川口さん 「『人財』という言葉が心の底からうなずけるようになりました」―。鳥取県内をはじめ、中国、バングラデシュに工場や事業所を持つ川口グループの財務責任者であり、「社員のお母さん」として会社成長の鍵を握る「人財」育成にも力を注いでいます。また、社外では県内の女性を代表して公の審議会などの委員を歴任。職場環境の改善や地域づくりについて提言しています。

 会社経営に本格的に関わるようになったのは、子育てが一区切りついた約20年前。「社長の奥さん」から経営者の一人になった当初は、組織になじめず戸惑いもありましたが、女性だけが行っていた朝のお茶出しを男性社員の同意を得て取りやめるなど女性目線での社風改革に取り組んできました。最近では、息子でもある社長の提案で、社内での呼称を肩書ではなく「さん」付けに統一しました。部下が上司に公私にわたって相談しやすい職場をつくるためです。一方で、あいさつをはじめ、社員の礼儀については厳しく指導しています。

 経営者として大きな転機になったのは、2001年の県労働委員会使用者委員の就任です。男女共同参画を推進する県の方針で経済団体から推薦され、10年間務め、労使双方の話をじっくり聞く機会となりました。「働く人の気持ち、職場環境を整える大切さを知り、社員は会社を支える大事な力だとあらためて学びました」と打ち明けます。

 同社は若手社員が多く、若い人たちが会社を引っ張り、それを経験のある人たちが支えています。コミュニケーションの充実を図ることで世代間の溝を埋め、明るく楽しく、和やかな社風を築いています。近年は育児休暇取得後の女性社員はほぼ全員復職しています。

 女性社員の重要性について「女性は細かいことに心配りができ、女性ならではのしたたかさも仕事に生きます」と強調します。ただ、社内での女性の登用については、苦い思い出があります。かつて男女共同参画を進めようと、優秀な女性社員に役職と責任を与えましたが、わずかな期間で育児と仕事の両立に音を上げてしまったのです。川口さんは「彼女が働きやすい環境を整えることをおろそかにしました。彼女を支える上司や社員を育てていませんでした」と振り返ります。
 
 その反省から、男女にこだわらず、「周囲にサポートしてくれる社員や部下の相談を受け止める上司を育てるのは経営者の責任です」と言い切ります。

 「会社は人を育てないと伸びません。これからも社員が仲良く仕事ができる環境づくりに尽力し、会社の宝である社員を育てていきたい」と展望しています。
 
※掲載内容は、平成27年3月現在のものです。
  

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