました。

木村さん

 私はこの本(「はてしない物語」)を小学校の頃途中まで読んでいたのですが、途中で読めなくなってしまいました。中学校にこの本があるのを知って、また読み返していたらちょうどポップコンテストがありました。そのときに図書館の先生に勧められて作りました。

米村さん

 学校でみんなで取り組むことになって、去年も応募しました。今年もやりたいと思って応募しました。

田中さん

 夏休みの宿題として学校全体で取り組むことになって、去年は自由図書で応募しました。今年こそ賞を取りたいと思いました。

西山さん

 好きな野菜は何ですか?

奈都子さん

 セロリ。生でも調理しても何でも好きです。

米村さん

 詞は自分で作っておられると聞きましたが、作曲も自分でされていますか?

奈都子さん

 CDを何枚か出していますが、曲も詞も自分で書いているものもあります。詞はずっと書いてたから今でも大好きですが、曲を作るのは苦手で今でも苦労しています。

米村さん

インタビューの様子 どうやって曲を作ってますか?

奈都子さん

 ギターで作っています。

米村さん

 曲は作れないけど、ピアノをひいたり、吹奏楽部に入っているので音楽は好きです。

木村さん

 鳥取に生まれて良かったことはありますか?

奈都子さん

 もともと田舎生まれ田舎育ちで今は松江に住んでいて、ずっと田舎にいます。自然がすごく好きです。東京や大阪といった都会は苦手です。仕事で行くことがあってもすぐに山陰に帰りたくてしかたない。水もきれいで緑豊かな田舎は好きです。田舎は少子高齢化で、皆さんのような若い人が少なくなってきて、特に山間部はどうなっていくんだろうということを自分のこととして真剣に考えることができる環境なので、山陰に生まれて良かったなと思います。

田中さん

 曲を作るときに詞を書かれると思いますが、どういう時に詞がおりてきますか?

奈都子さん

 皆さんと同じくらいの頃、私は詞を書くのが好きでした。ポエムを書いていたこともあったし、自分の中にしか流れないメロディに合わせて詞を書いたりもしていました。授業中に書いていたこともありました。今は割と「さあ書こう」と思ってパソコンに向かって書いています。私は本を読むことと同じくらい音楽を聴くことも好きなので、すばらしい音楽に触れたときとか、素敵な曲を聴いたときに、インスピレーションを得て、慌ててスマホに打ち込んだりすることもあります。やはりいいものに触れたときですかね。きれいな絵を美術館で観たときとか、すてきな人とお話したり、かっこいい男の人とお話したりしたとき、在りもしない妄想がラブソングになったりすることもあります。ちょっとした刺激を受けたときは、詞が浮かんでくることがあります。

西山さん

 12月12日は「今年の一文字」が発表される日です。シンガーソングライターという職業を漢字一文字で表すとしたら何ですか?

奈都子さん

 「伝」かな?伝える方法は歌じゃ無くてもいいと思っています。世の中に伝えたい思いがあれば何かの方法で伝えることが大事だと思っています。人が動いたり、心が動いたりすれば、伝える方法は何でもいいと思います。

木村さん

 絵を描いたりするんですか?

奈都子さん

 下手だけど描きます。CDジャケットのイラストも描いています。
 昔、マンガを描くのが好きでした。小学生の時、キャンパスノートに鉛筆でマンガを描いて、それを次の日に友だちに読んでもらうというのがその当時の快感でした。その当時の「伝」ですね。

米村さん

 これからの目標はなんですか?

奈都子さん

 今まではシンガーソングライターとして呼んでもらって歌いに行ったり、自分でライブを開催したりという歌い方をしていましたが、実は今はお店で歌っています。歌と料理を楽しんでもらえるお店が松江にできたんです。そこで毎晩、山陰の歌を届ける、そのお店が拠点になって、山陰の魅力をより多くの人に伝えていけたらいいなと思っています。また、最近、山陰でシンガーソングライターや歌手で頑張っている若い子がどんどん出てきているので、そういう皆さんと協力しながら、鳥取県は日本一人口が少ない県だけど、山陰でもこんなに豊かな音楽文化があり、そういうものを作っていける世の中なんだよ、そういう土地なんだよというのを、県外の人に知ってもらえるように頑張りたいなと思ってます。

田中さん

 自分が生きる上で目標にしていることはなんですか?座右の銘みたいなものがあれば教えてください。

奈都子さん

 不安に思ったり迷ったり、ネガティブな感情は一生ついてまわると思いますが、その事にとらわれ過ぎないということですね。皆さんは10代で思春期だから、いろいろな悩みがあると思います。私も当時、友だちのこととかいろんな悩みがありました。30歳を過ぎた今は、悩んでも無駄、悩むことは無駄な時間、悩むより考えて行動した方がいいと思うようになりました。悩んで苦しむのであれば本を読んで現実逃避してください。座右の銘は考えたこともないですが、そうですね・・・「毒が無ければ薬にもならない」という言葉があります。世の中のきれいなところだけを見ていたいという思いがあると思います。テレビを見ていても嫌なニュースよりも楽しいバラエティのほうが楽しい。気持ちの良い言葉だけを並べた本や歌の方が幸せになるかもしれません。これから皆さんが大人になるにしたがって、嫌なこと、知りたくないこともあると思いますが、目を反らしてはダメ。目を反らさずに、人間の嫌な部分や間違っている部分もしっかりと見つめて、その上で楽しいこと、幸せをきちんと手にして欲しいなと思います。

司会

 最後に、中学生のみなさんにメッセージをお願いします。

奈都子さん

 想像力は本を読んでいくうちに知らず知らず皆さんが得ている力だと思います。例えば本を読みながら頭の中で情景描写をしたり、主人公の顔を想像したり。そういうことから始まって、想像力は鍛えられていくと思います。それは、人の気持ちを思いやる心につながっていったり、困ったことが起きたらその先どうしたらいいだろうと先を考える、予見することにつながっていくと思います。想像力を鍛えるというのは創作につながらなくても、自分の人生にすごく有意義に働いていく力だと思っています。
 語彙力、言葉の地層をつくればつくっていくほど心が自由になってきます。自分の感情や意見、思いを的確に他者に伝えていける。それが自分が自分らしく生きていくことにつながると思います。言葉はたくさん持っていれば持っているほど絶対に良いです。だから皆さんこれからも、迷わずに好きな本を好きなだけ読み続けていってください。知らないうちに知層が重なっていって、こんなに私の中には言葉が溢れていたんだといつか気付く日が来ると思います。今は好きな本を好きなだけ楽しく読んで欲しいなと思います。
インタビューの様子